嗚呼 忙しなき日々よ   作:ノイフェル

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出来たモノは仕方ない

タイシン可愛いよ、タイシン

やっとマックイーン来たけど、育成環境出来てなくてワロタ

ついでにブライアンネキ実装したけど、どないしよ


 手を伸ばせ、手を掴め

  これはミリーが亡くなる少し前の話

 

 

 

 

 

カブラヤオー以下の狂気のトレーニング馬鹿により、逃げでありながらも、2段階ロケットの様な加速を身につけたサイレンススズカ

 

されど、目指すものへの道のりは未だ見えていなかった

 

 

 

「スズカ先輩、大丈夫ですか?」

 

「ええ、スカーレットちゃんありがとう

何とか生きてる」

 

「それ大丈夫じゃなくないっすか、先輩?」

 

「あーもう、マックイーンの奴何考えてんだよ!」

 

 

トレセン学園に入学して1年経ったダイワスカーレット、ウオッカ、ゴールドシップはトレーニングの質を上げられていた

 

 

 

サイレンススズカとダイワスカーレットは原因故致し方ない部分もある。ウオッカとここには居ないトウカイテイオーも志願してこの地獄に来た

 

だが、ゴールドシップは違った

 

 

「でもアンタやめないでしょ?」

 

「なんだかんだで付き合い良いよな、ゴールドシップも」

 

「このゴルシちゃんの活躍を見せないとな、ミリーにも」

 

 

ゴールドシップがトレーニングから逃げない理由

 

それは従姉妹であるメジロマックイーンの好意を無下にしたく無いことと、悪戯仲間(とゴールドシップが勝手に思ってる)ミリーの為である

 

 

 

 

「つまんない雑談する暇があるなら、トレーニングの続きしたら?」

 

そんな雑談をしている3人を余所に黙々とトレーニングを消化する小柄なウマ娘

 

「いや、タイシン。お前よく保つな」

 

 

「は?

当たり前。今のままで追いつけると思ってんの?」

 

このウマ娘はナリタタイシン。ビワハヤヒデ、ウイニングチケットの後輩である

 

小柄な体格であるが故に以前いた環境では、少し倦厭されていた。その為か些か攻撃的な物言いをするが、トレーニングに打ち込む姿勢は他のウマ娘の範となるものだった

 

 

元々伸び悩んでいたが、同じように小柄ながら純然たる結果を残したカブラヤオーを尊敬しており、ミリーを通じてスカーレット達のトレーニングに参加している

 

 

「というか、テイオーの奴何やってんの?

自分からこのトレーニングに参加してんでしょ?

何で来ないのさ」

 

 

「えっと、タイシンちゃん

テイオーちゃんは今度デビュー戦があるとか言ってたけど」

 

「は?

あ、そうなの。ふーん、良い度胸してるね」

 

スズカの話を聞いたタイシンの瞳に剣呑な光が宿る

 

 

「確か、先輩のトレーナーはまだ早いって言ってなかったっけ?

それ、無視するんだ。へぇ」

 

 

「でもタイシンだって解るでしょ」

 

「気持ちはね。でもトレーニングだってそれなりの思惑があって指示してる筈

それを無視する理由って何処にあるのさ?」

 

「多分、今度の天皇賞秋でルドルフ会長が出るからだろうな」

 

「は?知らないよ、そんなの

それで半年以上お世話になったトレーナーや先輩達を無視するんだ」

 

「っつても、私らがウダウダ言う事じゃ無いだろ?」

 

 

 

 

ゴールドシップの発言で、この話題は打ち切られた

 

 

 

 

「ぶっ潰す」

 

タイシンの呟きだけが誰にも聞かれず消えた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミリーとタイシン

 

 

 

「くそっ、こんなんじゃダメなのにっ!」

 

ナリタタイシンは迷走していた

トレセン学園に入学してそろそろ1年。開校当時に比べたら、色々な面でウマ娘に寄り添う形にこそなったが、それ故の弊害もある

 

 

学園入学1年は己を見つめ直し、鍛える

2年目にはデビューする事が暗黙の了解であった

 

 

1年の頃からトレーニングに励むウマ娘もいれば、そうでないウマ娘もいる

 

だが、1年の差はとてつもないアドバンテージとなる

学園のカリキュラムにもトレーニングはあるが、あくまでも一般論に基づくモノ

 

個々人に合わせたトレーニングでは決して無い

 

 

