転生したら兎だった上に竜と家族になっちゃった件   作:謎の人でなしZ

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プロローグを3つに分けるべきだったかな、と反省しています



……まさか、書きたいことを書いていると10000字を超えることになるとは………


私の作品の中で最長になりました



ではどうぞ!


プロローグ 続

『世界に否定され、世界に拒絶された、ただの(ドラゴン)ですよ』

 

 

 

 

 

 

 その言葉で、瞳で、俺は理解した。コイツは昔の俺と同じだ

 

 

 

(ねぇ、『守護者』さん、いる?)

《ここに》

(一つ頼みたいことがあるんだけど……)

 

 

 俺は目の前の竜、たしか名前はヴェルセリアに気づかれないように『守護者』さんに要件を伝えた

 

 

(――って出来る?)

《告。あまりにも危険です。最悪の場合マスターの存在が……》

(『守護者』。俺は出来るのかと聞いたんだぞ?)

《……解。理論上可能。成功率は3.14です》

(円周率!?……まぁゼロじゃないだけましか)

《…………》

 

 

 『守護者』さんから無言の圧を感じる。いや、これは心配してくれてるのかな?

 

 

(大丈夫だって。それに彼女?を放っておけないんだ。昔の俺にそっくりだから)

 

 

 『守護者』さんは何も喋らない。だが、俺は構わず続ける

 

 

(自惚れじゃないけど、彼女をどうにかできるのは俺だけだと思う。まぁ多分彼女は嫌だとか余計なお世話とかいうだろうけどね)

 

 

 でも仕方がない。だって俺が彼女を救いたいと思ってしまったから

 

 

 それに――

 

 

 

(それに、俺には『守護者』さんがいるしね)

《!!》

(だから頼んだぜ!相棒!!)

《……了。全力を尽くします》

 

 

 心なしか『守護者』さんの声が元気になった気がする

 

 

 

 

 後は任せよう。それじゃあそろそろ―――

 

 

 

 

 

 

「このヤバそうな攻撃やめてくれませんかね!!!?」

『ちっ!中々粘りますね。いい加減諦めたらどうですか?』

 

 

 

 そう言いながら飛んでくる黒い炎弾を避ける。だが、その先にも炎弾が迫ってくるが覚えたてのスキル『風刃』を使用し近づくまえに爆破させ回避する

 

 

 この状況の説明をすると、悲し気に世界から拒絶されたことを語った彼女が続けざまに『では死んでください』と言いながら俺に向かって炎弾を放ってきたのだ。そして俺は『守護者』さんとのやり取りの最中もスキルを駆使し必死に回避し続け、現在に至る

 

 

 攻撃を避けながら俺は説得を試みる

 

 

「ちょっと待て!いや待ってください!俺なんもしてないでしょう!!??」

『ほ~う?勝手に人の住処に侵入してきたにも関わらず、私の質問は無視して挙句の果てにハゲなどと罵倒したくせに、何もしていないですか』

「……………」

『何か言い残すことは?』

「………わざとじゃないんです」

『死んでください』

「ノオオォォオオオオオアアアアア!!!???」

 

 

 炎弾の量が増す。俺は必死に逃げ回りながら弁明する

 

 

 

「いや本当なんだって!なんか死んだと思ったら世界の狭間とかいうところにいるし!出口を探そうと探索してたらデカい扉見つけるし!ダメかと思って諦めてたらいきなり穴が開いて落っこちるし!気が付いたらここにいたんだよ~~~!!!」

 

 

 突如炎弾が止む。不思議に思って振り返るとなにやら驚愕している様子のヴェルセリアが

 

 

『……いま、なんと?』

「へ?いや気が付いたら世界の狭間に……」

『そこじゃありません。扉に穴が開いたと言いましたね?』

「お、おう。開けられないって諦めて座り込んでたらいきなり背後に穴が開いて、そのまま落ちたんだけど」

『……ありえない。そもそも何故あなたは世界の狭間で普通に生きていられたんです?』

 

 

 

 ちょっと待って。今メッチャ不穏なこと言わなかった?

