ありふれない天の鎖の投影魔術師は世界最強   作:小説大工の源三

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だいぶ投稿が滞ってしまい本当に申し訳ございません……




陰陽の竜と騎士

ハジメ達が使徒と地上が混成部隊と戦いを繰り広げる中、恵里を先頭に神域の奥へと進んでいく。

道中神獣が襲いかかって来たものの全て、恵里と幸利の手によって洗脳されていた。

 

「まさか戦力アップに使われるとは思わねぇだろうな邪神のやつも」

 

「僕はともかく幸利が洗脳なんて意外だからね。でもよく洗脳魔法使えるよね……なんか別のナニカが作用してる感じあるけど……何したの?」

 

「感が鋭いなお前……気が向いたら説明する」

 

そう言いつつ先を進んでいくのだが、歴史的建造物のようなものが並んでいることに、嫌な気分になっている。

 

「今だに光景が気味悪すぎる……」

 

「さっきのところにもあったけど、建物をそのままこの世界に持ってきて保存してるのを見ると……まるで標本だね……」

 

「言い得て妙ね……コレクションにしてから何度も滅ぼしてるのかしら……どう言ったとしても最低よ……」

 

「抗わなければわたし達の時代もコレと同じ事になっていたと思うと……怖いですぅ……」

 

人が長い刻をかけて建てた建造物も文明の利器も博物館のように保管されているのを見てこの時代も、地球も同じ目に遭ってしまうと想像しただけで、恐怖と怒りが湧き上がる。

 

「っ!全員その場から離れて!!」

 

何かに気づいた優花が声を上げる。その声に従い全員一瞬で退避する。

全員が立っていた場所に、極太の極光が降り注いだ。

 

「この極光ブレスは……」

 

幸利は何度も見たその光に、それを放った敵もわかった。

 

「ここにいれば貴様達が来ると思っていたぞ……クククッ……」

 

そう言って現れたフリードの姿は今までと違い、ノイントのような白銀の髪に白い肌、魔人族特有の金色の瞳は白く染まり、正気を宿していなかった。

 

「そこまで堕ちたのか……もう魔人族はどうでもいいのか?」

 

「フン…我が同胞はすでに地上へと進行している。残った脆弱な者共を根絶やしにするためにな」

 

「ならそれは無理ね。地上はハジメのアーティファクトで強化された戦士がいるもの」

 

「強がりはよせ。まあよい……そこの人間族2人と兎人族は見逃してやろう。私の背後には転移の光がある。飛び込めば我が主の元に飛ぶ。我が主はそのまま通せとのことだ。まとめて絶望するのだな。貴様らの最愛の結末を」

 

背後にある石柱が輝き始める。コレが転移の光のようだ。

どうやらエヒトはこの状況でも勝ちを確信しているようだ。

 

「ふーん……そんなに余裕なんだ……雫、シア行くよ。そこのアホは幸利達に任せる」

 

そう言って恵里達はフリードの横を通り転移の光へ飛び込んでいき、3人の姿が見えなくなると光は消えてしまった。

 

「さて……貴様らはこの私が遊んでやる」

 

「逆だ……」

 

幸利は腰のロッドを抜き、一瞬で間合いを詰めて振り下ろした。

フリードは腕で受け止め、幸利を睨む。

 

「俺達がテメェで遊ぶんだよ…!」

 

くるりと踵落としを脳天に放つ。しかし手応えが全く感じられず、何か硬い板に阻まれた感触が伝わる。

 

「私の空間魔法がそのままだと思うなよ?」

 

「小手調べ如きで良い気になってるなお前…」

 

フリードは腰から剣を二刀抜き放ち、振りかぶる。

左の唐竹割を受け止め、右の胴切りをロッドを持たない側で柄を受け止めて防ぐ。

背中の銀翼で突き刺しにかかるが身体を細かく捻り、かすり傷に抑える。

幸利の背後から魔法弾が放たれるものの、銀翼から舞い散る羽根で作られた魔弾に撃ち抜かれ、魔法弾を放った光輝に向かっている。

 

「やっぱり牽制程度じゃ相殺できないか…!」

 

魔弾を切り落としながらぼやく。

 

「とはいえ俺達じゃ足手纏いどころか、利用されかねねぇ……」

 

