次回からは閑話や裏話をしばらく書きます
何か気になる話があれば感想にでも書いて頂けたなら書きます
クオリティは保証致しかねますが
終わり方について、非難もあると存じますがご了承ください
「うおおおおおりゃー!!」
「っ!何でここまで来て、のびるんだよっ!」
「ちょっ!冗談でしょっ!」
「ちっくしょうがっ!」
「おおっと!ここに来てゴールドシップが更に加速!
2番手ダイワスカーレットをかわしてナリタタイシンに迫るっ!
しかし、もう距離はないぞ!届くのかあっ!」
着順
4番 ウオッカ クビ差
3番 ダイワスカーレット 半バ身差
1番 同着 ナリタタイシン、ゴールドシップ
「やるねぇー」
「流石ですわよ!ゴールドシップ!」
「ふむ、スカーレットの先行策に問題は無かった
走り方にも何ら失点はない。単にゴールドシップくんとナリタタイシンくんの走りがそれを凌駕しただけだね、あれは
ウオッカも見事だった。あのスカーレットのハイペースに追走し、最後まで速度を落とさなかったのは、研鑽故とはいえど充分賞賛に値しようさ」
「良く育てたものだな
流石というべきか、カブラヤオーにアグネスタキオン。それにマックイーン」
「というか、来てたんですね。シンザンにシービーも」
観客席では、頻りに感心するシービーにゴールドシップの走りに感激するメジロマックイーン。各々の評価をするアグネスタキオンだが、やはりダイワスカーレットの評価が先に来るのは身内故だろうか
4人の成長具合を見て、育成に関わった3人を称賛するのはシンザンである
相変わらずの2人に苦笑するのはカブラヤオーであった
ある意味いつも通りである
異例ともいえるダブルセンターによるウイニングライブの終わった4人はトレーナーの待つ控え室に集まった
「まず言っておくが、みな最高のレースだった。お疲れ様」
「っ!!」
「でも、負けちまったなぁ」
「ちくしょー、ゴルシちゃんのマジモードでも追いつかなかったかぁ」
「こっちの台詞だっての
あそこから更に加速とか、アンタはスズカ先輩みたいに2段エンジンでも搭載してんの?」
トレーナーの言葉に其々の反応をする
ダイワスカーレットは歯を食いしばり、俯き
ウオッカは苦笑いしているが、涙を浮かべていた
ゴールドシップは手を頭の後ろにやり、軽口をしているものの、口元は悔しそうに歪んでいた
ナリタタイシンは非常識ともいえるゴールドシップの加速力に自分達共通の先輩の影を見ていた
「いや、流石のゴルシちゃんもアレは無理
というか、トレーナーからも真似するの止められてるし」
「そうなのか?」
「意外ね」
「へ?」
ゴールドシップはタイシンの質問に苦笑いして答える
それに驚く3人
タイシンに至っては素の声が出てしまった為に、少し顔を赤くした
「さて、しかしどうしたもんかねぇ」
トレーナーは4人から少し距離を取って考える
予想以上に良い仕上がりであり、素晴らしい好レースだった
たとえこれが、G1であろうとも、誰も遅れは取らないと断言できる
相手が『異次元』レベルでなければ、それこそ勝ちを狙えよう
だが、有馬記念はその『異次元』レベルの猛者がひしめく正しく『魔境』
一年の総決算とは伊達ではないのだ
しかも、当然ながらトウカイテイオーのみであろうはずがない
確定しているだけでも、ビワハヤヒデにウイニングチケット。エアグルーヴにサイレンススズカ。ミホノブルボンにステイヤーとしての実力を格段に高めた『漆黒の刺客』ことライスシャワーが既に出走を決めていた
此処に果たしてゴールドシップとナリタタイシンを加えれるだけの枠があるのだろうか?
一応、一枠は確保しているが
「失礼します」
「おや?桐生院トレーナー
どうされましたか?」
突然の来訪者は桐生院トレーナーだった
「いえ、今年の有馬記念にウチのミークも出走予定だったんですけど、ミークから来年に照準を合わせたいと言われまして」
「は?
