転生者は創造神の光を見るか?   作:おんのじ

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誤字脱字あったら教えてください。
戦闘描写ほんと難しいですね……変になってないか心配です。
ノーマルタイプのジムって大体強いですよね、アカネとかセンリとか。


5話 1番普通が1番手強い

 空気が固まる。

 何を聞いてくるかと思えば「ポケモンと話せるのかい?」なぞ、ふざけているのだろうかと呆れかけ─────すぐに考えを捨てる。

 ポケモンと話せる、なんて夢のようなことある訳ないのに、彼の目は本気で聞いている目だった。まるで"私はそうです"と言いたげに。

 だからこそ、オレは彼の真意を確かめたいと思った。

 

 実は、一部の人にはオレがポケモンと話しているように見えるのか、「お前ポケモンと話せるのか?」と聞かれたことは何度かある。ただどれも冗談混じりで、会話のネタ程度の質問だったと思われる。それに、オレはポケモンと話すこと()不可能だ。

 

 ────「は」、だ。

 一つだけ、多分他の人には無いオレだけの特技────「ポケモンと仲良くなること」の()となる特別な力なら、ある。恐らくこれも"転生特典"的な何かなのだろうが。オレの力、と断言出来ないのが悔しい。

「力」と言ってもポケモンの能力を底上げするでも、凄い強力な技を使えるようにするでもなく、オレによるオレのためだけの「力」だ。

 

『オレにはポケモンの言葉は分かりません。けれど……()なら、見えます。』

 

『光……?』

 

 反応からして、やはりオレにしか見えていないのだろう。嬉しさと寂しさが混ざり、渾沌とした気持ちがチクリと心を刺す。

 発言に嘘偽りなく、オレには()が見えている。ポケモンとオレとの間に存在する光が、この目にしっかりと。それはパートナーだけでなく、野生のポケモンにもオレは見る。パートナーと比べれば当然微弱な光、しかし「在る」のだ。

 この「光」を、オレは「キズナの具現化(・・・・・・・)」だと思っている。

 

 入店から表情一つ変えなかった青年が、少し笑った気がした。ゾクリと背中に寒気が走る。

 本気の問いには本気の返答を、とバカ正直に今まで家族にも黙っていた事をつい喋ってしまったが、

 

『なるほど本当に見えてるみたいだね。光か…もしかしたらボク達は似ている(・・・・)のかもしれない。』

 

 

 結果として、相手が満足してくれたのなら良かったと認識すべきか。まさかこうもすんなり信用するとは思わなかったが。やはりこの人、どこか変わっていると再度認識する。

 

『時間を取らせたね、変わったトレーナーがいたものだから話をしたかっただけなんだ。サヨナラ、光が見えるトレーナー。』

 

 そう早口で言って、謎の青年はカフェを出ていった。

 話をしたかっただけにしては随分本気の眼差しをしていたが、真意がイマイチ読み取れなかった。というか、読み取る隙すらなかった。

 

『(……あ、名前聞いてないなそーいえば……)』

 

 旅をしていればまた出会うか、と気楽に考え残りのアイスコーヒーを飲み干す。

 

 ────この時はまだ知らなかった。彼との出会いが、後にオレの旅に大きな影響を与えることを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 緑髪を揺らしながら、青年───「N(エヌ)」は夜のヤグルマの森を歩く。

 まさか、興味を持つ人間が立て続けに2人(・・)も現れるとは思いもしなかったのだろう。

 1人はポケモンの言葉は分からずとも黒にも白にも染まらない、ニュートラルな存在。1人は同じくポケモンの言葉は分からず、しかし「光」が見えると言い張る存在。

 どちらも面白く、難解な数式だった。

 この式はまだNには解けない。なぜならば、「公式」がまだこの世界に存在しないから。しかしいずれ、その「公式」はイッシュのどこかで必ず「数式」と巡り会う。「公式」はどちらに当てはまるのか、それとも─────

 

『お迎えに上がりました……"王"よ。』

 

 どこからともなく現れた灰色の衣を纏う連中を率いて、位の高そうな老人が跪く。

 老人の名はアスラ。プラズマ団をまとめる七人の長、"七賢人"の1人。数日前は「ドラゴンのホネ」の奪取を邪魔され失敗したが、「ドラゴンのホネ」自体"王"の求める"モノ"とは無関係であった。

 プラズマ団の"王"、すなわちNが求めるものは、大昔に伝説の英雄と協力してイッシュを建国したと言われる伝説の"ドラゴン"ポケモン。そのポケモンの力を持って、Nは「ポケモンの解放」を実現させるつもりなのだ。

