インキャソロハンター   作:カルガモ大将

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下位・上位の話を書き足りない。
モンハン二次ふえろ。



16 旧大陸式壁ドン

 

 

 クエストに行き、帰ってくればボウガンの弾を作る。ボウガンの弾を作りながら、後輩であるハンターへボウガンの指導を行う。二ヶ月が経った頃、ようやく、後輩がボウガンの扱いに慣れ始めた。

 だが、G級ハンターを遊ばせておく余裕はハンターズギルドには無い。所属の問題で面倒な点はあるが、ロックラック所属の龍歴院ハンター、という見方が強い現状、龍歴院から出される依頼を受ける方が優先度は高い。とは言え、龍歴院は獰猛化個体の調査が主なので、他の地域のハンターズギルドの依頼はオマケ扱いで出しているようなものだ。龍歴院としてはG級の獰猛化個体は流石にG級のランク1相手に任せていいような相手ではない為、上位のイビルジョー等の元々危険度の高いモンスターの獰猛化個体の対処を任せることが多い。

G級のランク1であることが幸いなのか不幸なのかは分からないが、まだしばらくの間はロックラックから離れる必要性は無かった。流石に半年も離れていればチーボ村のギルマスから『早く戻って来いよ。さもないとどうなるか分かるよな?』と言った旨の書簡が届けられるだろう。

ややこしい話だが、ロックラック所属のハンターとは言え、チーボ村の常駐ハンター(の、ようなものである)為、その書簡さえ届けば胸を張ってチーボ村に戻ることができる。ただし、毎日の様にモンスターと戦うことになるが。

 

 採取ツアーで金を稼ぎ、ある程度貯まれば訓練所で一日を潰す。そんな生活を二ヶ月させても『慣れた』程度。あと一ヶ月もすれば、ギルマスから書簡が届く可能性が高い。

 

 チーボ村の常駐ハンターの為、戻ってこいと言われれば戻らなければならないが、村よりもロックラックの方が権力は高い為、確執が残る可能性がある。難しい問題だ。どうしてこんなことをふと考えてしまったのだろうと、自分を責める。

 

 あと一ヶ月で狩場でドスジャギィやロアルドロス程度は狩れるようになって貰わなければ、ロックラック側としては困るだろう。

かと言って、三ヶ月でそこまで持っていけばこれからも指導を任される可能性がある。つまり、ギリギリを攻めなければならない。

 いっそのこと、自分が指導したときは大型モンスターを相手にするのは無理そうだったが、どうやら成長したらしいとかなんとかぬかして、最初から大型モンスターを狩れるぐらいにしておくという手もある。ただし後輩の伸び率による。

 

 いやどう考えても無理だろう。この調子だと、大型モンスターと戦える様になるまで半年はかかる。

 

 武器のメンテに出す為にロックラックに来た時、ついでで顔を見せる。それがいい。あくまでついで。オマケ扱いだ。特別扱いはダメだからな。あくまで「ついでなんですよー」ってスタンスでやらねばな。

 

 

 

 

 

 

 調査からしばらく経つ。あのボウガン使いは日常生活で不審な態度を見せない。調査報告書に書いてあったような、『相手がエネルギーを溜めている最中に味方をも殺すつもりで竜の墓場の天井である地盤を落とす事でオストガロアを仕留めた』存在と同一人物とは思えない。

 調査対象は、間違いなくヒトとしての枠組みから離れている。オストガロアという未知の存在相手に、穴だらけの伝承を頼りに一か八かどころか敗色濃厚な博打に全てを賭けて、パーティーを危機に陥れたにも関わらずのうのうとしている。その上パーティーメンバー達も怒ることなく、勝てたのだからヨシ、とでも思っているのか不満を出すことがない。

 ハッキリ言って、頭がおかしいとしか言えない。世界を救う為の戦いであるわけではない。無理ならば逃げるという手段もあった。むしろ、情報を最初からある程度持っている分、さらに詳しく深掘りした情報を持ち帰ってきてもらい、歴戦のG級ハンターにパーティーを組んでもらい対処させることや、全力で支援することもできたはずだ。なぜ、生き残る為に逃走ではなく賭けに出たのか。そもそも逃げるという手段は頭の中になかったのか。聞きたいことは山ほどある。

