転生者は創造神の光を見るか?   作:おんのじ

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誤字脱字あったら教えてください。
今更なんですけどタイトルは話の大まかな雰囲気です。


3話 他人の尻拭い程面倒くさいことはない

 太陽が昇る前の薄暗い明朝、「ゆめのあとち」にオレは訪れていた。あえて明朝に来ているのは地下の手強いポケモンがみんな眠りについているからである。

 ここにはかつて研究に没頭していた科学者の残滓が見て取れる。それが良いものなのか悪いものなのか、今となっては見当もつかない。

 誰もいない廃墟を1人寂しく探索しているのはわけがある。もちろん、オレの"前世"の手がかり探しである。

 何か心当たりがある訳でも、「ゆめのあとち」に惹かれたのでもない。ただ「ゆめのあとち」と呼ばれる前の場所が何らかの原因で滅んだのなら、オレの過去、すなわち"前世"が関係している可能性も捨てきれない。

 

 が、残念ながらここには何もなさそうだった。

「ちぇっ」と小さく呟く。ヒントの1つでも見つけられたらなと思い訪れたが、無駄足だったようだ。

 

『しょうがないか、また午後になったらみんなで来よう。』

 

 踵を返し地上への階段に足を掛けようとすると、

 

『あれは……ムシャーナか?』

 

 地下部屋の奥の方、日が昇り始めたのか太陽光が丁度差し込んでいる辺りにゆめうつつポケモンのムシャーナはいた。

 別にムシャーナ自体は珍しいポケモンでもなく、進化前のムンナも地上に生息している。だがオレはあのムシャーナに謎の特別性(・・・)を感じたのだ。

 そんなムシャーナを捕獲したいのは山々だが、今のオレは正真正銘の1人きりだ。そしてオレの直感が、あのムシャーナには挑むべきではない(・・・・・・・・)と訴えてくる。仕方なくオレは図鑑をムシャーナに向け、情報の記録だけして階段を上っていったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 午後、今度はポケモン達と一緒に「ゆめのあとち」に来ていた。

 その目的は捕獲と特訓。昨日のジム戦の反省とポケモン図鑑のページを埋めるため、オレは「ゆめのあとち」を駆け回る。

 最初にチョロネコ、次にムンナ、最後にタブンネを捕まえ「ゆめのあとち」での捕獲作業は終了。地下に行けばまだ未捕獲のポケモンもいるが、現状のレベルでは厳しい。

 一方の特訓は滞りなく進んでいる。やはり「トライバッジ」を入手出来るだけあって、周りのトレーナーよりオレの方が実力は数段上だ。

 

『"スピードスター"!』

 

 無数の星型の弾丸がイーブイから放たれ、"てきおうりょく"により増加した威力のそれは相手のチョロネコの体力を奪い去るのには十分だった。

 本来ならイーブイはレベルアップで"スピードスター"を覚えない。ならどうやって覚えさせたのか、それはオレにも分からなかった(・・・・・・・・・・・)。何となく出来ると思った、そしたら出来た(・・・・・・・・・・・・・・・)のだ。良い表現をすると可能性を信じたとでも言っておく。

 

 賞金を貰い、さて次の相手はと息巻いていると、

 

『あぁ、ここにいましたか。探しましたよチャレンジャー……ではなくショウ君。』

 

『! …… ジムリーダーのデント……さん。』

 

 少々息を切らしたサンヨウジムリーダー、デントの登場にオレは困惑を隠せない。

 なぜここに、と問う前にこの言葉は潰され、詳しい話はジムでとほぼ強制的に連行された。

 

 何が起こっているのか分からぬまま席に案内され、あの完璧なお茶を注いでくれたウェイターにカタコトのお礼を言う。

 目の前に座るデントに今度こそオレは問いを投げかける。

 

『……あの、オレ何か悪いことでもしましたか……?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 3番道路のその先、「ちかすいみゃくのあな」にて、

 

『ここか……』

 

 ブルっと身を震わせ、凍える洞窟内をオレは進んでいた。

 

 なんでこんな何もなさそうな洞窟にわざわざ赴いているのかと言うと、それは先程のデントとの会話まで遡る────────

 

 

 

『え? 調査……ですか?』

 

『はい。数日前にプラズマ団と呼ばれる組織の団員が、3番道路の先にある「ちかすいみゃくのあな」で騒ぎを起こしたらしく、洞窟のポケモンが中に入ったトレーナーに襲いかかってしまうという事態に……』

 

 プラズマ団、どこかで聞いたような気がするが思い出せない。良からぬ輩である事は察するが。

 

