プロローグ(fate編)
衛宮邸
「これがクラスカードってやつね」
「でも、どうしてこんなのが突然現れたんだ?」
居間で二人の男女が卓袱台の上で二枚のカードを見て唸っている。
一枚は騎士の絵を描かれている、一枚は弓兵の絵が描かれている。
一見ただのカードにしか見えないが二人の男女にはあり得ないものを認識し困惑している。
「それについては、わからないわね。でも、一つだけわかるとしたら」
「わかるとしたら?」
「あくまでもこれは可能性だけどこのクラスカードという英霊の力が宿った危険な力を利用した。
何かを起こそうとしてるとしか思えないわ」
「やっぱりそう思うよな」
カードについて推測する女性……長い黒髪をツインテールにまとめ、赤い衣装を身に纏う女性、遠坂凛。
その話を聞き額にしわをよせて考え込む男性……薄い赤髪に白髪が混ざり少し黒い肌をの男性、衛宮士郎。
「これもすべてカレンが厄介事を持ちこむからよ!」
「と、遠坂」
「なによ! 士郎は迷惑じゃないの!」
これからどう動くことになるか予測ができず癇癪≪かんしゃく≫を起し厄介な事件を持ちこんだ元凶に怒り心頭の凛。
それに対して怒りを納めようとしてる士郎。
その反応に怒りの矛先を士郎に向けた。
「そんなんじゃない。ただ……もしかしたらもう一度セイバーに会えるかなって思っただけだ」
「ふ~ん。そうなんだ(ニヤニヤ)」
「な、なんだよ遠坂」
「べっつ~に。士郎が他の女にうつつを抜かしてるなんて思ってないわよ」
士郎は凛の言葉に否定しながらも、もしかしたらと思ったことを口にしてしまい、そのことに凛は面白そうに笑っていた。
その反応に焦る士郎に凛は不満そうに返した。
「だからどうして、そんな反応を見せるんだ! それにあくまでも可能性の話だし、今は重要なのはこのクラスカードの対処だろう」
「ちっ、露骨に話を変えてきたわね」
話を変える士郎を不服そうに言うと。
「遠坂!」
「はいはい。それなんだけど現状じゃさっきも説明したけどクラスカードの使い方も使用用途もわからないの。
だから手の打ちようがないわ」
士郎が怒るように言うのだが、凛はどこか不機嫌そうに告げる。
「そうだよな。簡単にわかるのなら苦労しな――!?」
「なっ!? クラスカードが光ってる!?」
二人は再びため息をついた時突如二枚のカードが光出し、光が居間を包み込んだ。
それから時間が経過するとともに光が収まるがそこには誰もいなかった。
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どこか森の中
「・・・・・ここはどこだ!? さっきまで居間にいたはずなのに!?」
突然の出来事に気絶していた衛宮士郎は気がつくと、今までいた場所と違っていたことに驚いていた。
無理もない。さっきまで家に居たのに気がつけば森の中にいるのだ。
叫ぶなというのは無理だろう。
「そう言えば遠坂は!?」
自分と一緒にいた女性・・・・遠坂凛を探すために周囲を見渡たすとすぐそばに探していた少女が寝ていた。
「はぁ、よかった。無事で……ん? やけに視点が低いな。それにいささか服もダボダボしている?」
相棒の安否に安心したが、なぜか違和感を感じた士郎。
確認するため立ち上がってみると、家にいたと時と視点の違いや、服もダボダボしていることに気付いた。
「・・・・・いや、そんなバカな。気のせいだよな?」
あり得ない展開に士郎は見間違いだと思い改めて見直したが結果は変わらない。
士郎はあり得ない結果を振り払うように一緒にいた女性の確認をするため再び横を見ると。
そこには、顔立ちに見覚えはあるのだが、知らないはずの美幼女が士郎同様に大きすぎる服にくるまって寝こけていたのだ。
「……な…なんでさぁ~~~!!!!」
「う、ううん……うるさいわよ。静かにして」
あり得ない現実に士郎が悲嘆に暮れていると、士郎の叫びを聞いて目を覚ましたのか、凛が幽鬼のような眼つきで起きだしてきた。
