泥岩が見守りたいアカデミア 作:謎の豚
僕、緑谷出久にはおかしな友達がいる。
【オイオイマイフレンド出久。このままオメェが突っ込むとしたら多分死ぬ事になるぞ、それでもいいのか?】
出会いは僕が初めて絶望を知った時。でもその絶望を乗り換え、そして夢を諦められない理由をくれた友達。
「それでも行くよ、僕は後悔したく無いから」
素直じゃなくて性格はかなりの気分屋、いつもいつも我が儘を言って僕を困らせる。そんなやつだけど──―
【なら仕方ない。行くぞ、ヒーロー!】
「うん!」
──―ボクがヒーローになれると信じて疑わず、僕の背中を押すカッコイイ石の友達だ。
※※※
オラオラ、イケイケ! かっ飛ばせ親友!!
俺の視界に映るのは崩れた商店街、火災により悲鳴を上げる民間人にそれを助けるヒーロー達。そして正面にはヘドロのような奴が民間人……学生を人質に取って暴れている。いいねぇ、懐かしい絶望の香りがプンプンと匂う戦場だ。
あ、自己紹介が遅れたな。俺の名はシルト、転生者だ。前世では同僚や知り合いのカプを見守り……おい、今俺の事ストーカーだとかちょっとでも疑った奴は手を上げろ……よし、今手を上げた奴は今世で手に入れた良い岩を贈呈しよう。そう! 俺は見守る為にストーキングをしていたのだ! 。しかし、その途中にトラックに引かれそうになっている男同士と女同士のカプを発見。カプを見守りし行動力のあるHENTAIと自負している俺はすぐさまにその二組のカプをぶっ飛ばした。そして、気付いた時には新たなる生を受けていた。その世界も
【ホラホラ走れ親友! 瓦礫に足を取られたら死ぬぞ!】
「うぉおおお!」
そしてコイツの名前は俺の親友である緑谷出久。石となった俺の声を何故か聴く事ができる無個性でありながら強力な個性を持っている事が前提とされる職業、ヒーローに憧れる少年だ。出会いは偶然、友情必然。俺はコイツの抗う心意気、そして憧れへと手を伸ばし続けている心に惚れた。だからこそ俺はコイツをヒーローにしたいと本気と書いてマジで思っているだが……ほんとコイツはムチャばかりするぜぇ。
親友は真っすぐにヘドロに取り込まれつつある学生を救うべく全力疾走を続けている。何故無個性な親友がこんな危険を侵しているかと言うとコイツの正義感と罪悪感、そしてあの学生が一瞬見せた絶望に染まった表情が原因だ。
時は時間前。こいつは学校で幼馴染の爆発金髪こと爆豪勝己に絡まれ、そしてヒーローを目指す夢をバカにされていた。そしてその帰り道に俺は火の付いた熔岩石の様にキレていた。
【アイツ絶対ブチ〇す!】
「シルト、かっちゃんがボクをバカにするのはいつも道理なんだから機嫌直してよ」
【だが!】
あんな奴嫌な奴カプとしては見れない! さっさと親友に謝って消えちまえ! そんな感じで俺がプンプンと怒り沸騰中だったところ帰り道の途中であるトンネルに差し掛かった。いつも通り薄暗く、不気味。でもここを通らなければ帰れない道。そんな道を歩み始めようとしたその時、俺達は犯罪者、ヴィランに襲われた。
【親友!】
「フゴゴゴッ!」
今の俺は石だ。ただ、喋る事ができる石。だから親友を助ける事が俺には無理だ。こままむざむざとヴィランに親友がやられ絶望に染まっていたその時、ヒーローは現れる。
「もう大丈夫だ少年……」
「な、お前は!」
チラリと見えた姿は想定身長は2メートルはあるであろうか。筋肉質な体で金色の髪を靡かせながらマンホールの穴から飛び出すその人物。
No. 1ヒーローにして親友が憧れる、正義の使者、オールマイトだった。
その後気付くとヴィランはぶっ倒されていた。いや、正確にはオールマイトが発生させた気流の塊を砂肌で感じた時にはヴィランは倒されていたのだ。その瞬間は俺は見届けることが出来たのだが……ここで一つ問題が発生する。
【威力が強すぎてい、意識が……ッ】
余りの威力に石である体が耐え切れずに意識が朦朧と薄まっていた。この体は弱い。ある程度の衝撃だったら耐えられる強度はあるのだが、流石にパワー型の放つ攻撃の余波を食らって無事で済むほどに強くは出来ていない。結果、俺は意識を失ったのであった。
その後、目が覚めると親友の様子は一遍していたので驚いた。