 

 

「あの~それってどういうことで?」

『……そんなことも知らないんですか?』

「死んで気が付いたらここにいたもんで」

『はあ~……いいです。教えてあげましょう。聞きたいこともありますしね』

 

 

 それまで殺すのはやめてあげます、とヴェルセリアは言った。俺的には諦めてくれた方がいいんだけど……いや、今はそれでいい。それに俺も聞きたいことがあるしな

 

 

 結界の近くまで行き座りながらヴェルセリアの話を聞く

 

 

『いいですか?あなたのような魔物や私のような竜は空気中の魔素を糧に生命活動を維持しています』

 

 

 それは俺も知っている。『守護者』さんに教えてもらったことだ

 

 

『しかし、この世界の狭間では生命が生きることは出来ません。おそらく生きていられるのは現状あなたと私だけでしょう』

「はい?」

 

 

 どういうことだ?生命が生きられないって……なんで!?

 

 

『どうして生命が生きられないか疑問に思っている顔ですね?答えは簡単ですよ。単に空気中の魔素量が濃くて多すぎるんですよ、ここ』

「それってどういう……」

『そうですね……いうなら器には必ず限界があるってことですよ。この空間にいるだけで体内の魔素量がすぐに限界を超え、身体が膨れ上がり、最後は破裂します。体内の魔素を取り込む魔素と比例して消費すれば死なずにはすみますが……まあ不可能に近いですね』

「じゃ、じゃあ、なんで俺は大丈夫なんだ?」

『知りませんよそんなこと。あなたの魔素量が他と比べて多いのか、それとも私のように常に魔素を消費し続けているかのどちらかじゃないですか?だから言ってるんですよ。なんであなたが生きていられるのかって』

 

 

 え?俺ってそんなに魔素量多かったの……ってちょっと待て。ヴェルセリアはなんて言った?常に魔素を消費しているって……

 

 

「なあ、俺からも一つきいていいか?」

『嫌です』

「……お前、もしかして俺のこと嫌い?」

『もしかしなくても大嫌いですよ』

「……俺を攻撃するときは笑ってたくせに」

『誰がですか?』

「お前だけど?」

『えっ』

 

 

 ヴェルセリアは心外そうな顔をする。それを不思議に思った俺はヴェルセリアに尋ねる

 

 

「え、なに。気づいてなかったの?あまりにも笑顔で楽しそうに攻撃してくるもんだからなんかドSなのかなと思ってたけど」

『ぶち殺しますよ?』

「サーセン」

 

 

 特大の殺気に俺は直ぐに土下座をし謝意を表す。前世のクソな奴らと違い、今回はマジで命の危機なので土下座くらい躊躇わない。え?プライド?んなもん前世で野良犬にでも食わせたわ

 

 

 そんな俺をしばらく見つめたヴェルセリアは深いため息をつきながら言葉を零す

 

 

『……分かりました。あなたの質問に一つだけ答えてあげます』

「え、本当か?」

『ここで嘘をついても仕方ありませんから』

「じゃあ、お前なんでこんなとこに一人でいるんだ?それに魔素を消費し続けてるってどういうことなんだ?」

『……質問が二つありますが、まぁいいでしょう』

 

 

 上を向き、自嘲に顔を染めながらヴェルセリアは語りだす

 

 

 

『まず何故私がこんなところにいるのか、でしたね。私はここに封印されているんですよ。世界の安泰の為に』

「世界の安泰?一体それがどうしてお前の封印と繋がるんだ?」

『私の持つ究極能力(アルティメットスキル)終焉之王(ラグナロク)』は全てを無にする能力があります。それが例え生命だろうと、魂だろうと、世界だろうと関係ありません。更に厄介なことにこのスキルは所有者を浸食し、魔素を吸い取り、所有者が死ぬとその世界、次元をも消し去ります。時限式の爆弾のようなものです』

 

 

 

 規模は比べものになりませんけどね、と自嘲気味に笑う。俺はヴェルセリアの話を聞き言葉を失った。元から彼女が何かに苦しんでいることは予想していたが、これは想像以上だった。それと同時に怒りが湧き上がってくる

 

 

 そんな俺に気づかないままヴェルセリアは話を続ける

 

 

