アタシのトレーナーさん   作:森竹

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仕事してたら思いついたので書きました。
ちょっと長くなってしまいました。

誰にだって、たまには挫けそうになる事もあると思います。
そんなネイチャを書きたかったのですが……

※1話で脱字がありました。ご指摘ありがとうございました。


菊花賞編

「あ、トレーナーさん……」

 

「……ごめん、怒ってるよね?折角考えてくれたトレーニング、サボっちゃったし」

 

「……怒らないんだ」

 

「いつもの時間に来ないから、ネイチャに何かあったのか心配で、ずっと探してた?」

 

「……トレーナーさんって、いつもそうだよね」

 

「アタシの事、信じてくれててさ……」

 

「アタシの気持ちなんて、知らないでさ!」

 

「……アタシ、もう走るのが怖いよ……」

 

「ホントに三冠ウマ娘にあと一歩の所まできちゃってさ……」

 

「知らない間に、色んな所でアタシの名前が出ててさ」

 

「みんな、勝手に期待してくるんだよっ!」

 

「商店街の人たちもすっごい盛り上がっててさ!ずっと応援してくるんだよっ!頑張って!期待してるよ!って、いつも言ってくるんだよ……!」

 

「そんなプレッシャーに勝てるようなウマ娘じゃないんだよっ!アタシはっ!!」

 

「アタシは!そんな期待に応えられるような、ウマ娘じゃないんだよ……!!」

 

「トレーナーさん……アタシ、菊花賞……走りたくないよ……」

 

「……そんな事言ったら、トレーナーさん、困るよね……?……ほらね?だから言ったじゃん。こんな面倒なのが担当でいいのかーって…」

 

 

 

 

 

 

 

 

「……え?ちょ!?え?!なんでアタシを抱きしめてるのっ!ここ!ひと目はー……そんなに、ってか、ないけどっ!でも外だよ!?」

 

「え……?ごめん……?」

 

「な、なんでトレーナーさんが謝ってるの?」

 

「サボって、トレーナーさんの気持ちを無駄にしたのは、アタシだよ?」

 

「……ネイチャの事、しっかり考えてあげられてなかったって?」

 

「トレーナー失格だ……って!?」

 

「そんな事ないよっ!だって、トレーナーさんはいっつもアタシの事を一番に考えてくれてたっ!菊花賞は距離が長くなるからって、トレーニングもまた新しいのを考えてくれたし、でも、その分足の負担が大きくなるからって、しっかりマッサージもしてくれたしっ!」

 

「ちょっと恥ずかしかったけど(ボソッ)」

 

「……え?本当に嫌なら、もう頑張らなくていい?」

 

「あの……アタシ、ホントに逃げちゃうよ?ほら、今も少し震えてるんだ。ね?わかるでしょ?」

 

「……ネイチャの事を一番に考えるのが、トレーナーだから、本当にツライなら辞めていいんだよ、って?……え?」

 

「どうしたのトレーナーさん?泣いてるの?」

 

「……ネイチャの事をわかってあげられない、自分が不甲斐なくて、泣けてくる。ネイチャがやりたい事をしてほしい、って?」

 

「あのね、トレーナーさん」

 

「……走るのが怖いのは、ホント」

 

「でも、一番怖かったのはね?」

 

「いつも近くでアタシを応援してくれる人、ううん、……トレーナーさんのね。期待に応えてあげられるかなって、怖かったんだ……」

 

「……俺の夢は、ネイチャが颯爽とターフを駆けることだ、って?」

 

「ネイチャが走ってくれたから、あとから結果がついて来ただけだ、って?」

 

「ネイチャの走りは、夢を見て、夢を与えてくれる……って?」

 

「だって、ネイチャはスゴく、キラキラしてるから!……って?」

 

「……本当に?」

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

 

 

 

 

 

 

「……アウ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「……バカ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「トレーナーさん、走らなくていいよって言ったのに、そんな事言わないでよ……」

 

「もうちょっとだけ、ホントにもうちょっとだけ、頑張ってみたくなっちゃうじゃん……!」

 

「……って!いつまでくっついてるのさー!あー!もー!ハズいよー!ほら、離れた離れたっ!」

 

「ん……?どうしたの?トレーナーさん?アタシの顔、マジマジと見て?」

 

「やっぱり、キラキラしてて、か、かわいい?!」

 

「バカ!トレーナーさんってば、ホントすぐそういう事言うよねっ!」

 

 

「……バカ」

 

 

「ね、トレーナーさん。勝手なお願いだけどさ。今からトレーニング、してもいいかな?」

 

「なんかね?モヤモヤしたのがスッキリしたら、走りたくなっちゃってさー」

 