 過去にも何度か似たことをしている様だが、やはりG級ハンターの素質はあったということか。あるいは、ただの狂人がG級ハンターに至ってしまったのか。

 ボウガンの教えを請い、もう三ヶ月が経つ。流石に時間的な猶予は無いだろう。

 あと少しでいい。情報を集めておきたい。狂人か否か、それが分からないと監視の必要性の有無が判断できない。

 

 ギルドナイトたる彼女──今は新米ハンターとして身分を偽り例の調査対象に教えを請いている──は集会所の隅のいつもの席で待っていた。なお、ボウガンの腕が伸びなかったのは時間稼ぎでも何でもなく、ただ才能がないだけである。ギルドナイトとして致命的だが、他が優れている為ギルドには許されているが、今回こうして自分の才能の無さを改めて見せつけられ、プライドと心は大いに傷ついた。

 

 調査対象は『狩猟日』と『準備日』の二つしかない。『休息日』が存在しないのだ。狩猟から帰ってくればその日は当然時間的な問題で休みとなるが、次の日には集会所の隅でボウガンの弾を作っている。ギルド公式の規格ではない弾だ。今となっては廃れてしまった組み立て式ボウガンという珍しさもあるが、そもそも弾すらも自作というのはこれまた珍しい。使う素材も贅沢だ。轟竜の牙、迅竜の棘、飛竜の爪や牙、それらを使って弾を作る。ギルドの管轄の売店で販売している弾は主に骨が材料として扱われている。端材として余った部分を弾として加工しているのだ。しかし、そもそも端材ではない素材を弾へと変えて使用するハンターは、自分は見たことがない。そもそもガンナー、特にボウガン使いの数が少ない関係で情報が足りない。これがG級のボウガン使いとして普通なのか、私には判断がつかない。少なくとも私が知っているG級のボウガン使いは、ギルドの規格の物を使っていたはずだ。

 ギルドの規格の弾で狩猟ができることを考えると、このガンナーが態々弾を自作しているのは何故なのか。火力は確かに自作した方が上がるだろうが、そこまでする必要性はあるのか。ソロだから火力が必要ということなのか。

 そもそもなぜ、態々集会所にまで来て弾を自作しているのか。今は私に会う為、という理由があるから理解できるが、どうやら普段から集会所の隅で弾を自作しているらしいではないか。少なくとも調査報告書にはそう書いてあった。なぜなのか。自室で作ってはいけないのか。掃除するのが面倒なのか? それともつまみを食べながら作りたいだけなのか? なぜ周りからの視線を分かった上で、集会所にまで来て作るのだ? G級ハンター特有の貫禄、『圧』も感じ取れない。それでは舐められてしまうというのに。実際G級ハンターだと理解できていない上位なりたてのハンターにちょっかいをかけられていたし、本当に何故わざわざ嫌がらせを受けに集会所に来ているのだ? お前は一体何がしたいのだ? 本当にこれだからG級ハンターは嫌いなんだ。お前たちはなんなんだ。どうしてそう頭のおかしなことをする。理解できる範囲内で行動しろ。

 

 ギルドナイトも大概頭がおかしいというツッコミは無しである。

 

 

 

 

 

 

 

 夜明けからしばらくして、そのガンナーはやって来る。彼女の分析通りに。

 

「……調子はどうだ」

 

 夜明けと共に出発したハンター達。彼らが消えれば、集会所は再び静寂に包まれる。殆ど人のいない静かな集会所に、ガンナーの声が響く。

 

「才能がないとわかって、結構苦しんでますよ。あはは」

 

「……そうか」

 

 このガンナーはかなりの口下手だ。気の利いたことの一つも言えやしない。代わりに、下品な言動もしない。興味なさげに「そうか」と短くこぼすだけだ。

 

「あんまりにも才能がないので、パーティーを組もうかと思うぐらいですよ。やっぱり、嫌われ者って事は分かってるんですけれど、それでもソロよりは……」

 

 田舎から出てきた少女らしく、夢破れた者を演じてやる。これを見破るハンターはこれまで誰一人として居なかった。ギルドナイトである私の、私だけの、他のギルドナイトよりも昇華された私だけの技能。

 同僚からは『究極の人たらし』『人たらしを技術として昇華した業』とまで呼ばれたこの技能で、情報を絞り取れるだけ搾り取る。

 

「パーティー、か」

 

 お前が過去に一度もパーティーとして活動したことがないことは調べがついている。噂話としても有名だ。だからこそ、ここでお前の過去の話を聞き出し、行動原理を見極めさせてもらう。

 

「……パーティーは、臨時でしか組んだことがない」

 

 知っている。欲しいのはその先の情報だ。

 

「パーティーで戦う時の、助言ならできるだろう」

 

 ここでようやく調査対象が対面の席に腰を下ろす。そして、つまみと水を頼んだ。よし、成功だ。これは長話になる。間違いなく過去の話だ。

 

「まず、ガンナーは嫌われている」

 

「……ええ、そうですね」

 

「だから、同時狩猟のクエストを受けるといい」

 

「同時狩猟……ですか?」

 

 え? 何故に同時狩猟を?