『そして私は世界の創造と共にこの世界の狭間に封印されました。ご丁寧に『終焉之王』の発動によって影響が出ないように専用の結界まで張られて……厄介払いもいい所です』

「………」

『封印されてからというもの、私の身体を浸食し、魔素を吸収し続ける『終焉之王』に最早抵抗する気力も失せ、いつか訪れるであろう死を待つだけの毎日でした』

「………………」

『先程、私が笑っている、と言いましたね。えぇ、そうです。いきなりやってきて私を無視するどころか罵倒し、叫び声を上げながら私の攻撃から逃げ回るあなたを見ていると私は久しく胸の高鳴りを感じました。これが楽しい、という感情なのかは忘れてしまいましたが、不思議と悪い気はしません』

「…………………………」

『だから、こういうのは癪ですが、あなたに逢えて良かったと思います。おかげで少しの間ですが楽しい時間を過ごせました。残念ながらここから出る方法は分かりませんが、きっと方法はあるはずです。頑張ってください』

「………おい、ヴェルセリア」

 

 

 

 ヴェルセリアの言葉を無視し、俺は確認をとる

 

 

 

 

「一つだけ教えろ。お前がここに封印されているのはスキルのせいであって、スキルさえ無くなればお前は自由になれるんだな?」

『一体何を……』

「いいから答えろ!!!」

 

 

 俺はヴェルセリアを睨みながら怒鳴りつけるように問い詰める。俺の気迫に気圧されたのか少し怯みながらヴェルセリアは答える

 

 

『は、はい……スキルが無くなれば、私がここにいる意味はありませんが……』

「そうか。それで十分だ」

『い、一体、な、何を……』

「まあ、見てなって」

 

 

 そして俺は最高の相棒に語り掛ける

 

 

(『守護者』!準備終わった?)

《告。空間内の魔素量及びエクストラスキル『次元牢獄』の解析完了。個体名ヴェルセリアが持つ究極能力『終焉之王』をマスターに譲渡させる手段を検索します……失敗しました。再度検索………失敗しました。再度検索…………一件ヒット。ユニークスキル『繋者(ツナグモノ)』を使用する方法を試行………………成功しました。成功率5.64に上昇。マスターの魔素量を確認………完了しました。現状で空間の魔素量と合計し、結界を破壊可能。実行しますか?》

 

 

 

 頭の中に選択肢が浮かび上がる。勿論YES!!!!

 

 

 

《了。エクストラスキル『次元牢獄』の破壊、及び究極能力『終焉之王』の譲渡を開始します》

(さすが『守護者』!!愛してるぜー!!!)

 

 

 

 『守護者』を称賛しながら、俺は結界に近づく

 

 

「おーいヴェルセリア!今から結界ぶっ壊すから少し離れてろー!!!!」

『は?』

「あと、お前の『終焉之王』俺が貰うから!!!!」

『はあ!!??』

 

 

 俺の言葉にヴェルセリアは驚愕の声を上げる。その間に俺は結界に前脚を当て、『守護者』の指示に従う

 

 

「え~と、この結界の魔素の源流は……お、これかな。後はここに俺の魔力を注ぎこめば……」

『ちょ、ちょっと待ってください!!あ、あなた何を!!?』

「うるせえ!気が散るだろうが!!それと何度も言わせんな!!お前の『終焉之王』を俺が貰うためだっつってんだろう!!!」

『な、なんでそんな……!!』

「んなもんお前をここから出すために決まってんだろうが!!!」

『なっ!!!??!?』

 

 

 驚きに目を見開くヴェルセリアだが、直ぐに目を細め俺を睨んでくる

 

 

『何故そんなことを!私のためですか?だったらとんだ勘違いですよ。やめてください迷惑です!!!』

「違ぇよ!!誰がお前の為にこんな命張らなきゃなんねーんだ!お前の為じゃねー、俺の為だ!!!」

『だからどういう……』

「俺が!お前と一緒にいたい!!そう思ったからだ!!!!」

『―――……え?』

 

 

 ヴェルセリアは戸惑いの声を上げる。まるで何を言われたのか分からないように

 

 しかし、今の俺にそんなもん関係ない。思いのままに思ったことを叫ぶ

 

 

「お前言ったよな!自分は世界から否定されたって!拒絶されたって!!自分が消えれば世界は滅亡しなくて済むって!!!」

『そ、そうです!全部私が消えれば……』

「ふざけんじゃねえ!!!!!!!!」

 

 

 ヴェルセリアの言葉を一蹴する

 

 

