転生者は創造神の光を見るか?   作:おんのじ

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誤字脱字あったら教えてください。
長くね?ここまで長くなるとは考えてなかった。てかジム戦毎回こんな長くする訳にもいかないしなぁ……

その内投稿頻度は落ちます。ご容赦下さい。



2話 常に100点の結果が出る訳もなく、しかし常に100点を目指す事は間違いではない

 まだ日は高く、カラッとした空気が身に染みる。

 ふぅ、とため息を吐きながらベンチに腰掛け、ぼんやりと先刻聞いた言葉の意味を考える。「ポケモンの解放」、オレはこの言葉がどうにも頭に残ってしょうがなかった。

 というのもオレは12~3歳の頃、義姉に感化されたのか1度だけ論文を書こうと思ったことがある。その内容が「モンスターボールの必要性について」という、偶然にも「ポケモンの解放」と繋がるところがある論文なのだ。結局書くには至らなかったが、ふとした時に「モンスターボールの必要性について」考えることも少なくない。

 この世界に生きる存在ならば、モンスターボールがある事が当たり前(・・・・)に思えるのだろう。しかしオレは"転生者"であるからなのか、モンスターボールに対して謎の抵抗感(・・・・・)を感じてしまう。そしてオレは、この感覚を否定しなかった(・・・・・・・)

 

『ほんと、オレってなんなんだろうな。』

 

 グルグルと頭を巡る単語を吐き出すように、オレはオレに問いかける。答えなぞ返って来るはずもないけれど、いつか見つけてみせると改めて誓う。

 気分を切り替えるために自販機で「おいしいみず」を1本買い、モヤモヤを完全に洗い流すように飲み干した。

 

 そろそろいい時間だなとポケモンセンターに戻り、3匹のパートナー達を受け取る。1番道路で少々バトルをしたので傷付いていたのに、すっかり元気になっていた。毎度毎度ポケモンセンターの技術には感服してしまう。しかもこれがトレーナーなら無料だというのだから、とんでもないなと思わざるをえない。

 

『サンヨウシティ、夕方までに着けばいいけど。』

 

 少し傾きかけている太陽を見上げ、2番道路へのゲートへと歩き出す。まだ旅は始まったばかりだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 2番道路は新人トレーナーの腕試し所として有名で、その名の通りまだトレーナーになって間もない少年少女があちらこちらからバトルを挑んでくる。

 そんな経験が浅いトレーナー達を、オレは負い目を感じつつも尽く蹴散らしていった。こちらのポケモンのレベルが大きく上回っているのもあるが、それ以前にトレーナーとしての力量(・・)が違うのだ。同じ新人トレーナーでも、オレは────明らかにセコいのは認めるとして────"天才"と呼ばれた程の人間だ。そこら辺のトレーナーに遅れをとる訳にはいかない。

 

『"メタルクロー"』

 

 最後の指示を出す。

 ダンプカーをも壊しうる硬さを誇る爪をさらに硬質化させ、眼前のヨーテリーをココドラが切り裂く。勝負ありだ。

 連戦をくぐり抜けたにも関わらず、その身には傷の1つも付かない圧倒的防御力を見せたココドラ。タイプ相性も相まって2番道路は完勝と言っても過言ではない。

 

 正直賞金を貰うのも申し訳ないが、ルールはルールなので貰わなければならない。

 ここで分かった事が、オレは案外バトルを上手く出来てるという点だ。最初に挑まれた時はビクッとしたけれど、すぐにポケモンバトル独特の空気に染まっていった。楽しい、終わりたくない、もっと強くなりたい。ここまで心を動かされることは14年間1度もなかった。湧き立つ思いを加速させながら、久々のサンヨウシティへとオレは足を踏み入れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 サンヨウシティにはオレの知り合い─────もとい、義姉の親友がいる。名前は「マコモ」、ムンナや進化系のムシャーナがだす「ゆめのけむり」が関係する研究をしていると聞いているが、詳しくは義姉からも聞いたことがないし特にオレも関心を持たなかった。どちらかと言うとマコモ博士の妹のショウロが行っている預かりボックスの方にオレの興味はそそられる。

 

 折角だからと、ポケモンセンターで宿泊予約をして、明日のジムもついでに予約してから件の義姉の親友の家に向かい、

 

『ご無沙汰してますマコモさん。オレです、アララギの息子のショウです。』

 

 ドアをノックして、普段のオレからしたら大きめの声で挨拶する。すると、

 

