ポケットモンスター 転生したのは初めに旅立った子供   作:剣の舞姫

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仕事が忙しいは言い訳にしません。積みゲー消化してました!


第97話 「エンジュジム、脅威のゴーストポケモン使い」

ポケットモンスター

転生したのは初めに旅立った子供

 

第97話

「エンジュジム、脅威のゴーストポケモン使い」

 

 ジョウトリーグに出場する為、旅を続けるソラタとククリは、途中で一緒になったシズホと共に次のジムがあるエンジュシティにやって来ていた。

 エンジュシティ滞在二日目、早速ソラタはエンジュジムに挑戦するため、一人ジムへ訪れ、その扉を叩いている。

 今回、ソラタはククリにジムリーダー・マツバの戦い方を見せないことにした。そのため彼女にはポケモンセンターでジム戦に備えて鍛錬を命じており、その相手にシズホが名乗り出てくれたので任せて一人行動をしているのだ。

 そして、ジムを訪れ中に入ると奥に立つのは昨日、やけたとうで出会ったエンジュジムのジムリーダー、ゴーストタイプ使いのマツバが待ち構えていた。

 

「よく来た、待っていたよ」

「ジム戦、お願いします」

「ああ、勿論だとも」

 

 多くは語らない。ジムリーダーとチャレンジャーとしてジムで相対した以上、やるべきは一つ。

 互いに中央のバトルフィールドに立ち、審判が間に立つとフラッグを掲げてルール説明に入った。

 

「これより、エンジュジムのジム戦を開始します! 使用ポケモンは互いに3体! 先に相手のポケモンを全て戦闘不能にした段階で試合終了とします。なお、途中のポケモンの交代はチャレンジャーにのみ認められています」

 

 いつものルール、使用ポケモンも3体というルールを想定して既にソラタの手持ちもジム戦用に調整済みだ。

 

「では、まずこちらの先手はコイツだ! 行け! ヨノワール!!」

「なら俺はコイツだ!」

 

 マツバの一番手はゴーストタイプのヨノワール、そしてソラタが投げたボールから出てきたのはデルビル。

 タイプ相性で言えばデルビルの方が有利だが、ヨノワールはヨマワルの最終進化系ポケモンだ。

 進化系のサマヨールから更に進化したポケモンなので、未進化ポケモンであるデルビルでは力不足の可能性も十分ある対戦だろう。

 

「ヨノワール対デルビル、バトル開始!」

「先手必勝! “ちょうはつ”!」

 

 ソラタが指示したのは相手を攻撃技しか使えなくする“ちょうはつ”だ。ゴーストタイプのポケモンはエスパータイプと同等に変化技が得意なポケモンが多く、ゴーストタイプ使いは大概がトリッキーな戦術を得意としている。

 当然、相手の得意とする土俵で戦うつもりなどないソラタは先手から“ちょうはつ”で変化技を封じる作戦に出たのだが、やはりジムリーダーというだけあってその作戦は見破られていた。

 

「ヨノワール、“ふういん”だ」

 

 “ちょうはつ”が発動する前に、ヨノワールの眼が光った結果、“ちょうはつ”が不発に終わってしまった。

 ヨノワールが使った“ふういん”は自分が覚えている技を相手も覚えている場合に限り、その技を封印して使用不能にする技、そしてヨノワールは“ちょうはつ”を覚えることが出来るので、こちらの“ちょうはつ”を封印されてしまったのだろう。

 

「さて、お次だヨノワール! “トリックルーム”!」

「させるな! “かえんほうしゃ”!!」

 

 “トリックルーム”は不味いと、展開させる前に“かえんほうしゃ”を指示したのだが、炎がヨノワールに届く前にフィールドが“トリックルーム”に覆われ、“かえんほうしゃ”が直撃したヨノワールが素早い動きで距離を詰めて来る。

 

「“かわらわり”!」

「回避!」

 

 素早さはデルビルの方が上、だからこそ“トリックルーム”の空間では足の遅いヨノワールの方が素早く動ける。

 予想以上の動きで接近してきたヨノワールの“かわらわり”をギリギリで回避したデルビルだったが、その後も連続で“かわらわり”による攻撃をしてきたことで回避しきれなくなってしまった。

 

「バウッ!?」

 

