ポケットモンスター プリティーダービー 作:室星奏
「すっごーいっ! あのフクキタルちゃんを倒したんだね!」
雲の上の如く、風が吹き荒れる異質なポケモンジム。その中央で待ち構えていたのは、次なるジムリーダーだった。
そのような場所で、ジムトレーナーと勝負させられた俺は、この時点で相当ヘバついていた。何なんだこのジム……。
「へへー! 楽しいでしょ? 私が考えたシステムなんだ!」
「疲れて楽しむ余裕なんかないんだが……」
「ええー!? お兄さん体力ないねー!」
子供のような煽りに一瞬イラッと来たが、ここはぐっと堪える。ジムトレーナーと戦って分かったが、ここはひこうタイプ専門のジムだ。その証拠に、天井では彼女のポケモンと思われるムクバードやらピジョン等がチラチラと垣間見える。
観察する俺をよそに、彼女はずっとニヤニヤしていた。
「……んだよ」
「別に? 疲れてるのに、お兄さん楽しそうだなーって!」
「楽しい? 俺が?」
「うん! マヤはね? どんな事でもすぐ分かっちゃうんだ~!」
不思議なジムリーダーだ。
確かに疲れて驚きはしたものの、ここで行ったバトルはどれも楽しいの一言に尽きる物であった。彼女がこのシステムを考えたのも、多くのトレーナーが楽しんでくれる事を分かって作ったのかもしれない。
「お兄さんとの勝負も、すぐ必勝法が分かってつまんなくなっちゃうかもしれないねー!」
「へえ、面白い事言うじゃねぇか」
腰のモンスターボールに手をかけて威嚇する。ひこうタイプなら電気タイプは効果はばつぐん。俺のルクシオでかみなりを落として一発KOが最適解か。
「闘争心が強いね! マヤわかるよ? でんきタイプを出そうとしてるんでしょー!」
「……さすがにわかるか?」
「分かっちゃうからねー! ほらっ、モクローおいで!」
天井を悠長に飛行していたモクローが、その呼びに答え、彼女の肩へと落下する。モクロー……っち、くさ・ひこうか。雷の聞きが他に比べて弱い。
簡単な対策はバッチリっていう訳か。
そこはジムリーダー、良い策略だ。
「お兄さんは、私を楽しませてくれるのかなー?」
「互いに楽しもうじゃねぇかよ!」
彼女の周囲には、モクローにムクバード、ファイアロー。なんだよ、良い感じに相性を固めて着てやがる。こういう相手は本当に面倒だし、戦いたくない相手筆頭だが……。
こういう相手程、心が躍ってしまうのも確かである。
「……それじゃあいこっか、お兄さん!」
「ああ、勝負だ!」
俺はルクシオを場に出す。出す相手を見極めて、慎重に技を出す。こういう相手には戦略を組まなければすぐ負ける。
「それじゃあ、いっくよー!!」
――ノンストップガール! マヤノトップガン! テイク、オーーーーッフ!!!