 

レースの走り方とて千差万別

 

大別したとしても『追い込み』『差し』『先行』『逃げ』という戦術が存在する

 

この中から自分に合った戦術を模索するのだ

 

 

ウマ娘個人、しかもトレーナー不在のタイシンでは的確な戦術の取捨選択など出来ようはずも無い

 

だから焦る

でも上手く行かない

 

その繰り返しであった

 

先輩であるビワハヤヒデやウイニングチケットは頻繁に見に来てくれる。アドバイスもくれる

 

でも、どうしても思ってしまうのだ『アンタらにはトレーナーがいるだろう』と

 

その思考に腹が立ち、そして堂々巡り

 

 

「ああ、もうっ!」

 

遣る瀬無い思い。自身を気遣ってくれる友人達への不誠実な対応

何一つ成長してない自分

 

どれもタイシンに取って苛立たせるものであったのだ

 

 

そんなタイシンの所に

 

「にゃ?」

 

「は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何だよ、私のとこに来てもさ、何もないのに」

 

「にゃう?」

 

タイシンの塩対応にも動じない猫

 

 

「いや今の私に気遣う余裕ないから」

 

「にゃ」

 

「良い加減にしてよ!」

 

 

 

あまりにものんきに見える猫にタイシンは感情を爆発させる

 

 

「分かってる!私の体格でバ群を抜ける追い込みなんて難しい事くらいさ!

でも、私にはこの走りしかない!

なんで、なんで」

 

タイシンは自分が猫相手に八つ当たりしているのを自覚して、更に惨めな気持ちになった

 

「レースに出て、勝とうとするのが悪いの!

体格が小さかったら勝てないなんて、誰が決めたのさ!

お願いだから、私を見てよぉ

 

 

タイシンだって普通の女の子

陰で色々言われたら、傷付くし

理解されなければ、悲しい

 

最初はタイシンも話をして理解してもらおうとした

ハヤヒデやチケットはそうして理解してくれた

 

でも殆どの人は『絵空事』だの『無理』だのとマトモに取り合ってもくれない

 

 

その内にタイシンは他人に理解を求めるのに疲れてしまった

 

それでも、自分の正しさを証明しようとトレーニングに励み、地方の模擬レースではそれなりに勝った

 

でも認められない。タイシンを見てくれない

 

見てくれるとしても『ビワハヤヒデとウイニングチケットの後輩』という事のみ

 

 

このトレセン学園でも殆どのトレーナーに認められなかった

 

 

タイシンの精神は限界ともいえたのである

 

 

 

 

 

「にゃうぅ?」

 

「何だよ、あっち行けってのに」

 

 

 

 

(あったかいなぁ)

蹲るタイシンに身を寄せる猫

その体温を感じて、タイシンは少しだけ安らいだ気持ちになった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほら、もう行ったほうがいいんじゃないの?」

 

タイシンは猫に甘えると言う、割りかし恥ずかしい事をしていた為に顔を赤くして、そう言った

 

「にゃあ?」

 

「ん、少しは元気出たからさ。大丈夫」

 

首を傾げる猫だが、タイシンには「大丈夫?」と心配している様に見えた

 

 

「にゃ」

 

「え、ちょっと何処に引っ張るの?」

 

その猫はやおら、タイシンを何処かへと連れていきたいかの様にタイシンのソックスを噛んで引っ張った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてタイシンは憧れの先輩達に出逢ったのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だからこそ、ミリーへの感謝は人一倍あるし、どういう理由があったとしても先輩達のトレーニングから余所に行ったトウカイテイオーを許せなかった

 

 

 

 

確かにトレーニングはお世辞にもマトモとは言えない

 

でも、タイシン達の事を真剣に思っての事だと言うのはハッキリ分かる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「絶対に勝つ」

 

トウカイテイオーとデビュー後初対決が決まった時のタイシンの一言であった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが

 

 

 

 

 

 

 

 

「嘘、でしょ

何で、何でなの」

 

 

雨が降る

 

 

 

 

世にいう涙雨であった




さて、お見苦しいこれも残すところ本編は残り4話となりました

というか、お気に入りに登録して下さった皆様
評価して下さった皆様

そして、こんな文章を読んで下さっている皆様には改めて厚く御礼申し上げます


なお、お気づきの方も多いとは思いますが、タイトルにとある仕掛け?をしております

明日くらいには投稿出来ると良いかなって

では失礼致します
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