インキャソロハンター   作:カルガモ大将

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ガンナーのふしぎを文章にしてたらなんかできた。
続くかは知らん。


1 村が滅ぶのはありふれてるって話

「轟竜ティガレックスを倒し」

 

「誰一人欠けることなく」

 

「無事、生還したことに」

 

「「「乾杯!」」」

 

彼らの声に合わせ、静寂を保っていた集会所の面々が同じように『乾杯』と叫ぶ。

上位のハンター、それもハンターランク7への昇格ともなれば、誰か一人欠ける事は少なく無い。4人のパーティでそれなのだから、3人で生還してきた彼らの腕は良いのであろう。

 

今呑んだくれている面々にとっては『昼から酒を飲む理由が出来た』程度の認識なのだろうが。

集会所の外まで聞こえるどんちゃん騒ぎ。酒が進めばツマミも進む。受付嬢の一人が「今日はもう仕事にならないわね」と言えば、カウンターから離れて片手にジョッキを手にする。

給仕達の「助けてくださいよー!」という声を無視した軽やかな足運び。

 

「また貧乏くじを引いてしまったわね」

 

一人ぽつんとカウンターに残る上位の受付嬢。不満げに言うが、子供のようにはしゃぐ面々に対する眼差しは優しかった。

 

「さて、これで君たちは晴れてハンターランクが7、つまりは上位でも一握りの領域に入った訳だが」

 

ギルドマスターが今回の主役に話しかけようとするも、喧騒に掻き消されて届いていなかった。

背中を丸めて退散する姿には、同情するしかない。

 

おいなんでこっち向いた。

おいバカこっち来るな。

俺は隅っこで静かにしていたいんだよ。

大体なんで俺のところに来るんだよ他にも行くところあるだろ。

 

「やあ、私は騒がしいところが苦手でね。失礼するよ」

 

「ここいいかな?」ぐらいは欲しかったけど上司だから言う必要ないんだよなあ。で、なんの用ですかね。

 

「君はいつもお酒を飲まないね」

 

「……手元が狂いますから」

 

それに、身体が鈍るし、支障が出たらいけないからね。

 

「それにしても、いつ見ても器用にやるねえ」

 

ギルマスが俺の作業を見てそう呟く。

俺は今、ボウガンの弾を作っている。ボウガンの弾はギルドが売っているものもあるが、狩場に出てしまえば調合するしかない。その調合素材といえば『カラの実』だとか、『ツラヌキの実』だとかが有名だろう。実際、ギルドで売られているボウガンの弾もそうだ。だが、それが通用するのは下位までだ。

 

上位クラスのモンスターが相手では、弾がまったく効かない。

上位用の弾も勿論売ってはいるが、それなりの値段がする。パーティだと収入に対する支出が噛み合わない。だからガンナーは「金食い虫」と呼ばれるのだ。

4人パーティだと剣士に当てないよう気を使う必要がある。だから攻撃が中々出来ない。そして、防具の耐久性が低い為、ヘイトが向けば全力で逃げるしかない。逃げたら逃げたで剣士が攻撃をしにくくなる。だからガンナーは嫌われている。

 

「今回は何の素材を使っているんだい?」

 

「……轟竜の牙です」

 

こいつの牙は凄まじい。おそらく、肉質が25程度の場所では通常弾として機能し、それ以上の柔らかい部分では貫通弾として機能する。俺が最も愛用している、汎用性の高い弾だ。まあ、作るの大変だから愛用というよりは信頼の方が表現は適切かもしれん。

 

「ほう、轟竜か、奇遇だね。あのパーティも轟竜を倒してハンターランクが上がったんだよ」

 

「……知っています」

 

チラチラ横目で確認していたからな。2人の女の子に囲まれてるとかけしからんわい。どうせあれだろ? 狩りの後の生存本能がガンガンに刺激された火照った身体を鎮めるべく3Pしてんだろ? 男女混合パーティが出来ちゃった婚をするのは冗談としてよくある。まあそんな事ない様に、男女混合パーティのハンターは基本的にフルフルだとかゲリョスの素材でできた避妊具を持ち歩いてるらしいけど。なんかマナー的な話らしい。

 

「君も、パーティを作ったらどうだい?」

 

「……はい」

 

