「努力は必ず報われるという事を貴方が証明してみせなさい」 作:音﨑カラス
待ちに待った決勝戦が始まった。
対戦相手は去年の優勝チーム、そして去年台北ジュニアが敗れた相手、そう、天城クラブだ。
絶対に勝ちたい、去年のような無様な姿は晒さない、とチームが息巻いているとき、監督がみんなに話があると呼び集めた。
「みんなも知っているだろうが、決勝戦の対戦相手は去年台北ジュニアが負けた天城クラブだ」
監督がそう区切りながら話し始めた。
「所謂リベンジマッチというものだな」
みんなが監督の意図を探しながら聞く。
そして監督は諭すようにみんなに言葉をかけた。
「だが、そう気を負わないでほしい。確かにチームの勝利は大事かもしれない。けれど君達はまだ小学生。今はバレーの楽しさというものをしっかり見出してほしい」
監督がチーム全体を見渡しながらそう優しく懇願するように言った。
チームのみんなは監督の思いを理解した人から、監督の方を見て大きく頷いた。
チームのみんなの反応を見た監督は、それに満足したように朗らかに笑った。
「楽しんできなさい」
そう監督が締めの言葉をかけ、それに応えるように
「「はい!!」」
そう、大きく返事をした。
決勝戦、最初のホイッスルが鳴る。
俺は手に持っているボールを上へと投げ、しっかり助走つけてからボールの位置と合わせてジャンプをした。
腕を振り掌にボールを当て、力任せに相手コートへと打ち入れた。
そのボールはエンドラインスレスレへと向かっていった。
カウント1-0
雨夜二度目のジャンプサーブは、エンドラインギリギリへと入っていった。
「「うぉぉぉ!!!」」
観客の雄叫びが館内に木霊する。
「…よしっ」
俺は少し痺れた手を握りしめ、そう小さく呟いた。
その様子を見ていたチームメイトは賛辞を投げかける。
いつの日か称賛した時の様に照れてはいなかったが、その顔は笑顔に満ち溢れていた。
試合は終盤へと差し掛かった。
第3セット カウント18-15
あの日とは違い、台北ジュニアが3点リードしている状況だ。
第3セットということもあり、どちらのチームも目に見えるほどに疲労している。
だがそんな状態でもやはり雨夜は調子を上げている。それも今日は一段と調子が良い。
脳のアドレナリンが過剰に分泌されているのか、それとも別の理由かは分からない。ハイになっている状態とも言えるだろう。
先を読んだようなブロック、完璧な位置で取るレシーブ、相手の動きが全て見えているような動きだ。
そんな雨夜につられてチームメイトの調子も上がる。だが天城クラブもそうは簡単に敗れない。
カウントはデュースへと入り、一点取られては取り返す、そんなシーソーゲームが続いていた。
カウント28-27
台北ジュニアから始まったサーブはネットに当たり、それを天城クラブの選手が膝をつきながらレシーブする。
だがそのボールはセッターの下へいかず、そのままレシーブして相手コートに返した。
台北ジュニアのチャンスボール。台北ジュニアはしっかりとAパスでセッターへと返し、完璧なセットアップをした。
その先には雨夜が待ち構えている。相手のブロックは三枚と打ち抜くには厳しい。
だが雨夜はそんなことなど知らないとばかりにオープンで打つ。
そのボールはブロックにあたり、そして吸い込まれていった。
……そう、ブロックとネットの間にそのボールが落ちていった。
天城クラブはカバーしようとするがそのボールは床へと落ちた。
試合終了のホイッスルが鳴る。
館内は静寂に包まれていたが、数秒経った後、観客から歓声が上がった。
その声に意識を戻した選手たちは、涙を流す者や仲間と勝利を分かち合ったりとそれぞれが体で感情を表していた。
雨夜は最後のスパイクした手をボート見つめ、やがてその手を握り上へと掲げた。
それを見たチームメイトが雨夜の下へと駆け寄り、チーム全体で勝利を分かち合った。
そして丁度試合が終わった時、雨夜の脳内に電子音が鳴った。
ピコン♪
※一定の基準をクリアしました。
※特殊技能『サーブlv2』から『ジャンプサーブlv1』が派生しました。
※特殊技能『空間認識lv1』を取得しました。
Lvアップの通知はありません。別にめんどいとかじゃないんだからな。