『あのすいません、なんでオレなんです?』

 

『本当ならぼく達で様子を見に行きたいのですが……ぼく達にも仕事がありますので時間が取れず、そこで昨日ジムバッジを獲得したあなたにお願いしようかと。』

 

『あー……なるほどー……なるほど……?』

 

 

 

 ──────こんな会話があり、断る理由も無かったためオレはミジュマルと共に洞窟の調査に乗り出していた。

 デントの言っていた通り、洞窟のあらゆる箇所からポケモンの攻撃が飛び掛ってくる。残念ながら、その攻撃がオレに届くことは1度もなかったが。

 

 洞窟1階の最奥、これ以上先に行くには"なみのり"をしなければならないが、オレは"なみのり"のひでんマシンを持っていない。

 頭を掻きながらどうするか考えていると、

 

『……ッ!? ミジュマル回避!』

 

 危険を察知した数秒後、オレとミジュマルがいた足元に岩が撃ち込まれた。

 警戒レベルを上げ、周囲を見渡す。しかし暗い洞窟では目標の認知が出来ず、対策の"フラッシュ"を使えるポケモンもいない。

 また見えない敵から岩が撃ち込まれる。

 今の攻撃は恐らく"うちおとす"。「ちかすいみゃくのあな」でこの攻撃を行えるポケモンは限られてくる。

 ある程度の予測が出来たオレは、転じて攻勢に移行するべくミジュマルに指示を出す。

 

『敵は多分……ミジュマル、"みずでっぽう"を手当り次第辺りの岩に当ててくれる?』

 

 1つ目、2つ目、3つ目のところで呻く声が洞窟に反響する。

 "みずでっぽう"が余程効いたのか一見ただの岩に見える"何か"がゆっくりと動き出した。

 

『やっぱりか。……って少しデカい……か?』

 

 図鑑に登録されている平均よりも大きい、マントルポケモンのダンゴロ。コイツがさっきオレ達を狙撃してきた存在の正体なのだろう。

 やたらと戦い慣れしてそうな雰囲気のダンゴロ、コイツがこの「ちかすいみゃくのあな」1階のヌシである事は明らかだった。

 ダンゴロの鳴き声で辺りのポケモンからの敵意がより強まるのを感じる。今、オレを正式に"排除対象"とみなしたのだ。

 

『っく……逃げられないなこれじゃ。あぁもう!やるしかないのか……!』

 

 戦いは望んでなかったのに、どうしてこうなったのか。ひょんなことからプラズマ団への恨みが生まれた瞬間だった。

 

 それはさておき、状況が悪いのは確かだ。前には今にも攻撃してきそうなヌシ、後ろには"ふくろだたき"を待ちわびる洞窟のポケモン達。完全なるアウェイ、楽しいとは流石のオレも言えない。

 覚悟を決め、スカーフを結び直しダンゴロと対峙する。

 

『"みずでっぽう"!』

 

 当然狙うのは効果抜群。水流がダンゴロ目掛けて射出される。

 もう同じ手は喰らわないとダンゴロも"うちおとす"で張り合い、なんと"みずでっぽう"を裂き、ミジュマルに命中させたのだ。

「マジか」、と心の声が盛れると同時に、さっきの奇襲に当たらなくて本当に良かったと安堵する。

 安心感に浸りたいが、それどころでは無い。"みずでっぽう"が封じられたということは、ミジュマルがダンゴロに対する有効打は残されていないのだ。

 

『ヤバいな……"おんがえし"も防御の高いダンゴロには対して効かないだろうし……ッあ!右に飛んで!』

 

 悠長に考えさせる暇を与えてくれるほど、ヌシは敵に甘くない。

 ダンゴロの怒りの猛攻を避け続けるミジュマル。このままでは先にこっちがスタミナ切れを起こすのは分かりきっている。けれど"みずでっぽう"が無効化される今のミジュマルに勝ち目があるとは言えない。

 

 ───ここで交代するか、と一瞬迷い───すぐにこの芽生えた提案を捨て去る。

 オレは知っていた。昨日の夜、ミジュマルがジム戦の結果に満足出来ずに悔しそうにしていたのを。

 ジムリーダーのヨーテリーを単独で撃破したのだから、オレはその成果に大満足していた。しかし過剰とも言える"がんばりや"な性格のミジュマルには足りなかった(・・・・・・)のだろう。出来るなら自分1匹でジムを制覇する、そのくらいの勢いでフィールドに出たのに、終わってみれば前座のヨーテリー1匹にほぼ互角─────いや、パワーは負けていた─────の戦いしかできなかったのだ。