「なんで世界なんかの為にお前が消えなくちゃならねえんだ!世界から否定された?俺がその何万倍もお前を肯定する!!世界から拒絶された?知るか!俺にはお前が必要だ!!お前と世界なら、俺は迷わずお前の手を掴む!!!」

 

「世界なんて滅んでいいじゃねえか!!誰かが犠牲にならないと滅亡する世界なんざ間違ってる!!俺は認めねえ!!!!!!」

 

 

 

 そして、遂に『次元牢獄』が破られる。俺は結界が砕け散ったと同時に瞬時にヴェルセリアのもとに移動し、思いっきり跳躍し身体の中心に前脚を向ける

 

 

 

「『守護者』!!!」

《告。ユニークスキル『繋者』、発動します》

 

 

 瞬間俺の身体が眩い白い光が発せられ、その光はヴェルセリアをも覆いつくした。するとヴェルセリアを縛っていた黒い鎖が黒い光の粒となり、身体を浸食していた箇所からも黒い光の粒が発生し俺の中に吸収されていった

 

 

 全ての黒い光の粒が俺の中に吸収されると、酷い頭痛と倦怠感、内側から焼き尽くされそうな熱を感じ、意識が朦朧となる。何とか頭に前脚をあて堪えようとするも酷くなる一方である。そして直ぐに限界を迎え意識を失った俺は下へと落下した

 

 

 だが、そんな俺を何かが受け止めた。うっすらと目を開けると、翡翠のように美しい鱗をもつ金眼の竜が俺を見つめていた。その目からは何か光るものが流れていたが、よく分からない。俺はその光景に笑みを零し、今度こそ完全に意識を失った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《究極能力『終焉之王』を獲得しました。魂の昇華を確認。これよりマスターの進化を開始します》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~~

 

 

 

 

 

 

 

 

《告。進化が開始されました。身体組織が再構築され、新たな種族へ進化します》

 

《確認しました。種族:魔兎(ダークラビット)から竜魔王兎(ドラゴニアサタンラビット)への転生……成功しました。全ての身体能力が大幅に上昇しました。固有スキルは『人化、竜化、無限再生、弱肉強食』です。尚、常用スキルとして、『完全感知』、『超感覚』、『竜魔覇気』が備わりました》

 

《続けて新たな耐性の獲得を実行します…………物理攻撃無効、精神攻撃無効、自然影響無効、状態異常無効、魔法攻撃耐性 以上の耐性を獲得しました。既存のものはこれらに統合されます》

 

《新たな獲得を実行します………創作者、無限分身、無限斬撃、悪魔召喚を獲得。更に究極能力『終焉之王』の解析により、ユニークスキル『次元暴食(ディメンションイーター)』、『次元跳躍(ディメンションジャンプ)』を獲得しました》

 

《エクストラスキル『守護者』が進化を試みます………難航。再度実行します………難航。再度実行します………難航。再度実行します………成功しました。代償に『繋者』を失いました。エクストラスキル『守護者』が、『終焉之王』と統合し究極能力『次元之神(クロノス)』へと進化しました。これにより『終焉之王』のデメリットは消滅します》

 

《告。個体名ヴェルセリアとの"魂の回廊"を確立……成功しました。これにより究極能力『彗星之王(ヴェルセリア)』を獲得しました。能力は彗星竜召喚、彗星竜解放、彗星之武器化です。更に『終焉之王』の影響が残っており、使用できる魔法は終焉系魔法になります》

 

 

《以上で、進化を完了します》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~

 

 

 

 

 

 何か温かいものに頭を撫でられている。俺はその感触を感じながら目を覚ました。まだ意識がぼんやりとする。ここはどこだろうか。まさかまた死んだのだろうか

 

 

 

「目が覚めましたか?」

 

 

 

 上から優しい声が聞こえてくる。俺は見上げるように声のした方に振り向く

 

 

 そこには白いカッターシャツのような服と黒いスカートの上から黒いローブを身に纏った灰色の長い髪の少女がいて、瑠璃色の瞳で俺を見つめながら微笑んでいた

 

 

 

 

 ………えっと

 

 

 

「………誰?」

 

 

 

 意識が覚醒した俺は目の前の少女を見上げながらそんな言葉を零す。少女はは俺の言葉を聞くと、少し笑いながら俺を抱き上げ自分の目線の高さに合わせた

 

 

「あら、さっきまであれ程私の為に頑張ってくれたのに、もう忘れたんですか?」

 

 

 

 結構カッコよかったんですけどね~、と少女は楽しそうに話す

 

 

 さっき?…………あ!