 連続で繰り出された“かわらわり”に回避が間に合わなかったデルビルがその一撃を受けてしまい吹き飛ばされてしまった。

 そして、ゆっくり立ち上がったデルビルの姿がブレて姿を変える。そこに立っていたのはデルビルでも、進化系のヘルガーでもない、別の姿……悪タイプのポケモン、ゾロアークだった。

 

「ゾロアークのイリュージョン……! ヨノワール、“かわらわり”だ!」

「ゾロアーク! “ふいうち”!!」

 

 デルビルの姿がゾロアークになった事には驚かされたが、だからといって同じ悪タイプであること、素の素早さはヨノワールの方が下であることに変わりは無いとマツバはヨノワールに先ほどと同じく“かわらわり”を指示。

 だが、ソラタがゾロアークに指示したのは“トリックルーム”で素早さが逆転していようと関係ない“ふいうち”を指示した。

 素早さが逆転して高速で接近してきたヨノワールを、ゾロアークの爪が迎え撃ち、直撃を受けたヨノワールが大きく吹き飛ばされる。

 

「ヨノワール!」

「よ、わ~」

 

 効果抜群の一撃を受けたヨノワールが吹き飛ばされた。それに追い打ちするかの如くゾロアークがヨノワールの真上へと跳び上がると、その口に炎を宿す。

 

「“かえんほうしゃ”!!」

 

 トドメの一撃、“かえんほしゃ”によって炎に飲み込まれたヨノワールは全身が焼け焦げた状態でフィールドの地面に転がり、眼を回して倒れていた。

 それを見て戦闘不能と判断した審判がフラッグを挙げる。

 

「ヨノワール、戦闘不能! ゾロアークの勝ち!」

「よしっ!」

 

 まずは一勝、この調子でゾロアークを続投する姿勢を見せるソラタに、ヨノワールをボールに戻したマツバは改めてゾロアークをジムリーダーとしての目線で見つめた。

 

「良い育て方をしている。セキエイ大会以降にゲットしたポケモンなのだろうと予想しているが、既にリーグ戦レベルまで育てられているね」

「ジョウトを旅する前にゲットして、それから育ててましたから」

「なるほど、それにしたって見事なものだ……なら、次はこいつで行かせてもらおう! ソウブレイズ!!」

 

 マツバの2番手はパルデア地方に生息しているソウブレイズと呼ばれるポケモンだった。

 まさか、ここでソウブレイズが出て来るとは思わず、ソラタも明らかに動揺してしまい、それを目敏く見抜かれてしまう。

 

「流石にこのポケモンは予想していなかったみたいだね。俺も偶然こいつの進化前、カルボウを知人から譲り受けてジム戦用に育てていたんだけど、意表を突くには持ってこいなんで重宝しているのさ」

「いや、本当に意表を突かれましたよ……まだパルデアのポケモンはそこまでジョウトで出回っていないというのに、まさかソウブレズなんて」

「そこはジムリーダーだからこそさ」

 

 確かに、ジムリーダーともなれば、他地方のポケモンを持っていても不思議ではないだろう。それだけのコネもあるのだろうし、実際にカントーを旅していた時にもそんなジムリーダーがいたのを知っている。

 

「ソウブレイズVSゾロアーク、バトル開始!!」

「ソウブレイズ! トリックルームを利用するぞ! “むねんのつるぎ”!!」

「ソウ!」

 

 バトル開始と共に何をするのかと思えばヨノワールに作らせたトリックルームの利用、確かにソウブレイズより素早さはゾロアークの方が上、だからこそトリックルームの中ではソウブレイズの方が先に動けるのだろうが、それでも何もさせるつもりは無かった。

 

「ゾロアーク! “ふいうち”!!」

 

 ソラタの指示でゾロアークが爪を伸ばして光らせると、一気にソウブレイズに迫った。ソウブレイズもそれに反応はしたもののゾロアークの速度が想像以上だったのか簡単に“ふいうち”の一撃を受けて吹き飛ばされてしまい、トリックルームの壁にぶつかった。

 

「そう、それでいい! ソウブレイズ! やれ!!」

 

 すると、ソウブレイズはその剣を吹き飛ばされた先のトリックルームの壁に突き刺した。

つまり、マツバはこれを狙ってわざと“ふいうち”を使わせたのだ。

 

「“オーバーヒート”!!」

 

 一瞬の出来事だった。“オーバーヒート”が指示された瞬間、トリックルームがソウブレイズの剣に吸い込まれるように収縮、消え去ったかと思うと、ソウブレイズの剣が激しく燃え上がる。