「貴様らに当てる時間はないのでな……使徒の方に遊んでもらうといい」

 

背後の転移の光が再び放たれ、使徒が2人現れる。

 

「チッ……!」

 

「強化された使徒の力にあの人間族はどこまで耐えられるのかな?」

 

ニヤニヤと不敵に笑うフリードに軽くイライラが走る。この程度ではペースを乱すことはない。

 

「出し惜しみしてたらダメだな……速攻でケリつけてやる」

 

ロッドを回し魔法陣を作り、竜人族の里で呼び出した竜を4体呼び出す。

 

「ヨルムンガンド!カンナカムイ!リヴァイアサン!アジ・ダハーカ!」

 

黒の毒龍、白の雷龍、蒼の海龍、赤黒い呪龍が幸利の背後に現れる。

 

『キシャァァァァァァァァァァア!!』

 

現れた龍

 

「灰竜よ!消し飛ばせ!」

 

「ヨルムンガンド!犯し尽くせ!」

 

無数の極光ブレスと毒のブレスがぶつかり合う。

 

「カンナカムイ!焼き尽くせ!」

 

毒のブレスを後押しするように雷を纏う小金色のブレスを吐く。

 

「リヴァイアサン!灰竜を粉砕しろ!」

 

更にブレスを吐きっぱなしで隙だらけの灰竜へ高圧の水流レーザーや水弾を放ち首を刎ねたり、胴体を撃ち抜く。

灰竜の数が減り、拮抗していたブレスを撃ち合いはヨルムンガンドとカンナカムイの有利へと傾いた。

 

「アジ・ダハーカ!呪え!」

 

穢れた呪いのブレスがフリードへと向かう。更に灰竜のブレスを超えた毒と雷ブレスが襲いかかる。

 

「フッ……」

 

それに対してフリードは、

 

パチン!

 

指を鳴らしただけでかき消してしまった。

 

「この程度、我が愛龍の手間をかけさせる必要もない」

 

「言ってやがれ……ティオ!」

 

「承知なのじゃ!」

 

幸利の声にティオは竜化し、彼をその背に乗せて飛翔する。彼等を守るように幸利の呼び出した4龍が集まる。

 

「フフフッ……貴様はこの手で潰してやりたかったのだ……ヴェアベルトの奴なぞどうでもよい……貴様を殺すことで我が胸の苛立ちも消えるというものよ」

 

「俺に拘るとか小せえ奴だな……ティオ、行くぞッ!獄炎ブレスだ!」

 

『応!』

 

幸利の命令にティオは黒い焔を放とうと口に熱エネルギーを込める。

 

「ならばウラノス!お前のブレスを見せよ!」

 

「アジ・ダハーカ!」

 

再び撃ち合いになると思いきや、アジ・ダハーカがいきなり呪いのブレスを吐き出した。

 

「逃げたか……やれ!」

 

極光ブレスは圧倒的な威力で呪いのブレスをかき消して、アジ・ダハーカをも消し去った。

 

「チッ……『ティオいいか……俺からいいと言うまでブレスを溜め続けろ……お前の呼吸は俺がカバーする』」

 

『うむ……』

 

幸利は空間魔法を併用し、ブレスを溜め続ける彼女の呼吸を自身にまとめて行っている。

その分、吸い込む空気も多くなり、彼の肺活量が試されている。

 

(思った以上に辛いな……ッ!竜化したからか…?)

 

いくらこの世界に召喚されて強くなったとはいえ、2人分、ましてや片側は竜化の影響での呼吸はインドア派の彼にはキツかった。

呼吸の隙を突かれ、腹を殴られる。

 

「グハッ!」

 

「どうした?急に隙だらけになったぞ?」

 

呼吸が止まり、ティオから少し苦しそうな雰囲気を感じ取る。

 

『ご主人様!』

 

「『お前は気にせず焔を溜めろ!』ヨルムンガンドォ!リヴァイアサンッ!その牙で喰らい尽くせェ!」

 

「無駄だッ!」

 

2体の噛みつきはウラノスの爪に阻まれ、その顎門を強引に開き裂かれる。

 

「俺の魔力が尽きない限りコイツらも不滅なんだよ!」

 

再びこの世界に龍が呼び出される。

 

(悪い……だが頼む……お前達の力が必要なんだ……!)