 

 

 

「もしかして………お前、ヴェルセリアか!?」

「正解です♪」

 

 

 

 そう言って灰色の長髪の少女――ヴェルセリアは満面の笑みで答える

 

 

 俺は混乱しながら、ヴェルセリアに説明を求めた

 

 

 

 

「お、お前……その姿は……?」

「これですか?いわゆる人型ってやつですね。私たち竜種は人型と竜型のどちらにでもなれるんです。髪は『終焉之王』の影響でこんな色ですけど……案外悪くありません」

「………もう、大丈夫なのか」

「えぇ、どこかの自分勝手な兎さんが勝手に私のスキルを奪ってくれたおかげで、私はすこぶる元気ですよ」

「それなら、よかった」

 

 

 

 俺は安堵の息を吐く。あれでダメだったら本当に手の打ちようが無かった

 

 

 

 

《告。究極能力『終焉之王』は統合され、『次元之神』へと進化したことによりデメリットは全て消失しました》

「うわっ!!?」

 

 

 

 だ、誰だ!?

 

 

《究極能力『次元之神』です。『守護者』と『終焉之王』が統合進化したことにより誕生しました》

 

 

 

 え、えと……つまり『守護者』さんが進化してパワーアップしたってことだよね?

 

 

《是。その認識で間違いありません》

 

 

 じゃあ、これからよろしくな!『次元之神』!!

 

 

《………了》

 

 

 

 なんだろう?『次元之神』からなんか恥ずかしがってるような気配が……気のせいか?

 

 

「それよりも一つ問題があります」

「問題?」

 

 

 ヴェルセリアが真剣な瞳で俺を見る

 

 

「そうです。あなたが私から『終焉之王』を吸収した際、あなたのスキルの影響なのか、あなたの前世での記憶、そして転生してからの記憶が私の中に流れ込んできたんです」

「前世ってことは………あー成程。俺のアレを見たんだな?」

「………すいません」

「いや別に気にすることじゃねーよ。隠すつもりもなかったし……それに俺にとっては今の方が大切だ」

「お互い、本当に苦労しましたね」

「はは、本当にな……」

 

 

 そして俺とヴェルセリアは笑いあう。その笑顔には最早悲しみなど少しも存在していなかった

 

 

「……話がズレましたが、あなたの記憶を見て分かったことがあるんです」

「分かったこと?」

「あなた、名前ありませんよね?」

「………あ」

 

 

 ヴェルセリアに言われ、俺はやっと気づいた。そう言えば兎に転生して名前が無かったんだ。『次元之神』からはマスターって呼ばれてたけど、ヴェルセリアにそう呼ばせるわけにはいかねえよな

 

 

 

「そうか……名前か。そういや無いな」

「私もこれからずっとあなたと呼ぶのは嫌ですし、この際あなたの名前と家族名(ファミリーネーム)を決めようかと思いまして」

「俺の名前に家族名か………え?家族名?なんで?」

「あら、あなたが言ったんですよ?『俺にはお前が必要だ』って。………それに私もあなたのあんな過去を見たら、もう他人と思うなんて、無理ですよ」

「あッ………」

 

 そう言って俺を抱きしめるヴェルセリア。感じたことがない温かみと優しさに俺は視界が滲むも必死に堪え、無理矢理笑みを作りやや乱暴に前脚でヴェルセリアの頭を撫でまわす

 

 

「……そうだな……俺たちはもう他人なんかじゃねー。俺たちは孤独の辛さを、悲しみを、誰よりもよく知ってる。だからこそ俺はお前を放っておけなかったんだ」

「私だってもうあなたを独りぼっちにさせませんし、私を独りにしたら赦しませんし、地獄の底まで追いかけますよ?」

「そんな心配いらねえよ。生きるのも死ぬのも、俺たちはずっと一緒だ。なんたって俺たちは『家族』なんだからな」

「……うん」

 

 

 そうしてしばらく抱きしめあい(一方的に抱かれていただけだが……体格的に)どちらからともなく抱擁をといた。ヴェルセリアはスカートの裾をはたきながら立ち上がり、コホン、と咳払いをした