いや、俺も好きでソロやってる訳じゃないんですよ。ただ、ほら、ね? 現代人の感覚とモンハンワールドの感覚がズレてますから、こう、ね? 折り合いをつけられない、譲れない点があったりなかったりするもんですから。ほら、転生者だからいつ変なこと言うかわかんないからそれが心配でして。ミラボレアスとかの禁忌モンスターとか口走ったら確実に口止めされちゃいますし。あとほらやっぱり一人の方が気楽ですから。ボウガン使いなんてあんまりいないですし、そもそも野郎と組みたいとは思わないけど女の子と組んでもまともに会話できる気がしませんしでも出来ればかわいい女の子と組みたいなーとは思いますが可愛い女の子はあのパーティみたいに顔のいい奴とパーティ組むことがほとんどですし後は幼馴染で一緒にハンターなりましたみたいな子とか、可愛いけど性格最悪とか、可愛いから絶対村で男食いまくってる様なやつ(偏見)だからやっぱり男と組むべきだけど絶対くさいから嫌だけどやっぱり女の子の方がいいなあ。

 

「君がパーティを組んでくれたら、大きな所でG級を受ける為の試験の推薦なんかを出そうとは思っているんだけどねえ」

 

グッと一息に飲み干し、空の器に再び注いでは俺の横に置いてあるツマミに手を出す。

 

おい、デルクスのヒレ食うな。調達するのがスゲエ面倒なんだぞ。

 

「君もさあ、パーティ、組みたいんでしょ?」

 

……べ、べつに、一人の方が気楽でいいし。

 

「今君がパーティを組むとして、どんな子だったら嬉しい?」

 

またこの質問だ。

このヒトは、しつこく俺に尋ねてくる。

 

「……わかりません」

 

だから俺は、うんうん唸って、結局こう答える。

組むならきっと、ガンナーの方が相性がいい。でも、ガンナーは数が少ない。いたとしても大概バケモノみたいな奴で、俺みたいな普通の奴と組んでもメリットはない。バケモノクラスじゃない奴はどうなのかと言えば、多くは初心者で、中級になる頃にはボウガンを諦めているか、人知れず姿を消すかのどちらかだ。やはり金。

剣士ならどうか。タンクとして任せることが出来るという点は大きなメリットだ。だが、運が悪ければ貫通弾が当たるかもしれないし、普通に誤射する可能性もある。あと、ガンナーに対する偏見が辛い。ガンナーってだけで帰ってママのおっぱいでも吸ってなって下位のハンターにもバカにされる始末。俺だってなあ! 帰ってゆるふわ系のおっぱい大きいママにオギャりてえよ!

 

「まあ、とにかく、考えてお」

 

「助けて欲しいニャ!」

 

集会所の入り口から、小さな影が大きな声と共に飛び込んできた。

一瞬で空気が静まり返り、幾つもの眼が闖入者に対して向けられる。

 

「どうされましたか」

 

カウンターで待機していた受付嬢が紙とペンを片手に駆け寄り、目の前で屈んで視線を合わせた。

 

「村が、村が危ないニャ! 早くハンターさんを呼んでこいって!」

 

泥や葉っぱが身体中に引っ付いたまま、プケプケ装備のアイルーが叫ぶ。

 

「何があったのですか」

 

「オイラ、見たんだニャ! クルルヤックが卵を抱えながら、全力で逃げてたんだニャ!」

 

「クルルヤックが、ですか」

 

クルルヤック程度であれば、村に駐在しているハンターでどうにかなるだろう。だが、まだ続きがありそうだ。

 

「でも、そのクルルヤックを追って、蒼いリオレウスが来てたんだニャ!」

 

うわ。運が悪いというか、命知らずなクルルヤックと言うべきか。リオレイアならまだしもリオレウスとは。

 

「……では、『クルルヤック及びリオレウス亜種の撃退、あるいは討伐』ということですね」

 

クルルヤックが卵を抱えたまま村の辺りまで来てしまえば、怒り狂ったリオレウスによる被害が村に出てしまうかもしれない。それを回避するにはクルルヤックの足を止めさせるしかないのだが、止めさせたところでリオレウスに狙われる危険性もある。つまり、そういうことなのだろう。

 

「ご主人を、村を助けて欲しいニャ!」

 

リオレウス亜種は、下位には存在しない。

 

「じゃ、頼めるかな」

 

正面に座ったギルマスが確認を取る。

 