 

「まさか……っ! ゾロアーク! “ふいうち”だ!!」

「遅い!」

 

 開放された炎がフィールド全体に広がり、ゾロアークも炎に飲み込まれてしまった。トリックルームを“オーバーヒート”のエネルギーとして取り込んだ超高エネルギー状態の“オーバーヒート”、特殊攻撃より物理攻撃の方が得意なソウブレイズであっても、これは強い。

 

「バゥゥゥ~……」

「ゾロアーク、戦闘不能! ソウブレイズの勝ち!」

 

 炎に飲み込まれたゾロアークは、炎が消え去るとフィールドの中央で眼を回して倒れていた。先ほどの“オーバーヒート”の一撃で戦闘不能になったのだろう、なんという威力なのか。

 

「戻れゾロアーク……サンキュー、ゆっくり休んでくれ」

 

 ゾロアークをモンスターボールに戻したソラタは次のポケモンが入ったボールをベルトから外して構える。

 このポケモンならソウブレズとも十分互角に戦えると判断しての選択だが、間違いではないだろうと確信していた。

 

「頼むぞデルビル!」

「デル!」

「ほう? 今度は本当のデルビルのようだね」

 

 先ほどのデルビルはあくまでゾロアークの“イリュージョン”、だが今度は本物のデルビルだ。

 そして、ソラタのデルビルの特性は“もらいび”、これでソウブレイズの炎系の技は通用しない。

 警戒すべきはソウブレイズが格闘タイプの技も使えることだが、ソウブレイズの残りの技枠は二つ、どんな技を選択してくるのかが気になるところだ。

 

「ソウブレイズVSデルビル、バトル開始!」

「先手必勝! デルビル、“あくのはどう”だ!!」

 

 デルビルは特殊攻撃が強いポケモン、物理攻撃が強いソウブレイズ相手に、態々近接戦闘で戦うような愚は犯さないとばかりに遠距離からの“あくのはどう”を指示する。

 だが当然、ジムリーダーならデルビルが特殊に強いポケモンだということは把握している筈で、そしてデルビルの特性がこの場面で出てきたことから“もらいび”だろうと予測したうえで冷静にソウブレイズに頷く、ソウブレイズも頷き返すと余裕を持って“あくのはどう”を回避して接近してきた。

 

「“かわらわり”だ!」

「“かげぶんしん”!」

 

 予想通り、格闘タイプの技で来たのでソラタも冷静に“かげぶんしん”で回避を指示、デルビルが分身してソウブレイズの“かわらわり”は分身の一つを潰すだけに終わった。

 

「いいぞ、そのままもう一度“あくのはどう”だ!」

 

 攻撃を放ったばかりの隙を狙い、デルビルの“あくのはどう”が炸裂、ソウブレイズに効果抜群の一撃が直撃した。

 いくら特防が高いソウブレイズといえど、タイプ一致で放たれた効果抜群の一撃を、それも至近距離で受けてしまえば大ダメージは避けられない。

 流石に戦闘不能とはいかずとも、大きく後退したソウブレイズは確かにダメージが大きいのか少し息が乱れている。

 

「よし、もう一度“かげぶんしん”! そこから“わるだくみ”だ!」

 

 行けると、ソラタはデルビルをもう一度分身させて、一気に特殊攻撃で攻めるべく“わるだくみ”を指示した。

 だが、ソラタは忘れていた。マツバはゴーストタイプの使い手、当然その得意とする戦術は特殊技を用いたトリッキーなものだということを。

 

「ソウブレイズ! 突っ込んで“クリアスモッグ”!」

「っ!? しまった!!」

 

 “クリアスモッグ”は相手の能力変化を掻き消してしまう技、“かげぶんしん”も“わるだくみ”も、どちらも回避率上昇、特殊攻撃力上昇の技、それが掻き消された。

 

「“かわらわり”!!」

「“あくのはどう”だ!!」

 

 “かげぶんしん”が掻き消された所を狙ってソウブレイズがデルビルの目の前に到達、そのまま剣を振り下ろしてきたので、こちらも一か八かの“あくのはどう”を放つと、互いに技が直撃して吹き飛ばされた。

 

「わぅ~……」

「ソウ……」

「ソウブレイズ、デルビル、共に戦闘不能!」

 

 結果はダブルノックアウト、相打ちに終わった。




ここまでソラタを追い詰めたジムリーダーはカントー以来?
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