 

『……ゲーチスはどこに?』

 

『は……現在も演説により「ポケモンの解放」をイッシュの民に訴えかけております。それと……アララギの息子への接近を試みると。』

 

 この時はまだNは知らなかった。つい十数分前に接触した人物が、そのアララギの息子であることを。

 そして両者が再び邂逅するのは、そう遠くないミライである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 シッポウシティ、博物館兼ジムの地下室。

 本棚に隠されたヒントを巡るジムの仕掛けと勝負を仕掛けてくるジムトレーナーを楽々突破し、ジムリーダーアロエの下へとオレは辿り着いていた。

 

『流石だねえショウ。あっさりここに来るなんて、"天才"と呼ばれたその頭脳は確かなようだね。』

 

『あはは…お褒めに預かり光栄ですよ、アロエさん。』

 

 "天才"と呼ばれる度に申し訳なく思ってしまうのはどうにかした方がいいと我ながらに思う。これでは心がいくつあっても足りない。

 シッポウジムリーダーのアロエ、通称「ナチュラルボーンママ」。"ノーマル"タイプの使い手で新人トレーナーの鬼門となるのがこの人だ。"ノーマル"タイプの万能さとアロエの豊富な知識が合わさり、1匹も倒せずに負けていくトレーナーも少なくない。

 手持ちのポケモンはハーデリアとミルホッグの2体のみと少なく、しかし両方進化系なので想像よりもタフに感じる。 注意するのはミルホッグの"かたきうち"。あれだけは絶対に躱さねばならない。

 

 審判が旗を下ろす。「ベーシックバッジ」を懸けた2つ目のジム戦が幕を開けた。

 

 アロエの先発はハーデリア、ヨーテリーの進化系だ。こちらは同じ"ノーマル"タイプ同士、優劣を決したいと息巻いていたイーブイをまず繰り出す。

 サンヨウジムでは自分1匹だけ戦闘不能になりいい思いをしていなく、先の"トリプルバトル"ではサポートに周りっ放しで思うようなバトルが出来ていないイーブイ。今回こそは、といつにも増して深い集中力でハーデリアを見やる。

 

『へぇ……そのイーブイ、よく鍛えられてるね。勝利に貪欲な目をしているよ。』

 

『ハングリー精神はウチのパーティでトップなので。可愛い見た目とのギャップにはご注意を!"スピードスター"!』

 

 待ってました、とイーブイが"スピードスター"を乱れ撃つ。自分が「主役」だとここまで張り切り具合が違うのかと、昔から破天荒なイーブイに対する苦笑いが収まることはこれからも無いのだろう。

 ヨーテリーよりも体格が大きくなり小回りが効かなくなったハーデリアが避けるのは難しく、何発か直撃する。

 

『続けて"おんがえし"!』

 

『迎え撃ちなハーデリア!"とっしん"!』

 

 イーブイの尻尾とハーデリアの体が激突し、イーブイが弾かれる。シンプルに体格で劣るこちらに、接近戦での優位は取れないと見ていいだろう。

 しかしそれを覆す方法もある。イーブイが使える変化技、"ふるいたてる"ならパワーの差を埋められる。どちらかと言うと接近戦を好みがちなイーブイに、オレの指示を断る理由はなかった。

 

『"ふるいたてる"かい、"天才"でも考える事は一緒(・・)なんだねえ。』

 

『……? まあいいや。イーブイにはそろそろ気持ちよく勝って欲しいので、全力で倒しにいきますよ!』

 

『あっはっは! それなら悪いねえショウ、イーブイが気持ちよく勝つのはまだ先になりそうだよ!』

 

 意地悪な笑みを浮かべるアロエの指示で、ハーデリアが一声大きく"ほえた"。

 途端に竦み上がったイーブイは"ふるいたてる"のを中断し、全速力でボールに戻っていく。

 

『なるほど、"ほえる"か。イーブイにとっては厄介だな……』

 

『サンヨウの次にあたしに挑みに来る子は、よくその技を使ってくるのさ。まるで新しいオモチャを見せびらかす子供みたいにねえ。』

 

 あちらも"ふるいたてる"に関しては対策済みだったわけだ。

 ちょっと考えれば分かったかもしれない。サンヨウで変化技の強みを学んだなら、次のジムで実践しようとするのは割と当たり前の行動なのだ。心理的な要素も計算に入れ、"ふるいたてる"をメタってきたアロエの対応力には感服してしまうが。

 