「遠坂すまないが、すぐに頭を回転させてくれ。非常事態だ!」
「なにが非常事態……ってあれ? 士郎、なんか縮んだ?」
青ざめながら言う士郎をじっくり見つめると言う。
「ああ、俺だけでなく遠坂、お前もだよ」
「ええっ!?」
士郎の言葉に凛は慌てて確認して、うっかりハプニングが発生して士郎が大変な目にあうがここでは割愛させてもらいます。
「そうだ、体の具合はどうだ? 俺の方は縮んだ以外に特におかしな所もないんだけど」
「っと、ちょっと待ちなさい。いま調査してみるから」
凛は身の回りの確認してから士郎の言葉通りに魔術回路や体の調子を調べるため、自身の体を調査する。
数秒でそれは終わったのか、顔をあげる。
「うん、こっちも今のところ問題はなさそう。この後どうなるかはわからないけど、さしあたって急を要する問題はないわ」
「そうか。突然の出来事だったけど、まぁこの程度ですんでよかったのかな」
二人はとりあえず一安心をした。
見た目はあれだが、身体や魔術回路に深刻な問題や障害が発生していないことが救いだった。
「さて、これからどうする遠坂?」
「そうね。
とりあえずは、周囲の確認と・・・・。
そ、その……ほ、ほら、若返ったせいで服のサイズが合わないじゃない?
……だから………その……」
士郎と凛は気を取り直してこれからのことを話し合っている。
だが、凛は後半、深刻というよりも恥ずかしそうにモジモジしていた。
「ああ、なるほどな。確かにそのままじゃ、服が落ちて裸になっちまうもんな。
でも困ったな。森の外の状況次第で服が買えるかどうかだしな。
そもそもこんな恰好をしてちゃ碌に街を歩くこともできないぞ」
士郎は、凛の言いたいことを理解し、ああ、凛の言わんとしていることがわかったようだ。。
「……人がせっかく遠まわしに言ってんのに、アンタはまたそれかぁ!!
少しはデリカシーってものを弁えろー!!!」
凛は器用に服を手で押さえながら、全身を使いきった理想的な右フックを士郎の頬に突きささる。
「と、とにかく服の事なら一時的に何とかする方法があるから、それを使いましょう」
士郎を殴って落ち着いたのか凛はそう言って、腰を落ち着ける。
凛の返事を聞き士郎は頬さすりながら起き上る。
「一時的ってどうやって? 俺達は何も持ってない状態だぞ」
凛の言葉に士郎は納得できないようだ。
「そんなことはわかってるわよ。私が言いたいのは、士郎が私たちの服を投影することよ。
それに幸い、私達の見た目は中学生くらいよ。
それなら今すぐ用意できるし、まぁどこかに引っ掛けて破けたら目も当てられなくなるけど、
それにさえ注意すれば大丈夫だし。服なんて無意識とはいえ、今までいくらでも見てきたんだから、
何か一つくらい投影できるものがあるでしょ。がんばりなさい」
「う~ん。確かにそうだけど」
士郎は凛の言い分に悩んでいる。
たしかに士郎の投影は、破損さえしなければほぼ永続する。そのため破けないように注意すれば大丈夫ではある。
それに服なら中身が空っぽでも問題ない。
それでもなと気が進まないようだ。
「それに、アーチャーは私服を投影して着てたわよ」
「む、わかった。どこまでできるかわからないがやってみる。確かにそれなら急場しのぎにはなるな」
士郎の葛藤に凛は予想していたようで魔法の言葉を放つとやるきになった。
「じゃあ、とりあえずの行動の指針決まったな。まずは、周囲の確認。次に服の投影だな」
「ええ。それに資金の調達に服の調達よ。いつまでも投影した服を着ているわけにはいかないわ」
「よし、さっそく調べるか」
「頼むわ」
士郎はずれる服を押さえながら木に登り周囲を見渡している。
周囲を見渡しても人の気配はないが、遠くには街の明かりが見えるので、それほど人里から離れているわけではないようだ。
「う~む。木々の間から見える町並みに見覚えがないな」
しかし士郎の言葉通りそこは冬木市とは全く違う町並みだった。