 

「同時狩猟というのは、特定のモンスター一体の討伐ではなく、同時に二体が討伐対象となっているクエストだ。例えば、縄張り争いをするドスジャギィ二頭の同時狩猟なんかが有名だろうか」

 

「へー。でもどうして同時狩猟がいいんですか?」

 

「……これから話すのは、過去の経験になる」

 

 

 

▼◼️▼

 

 

 

「なあ、あんた、ちょっといいか?」

 

 久し振りにロックラックに帰ってきて、指定席となった隅っこでボウガンの弾を自作していたら、明らかに自分に対して声をかけられた。顔を上げれば、見覚えのある男だった。こいつはたしか、男2人女2人、大剣、太刀、ライトボウガン、ハンマーの四人パーティーだったはず。どうしてパーティーリーダーのこいつが俺に対して声かけを?

 

 

「なあ、あんた。使ってる武器はライトボウガンだよな?」

 

 身につけている防具は……リオレウスのものか。

 

「……ああ」

 

 対して俺が身につけているのはラギアクルスの防具。ハンターランクは大体同じぐらいか?

 

「よかった。今うちのガンナーが武器のメンテに出しているんだが、長引いていてな。クエストは先に受けてたからキャンセルができないんだ。本当ならメンテ終了と同時にクエストに向かう予定だったんだ」

 

「……ああ」

 

「だから頼む。一緒にクエストに行ってくれないか?」

 

 えー。

 

「……対象は?」

 

「ディアブロス二頭の同時狩猟だ。どうだ、引き受けてくれるか?」

 

 うーん。まあ負担が減ると思えば、いいか。

 

「……準備してくる」

 

「そうか! 来てくれるか! いやあ助かる!」

 

 そんな大声出すなって。

 

「ああ、そうだ。初めて一緒にクエストに行く訳だから、恐らく連携は取れない。だから、一頭はこっちで引き受けるから、もう一頭はそっちに任せてもいいか?」

 

 思い出したかの様に語り始めれば、一頭はこちらに丸投げしたいらしい。えー。楽できないじゃん。サボりたいよ。

 

「……ああ」

 

 でもまあ、ソロの方がやりやすいのは確かだ。

 

「そうか、それは助かる!」

 

 なに、悪意には悪意で返すだけだとも。

 

 

 

 

 

 

 ディアブロス。危険度の高いモンスター。突進をまともに喰らえばまず間違いなく死ぬ。尻尾の振り回しでも全身の骨が砕ける。そんなモンスターの二頭同時狩猟。当然難易度は高いが、二手に分かれる以上、人数の多い方が有利なのは常識的に考えればわかる事だった。

 

「角壊した! 目眩も起こしてるから今のうちに!」

 

「わかってる!」

 

「畳み掛けろ!」

 

 ハンマーの女がディアブロスの角を砕き、目眩を起こさせた。大剣の男が尻尾を切ろうとし、太刀の男は腹を切り裂く。連携の取れているいいパーティーだ。

 が、しかし、武器を扱う技量と火力は足りていない。

 

──◼️◼️◼️◼️◼️◼️!!!!!

 

 目眩から立ち直った片角のディアブロスが、怒りのあまり大気を揺らすほどの咆哮を放つ。三人とも思わず耳を塞ぐが、それでも体内まで揺らす程の振動に耐えられず、膝が震え、平衡感覚もおかしくなっている。

 ぼやけてぐらつく世界。ディアブロスがハンターの方に振り向く。そうして、身構えた。弓を引き絞る様に身体にグッと力を入れ、血管が隆起して怒りと相待って更に全身が紅く染まる。そうして、矢は放たれた。