 "ほえる"の効果で代わりに出てきたのはダンゴロ。正義感が強く、それ故にヌシとなって住処の仲間を護り、今ではオレの頼りになるパートナーの1匹だ。

 

『おっとダンゴロか、イーブイの分も頼むよ。』

 

『"いわ"タイプかい……微不利、ってとこかねえ。』

 

 タイプ的にはダンゴロに分があり、基礎能力ではハーデリアが勝る。ただ比べるべき所を比べるだけなら───つまり攻撃と防御の比べ合い───基礎能力でもダンゴロはハーデリアの上をいく。

 

『どう攻めたもんか……っとその前に。』

 

 ガタガタと揺れるゴージャスボールに、そっと手を当て伝える。「まだ抑えておけ」、と。

 分かっているのだ、イーブイが思うようにバトルが出来なくて不満を溜めているのは。

 強敵相手には特に顕著で、サンヨウジムは1匹だけ戦闘不能、"トリプルバトル"の時もガツガツ攻めるでもなくサポート役に甘んじていた。やっと回ってきた1番手は"ほえる"で出鼻をくじかれ、ここまでの旅で何一つ良い戦績がない。

 しかしイーブイを最初に選出した理由、「スピード勝負で流れを掴んで主導権を握る」が潰された今、出番はここ(・・)ではなくなった。

 

『必ず時は来る、その時は思いっきり暴れて来い。』

 

 揺れが収まる。

 意識をフィールドに戻し、イーブイのためにも活躍出来る状態を作り出さねばとバトルに集中する。

 

『さあ再開しますか!"いわくだき"!』

 

「試しの岩」の件からヒントを得、ジム攻略の一手としてダンゴロが習得した技"いわくだき"。"かくとう"タイプに類するこの技は、防御を下げつつハーデリアに手痛い一撃を与える。

 

『もう1回!』

 

『何回もくらってやれないね!躱して"かみつく"んだよハーデリア!』

 

 お世辞にも速いとは言えないダンゴロの攻撃を、サイドステップ1回で範囲外へ逃れるハーデリア。そこからの"かみつく"により、ダンゴロの攻め手が途切れる。

 

『畳み掛けなハーデリア!連続で"かみつく"!』

 

 ダンゴロが「怯んだ」その刹那、ハーデリアの牙がダンゴロを襲う。反撃をしようと藻掻くも、たまの「怯み」がそうはさせてくれない。

 防御力が高いダンゴロでも、限界はある。ハーデリアのラッシュが体力を0にするのも時間の問題だ。

 オレに出来るのは祈るしかない。あと1回、ハーデリアを倒すきっかけをダンゴロが作ってくれるのを。

 

『……そこだ!』

 

「怯み」と「怯み」の間、僅かに空いたその空白にダンゴロの一手が決まる。

 反撃を貰ったハーデリアはアロエの指示で間を取り、ダンゴロは残り体力ギリギリで何とか窮地を脱した。

 

『よし、お疲れ様ダンゴロ。ナイス"いわくだき"だったよ。』

 

 ダンゴロをボールに引っ込め、次に出すポケモンはもちろん────

 

『今がその時だイーブイ!暴れて来い!』

 

 再度姿を現すオレの最初の相棒イーブイ。

「次は仕留める」とでも言いたげなその表情(カオ)はハンターのそれだ。

 ギラつく目をしているバトルジャンキー(イーブイ)は、オレの指示を受けるまでもなく最速の脚でハーデリアに勝負を挑む。

 

『また来たね茶色のアンタ!ハーデリア"とっしん"で返り討ちにしてやんな!』

 

 2度目のかち合い。激突する尻尾と体は、しかしイーブイが優勢に見える。

 理由はダンゴロの"いわくだき"がもたらした防御ダウンである。それが2ランク重なれば、ハーデリアに攻めの面で劣るイーブイでも、貫くに足る矛を得れる。

 

『全部出し切れイーブイ!"おんがえし"!』

 

 小さい体からはとてもじゃないが想像できない、大きな鳴き声が地下のフィールドに響く。

 それに共鳴し、オレとイーブイの間にある()も強く、大きく、眩く輝きを放つ。

 

「何か」が吹き飛ばされ、壁に打ち付けられる。

 "とっしん"の自傷ダメージの蓄積、防御が2段階も下がった状態での"てきおうりょく"が乗った"おんがえし"最大威力、ハーデリアの体力が底を突くのは当然と言えた。

 

 駆け寄ってきたイーブイを撫でつつ、最後の衝突を振り返る。

 疑いなんてものは微塵もなかった。コイツは必ず期待には応えてくれると、オレは知っているから。

 ─────あの時(・・・)と、同じように。

 

