ウマ娘と腐れ目トレーナーの日常   作:緑茶P

1 / 12
(・ω・)やっちった(笑)

そして、にわかだから詳細はガバガバ。

(*''ω''*)それでもいい方はいつもの様に広い心で頭空っぽでどーぞー(笑)


皇帝と腐れ目  ”伝説の始まり”

『圧勝!! 他の誰も寄せ付けぬ完全なる独走を決めた皇帝“シンボリルドルフ”!! 鎧袖一触とは、栄光とはこのウマ娘のために存在する言葉だったか!! 史上初めての偉業を成したのは皇帝“シンボリルドルフ”ですっ!!!』

 

 歓声と熱狂。歓喜と狂喜すら孕んだ観衆の声援は地鳴りすら孕んで競技場を揺らし私の全身を叩いてくる。

 

 生まれた頃から夢を見て、息をするようにこの栄冠を得るための努力や思考を重ねてきた集大成がいま報われた感動がいまだに早鐘を打つ鼓動と合わさって体中を巡り万能感を私にもたらしてくれる。

 

 額を伝う汗が流れる風に冷やされてゆくウイニングラン。

 

 皆が送ってくれる祝福に上げる事すら困難になるほど振りぬいた腕に鞭を打って優美に、可憐な笑顔を添えて振ることで応えつつ、用意されたマイクとお立ち台へと勢いを落しながら乗り込んで数拍。わずかな瞑想の果てに再び開いた瞳の前にはあの激戦を制した証であるトロフィーが差し出されている事が幾度と見た夢の世界ではない事を伝えてくれる。

 

 あぁ、いけない。

 

 零れ出そうになる何かを必死に抑え込んで自分を律する。

 

 そう、この日にどう振舞うかなんてずっと昔から決めていた。

 

 歓喜に打ち震え、世界を手に入れた開放感からくる雄たけびを飲み込んで―――厳粛に背筋を伸ばし、誰しもの眼に“王者”とはこうあるべきだと知らしめる威風堂々とした姿で世界に変革をもたらすのだ。

 

「私が、今日この場でここに立てているのは皆が支えてくれていた人々のお陰だ。誰が欠けていても私はこの栄冠には辿りつくことが出来なかっただろう……。ありがとう、感謝する。そして、許されるならば更なる栄光の道を皆とこれからも歩んでいきたい!! 我々の輝かしい日々は―――――ココから始まるのだ!!」

 

 私の拙い演説に静まり返った会場は、その数舜後に先ほどを超える大歓声となって応えてくれる。

 

 誰も彼もが笑顔で、胸に誇りを持ち―――生気に溢れている。

 

 そんな私の思い描く理想の世界が限定的とはいえ、実現した事に安堵と悦びを胸に秘めつつ笑顔で会場を後にする。遠ざかる歓声に必死に答えつつもゆっくりと退場ゲートへと入っていく。眩い程の日差しが陰っていき、爽やかな風は暗所特有のヒヤリとした冷気に変わりゆく。そんな仄暗い通路に―――― 一人の男が佇んでいる。

 

 あの熱狂と希望に満ちた会場の熱気など露知らぬと言わんばかりも昏く重たい瞳に気だるげな雰囲気。清潔感はあるはずなのに、清涼感なんて微塵も感じさせぬその佇まい。

 既知でなければ即座に通報していたであろうその男。彼こそが本来は誰よりも感動していなければならない時であるはずなのだ。

 

 なぜならば――――彼こそが、史上初の7冠を制し伝説に名を連ねた“シンボリルドルフ”のトレーナーなのだから。

 

 実績も何もないトレーナーでありながら、この私をココまで引っ張り上げてきた稀代の変わり種。それがこんな男だと知ったら世間はどんな顔を浮かべるかと一人夢想してクスリと笑う。

 

「自分の初めてのパートナーが偉業を成し遂げたんだ。今日くらいはもう少し陽気な顔を見せてくれてもいいんじゃないか?」

 

「悪いが生まれつきこの顔でな。………この後の勝者インタビューは30分後にずらしたぞ」

 