『あら〜!ショウ君久しぶり〜!元気にしてた?』

 

 長い髪とおっとりしてそうな雰囲気が特徴のマコモ博士がオレを出迎えてくれた。

 前に会ったのが約半年前とそこまで前ではないものの、久しぶりと言われたらそんな気もする。

 

『オレ、トレーナーになったんですよ。今は旅の途中なんです。サンヨウに来たから挨拶しておこうと思って。』

 

 この発言が意外だったのか、驚いた顔を隠せていない博士。やはり義父義姉と研究者ならオレもそうなるだろうとレッテルを貼られてるのだろうか。仕方ないとはいえ少しもどかしさを感じる。

 その後少し談笑し、彼女の家を後にした。それにしても餞別と言いながらオレのライブキャスターを弄っていたがあれはなんだったのだろうか。オレとしては談笑中に聞いた、修行場に適するらしい「ゆめのあとち」についての情報の方が餞別であったが。

 

 そこそこ長い時間話し込んでいたのか、まだ沈んでいなかった太陽はすっかり顔を隠していた。旅に出て初めての夜を迎える。と言ってもこれまでも外泊は多かったし、変にそわそわする事もない。

 適当に食事を取り、パートナー達のケアをして明日に備える。遂にオレはジムに挑戦するのだ。緊張には強い方のオレでも体に力が入ってしまう。

 この逸りを発散させようと、明日の対策を書いておこうとカバンから新品のノートとペンを取り出す。小刻みに震える手でペンを持ち、対戦すると予想しているジムリーダー「デント」について書き出す。

 

 数時間が経過し、夜も耽ったがオレは未だ眠れずにいた。

 相棒の3匹は既に夢の中におり、周りの音もないのでこの瞬間はオレ1人の世界だ。────いや、元よりオレは1人なのだ(・・・・・・・・)。家族もいる、友達もまぁいる、何よりもポケモンがいる。だとしても、"転生者(オレ)"は1人きりだと感じてしまう。

 

『…………寝よう、明日に響く。』

 

 バサッと布団を被り、無理やりにでも眠りにつこうと目を閉じる。恥ずかしい事だが、ちょっぴり涙が浮かんだ、かもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 目覚めは良いものとは言えなかった。昨日のブルーな気分がまだ残っているのだ。ジム戦だというのに、つくづくオレはオレの芯の弱さが恨めしい。

 

 朝の支度を終え、スカーフを巻いて準備は整った。オレのリーグ挑戦はここから始まるのだ。

 

 サンヨウジムはレストランも兼ねていて、ジムリーダーである3つ子もウェイターとして働いている。食に対しての理解は浅いが、3つ子の入れたお茶は美味しいと聞く。

 

『すいません、昨日ジムの予約したんですけど。』

 

 レジの店員に旨を伝え、レストランがジムへと様変わりしていくのをオレは眺めていた。

 

 ジムの仕掛けは簡単で、カーテンに写っているタイプに対して相性の良いスイッチを踏めばいいだけだ。途中ジムトレーナーに勝負を挑まれるも、これを難なく一蹴。

 3幕目のカーテンを開くと、

 

『ようこそチャレンジャー!』

 

『サンヨウジムの仕掛けはお楽しみ頂けましたか?』

 

『次はジムリーダー、つまりぼく達があなたの強さを見定めます。』

 

 サンヨウシティジムリーダー、ポッド、コーン、デントがチャレンジャー(オレ)を待ちわびていた。

 

『オレが最初に選んだのはミジュマルです。つまり…』

 

『ならぼく、"くさ"タイプ使いのデントがお相手致します。』

 

 予想通り、デントが相手だ。

 遂に、いや、やっと始まる。心待ちにしていたこの瞬間、胸の高鳴りは最高潮に達しようとしていた。

「試合開始!」と審判が旗を振る。と同時にベルトからボールを外し、思いっきり投げ出す。

 

『ミジュマル、まずはお前からいこうか!』

 

『いけっ、ヨーテリー!』

 

 リサーチ通り初手はヨーテリーを繰り出してきた。そして気を付けなければならない行動は「ふるいたてる」。何度もこれをやられるとこちらのポケモンが一撃で倒されかねない。

 

『先手を取れ!"みずでっぽう"!』

 

 ミジュマルが発射した水流が、一直線にヨーテリーに襲いかかる。が、そんな直線の攻撃を易々と受けてくれる訳もなく、あっさり躱されてしまう。

 

『そう簡単に当たってくれないよな。』

 