『( ん…? あの時……って何だ……?)』

 

 知っていて、知らない。

 そうとしか言えないオレの脳を過ぎ去った思い出は、懐古感をオレに与えて消えていった。

 

『……ま、考えて思い出す訳でもなし。ありがとうイーブイ、戻って休んでてな。』

 

 満足気に勝利に浸るイーブイをボールに戻す。

 またボールが震えるが、それはきっと喜びによるものなのだろう。

 深呼吸して、不必要な"過去"への想いを心の奥底に押し込んでジム戦に戻る。

 

『やるねショウ、正直ビックリだよ。アララギ博士の息子だからさぞかし堅い戦術でくるかと思えば……父親に似たねアンタ。』

 

『似てるのか……うーん……嬉しいような嬉しくないような……』

 

 影響を受けて「習うより慣れろ」を地で行くのが染み付いたのは否定出来ない。

 それは認めるが、あの自由奔放が人の形を成している様な人と"似ている"と言われるのは複雑な気分である。

 

 モヤッとした気分をボールスローと共に投げ捨て、唯一オレのパーティで進化を果たしているフタチマルでジムリーダーのエースと対峙する。

 アロエの切り札、ミルホッグはミネズミが進化したポケモンだ。体が大きくなった以外は差程変化はないように見えるが、暗闇でも見透す視力と体の模様を発光させることができる。

 

『ここからが本番だよ!"フラッシュ"!』

 

『うわっ…!? ……フタチマル警戒は怠らないで!』

 

 視界が光に埋め尽くされ、フィールドが視認出来ない。オレの想像を超える眩しさに、腕が自然と目を隠す。

 

 ズゴシャッ、と鈍い音がした。

 地に伏せる音がした。

 

 光が止み、フィールドで何が起きたかを確認し────オレは言葉を失った。

 審判がオレの側の旗を上げる。旗が意味するのは戦闘不能(・・・・)、フタチマルの体力が尽きた(・・・・・・)ことを表している。

 意識は常にしていた。絶対に受けてはならない技と、事前に対策も考えていた。────その上でくらってしまったのなら、それはオレの詰めが甘いだけだ。

 "かたきうち"、味方が倒れた直後に使うと威力が2倍になる"ノーマル"タイプの技。進化後のミルホッグが使えば、先のイーブイが使った最大威力の"おんがえし"を上回る威力になる。例え進化して耐久力が上がったフタチマルでも、まともに受ければ「ひんし」は必至だった。

 

 ふぅ、と短く息を吐く。

 落ち込まない、下を見ない、現実を受け止める。徹底して幼少期から心掛けてきた(・・・・・・)言わば鉄則だ。苦戦するのも負けるのも有り得る話だ、相手はジムリーダーなのだから。

 

 一言、「ゴメン」と呟きフタチマルを下げる。

 手を掛けたのはクイックボール。いつも頼ってばかりで負担を掛けがちだが、その負担すら跳ね除けるのがコイツの強みとも言える。

 

『ココドラ、頼んだよ。』

 

 タイプではダンゴロよりも強く出れる、オレの2番目のポケモンココドラ。普段の"のんき"な顔からは一転、バトルではやけにキリッとしている。やる時はやるタイプなのだろうか。

 

『"てっぺき"』

 

 最初に出た指示はやたらか細い声だった。フタチマルの一撃K.Oを引きずっている紛れもない証拠だ。鉄則を心掛けて14年経っても、オレにはまだ守るのは無理らしい。

 そんなオレを意にも介さずにしてくれて、黙々と"てっぺき"を掛けるココドラ。この"のんき"さが今のオレにはありがたい。

 

『"かみくだき"なミルホッグ!』

 

 "かみつく"よりも威力が高い"かみくだく"。

 生半可な防御は砕かれる程の咬合力で、ココドラの顔面に喰らいつく。

 しかし当のココドラは全く動じず、邪魔なものを退かすように頭に"付いた異物"を払い除ける。

 

『硬いねえ!それを"てっぺき"でぐーんと高めるんだからたまったもんじゃないよ!』

 

『硬さで甘えてたら"はがね"タイプの名折れ、ですからね!』

 

 ヒュウと口笛を鳴らし、ココドラの硬さに感嘆する。

 さて、タイプ相性のゴリ押しで優勢なのはオレだ。

 "てっぺき"で限界まで防御力を高めれば、如何にジムリーダーの切り札と言えどココドラの硬いヨロイを突破するのは、急所にでも当たらない限り不可能と言っていい。

 