 ここでミジュマルを下げれば、オレはこの子の意気込みを否定することになってしまう。それだけはこの子のトレーナーとしてできなかった。

 

『そうだよな、お前の頑張りは実を結ぶよミジュマル!反撃だ!』

 

 回避はもう終わりと言わんばかりに、お腹のホタチを振りかざしダンゴロに切りかかるミジュマル。いつの間にかホタチは水色に淡く発光し、1つ鋭利なの刀となる。"シェルブレード"、まさにミジュマル系統のためにある様な技だ。

 攻撃の手段は得た、しかしまだだ。まだ足りない。 ダンゴロの強靭な防御を貫くには今の(・・)ミジュマルでは及ばない。

 

『"シェルブレード"を使えるようになったのか……ならそろそろ来てもおかしくない……だろ!』

 

 ミジュマルを信じる理由として、オレにはある予感(・・・・)があった。

 ジム戦で大きな経験を積み、特訓を重ね、カノコを出発した時よりも何倍も逞しくなったオレのパートナー。ならばそろそろ来てもおかしくないハズなのだ。多くのポケモンが特定のレベルに到達した際に起きる、進化(・・)の時が─────

 

『8つのジムを制覇するなら、これくらいは乗り越えなきゃな!ミジュマル……いや、フタチマル(・・・・・)!』

 

 光に包まれ、ミジュマルの姿が変わっていく。0.5m程だった高さは1m近くに伸び、トレードマークのホタチは1つから2つに増えより攻撃的になった。体色も白から青く変化し、その凛々しさもありミジュマルの面影を感じさせない程成長したオレのパートナー。

 

『いこうフタチマル!"シェルブレード"!』

 

 二刀流となったフタチマルがホタチ両手に駆ける。

 予想だにしない敵の進化に焦るダンゴロ。迎撃に放っている"うちおとす"は精度に欠け、また数打ちゃ当たるで当たりそうな岩は尽くフタチマルのホタチにより切り崩される。

 ガキン、とダンゴロの顔(?)に"シェルブレード"が刻まれる。効果抜群に加え進化して攻撃が上がったフタチマルの2振りは、ダンゴロの体力を余すことなく奪─────わなかった。

 

『ありがとうフタチマル、ちゃんと体力残してくれたんだな。』

 

 ここに来た目的は元より争いでは無い。「ちかすいみゃくのあな」を調査する、それだけなのだ。仮にダンゴロを倒してしまえば、次は「ちかすいみゃくのあな」全てのポケモンを相手取ることになるし、余計に事態を悪化させかねない。

 

『ゴメンな、変に騒いで怯えさせちゃって。プラ……えーと、なんだっけ…まあいいや。とにかく騒いでたバカにはキツーく言っておくから。…この通り!』

 

 オレ達(・・・)に非は無いとはいえ、ここのポケモンに警戒心を抱かせるような真似をしたのは、大きな括りで言えばオレ達(人間)だ。

 全力の謝罪に、ダンゴロが心を許したのか周りのポケモンもそれに従い警戒の色が薄れていく。

 これでひとまずは問題解決と見ていいだろう。

 

『それじゃあ帰りますかぁ……』

 

 洞窟内のポケモン達に感謝を伝え、サンヨウシティに帰ろうとすると、

 

『ん?どうしたのダンゴロ。何かまだ伝えたいことでもあった?』

 

 ピョンピョンと跳躍を繰り返すさっきまで相対していたヌシのダンゴロ。真意がどうも読み取れないが、もしかするととオレは考えを口に出す。

 

『……オレ達と一緒に行って、ナントカ団をとっちめたい……違う?』

 

 跳躍の激しさが増したことから、正解と思われる。

 クスッと笑い、喜んでオレはカバンから空のモンスターボールをダンゴロに当てる。3回揺れてからポンと音が鳴ったのを聞き、

 

『よろしく、ダンゴロ。』

 

 ボールを拾い上げ、頼もしい相棒に挨拶。

 新しい仲間が増えたことで賑やかさが増したオレの旅は、更に楽しいことになってきたのだった。プラズマ団にお仕置きするという目的も追加して。

 

 




ダンゴロ Lv16
性格:ゆうかん
性別:♀
特性:がんじょう
技:うちおとす・かたくなる・どろかけ・ステルスロック
ポケモンをまとめていた立場だけあって正義感と責任感がとても強い。ショウとフタチマルを認め仲間入り。



今回は短く収まって良かった。まだ飽きてない。それでは。

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