 さてどうしたものかと、オレの頭で試合展開を構築していく。

 このカードで鍵になるのは間違いなく相手の"ふるいたてる"とミジュマルの"きあいだめ"。ヨーテリーの攻撃技をレベル的に"かみつく"と仮定すると、"ふるいたてる"をやられていい回数は2回(・・)。それ以上は耐えられる保証ができない。

 

『ヨーテリー"かみつく"!』

 

『…ッ!受け止めるんだ!』

 

 ホタチを盾にして迫り来るヨーテリーを制止を試みるミジュマル。小さな体に見合わぬ突進力で押されつつも、なんとか均衡を保っている。だがこれは紛れもない攻撃のチャンスでもある。

 

『"おんが……』

 

 指示が途切れる。

「うん?」、と張り合っている2匹のポケモンを再度捉え、押されている(・・・・・・・)のを頭が受け入れる。

 予想外だ。顔が険しくなるのが分かる。

 "ふるいたてる"をされていないなら互角か押し切れる程のパワーとタカをくくっていたが、大きな誤算である。

 

『…ッ!……じゃなくて"みずでっぽう"で押し返せ!』

 

 急遽作戦を変更し、一旦"みずでっぽう"で距離を離す。

 ふぅ、とため息が漏れた。2番道路のトレーナーならとっくに終わっているのに、ジムリーダー相手だとこうも上手くいかないかと格の違いを思い知る。

 なのにこの状況を楽しんでいる(・・・・・・)自分がいるのだ。またそれは、ミジュマルも同じなのだろう。

 

『中々やりますね、チャレンジャー。ならヨーテリー"ふるいたてる"!』

 

『きたか……ならこっちは "きあいだめ"!』

 

 1回目のカウント、距離を離したのは少々悪手だったかもしれない。

 本来なら"ふるいたてる"をさせない事で隙を与えずに倒しきる予定が、予想以上にヨーテリーのパワーがあったため接近戦を挑んでもこちらが不利と判断して"みずでっぽう"での攻撃に変えたが、果たして良かったのだろうか。

 互いに能力の上昇に努めたこのターン、優勢なのは、しかしジムリーダーの方である。

 

『警戒しろよミジュマル、もうガードしきれるか分からないぞ……!』

 

『ふふふ、今度はこっちから仕掛けますよ。連続で"かみつく"攻撃!』

 

 牙を剥きミジュマルに向かって迫るヨーテリー。

 ガードは見込めない、なら最小限のダメージでやり過ごすしか方法がない。

 

『ホタチで受け流すんだ!悪い、今は(・・)それで凌いでくれ!』

 

 器用にホタチを使い、紙一重でヨーテリーの猛攻をやり過ごすミジュマル。だがダメージは少しずつ蓄積されていく。

 考えなければ、押され気味なムードをガっと持っていける打開策を。"天才"と呼ばれたならば、それくらいはやらなければならないのだ。

 ヨーテリーのパワーはミジュマルを上回る。真っ向勝負は勝ち目無し、小細工を仕掛けられるほどテクニカルな技も持ち合わせていない。鍵の"きあいだめ"は発動こそしてるが、ここではまだ意味を成さない。

 こうして考えている間にもミジュマルのダメージは増えていく。バトルフィールドにあるものを見渡し策を練る。

 ────よし、と心の中で呟く。

 

『待たせてごめんミジュマル!もう一度だけ受け流して"みずでっぽう"!』

 

 ようやくきた指示にミジュマルは全幅の信頼を寄せ、"かみついて"くるヨーテリーをするりと避ける。直後、最速の水流がヨーテリーの足元(・・)を濡らした。

 布石は打った。これがいい感じにハマれば──

 

『残念だけど外れたね……今度こそ"かみつく"攻撃でトドメだ!』

 

『……そうくるよな、やっぱり!』

 

 突如、攻撃に転じたヨーテリーの体勢が崩れる。

 原因は先程外した"みずでっぽう"で濡れた床。フィールドはあくまでレストランの床だ。水で濡れれば当然滑りやすくもなる。そしてオレがこの好機を見逃すはずもなく、

 

『"おんがえし"を叩き込め!』

 

 威力がポケモンのなつき度によって変動する技、"おんがえし"。「ポケモンと仲良くなること」が特技のオレが、最も活用出来る技。当然ミジュマルのなつき度は最大、最高火力だ。

 ふわりと宙を舞うヨーテリーに為す術はなく、"きあい"に満ちたミジュマルが渾身の一撃をお見舞いする。

 