「分かりました。すぐに準備してきます」

 

 

 

 

 

 

回復薬に、回復薬G、調合分、漢方薬に解毒薬、アオキノコ、苦虫、解毒草、閃光玉に調合分、音爆弾、こやし玉、罠と調合分に、麻酔玉、ペイントボール、千里眼の薬。

持てるものは全部持った。

 

だが、俺が辿り着いた頃にはもう遅かった。村は半壊し、火が燃え広がり、逃げ惑う人々の姿と、暴れ回るリオレウス亜種が待っていた。解毒薬の類を近くの村人に渡し、リオレウス亜種を村から離れた位置へと誘導。徹甲榴弾と閃光玉、罠を活用する事で素早く捕獲したが、戻ってきた頃には更に状況が悪化していた。

卵を食べることができなかった腹いせなのか、隠れていたのであろうクルルヤックが村人達に襲い掛かっていた。此方も村の外へと誘導し、手早く捕獲したが、意味はないのだ。

 

 

 

村は崩壊。死傷者多数。解毒薬が間に合わずに毒死した者も多い。

いずれこの騒ぎを聞きつけて、もしくは舞い上がる煙を気にして、またモンスターが来るかもしれない。

 

「もっと早くに来ていれば」「あの駐在していたハンターではなく優秀な者であれば」「そもそもあのアイルーが遅かったから」「ボウガンなんてものを使っているハンターだったから」「剣士だったらきっと」「最近よく聞くあの3人組のハンターだったら」

 

「お前のせいだ」「お前がもっと早ければ」「お前がボウガンなんてものを使っていなければ」

 

村が滅ぶなんて、モンハンワールドではよくある事。

こんな風に自分たちの事を棚に上げて罵るのもよくあること。

ガンナーってだけで罵られるのもよくある事。

 

「あの時剣士が来ていれば、ご主人様が死ぬ事なんて無かったニャ!」

 

ガンナーがなんて呼ばれてっか知ってるか?

 

「この、役立たずの金食い虫が!」

 

俺の依頼はクルルヤックとリオレウス亜種の討伐。

村を救えなくても、村が崩壊していても、村人達は金を払わないといけないのだ。

そして、俺の仕事はここまで。彼らがどこへ逃げるのか、それともここで夜を明かすのかは自由だ。

彼らを護衛する必要性は、俺にはない。

 

 

 

 

 

 

日も暮れて、月明かりのおかげでどうにか動ける程度の夜。俺は村が見える程度に離れた、見晴らしのいい場所で食事をとっていた。食事と言っても、塩漬けにされたリオレウスの尻尾を元気ドリンコで流し込む程度のものだが。

 

樹上というのは、休むには比較的マシな場所である。ハンモックを吊るしてやるだけで簡単に足場兼休憩の為のスペースに早変わりだ。

 

夜というのは、行動をするのに向いていない。調合などをするにも暗くて手元が見えない為危険だ。薬草などの採取をするにも、暗くてよくわからない為不向きだ。火を焚けば夜行性のモンスターが寄ってくる可能性があり、ナルガクルガを相手にするには最悪な時間だ。

 

ただじっと、夜が明けるまで耐えるしかないのだ。

村はここから見るに、薄く明るい。焚き火をしているのだろうか。モンスターがちょっかいをかけに行かなければ良いのだが。

 

ハチミツとアオキノコを混ぜたホットドリンクを流し込み、体を温める。

うん。飲みやすくて実用性に耐えうるホットドリンクだ。

 

 

 

──ォォォォォォォォ

 

 

 

「ッ!」

 

遠くから唸り声。こんな時間に叫ぶやつは誰だ。ナルガクルガのものではない。夜行性のモンスターか、昼夜問わず動く奴か。

千里眼の薬を一息に飲み込み、目を閉じ、意識を集中させる。

 

「うっそだろ」

 

あの村かよ。

 

 

 

 

 

 

暴食の恐竜がやってくる。

 

「に、逃げあぎゃ」

 

健啖の悪魔がやってくる。

 

「ひっ、ひあ、あっ、あひっ!」

 

腰を抜かした者から口の中に放り込まれる。

パリポリぐちゃぐちゃごっくん。

 

「うわあああああ!」

 

「だ、だれか! たすげぁぎ」

 

涎をダラダラ垂らしながら、ホイホイと口に放り込む。

でも足りない。

 

──オオオオオオオオオオオ!!!