【なぁ親友大丈夫か?】
「あ、シルト。目が覚めたんだね」
その後話を聞いてみると俺は怒った。何故、何故ヒーローの象徴にて皆の憧れであるオールマイト自身がヒーローになると言う夢を否定するのだと。
「でも、オールマイトの言ってる事も僕は理解できるんだ。無個性でヒーローはどうしても向いていないって……」
【出久……】
クソォ! 俺が個性を扱えていたら親友の道具なりなんなりなってヒーローへの夢を手助けできるってのに────今の俺では無力だ。
慰めたくても慰める事が出来ず、励ましたくても励ましの内容が上手く浮かんでこないために励ますこともできない。だから俺は何もすることが出来なかった。
そんな中、爆発音が聞こえる。
「……ッ! ヴィラン!」
【どんなヒーローが現場にいるんだ】
何時もの如く親友は足を進め現場へと向かおうとするが途中、足を止める。
そして浮かべる表情は絶望そのものであり俺と出会った時の暗い、俺の好きじゃない顔を浮かべていた。でも、俺はこれが転機だと直感する。
【親友】
「──―何、シルト」
【行こうか、現場に】
「ッ!」
俺は親友へと一言告げると足をゆっくりではあるがあの場所へと進んでくれる。そして現場に到着した俺と親友は見た。あのヴィランが暴れまわってる姿を。ヒーロー対策だろう、人質を盾に相手取っているという話を。これが現実これが戦場。親友が目指し憧れそして──―諦めかけているヒーローの現場。本来ならこのタイミングで見せることは悪手である事は俺も承知している。しかし、俺のカプ・センサーって名のつく第六感が囁いてるのさ、この場を見せる事によって何かが変わると。
絶望している親友は目にした。その取り込まれ、人質にされているのは学生で──―幼馴染の爆豪勝己だと言う状況を。そしてその変革はすぐに訪れる事となる。
「僕、行くよ」
親友はその光景を目にし瞳の色を変える。ハッハハ。帰って来やがった、俺の惚れこんだ親友が──―
【オイオイマイフレンド出久。このままオメェが突っ込むとしたら多分死ぬ事になるぞ、それでもいいのか?】
「それでも行くよ、僕は後悔したく無いから」
──―誰にでもバカにされ、そして届かないとわかっていてもその夢へと走り続けていた無個性である緑谷出久が──―
【なら仕方ない。行くぞ、ヒーロー!】
「うん!」
──―この場で一番ヒーローしている奴がッ!
出久は走り出した。ヴィランが暴れに暴れ散乱した瓦礫が散乱している道を踏み越え、まるで俺達の行く先を促しているかのように燃え続けている炎に囲まれながらヴィランへと走り続ける。
【敵はヘドロッ! 点での攻撃は通じず掴むことも不可能、だが明確な弱点】
【「目を潰すッ!」】
背負っていたリュックを敵へとぶつけて目つぶし慣行。流石は俺の親友だすぐに俺と同じ結論に至りやがったッ! やるなぁ、オイ!
投げたバックは予めチャックが開いていたらしく拡散弾のように放射状にヴィランへと降り注ぐ。だが、それによって確実に目は潰せた。
【今だ親友!】
「うん!」
目を潰した瞬間相手は怯み、爆豪が露出。
「かっちゃんッ!!」
出久は手を伸ばした。
「デク! なんで来た!」
それに対して爆豪は強い言葉で理由を正すが、そんなの決まっている。だって出久は──―
「君が、助けを求める顔をしてた」
────ヒーローなのだから。
「邪魔するなぁぁあああ!!!」
ヴィランは長くしならせた腕で親友を薙ぎ払おうとするがその瞬間、俺には見えていた。
「本当に情けない──―」
黄色の閃光が俺達の元へと駆けている姿を──
「オール、マイト」
【はっは、これがナンバーワンヒーローのカッコよさって奴かい】
────正義の光を瞳に宿す、カッコイイヒーローの姿を!
「君に諭しておいて────己が実践しないなんてッ!」
受け止めたヴィランの攻撃を有り余るパワーで振り払い、体内に取り込まれた爆豪の腕を左手で掴みそして──―
「プロはいつだって命懸け!」
吐血しながら右腕を引き拳を突き出したッ!
「
そしてその拳はヴィランと俺の意識を吹き飛ばし上昇気流を発生、この事件は収束したのであった。
マドロックの使いかは分かるが組み合わせが分からぬ……何か組み合わせの良いカプはいないものか……