閑話4のあとの話です。
「この前、ネイチャのお弁当用意するねー!って言ってたけど、トレーナーさんったら、まさかホントに持ってくるとはねー」
「……食堂のご飯は温かくておいしいけど、トレーナーさんのお弁当は、暖かくて、おいしかったな……」
「トレーナーさん、お礼言ったら喜んでくれるかな……?」
「あ、お弁当箱、返しに行かないといけないよね?……今からトレーナーさんのとこ、行って来ようかな……?」
「……ヨシッ♪」
「あ!トレーナーさんじゃん!なんだすぐ近くにいたんだ!」
「……あれ?横にいるのは……テイオー?」
「……」
「……そう言えば、トレーナーさん、テイオーと何か約束してるんだよね?」
「…………」
「何の話してんだろ……」
「…………え?」
「……ねぇ?トレーナーさん……」
「アタシ……聞いちゃったんだ……」
「アタシが、負けたら……」
「テイオーが、勝ったら……」
「テイオーのトレーナーになっちゃうの……?」
「なんで……?」
「……なんとかテイオーを立ち直らせてあげたかった?」
「……へー!ご立派ですね!トレーナーさんはっ!」
「流石、トレセン学園のトレーナーですね!」
「……でもさっ!」
「トレーナーさんはっ!……トレーナーさんは、アタシの担当トレーナーなんじゃないのっ!?」
「三冠制覇した?成果も出した?……だから、アタシはもう、必要ないってことなの!?」
「アタシの気持ちなんて、どうでもいいのっ!?」
「……ずっと、信じてたのにっ!!」
「……思わず逃げて来ちゃった」
「でも、トレーナーさん、ひどいよ……」
「トレーナーさんの、一番になりたいって、頑張ってたアタシ、バカみたいじゃん……」
「……アタシのために、いろいろしてくれたのは、トレセン学園のトレーナーだから……?」
「……アタシじゃなくても、よかったの?」
「……アタシの走りが好きで、アタシの走りが夢なんじゃ、なかったの……?」
「……アタシ、もういらないのかなぁ……」
「……テイオーに、トレーナーさん、とられちゃうよ……」
「あ……」
「……なんですか?トレーナーさん?」
「……アタシに、何か用ですか?」
「……アタシ以外にも、ウマ娘はいるじゃないですか」
「……ほら、テイオーにも気に入られているみたいですし?」
「…………ア、アタシより、テイオーの方が大事、なんですよね?……」
「そんなことない!って?」
「……ウソつかないでっ!じゃあ!なんであんな約束したの!?」
「トレーナーさんの事……アタシ……信じられないよ……!!」
「……本当にごめん……って?」
「……謝るぐらいなら、最初からしないでよっ!!」
「トレーナーさんが、他の子のとこにいくのなんて、ヤダよっ!!」
「もっと、アタシの事を見ててよっ!」
「……アタシだけを、見ててよ……!」
「……ねぇ!なんとか言ってよ!」
「……えっ?」
「や、やだっ!!抱きしめないでよっ!!」
「は、離してよっ!!!」
「アタシの事なんて、どうでもいいクセにっ!!」
「アタシじゃなくても、いいクセにっ!」
「アタシの気持ちなんて、考えないでさっ!」
「……アタシが負けちゃったら、アタシのトレーナーさんじゃなくなっちゃうんだよ?」
「……トレーナーさんは、それでもいいの?」
「アタシ、ヤダよ……」
「…………」
「……ねぇ、アタシ、ホントにテイオーに勝てると思う?」
「……ネイチャなら、絶対勝てる!って?」
「……ホント?ホントにそう思う?」
「……なんで、そう思うの?」
「…………」
「……えっ?」
「……俺の好きなネイチャは、誰よりも速く、俺のところに戻って来てくれるから!……って?」
「……ト、トレーナーさん!アタシそんなんで騙されたりしないからっ……!」
「……え?トレーナーなのに、ネイチャにこんな感情をもつなんて、トレーナーとしてダメなやつだね俺は……って?」
「……俺はオトナで、ネイチャはトレセン学園の生徒だから、付き合って欲しいって、まだ言えない。でも、今は俺のそばで待っててほしい……って?」
「……え?」
「……それって?」
「……ホント?」
「……ホントに?」
「……まだ、信じられないよ」
「ホントだったら、さ……」
「その……」
「……ア、アタシのこと……」
「……好きって、言ってよ」
「……え?」
「……初めて会ったときから、一目惚れだった……?」
「初めて一緒にトレーニングしたときは、まじめで良い子だなって思った……?」
「そんなネイチャの色んな表情から、目を話す事が出来なかった……?」
「レースで勝ったネイチャを見てると、キラキラしてて、いつも惚れ直してた……?」
「気づくと、いつもネイチャの事ばっかり考えてた……?」
「だから、俺は……?」
「……ネ、ネイチャの事が、大好きなんだっ!……って?」
「……」
「ア、アウ……」
「……ねぇ、トレーナーさん」
「今回だけ、だからね?」
「今回だけ、テイオーと勝負して」
「ぜったいに、勝つから!」
「誰よりも速く、トレーナーさんのところに戻ってくるからっ!!」
「だから……」
「もう、あんな約束、しないでね……?」
「……アタシ、泣いちゃうからね?」
「……うん、約束、だよ?」
「……ねぇ、トレーナーさん?」
「もう少し、トレーナーさんの胸、借りてていい?」
「……うん、ありがと」
「……あれ?トレーナーさん、ちょっとドキドキしてる?」
「……ふふっ♪」
「……ねぇ、頭、撫でてほしいな」
「……ん、ありがと」
「……ンー♪」
「……あれ?手、震えてるの?」
「……ネイチャに嫌われたと思ったら不安で……って」
「……バカ。そんなに不安になるなら、最初からヘンな約束しないでよっ」
「アタシはもっと不安だったんだから……」
「……あ、その手で頭、ぽんぽんってするの、すっごく気持ちいいよー♪」
「……アタシがまた不安になったら、ぽんぽんってやつ、してくれる?」
「……ネイチャにしかしないし、ネイチャにならいつでもしてあげる!って?」
「……ふーん?アタシ、ちゃーんと聞いたからね!」
「アタシとの約束、ぜったいに、忘れないでね?」
「ね?アタシのトレーナーさん♪」
この後は、ネイチャが満足するまで、頭をぽんぽんってしてたら、門限が過ぎてしまい、一緒に栗東寮まで謝りにいく二人でした。
朝からあーでもないこーでもない!ってやってたらこんな時間に……