 砂の海を走る。地響きを起こしながら走るディアブロス。しかし、至近距離にいたとは言えここまで生き残ってきただけあって、ハンター達はしっかりと突進を避けた。

 ディアブロスの突進はそう簡単には止まらない。暫く走ってから、ようやく止まり、振り返り、再び猛スピードでハンター達目がけて突進する。

 

「壁だ! 壁際だ!」

 

 ディアブロスといえば壁である。壁に角が刺さる様に行動を誘発するのはハンターにとって常識である。突進から逃げながら、壁、ディアブロスの角が刺さるような場所へとじわりじわりと移動していくハンター達。

 しかし、突進以外にもディアブロスには代表的な行動がある。

 

「なっ!? まずい! 散開!」

 

 地中潜航。そして、地中からの突き上げ。ディアブロスは音に反応する為、走って逃げていれば当然その音を頼りに追跡してくる。まとまって行動していると、全員がやられる可能性がある。リスク分散のためバラバラになって行動する。そうして相手の猛攻をいなすも、走り回るせいで体力は削られている。

 

「クソッ。計算違いか」

 

 いつもなら、ライトボウガンがサポートをしていた。そのサポートがないだけでこんなにも戦いにくくなるのか。迂闊に音爆弾を投げて攻撃箇所の誘発も難しい。もしも投げた場所に仲間が入り込んでしまった時が危険だ。

 

 仲間と逃げる方向が被らない様に走り続けて居たからか、頭がすこしまわらなくなってきている。クーラードリンクを飲んだとはいえ、暑さも相まって集中力の低下からか、視界がだんだんと白くなっていっている。

 

「いや違うな」

 

 気のせいでも、集中力の低下でもなんでもない。

 

 地中からの飛び出し攻撃を終え、怒りがひと段落ついたディアブロスも異常を察知したのか、辺りをしきりに見渡している。だが、視界を奪う白は濃くなる一方だ。

 

──バババババ

 

 聞き慣れた、ボウガンが弾を放つ音だ。

 

 攻撃を避けるのに必死すぎて、あのガンナーの所まで来てしまったのか? いやまさか。流石にそんなはずはない。

 

──バババババ!

 

 さっきよりも音が近づいている。だが、音だけだ。あまり先は見えない。

 

──ドッドッドッドッ

 

 これは、ディアブロスの足音か? 突進している?

 

──キィィィィィィィンンンン!!!!!!

 

「ぐぅっ!?」

 

 すぐ近くで、音爆弾が鳴り響いた。まさか、地中に潜航しているやつの動きを誘発させるために!? ダメだ、ここから離れなければ。

 

 大剣使いが背を向け、その場から離れようと走り出す。

 

──バババババ!

 

 聴覚機能が鈍る中、それでも銃声が微かに聞こえた。

 

──ドゴォ!

 

 そして、強烈な鈍い音も。

 

(これが旧大陸の壁ドンじゃああああああああああ!!!!!)

 

 

 

▼◼️▼

 

 

 

「あの、どういうことですか?」

 

「……煙玉で視界を奪い、音爆弾で聴覚機能も奪う。それから攻撃する事で、攻撃が飛んできた方角目がけてディアブロスは攻撃をする」

 

「つまり、攻撃を誘発させた、ということですか?」

 

「そうだ。ディアブロスは怒りのあまり突撃。もう一頭のディアブロスの腹に角が突き刺さる。手負いだった為、その段階でディアブロスは斃れる。生き残った方も、もう体力が限界だから捕獲ができた」

 

「ええと、その、パーティーを組むときの助言というのは、いったい……」

 

「……無茶振りばかりされるから、こうして無茶を押し付けてやる方法も知った方がいい」

 

 やっぱりこいつ、危険人物だよな?

 

「ちなみに、こういった経験はどれくらい……」

 

「……相手がガンナーだからと侮っていたり、使い捨ての駒だと思っている時はほぼ毎回、だな。気をつけろ。ガンナーは生きていくのが難しい」

 

 歪んでしまった結果危険人物となったのか、最初から危険人物だったのかは分からないか。次は、ガンナーに対して好意的な者を送り込まなければこれ以上は情報が手に入らないだろう。

 

「ありがとうございました」




4のムービー見てたんだけど、バルバレって近くに湖(あるいは海)があって、近くに山もあるんだね。

あとなんか書こうと思ってたけど忘れた。
モチベ尽きたので面白いモンハン二次か新鮮なモンハン二次が来ない限り続きは書けないと思う。まあ半年もすれば流石に書くんじゃね? 知らんけど。
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