 

 

「それで、あなたの名前ですが実はもう考えてあります。私の自信作です!」

「え~」

「……なにか不満でも?」

「いや、別に……ただ少し不安がだな……」

「そんなことですか。言ったでしょう?自信作だと。私のネーミングセンスにひれ伏しなさい!!」

「はは~~」

「ぶち殺しますよ?」

「なんでさ」

 

 

 適当にひれ伏したら怒られたよ。ぴえん

 

 

「まったく……それであなたには家族名を決めてもらいたいんです」

「俺に?別にいいけど期待すんなよ?」

「ええ、もしもふざけた名前だったらキツ~いお仕置きで済ませてあげます」

「話聞いてた?」

 

 

 

 まあいいや。それよりも家族名か……ヴェルセリア……翡翠のような鱗………あっ、思いついた

 

 

「思いついたぞ」

「もうですか?では聞かせてください」

 

 

 ヴェルセリアは期待に満ち溢れた目で俺を見てくる。そんな目で見られると少しばかり緊張するんだけど……

 

 

「ネフライト。俺の元いた世界で翡翠を表す言葉だ」

「ネフライト……いいですね、気に入りました。私は今この時より、ヴェルセリア=ネフライトです!!」

「気に入ってくれたなら良かった」

「フフフ!ではあなたにも名前を授けましょう。あなたは今日から……アレン。アレン=ネフライトです!!!」

「アレンか……うん悪くない。ありがとなヴェルセリア……いや、なんか長えし他人行儀な感じがするな。……セリア………ダメだ。頭にあの店がちらつく……リア……うん、言いやすいし分かりやすい。ありがとう、リア」

「な、なんですかいきなり……でも、リア、ですか……親しみがあっていいですね」

 

 

 

 そう言ってヴェルセリア――リアは微笑む。俺もそれにつられて笑いそうになるも突然身体が光り出した

 

 

「な、なんだ!?」

《告。個体名アレン=ネフライトの名が魂に刻み込まれました》

「た、魂?」

 

 

 言われてみれば言葉では表しにくいが、何かこう、俺の中の奥深くで何かが変化した……気がする

 

 

 光は直ぐに収まり、特に外見的な変わりはなかった

 

 

「さて、アレンの名付けも終わりましたし、さっさと脱出しましょうか」

「リア何か方法があるのか?」

「私にはありませんよ。でもアレンが持っているはずですよ」

「え、そうなの?」

 

 

 教えて『次元之神』~~~!!

 

 

《解。新たに獲得したユニークスキル『次元跳躍』を使用すればこの空間から脱出できます》

 

 

「マジであるのか!これでやっと自由になれるぅー!!」

 

 

《しかし、このスキルはランダムで……》

 

 

「よし、さっさとこんな空間なんておさらばだ!!リ~ア~~!脱出できるぞ!!」

 

 

 頼んだぜ!『次元之神』!!

 

 

《……了。スキルを使用します。対象者に接触してください》

 

 

「リア、俺に触れてくれ。スキルを使う」

「分かりました」

 

 

 リアは俺を抱き上げ頭に乗せた。これで準備は整った

 

 

「じゃあ、行くぞ?スキル『次元跳躍』!!」

 

 

 瞬間俺たちの前の空間に罅が入った。その罅は広がり、やがて砕け散って人が一人は入れるくらいの穴になる。俺を頭に乗せたリアは躊躇なく穴に飛び込んだ

 

 

 

 

 

 その後、砕け散った破片が再び集まり穴をふさいだ。数分後には何事もなかったかのように静寂さに包まれる

 

 

 しかし先程まで穴があった場所を見つめる存在がそこにはいた

 

 

『…………』

 

 

 それは小さな光の粒だったが、何回か回転したのち、どこかへ消えていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~~

 

 

 

北方の大陸――白氷宮

 

 

 

「ッ!!………なんだ、今の感じは……」

 

 

 玉座に座りながら、最古の魔王と呼ばれる妖艶な赤髪を持つ美丈夫は、突然背中に寒気のようなものを感じた。それはまるで、かつて自分が唯一惨敗した際に感じたものと酷似していて………

 

 

「チッ!!何だってんだ一体……」

 

 