あのハッピーミークが、ですか?」
失礼な言い方になったが、桐生院トレーナーは苦笑していた
ハッピーミーク
桐生院本家から送られてきた桐生院肝いりのウマ娘だ
一応、スカーレット達の同期である
芝だろうがダートだろうが
距離を問わずに安定した走りを見せる彼女である
今年の有馬記念に出て来るのは高確率と見ていたのだが
「今日のレースを見て、まだトレーニングが足らないと言い始めまして、有馬記念での決着は来年にしたい。と
それで出場枠を貴方のウマ娘達に譲りたいと言い出しまして」
「それは、願ってもない話ではありますが、宜しいので?」
「ええ。先輩のウマ娘達なら素晴らしいレースを見せてくれると思いますので」
「わかりました。お嬢様とミークの期待に添えるように気を引き締めて行きますよ」
「もうっ!」
俺は実のところ桐生院家に以前教えを乞うたトレーナーだ
葵お嬢様にもその時にお会いしている
基本は同僚として接するのだが、時たま先輩と言われるので、俺もお嬢様と呼ぶ事にしている
「では、有馬記念楽しみにしていますね?」
「ええ、是非楽しみにしておいて下さいよ?」
「というわけで、ゴールドシップとナリタタイシン両名のレース出場が決まった」
「ふーん、次は負けねぇぞ?タイシン」
「こっちの台詞だって。絶対に負けない」
こうして強者の居並ぶ有馬記念となる事になった
その前夜
サイレンススズカは一人である道を走っていた
「ふぅ」
サイレンススズカは一年ほど前の事を思い返していた
「にゃ?」
「ね、猫?ど、ど、ど、どうしよう
グルーヴはいないし、誰も居ないし」
サイレンススズカは焦っていた
対人能力においては、同年代のウマ娘より遥かに劣るスズカである
猫の相手など出来るはずもない
何?ボッチ?
ナニヲイッテイルノカ、ワカラナイヨ?
スズカはボッチではない、いいね?
話を戻そう
スズカは焦る
でも猫は寄って来る
「うぅぅっ!」
最早スズカは涙目であった
仮にエアグルーヴがいれば、全力で盾にしたであろう
グルーヴの自由?
ルドルフ会長のいる限り、幻想やね。それは(ツッコミ的な意味で)
だがいつからか、その猫と一緒にいる事に安らぎを覚え始めたのだ
しかし、あの日
スズカが天皇賞秋を獲ったあの日、あの子は帰らぬ身となった
スズカにとって、有馬記念は些か負担の大きいものであった
構わない
本来ならば、天皇賞秋で『ウマ娘サイレンススズカ』は死んでいたのだから
だから、退けない
天皇賞秋と有馬記念の盾をあの子の墓。そこへ共に置いておくために
そして、ミリーの墓へと胸を張って「あなたが助けてくれた私は此処まで来れた」そう報告出来る様に
ライスシャワーは今回の有馬記念で最後のレースと覚悟を決めていた
カブラヤオー、アグネスタキオン両先輩に反対されてなおも、彼女は自分の意思を押し通した
ライスシャワーにとって、ミホノブルボンは初めての友達である
だが、先輩でもあった
だから、何処かに遠慮があったのだ
だが、ミリーは対等に接してくれる初めての友達だった
寂しくてどうしようもない時、悲しくてどうしようもない時。ミリーはひょっこりと現れて、ライスの傍に居てくれた
嬉しかった。ミリーの存在が
心強かった。ミリーが居てくれる事が
続くと思った。この優しい世界が
でも違ったんだ
ミリーを傷つけた人が居た
ミリーを支えたウマ娘を笑う人もいる
ミリーが変えてくれた世界を否定する人達がいる
ならば、見せてやる。ミリーの遺した想いの強さを。願いの尊さを
幾つかのレースにおいて多勢の予想を覆し続けたライスシャワーには『漆黒の刺客』との渾名がついていた
観客から罵声を喰らう事もあった
ヒーローじゃなくて良い
褒めてくれなくても良い
ライスシャワーが求めるのは、自分を認めてくれる人達からの言葉だけなのだから
だが、度重なるレースはライスシャワーの体を確実に蝕んでいた
恐らく有馬記念で『ウマ娘ライスシャワー』の生涯は終わるだろう
だからどうしたというのか?
それが怖いからと、また逃げるのか?
自分の死に際しても、ウマ娘を見守ろうとしたミリーの事を忘れたというのか!
サイレンススズカの天皇賞秋をそれこそ命懸けで見に行ったミリー。それを見たカブラヤオーとアグネスタキオンは問答無用でサイレンススズカを検査機関に放り込んだ
そして、彼女達すら気づかなかった爆弾にようやく気がついた
ミリーが衰えた体を押してまで、スズカの元に通ったのはそういう事だったのだろう
治療の完治していないスズカだったが、有馬記念を最後に引退する事を条件として出走の許可を無理矢理取り付けたと聞く
ミリーの気持ちを考えたならば「ふざけるな!」と言いたくなるが、スズカの気持ちもライスシャワーにはわかる
ライスシャワーも同じだから
ミリーを傷付けたメディア関係者が逮捕された
だが、一部のメディアは事もあろうに『たかが猫一匹』と発言したのだ
当然だが、そのメディアはトレセン学園は勿論、シンザンを始めとするウマ娘達からも取材や報道に関して許可される事は無くなったが
更にレース運営側よりも放映権の取り上げが即座に行われ、事実上ウマ娘関連の報道からの追放となった
その猫に救われたウマ娘がいる事も知らず、ウマ娘を唯の話のネタとしか見ないあなたたちに何が分かるというのか?