 審判が旗を上げ、ヨーテリーの戦闘不能を宣言した。

 辛くも1匹目を撃破したのだ。無意識に拳に力が入る。

 ミジュマルもゴリゴリと体力を削られていたからか相当疲弊しているようで、2連戦させるのは危険だと判断しボールに戻す。

 

『中々強いですね、チャレンジャー。それでは……これがぼくの最後のポケモン、ヤナップ!』

 

 頭から木が生えているようにも見える、くさざるポケモンヤナップ。デントのエースだ。

 相手がエースを出てきたならば、もちろんこちらもエースで応えなければ面白くない。

 

『勝ってバッジを貰おう、イーブイ!』

 

 ゴージャスボールから現れた、いつにも増してテンションが高いオレのパートナー。

 レストランからざわざわと声が上がる。──ジム戦とはいえレストランで食事を取っている一般客はいるわけで、彼らはこれを食事中のパフォーマンスと見ている──で、なぜどよめいているのか。それはイーブイがイッシュ地方では大変珍しいポケモンだからである。カントーやホウエンで見たポケモンはイッシュでは全く見られず、その逆も然り。

 ジムリーダー達もイーブイを見るのは初めてなのか、「へぇー」とイーブイの事を観察している。

 

『人気者だなぁイーブイ。可愛いからなぁ…見た目は。』

 

 最後の言葉だけは聞こえないように小声で言い、知らずにイーブイは誇らしげにドヤ顔をキメている。こういう奴なのだコイツは。

 

『えっと…そろそろいきますよー。……"おんがえし"!』

 

 瞬間、イーブイが駆け出す。

 さっきまでのお調子者はもう見当たらず、今フィールドにいるのは凶暴なオレの"エース"ポケモンだ。

 如何に身軽であろうともイーブイのスピードにはついてこれるはずもなく、ヤナップに回避の選択をさせる間もなく"おんがえし"を叩き込む。

 

『速い!大丈夫ヤナップ!?』

 

 それでも相手はジムリーダーのエース、一撃で倒れることはなく、しかし手痛い一撃を貰ったのは確かだ。

「いける」、と思った。イーブイのスピードなら、"てきおうりょく"の合わさった"おんがえし"なら、勝利をもぎ取れると。

 こちらに勝利の女神が微笑みかけている今、オレは勝負を決めにかかる。

 

『"でんこうせっか"で撹乱しろ!』

 

 更にイーブイのスピードは上がっていき、オレでも肉眼で捉えるのが精一杯だ。

 この勢いで突撃すればヤナップの戦闘不能は間違いなく、またオレも勝ちを確信していた。

 

『今だ!突っ込め!』

 

 辺りを駆け回っていた茶色い影(イーブイ)が、進路を変えヤナップに突撃する。

 

 決まった、そう思った──────が、何かと何かがぶつかるような音はしなかった。代わりに聞こえるのはシュルシュルと何かが蠢く音。

 オレの目に入った光景は、冷や汗を流させるには十分過ぎた。あのスピードに反応して、ヤナップが"つるのムチ"でイーブイを捕縛していた(・・・・・・)のだ。

 

『ふふ、確かにイーブイ(この子)のスピードは脅威ですが、タイミング(・・・・・)を合わせれば対処は出来ますよ。』

 

『タイミング……』

 

 ハッと思い当たる節が記憶からサルベージされる。

 お茶(・・)だ。以前聞いた話だと3つ子の作るお茶は、デントが完璧な茶葉を選び、コーンが完璧な状態の水を用意し、ポッドが完璧な火加減でお湯を注ぐ事で最高のお茶が出来上がるらしい。どの工程も肝要なのはタイミング(・・・・・)、デントにとってタイミングを合わせることはお茶だろうがバトルだろうがお手のものなのだろう。

 

『ヤナップ、そのまま"みだれひっかき"! 』

 

『あぁっ……イーブイ…!』

 

 "つるのムチ"で体をガッシリと抑えられたまま、"みだれひっかき"で体力を削りにかかるヤナップ。遠距離技の1つでもあればまだ状況が変わったのかもしれないが、イーブイはそんな技覚えておらず抵抗することすら叶わない。

 

『クソッ……イーブイ戻れ!』

 

 今のイーブイには何も出来ないと悟り、やむなくボールに戻す事を選択した。

 悔しさが顔に浮かぶ。決して交代自体は悪い選択肢では無い。それでも、勝てると確信したのに勝てなかったことが情けなくて仕方がなかった。

 ─────1度深呼吸をし、気持ちをリセットする。まだ負けていないし、むしろこちらが王手をかけている。

 