『なら眠ってもらおうかねえ!"さいみんじゅつ"で!』

 

『対策済みですよ……! "すなあらし"!』

 

 "さいみんじゅつ"は精神に作用する技。その侵入経路は「穴」だ。

 目、耳、鼻、口等、「ねむり」状態にしてくる技の大半は、どこかの感覚器官を惑わせ眠りに誘ってくる。

 "さいみんじゅつ"なら目、もしくは耳。これの対策として覚えさせてきたのが"すなあらし"。吹き荒ぶ風の音と視界を不明瞭にする砂塵は"さいみんじゅつ"を上手く掻き消すことが可能となる。

 オマケに砂塵はミルホッグの体力を少しずつ削っていき、対してココドラは"はがね"、"いわ"タイプを持つため砂塵などこれっぽっちも効きやしない。

 

『からの"がんせきふうじ"!』

 

 次いで降り注ぐ岩石の雨。

 命中こそしないものの、サンヨウの時と同じく徐々に檻を形成していく。

 こうなっては完全にココドラのペースだ。退路を断ち強制的に1VS1(サシ)に持ち込めば、物理型のポケモンには大方勝てる。

 

『"フラッシュ"で隙を作りなミルホッグ!』

 

『させない!"メタルクロー"!』

 

 極僅かに初速が速かったのはココドラ。

 銀色に光る爪がミルホッグを裂く。手応えが良かったのかココドラがじっと爪を見ているが、恐らく追加効果の攻撃上昇が出たのだろう。

 よろめきながらミルホッグが後退するも、岩石に阻まれココドラの攻撃範囲内からは逃れられない。

 

『終わりにしようココドラ!"いわくだき"!』

 

 "いわくだき"を使えるのはダンゴロだけではない。ココドラにもまた、シッポウジム対策に覚えさせていたのだ。

 効果抜群、攻撃1段階上昇が乗った一撃がミルホッグの体力を奪い去る。直前までの"すなあらし"による少量のダメージもここで活き、遂にミルホッグが倒れた。

 

 今度は審判がジムリーダー側の旗を上げる。

 ミルホッグの戦闘不能、すなわちオレの勝利を示したその旗を見て、無意識に小さくガッツポーズをしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 3日目にもなるこの部屋も明日にはおさらば、そう考えると寂しい気もするポケモンセンターの一室にて、オレは一人考えていた。

 反省点は多く、満足のいく結果でもなく、しかしこの手には「ベーシックバッジ」がある。今はこれでいい、と自分自身を言い聞かせたが、どこか腑に落ちない。

 2つのジムを攻略して、何となくだが分かったのはパートナーのポケモンの戦い方。

 イーブイは接近戦主体の攻撃型、ココドラは盤面を整えてから動く晩成型、フタチマルはあらゆる局面に柔軟に対応出来る万能型、ダンゴロは攻撃を受けてから転じて攻める反撃型。想像通りの育ち方をしてくれているせいか、戦いやすさは感じている。

 が、アロエのミルホッグのような"かたきうち"の超威力の押し付けになると基礎能力では1番上を行くフタチマルでさえ耐えられないのだ。タイプで有利なココドラでもそれ相応の痛手は貰っていただろう。

 となると必要になるのは基礎能力の上昇、要するに「進化」である。

「進化」というワードで、特にどうするか考えなければならないのは、

 

『(やっぱお前だよ、イーブイ。)』

 

 チラッと寝落ちしかけているイーブイに目をやり、3秒後にコテンと寝たあざとさに不覚にもキュンとしてしまう。

 そんな事はどうでも良くて、オレとしてはイーブイが成りたい姿になって欲しいし、こう成れと強要する気もない。まあ性格上、イーブイが成りたいと思うのは7通りから3通りにまでは絞れるのだが。

 

『ふぁ……あ。明日はヒウンまで行けるかな……っと。ねみ、寝よ。』

 

 消灯して床に就く。ドッコラー達の音はもう聞こえず、安眠出来そうだと内心微笑む。

 バッジケースの中にある「ベーシックバッジ」を見て、結局嬉しくなりながらオレは夢の世界へと意識を落とした。

 

 

 

 

 




UAが4桁になってました。ありがとうございます、拙い物語ですが読んでくれて嬉しいです。飽きるまでよろしくお願いいたします。

※めっちゃ今更なんですけど、イーブイが"スピードスター"を使える理由は五世代では覚えなくても八世代ではレベルアップで覚えるからです。これからもこんな感じなのでご了承ください。

ダクソのやり過ぎで投稿遅れた? え?
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