 イライラしながら拳を握りしめていると、突然立ち上がり、次の瞬間には窓際に移動し外を……正確には上空を睨んでいた

 

 

「こいつは……」

「ギィ」

 

 

 ギィと呼ばれた美丈夫は振り返る。そこには艶のある白い髪と深い青の瞳を持つ少女がいた。少女はギィに近づき同様に上空を見上げる

 

 

「……貴方も感じた?」

「ああ、何かは分からねえが、ヤべえのがこの世界にこようとしてやがる」

「ええ。それも反応が二つ……そのどちらも私たちより格上の存在よ。それこそお兄様と同等かそれ以上の……」

「………一体、何が来るってんだ………」

 

 

 

 そして二人は険しい顔つきで空を睨み続けた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~

 

 

???

 

 

 

「ふぁ~~暇だな……原初の赤(ルージュ)でも殺しに行くか?」

 

 

 その存在は大きなあくびをしながら寝転がっていた。何やら物騒なことを言っているが本人はすごくだらけている

 

 

「あ~そういやアイツ調停者になったんだっけか?だとしたら手出しできねーわ……ったく本当にメンドくさい誓約かけやがってよ」

 

 

 頭を掻きながら愚痴をこぼす。そして何度目かのため息をついた

 

 

原初の黒(ノワール)は前よりかは成長したが、まだまだゴミクズだし、それ以外の奴はそもそも話になんねえし……はあ、何処かに俺と張り合える奴はいねーもんかね」

 

 

 その存在は強者を求めていた。その理由は至極単純で無機質なこの日々に刺激が欲しいからである。もうどれくらい前かは覚えていないが、あの世界の創造主との喧嘩は心が躍った。自分が本気を出しても壊れなかったのはアイツが初めてだったから。結局決着はつかず、その時の傷を癒しているうちにアイツは死んだ。理由は聞いたが今ではよく覚えていない

 

 

 それからというもの時々気まぐれに同じ原初の悪魔どもを半殺しにしたり、このように寝転がってだらけたりを繰り返していた

 

 

 何度か召喚を呼びかけられたことがあったが、どいつもこいつもつまらん願いの為だったので応じたことはない

 

 

 このような刺激のない日々から解放される日は来るのだろうか?

 

 

 半ば諦念の気持ちを込め、もう一度大きな息を吐く

 

 

 

 

 ―――しかし、その日々は唐突に終わりを告げる

 

 

 

「………ん?……………ッッ!?」

 

 

 

 その存在は勢いよく立ち上がる。そして顔を驚愕に染めた

 

 

 

「この気配はアイツの……ヴェルダナーヴァの………いや、違う。アイツじゃねえ……けど似たような雰囲気がする……しかもこれはアイツと同等の………」

 

 

 

 

 その存在は身体を震わせる。しかしそれは恐怖ゆえの震えではない

 

 

 

 その存在は、『歓喜』したのだ

 

 

 

 口角を上げ、その存在は嗤う。まるで長年探し求めた獲物を見つけた獣のように

 

 

 

「ク、クハハハハハハハハハハハハハハッ!!」

 

 

 

 

 その空間に、笑い声が響き渡る

 

 

 ひとしきり笑った存在は、獲物を狙う獣のような目で上を見上げる

 

 

 

「待ってろよ。お前のとこに行くのはこの俺だ。誰にも譲らねえ。邪魔する奴は全員殺す」

 

 

 拳を握りしめながら、その時を静かに待つ

 

 

 

 

 

 

 

「さあ、早く俺を呼びやがれ!そして心ゆくまで俺と殺り逢おうぜ?………まだ見ぬ我が主よ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~

 

 

ジュラの大森林――ゴブリン村

 

 

 

《―――告。緊急事態です》

「ん?どうした『大賢者』」

 

 

 

 

 水色の粘着生物――所謂スライムと呼ばれるモンスターは、己のユニークスキル『大賢者』から緊急事態の喚起をうけた

 

 

 

《新たなユニーク個体がこの世界に出現しようとしています》

「ユニーク個体、ね。一体何が出現するんだ?」

《解。把握不可能。解析も不可能です》

 

 

 

 スライムは言葉を失った。この世界に転生して今まで自分を支えてくれた頼りになる存在が解析できないと言ったのだ

 

 