 

この空腹は満たされない。

瞳をギョロギョロ動かしても、肉付きのいい餌は居ない。

ふらふらしている餌をまた口へ運ぶ。

満たされない。

いつになったら満たされるのだ。

 

──ッ!?

 

強烈な悪臭が顔を襲う。

なんだ。何をされた。誰だ。

 

「こっちだ!」

 

お前か。

 

お前がやったのか!

 

──オオオオオオオオオオ!!!!!

 

咆哮に呼応し、全身の筋肉が膨張する。古傷がパックリと開き、ジワジワと激痛が体を蝕む。

お前だけは許さん。

 

 

 

 

 

 

流石にジョーと戦うことは想定してない。

貫通弾との相性は悪くはないと信じている。でもそれなりに貫通弾使っちゃったから、弾が心許ないんだよなあ。うんこで帰ってくれよなあ頼むよ。

 

「こっちだ!」

 

村の外に誘き出そうとするが、動くのが速いから誘き出すと言うよりは、ただただ逃げているだけだ。

向こうはただ歩いているだけで、こっちはほぼ全力に近い状態で走っている。歩幅の差は大きい。

 

イビルジョー対策はどうしようか。

罠はない。罠肉の類もない。

さてどうする。本当にどうする?

 

取り敢えず閃光玉で場を整えよう。

 

真下に閃光玉を叩きつけ、目をやられない様腕で覆いながら走り続ける。

 

カッと光ると同時に後ろから唸り声がしたから、効いているはずだ。

 

振り返り、貫通水冷弾を頭に叩き込む。

イビルジョーの肉質は前脚以外はどこも似たり寄ったりだ。だから、属性弾を使う。

 

目が効かず、うんこで鼻も死んでいる為、イビルジョーは暴れるしかできない。こうなるともう、まともに狙うよりは狙いやすい胴体を狙った方がいい。

連射できる貫通水冷弾を2回リロードするだけ撃つとイビルジョーがこちらを振り向いた。

 

「もう終わりか」

 

ミツネ砲を背負い、再び追いかけっこを始める。

たぶん、これならギリギリどうにかなるって方法が一個だけある。

うまくいくかは分からないが、上手くいかなきゃ死ぬだけなのだから、やるしかない。

 

再び閃光玉を真下に投げ、目元を覆って防ぐ。

唸り声が聞こえたから効いているはずだ。

 

振り返り、距離をとってバックパックからリオレウスの塩漬け肉と捕獲用麻酔玉、紐を取り出す。

 

簡易罠肉をここで作る。

リオレウスの塩漬け肉で麻酔弾を挟み、紐でグルグル縛って塊とする。これで麻酔玉を2個消費。

もう一個作って2個消費。これで麻酔玉はなくなった。

 

今度はその場で閃光玉を真下に投げ、イビルジョーの足止めを延長する。

 

念のために持ってきていた麻酔弾4発を挟むのを2つ作り、これで4つの罠肉だ。頼むから寝てくれ。

 

こちらに大口を開けて威嚇したタイミングで1つ投げつける。

 

「やべ」

 

口の中に入らなかったわ。

 

だがイビルジョーは肉だと分かったのか、地面に落ちた肉を食べ始めた。

 

「全部食ってはよ寝ろ!」

 

残りも投げつけ、全力でその場から離れる。

追ってくる気配はない。

ある程度距離を稼げたであろうと判断したところで、振り返る。

 

眠っていた。

 

 

 

「……つかれた」

 

 

 

 

 

 

夜が明けたタイミングで、ギルドからの竜車がやって来た。村人達は皆、それに乗った。残る者は居なかった。

 




レウスとクルルヤック捕獲

夕方ギルドが回収に来る。村人が乗る為の竜者は無い。
クルルヤックがいなければ乗れたけど。
そもそもクルルヤックまで相手することになるのは予想外。普通どっかに逃げると思うやろ。なんで村襲ってんのよ。

死者の埋葬や、金品をかき集めたりで夜になってしまう

ゴーヤ

ギルドが村人達に仕事の斡旋も兼ねて来る

おそらく、ギルドが運営してる農場で働いて、回復薬作ったりするんじゃ無い? 村が滅んだら行くところないし、それなら回収して働かせた方がいい。
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