「なに?」

 

 彼のぶっきらぼうに吐き捨てたその一言に思わず耳がピクリと、はためく。

 

 もちろん、その勝手な彼の行動に対する苛立ちからだ。

 

「冗談ではない。興奮が冷めやらぬうちにライバル達と健闘を称え合い、ファンの皆に一刻も早く想いを伝えるというのは一刻一秒を争う急務といっても過言じゃない貴重な時間だ。ソレを勝手にずらすというのは―――契約違反だ」

 

 気持ち、足音も高く彼の前に詰め寄り思い切り睨みつける。

 

 人間と私達では余りに身体能力に差があり、私が思い付きで彼に肩でも当てれば容易く吹き飛ぶだろう。そんな危険行為も返答次第では辞さないつもりで彼の眼を真っ直ぐに睨みつけ威嚇する。だが、そんな私にも彼はたじろぐことも無くその視線を見つめ返すだけで淡々と言葉を返してくる。

 

「激戦を制した皇帝の左足首、その粗熱を取る時間くらいとっても文句は出やしないさ」

 

「………気が付いていたのか」

 

「お前との契約内容は“お前の願う世界の実現”だからな。いまから本番の役者に資本となる躰を壊されたんじゃたまらん。本格的なケアはインタビュー後にしてやるから黙って応急処置受けとけ」

 

 出会った頃に、あの選考会の後に自分の元を訪れた数名のトレーナーの前で彼と交わしたあの契約。

 

 “世界を変える”ことを望んだ私と、“その為に必要な全て障害を取り除く”という彼の宣誓。

 

 世界を照らす輝きになるべく生きてきた私が“光”だとするならば、それによって生まれる影の全てを飲み込む“闇”として生きる事を誓ったあの日から彼は忠実にその契約を果たしてきた。そんな彼のサポートはいまの所は間違った試しがない。ならば、今回の提案も大人しく飲み込んでやるべきか。

 

「……………ケアの後の予定に口を出すことは許容しないぞ?」

 

「インタビュー数社に、テレビ、校内での祝勝会に実家への報告に明日の全校集会での凱旋演説の文面確認――――トレーニング以外なら好きにしろとは言ったけど、相変わらずのワーカホリックぷりに呆れるな」

 

「世界を変えるには私の人生は余りに短い。さあ、さっさと応急処置を澄ましてくれ“比企谷”?」

 

「仰せのままに、皇帝陛下」

 

 そんな軽口を叩き合った私たちは暗いゲートからようやく歩を進める。光に向かって進む私と、その背に浮かぶ影の様に付き添う彼。

 

 それが、数々の歴史的なウマ娘たちを鍛え上げ世に送り出した事で世に名を轟かせた“比企谷 八幡”というトレーナーが世に名前を知られた日の事で、最初の一歩。

 

 華々しい経歴を飾ったはずなのに何処までも影に溶けるような気味の悪さから各所から顰蹙を買い蛇蝎のごとく嫌われ、なのに、なぜか多くのウマ娘から親しまれる不思議なトレーナー人生の始まりであったのだった。

 

 

 

 




比企谷くん

 死んだ目の見習トレーナー。就活に失敗した所で親戚の美城おばさんに“暇ならウマ娘の世話でもしてろ”とトレセンに放り込まれた。だが、観察眼や育成ゲームが得意だったため意外に素養があったのか順応。だが、目つきが悪いのでボッチ。そんな時に選考会でシンボリルドルフと出会い、その野望を煽って自分をトレーナーに選ばせた。


シンボリルドルフ

 超有能ウマ娘。もう、いう事のないエリート。生まれた頃から頂点に立つために息をしていて遂に迎えた選考会。エリート過ぎて引かれたがそれでも有望トレーナー達複数人からオファー。そんな中で唯一自分の“最終目的”に気が付き、ソレを成し遂げるためにお互いを利用し合うことを決意。真面目なのでやる気なさげな相棒によく怒ってるが、わりかし世話焼き気質なので相性は悪くなかったらしい。 名実共に伝説に。





ルドルフ  カワ(・∀・)イイ!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。