「それって、マジ?『大賢者』に解析できないことってあるのか?」

《告。解析を実行したところ妨害されました。対象は上位存在と判断します》

「ヤバいな……せっかくベニマルたちとの件も落ち着いたってのに、また厄介ごととか勘弁してくれよ……おい『大賢者』。そのユニーク個体が大体どこら辺に出現するか分かるか?」

 

 

 

 

 遠くに出現してくれるなら放置、もしも近くに出現するのなら対処に当たらなければいけない。スライムは『大賢者』の返答を待つ

 

 

 

《告。現在地の上空2200メートルです》

「は?」

 

 

 予想外の答えに俺はつい間の抜けた声を出してしまった。聞き間違いかと思いもう一度聞いてみる

 

 

「え~と、良く聞こえなかったからもう一度教えてくれないか?」

《告。ユニーク個体は(マスター)の上空2200メートルに10秒後に出現します》

「すぐじゃねえか!?どうする?どうすればいい!!?」

《残り6秒》

「あ~~~~~~!!!???!?!?」

 

 

 

 

 

 周辺にスライムの悲鳴のような叫び声が響き渡った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~

 

 

 

 

 

 

 

「ああああぁあぁぁぁぁあああああおあおあおあおあおあおおぉぉあああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!???????!???!?!?!?」

 

 

 

 大空に叫び声が響き渡る。空は快晴。日もよく照りまさにこれ以上ない程の最高の天候だ

 

 

 

 しかしそんなもの俺には関係ない。なぜなら………

 

 

 

 

「なんで空中に出るんだよーーーーーー!!!!!??!?!?!?!?!」

 

 

 

 

 現在重力に促されるまま落下中だからである。ユニークスキル『次元跳躍』を使用し世界の狭間から脱出できたのはよかった

 

 

 だが、出口の先が遥か上空なんて聞いてない。下には青い海や緑の大地が広がっているが楽しむ余裕は全くない

 

 

 

《……人の話を最後まで聞かないからです……ハァ》

 

 

 

 『次元之神』が何か言っているが俺はそれどころではない

 

 

 絶賛二度目の走馬燈が頭の中を駆け巡る中、隣から楽しそうな声が聞こえてきた

 

 

「あらあら、とても大変そうですね?」

 

 

 なんとか首を横に向けると、そこには満面の意味のリアがいた。元々ドラゴンだからか余裕の表情である

 

 

「お前は大丈夫なのかよ!!?」

「ええ、私はこうすればいいので」

 

 

 そう言うと突然リアが視界から消えた。必死に首を動かしながら探すもどこにも見当たらない。すると何やら上の方から声が聞こえた

 

 

 体勢を変えて上を見上げると、背中に翡翠色の天使のような羽根を生やしたリアが笑顔で手を振っていた

 

 

「竜化はズルいだろぉおおおおぉぉあああぁぁぁああああ!!!??!?!??」

「えー別にいいじゃないですか。それに見た目も綺麗に変えてるんですよ?」

 

 

 そんなことは今はどうでもいい。とにかく現在の状況の解決が優先だ

 

 

「ちょ、ちょっとリア!!助けて!し、死ぬ!!これはマジで死ぬ!!!!!」

「それが人にものを頼むときの態度ですか~?」

「お願いします助けてくださいリア様ーーーーー!!?!?!?!?!??!?」

 

 

 

 

 

 

 俺の泣き落としのような懇願が大空に木霊した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こうして俺とリアの異世界生活が始まった。しかしこれから先色々と厄介ごとに巻き込まれていくことになるのを俺たちはまだ知らない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これは前世で虐待をうけ、誰からも愛されず、存在を否定され、世界に絶望した少年と、世界滅亡の責を負わされ、長い時を孤独に生き、蝕まれる身体に苦しみ、世界そのものから存在を否定された竜が出会い、『家族』として異世界生活を楽しむ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――ただ、それだけのお話

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





終わらねぇよ?


まだまだプロローグなので投稿していきたいと思います


さて、アレンをリムルと共に行動させるか、それとも自由に放浪させるべきか………



あっそうだ。アンケートやろう



てなわけでアンケートやります


内容はこれからのアレンとリアをどうするかについてです


多くの参加をお待ちしています

アレンとリアを今後どうするか

  • リムルと共に原作を突っ走る!!
  • 自由に放浪し、二人で気ままな旅を……
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