『……うん、決めてこい!ココドラ!』

 

 3匹目のパートナー、ココドラがズシンとフィールドに降り立つ。

 また見慣れないポケモンの登場でオーディエンスがざわめくが、オレの耳にはもう喧しい雑音にしか聞こえなかった。その雑音に紛れ、オレはココドラに作戦(・・)を伝える。

 

『"がんせきふうじ"だ!』

 

 ココドラが一声鳴くとどういう原理か空中から岩石が落下してくる。しかし降り注ぐ岩をひらりひらりとヤナップは躱す。

 構わない、避けられるのは想定の内だ。目的は"がんせきふうじ"を撃つ事にある。

 再びオレは"がんせきふうじ"を命令し、ココドラもそれに従う。同じようにヤナップが避け、フィールドには落ちてきた岩石が散乱している。

 

『これで整ったな…いくぞココドラ!』

 

『何か仕掛けてくる!"つるのムチ"で抑えて!』

 

 "すばやさ"はヤナップの方が速く、"つるのムチ"がココドラを縛り上げる。行動を封じられたココドラはピクリとも(・・・・・)動かず、また"みだれひっかき"をしてこようとするヤナップを待ち構える。

 

『ヤナップ"みだれひっかき"!』

 

『"かたくなる"。』

 

 ガキンと音が鳴る。攻撃を受けたのはココドラのはずが、逆に呻いているのはヤナップの方だった。

 あらゆるポケモンの中でも随一の"ぼうぎょ"を持つココドラ系統。ましてや"ノーマル"タイプの技なんて"はがね"、"いわ"タイプのココドラには痛くも痒くもないのだ。そして"かたくなる"により増した硬さは、逆に相手の手を痛めさせることも可能になる。

 

『隙ができたな……!"メタルクロー"で吹きとばせ!』

 

『避け……!?』

 

 ここでデントは気が付いたようだ。"がんせきふうじ"による歪なフィールドの圧迫(・・・・・・・・・・)が完了していたことに。

 デントから見たら無差別に岩石を降らせている風に見えたかもしれない。その実、丁度逃げ道を塞ぐような間隔で"がんせきふうじ"を行い、有利なフィールドを形成しているとは考えもしないだろう。

 ヤナップが広々とフィールドを使い、安全に"つるのムチ"のタイミングを見極めさせてしまうのならフィールドそのものを狭めてしまえばいい。更にココドラは未進化ポケモンの割に体重がとても重く、"つるのムチ"で捕縛されたとしてもビクともしない。

 

 銀色に光る小さな爪がヤナップを捉える。

 次の瞬間、ヤナップは岩石に叩き付けられバタりと地に伏した。

 

 ───────終わった。オレの初のジム戦は、「勝利」の2文字と共に幕を閉じたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 偶然か昨日と同じベンチに座り、「サイコソーダ」片手に冬の星空を見上げる。

 ジム戦は「楽しかった」、この一言に尽きる。ここまで血が滾るとは思いもしなかった。それでいて様々な課題点をオレに叩き付けてくるのだから飽きがくるハズもない。

 

 素直な"オモテ"の感想は上の通り、"ウラ"の感想は「情けない」だ。

 イーブイにカッコ悪いところを晒させてしまったのが特に大きいが、もうひとつジムリーダーの1番手であるヨーテリーの実力を見誤っていた事もある。

 所詮1番手と心のどこかで侮っていたのは否定できない。この「甘さ」が抜けきらないのがオレの悪いところだ。

 

 それでもと、サンヨウジムリーダーから受け取ったバッジ、「トライバッジ」を空に掲げる。確かな勝利の証だが、オレの顔は険しいままだった。

 

 明日はこの辺の草むらでポケモンを捕まえようかと考えている内に、

 

『へクシュッ!……あー…ポケセンに戻るか……』

 

 残りの「サイコソーダ」を飲み干し、ポケモンセンターに戻る。ジム戦の楽しさとポケモンバトルの難しさをよく胸に刻みながら─────

 

 




ミジュマル Lv13
性格:がんばりや
性別:♂
特性:げきりゅう
技:たいあたり・きあいだめ・みずでっぽう・おんがえし
がんばりやのいい子。空回りすることもあるけどご愛嬌。ショウにはもうなつききっている。


デント・コーン・ポッドだとポッドが1番好きです。理由は特にありません。







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