「……ダメ?」

 

「え?もう用意してある?流石アタシのトレーナーさん!それじゃ、ご指導のほど、よろしくお願いしまーす♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ははは……ホントに、勝っちゃった……!」

 

「トレーナーさん、アタシ、ホントに勝ったよ!勝っちゃったっ!」

 

「……んー?え?なんで商店街のおっちゃん達と抱き合って泣いてんの?」

 

「え?アタシ、あのむさっ苦しそうな所に行かないといけないの?」

 

「……ちょっと様子を見ておこうかな」

 

「やば、こっち気づいた」

 

「ちょ!怖ッ!なんで泣きながら一斉に走って来るのさっ!トレーナーさん!おっちゃん達まで巻き込んで何してんのっ!」

 

「え?こんなめでたい時には胴上げしかないだろ!って?」

 

「ぜっっっったいイヤ!めっちゃハズいじゃん!」

 

「アタシ、絶対にイヤだからね!」

 

「……あ、聞き分けはいいんだ」

 

「ホントなんでみんなアタシより泣いてるんだろうね……」

 

「ほーらっ!いーかげん泣き止んでよねー?おっちゃん達は先にライブ会場の方に行ってて!アタシはこの人のお世話しないといけないからっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ほら、みんなライブ会場行っちゃったよ?ほーんと、トレーナーさんは泣き虫なんだからー」

 

「ほらっ!ハンカチで拭いてあげるから、もう泣き止んでよー」

 

「ん?このハンカチはアタシのだよ?」

 

「ネイチャは用意がいいんだねーって?だってさー、毎回あんなギャン泣きしてたら、アタシが用意しなきゃなきゃなーってなるじゃん?」

 

「今だから言うけど、メイクデビューの時はちょっと引いちゃったよ?」

 

「……まー、アタシはトレーナーさんの三冠ウマ娘なんで?その辺は慣れちゃいましたけどねー?」

 

「……それ、日本ダービーの時みたいにもう一回言って、って?」

 

 

 

 

「……」

 

 

 

 

 

「……アウ」

 

 

 

 

 

 

「……バカ」

 

 

 

 

 

 

 

「確かに!確かにあれはアタシがやったけどさっ!は、恥ずかしかったんだからねっ

!」

 

「せっかく忘れようとしてたのにっ!」

 

「昨日のことの様に覚えてるって?」

 

「バカ!」

 

「や、やらないからねっ!」

 

「なーに絶望したっ!って顔してるんですかねー?このトレーナーさんは……」

 

「……ねぇ、トレーナーさん?この前さ、もう走りたくないって、言ったじゃん?」

 

「あれ、やっぱ無しでお願い!」

 

「アタシね?夢が出来たんだー」

 

「え?どんな夢なの?って?」

 

「……ア、アタシね?トレーナーさんの夢を叶えてあげたいなーって、思ったんだ」

 

「アタシが走ってるの、その、好き……なんだよね?」

 

「こんなアタシの、走りで良ければ、さ」

 

「まだ、走りたいなーって」

 

「それでね?一番最初に」

 

「誰よりも先に」

 

「トレーナーさんのいる所に、駆け寄るんだ」

 

「……」

 

「……なーんてね!なーにジョーダン間に受けてんのさー」

 

「いや、そんな、え……?嘘なの……?って顔しないでよー」

 

「あー、ホントの夢は、今はヒミツだよっ」

 

「だって、トレーナーさんに言ったら、すぐ叶えてくれそうだからさー」

 

「俺も一緒にじゃ、ダメなの?って」

 

「ふふっ、ダメでーす♪」

 

「この夢は、ね」

 

「アタシ自身で、叶えたいんだ」

 

「あ、ちゃんと言っておくけど、トレーナーさんが頼りにならないー!とかじゃないから、そこは勘違いしないでよね?」

 

「……むしろ、逆だから」

 

「あ、今日はもう泣き止んだじゃん」

 

「じゃ、アタシ、行くから」

 

「ライブ楽しみにしててよねっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はー!まだ顔熱いよ……ライブ始める前に冷めるかなー?」

 

「……ホントの事、少し話したから、ちょっとは意識してくれるかな?」

 

「トレーナーさんってば、変に大胆な時あるくせに、意外と鈍感な所あるんだよね……」

 

「でも、なるって、決めからね!」

 

「さーて!いっちょやったりますかー!」

 

「トレーナーさんの一番になるためにねっ!」

 




ライブの後は、たぶんネイチャの友だちから「この前のネイチャ、なんかいつも以上に可愛かったよ!何?恋でもしたの?」って言われたりして、わーきゃー言ったり言われたりしてると思う。


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