分からなくて良い
分かってほしくなど無い
世間ではビワハヤヒデやウイニングチケット、エアグルーヴが勝つと予想されている
良いだろう
私は『漆黒の刺客』ライスシャワー
今は亡き友達の為だけに命を賭けるウマ娘
必ず、ミリーの為に
後に有馬記念を振り返る者達は口を揃えて言う
『有馬のライスシャワーには鬼が宿っていた』と
ゴールドシップはホテルの近くにある小川に来ていた
「なあ、ミリー。お前と居た時間はさ、短かったよなぁ
でも、私は楽しかったんだぜ?
お前はどうだったんだろうなぁ?」
いつもの活発なゴールドシップはそこに居なかった
「最初見た時には驚いたっけなぁ
何せマックイーンの頭に乗ろうとしてたんだもんなぁ
ありゃ、驚くなって方が無理だろうな」
ゴールドシップは苦笑を浮かべた
ゴールドシップがトレセン学園に入学して1週間経った頃の話である
「ミリー!やめなさいっ!こらっやめなさいと言って、ヒャッ!」
近くの物陰から、何やら聞き慣れた声がした様な気がしたので
ゴールドシップが覗いてみると
「マックイーン、何してんだよ?」
「何もしておりませんわよ」
「にゃ」
そこにはいつも服装や髪型をしっかり整えている筈なのに、髪は乱れ、服も乱れているマックイーン。それと何やら呆れている様に見える猫が居た
「あん時は笑ったなぁ
それまではとっつき辛かったマックイーンの親しみやすい所が見えて安心もしたけどな」
名門『メジロ家』
その若き当主であるマックイーンはいつ如何なる時も他者の範となるべく行動していた
自由奔放なゴールドシップとしては苦手なタイプだったのだ
しかし、この一件以来はマックイーンへの苦手意識はなくなり、積極的に関わる様になった
「あれから、ライアンやバーマーにドーベルとも色々話できる様になってな、お前には感謝してるんだよ」
ゴールドシップの耳も尻尾も力なく垂れ下がっていた
「で、私がデビューしたらインタビューでお前を呼ぼうと思ってたのにさ、何でお前逝くんだよ?」
「川だって、海だって、山だって!何処にでも行けるんだ!これからもっとお前を色んな所に連れて行ってやりたかった!」
「何でこんなに突然、居なくなるんだよぉ」
ゴールドシップの力のない声が残った
ナリタタイシンはホテルの屋上にいた
「ホントさ、お前って勝手に世話しといて、勝手に居なくなって」
タイシンは続きの言葉が出てこない
辛かったトレセン学園に来てからの生活
その中で初めて手に入れた優しい時間
八つ当たりもした。愚痴を言ったりもした
それでも、なおミリーは一緒に居てくれた
言葉にはしなかった
でも
嬉しかった。
一緒にいる時間が楽しみだった
その時間が大切だった
そして、タイシンはトレーニング仲間を手に入れ、競い合える仲間と教え導いてくれる先輩を手に入れた
勿論、ハヤヒデやチケットもそうであるが
毎日が充実して輝いていたんだ
でも、ミリーはいなくなった
最後まで自分以外の誰かを気にして、そして死んだ
いつもミリーと過ごしていた場所
そこが色褪せて見えた
そして
時に仲間に、時にミリーに、先輩に支えられて来たトウカイテイオー
けれど、彼女は全てを裏切って自分の道を選んだ
『皇帝の後継者』?『クラシック三冠』?
良いだろう。言うだけなら好きにすればいい
ただし
「簡単に出来ると思うなよ」
タイシンはテイオーに包囲して勝つつもりなどない
実力で叩き潰すのみだ
各々の想いの交錯する夜が明ける
未来とは不確定である
明日とは未踏の地である
想いが、願いが、祈りが
積み重なり、折り重なり
そしていつか、届くのだろう
見果てぬ明日へ
ウマ娘プリティダービー原作
二次創作
嗚呼 忙しなき日々よ
完
というわけで本編は無事完結と相成りました
本当に様々な方にご覧頂いた事には感謝の念にたえません
本来ならば、有馬記念の描写もすべきだと思うのですが、なにぶんコロナの疑いがあるとの事で隔離が決定されました
現在、作者も38℃というそれなりの高熱を出しておりますので
それに伴い、この様な形となりました事、深くお詫び申し上げます
有馬記念についてはまた、後ほど1話まるまる使って上げることになるかと思いますが、何卒ご容赦下さいませ
数々のお気に入り登録や評価を入れてくださった方々、何よりもこの様な作品を見守ってくださった方々には感謝の言葉もありません
どうか、皆様のお時間の少しでも暇潰しになれたのであれば、幸いにございます
なお、各話のタイトルの一文字目をなんとかすると、なんか出来ると思います。答えが分かった方は笑って下さると幸いです
では、ありがとうございました
また次回のあとがきにて
誰がレースに勝った?
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ダイワスカーレット
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ウオッカ
-
ゴールドシップ
-
ナリタタイシン
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同着