 

やられても再び呼び出す龍に申し訳なさを感じつつもフリードを倒す為に策を練る。

 

「なら幾たびでも殺すまで」

 

龍同士の睨み合いが続くことになる。

どちらが動くかタイミングと間合いを測っている。この間も幸利は大きく呼吸をしている。

 

「せあぁぁあっ!」

 

幸利が先に仕掛ける。

杖を交差するように振り下ろし、肩甲骨を砕きにかかる。

 

「型も何もないか……」

 

「あったり前だ…!《重弾》」

 

幸利の背後から重力球が無数に放たれ、フリードの鎧へと直撃する。

 

「《重積》!」

 

振るうロッドの先端付近に重力魔法を付与し、一撃の威力を重くしていく。何回か鎧には当たるものの、傷一つつかない。

重力球を自身の杖に当て、重積の重さを更に上げる。

重くなりすぎて振れなくなりそうなので、身体強化を発動させ、攻撃速度を上げる。

黒い重力の圧力がフリードを襲い、召喚された龍の攻撃もあり、周囲の灰竜達を蹴散らし着々と追い詰めていく。

 

「フフフッ……我が竜はまだまだいるぞる」

 

後ろの石柱から更に増援が現れる。

 

『ご主人様!溜まったのじゃ!いつでも良いぞ!』

 

『なら今だ!今の奴は得意気になってる!少しは顔色変える筈だ!』

 

ティオブレスだけでは無理だが、僅かでもダメージが入れば良いと思った判断だ。

極限まで濃縮された黒い焔はフリードへと向かい、周囲の灰竜を巻き込み、彼の乗るウラノス諸共焼き尽くす。

 

「『黒炎呪縛』!」

 

更に幸利は黒炎に闇魔法を付与する。

火力は変わらないがフリードを呑み込み、焼き続けている。

 

「逃さねぇぞ?『重牢縛鎖』!」

 

焔の中に重力球を束ねた鎖が放たれる。

しばらくすると、流石に限界が来たのか、ティオのブレスが止まり、その跡から煙に包まれ、所々、燃えているフリードが現れる。

 

「ぐっ……」

 

「流石に効いたか…」

 

『ふふん妾の焔とご主人様の闇魔法ならば行けるようじゃのう……じゃが奥の手は隠しておるようじゃの……』

 

「ああ……こっから一気に畳み掛けるぞ!手札を一つ切るぞ!」

 

幸利は右手を構える。その手の甲には赤い紋様が三画描かれていた。その紋様は翼のような形の間に槍のような形をしている。

 

「『黒竜令呪(シュバルツドラッヘ)』を持って、我が伴侶たる竜女に命ずる!我がカンナカムイとリヴァイアサンの力を取り込め!」

 

そう命ずると、白と蒼の龍が渦巻きティオへとまとわりつく。

彼女の黒い竜翼は白くなり、尾は蒼く変色している。

 

『ご主人様の魔力が妾の身体に満ちていくのじゃ……』

 

『それプラス俺と龍が受けたダメージがフィードバックする』

 

『ご主人様から受けた痛みじゃないから気持ち悪いだけなのじゃ……』

 

『………』

 

フラグになりそうな発言が出そうになったので幸利は黙り込んでしまった。

 

─────────────────────────

 

使徒の相手を優花達がしていた。

 

「アタシがメイン火力でトドメの一撃を叩き込むわ……残りのみんなはサポートお願い」

 

この中で最も火力の高い優花を主軸にして立ち回ることになる。それは勿論、相手も承知だろう。

 

「任せて。鈴達がゆうかりんのこと守るから」

 

「肉壁は2人いるから安心してくれ」

 

「邪魔はさせねぇさ」

 

鈴達は自身の持てる力をかけて守り隙を作ると気合を入れる。全身に魔力を回し、ステータスを上昇させ、突撃する。

 

「『竜鱗化』!」

 

更にオルクスで使った強化で使徒とのスペック差を埋めにかかる。

 

「獄炎拳!」

 

黒い焔で両手を包み、使徒に殴りかかるのだが、マトモに拳が入らず、受け流され、耐久の高さ故にまぐれ当たりだとしても大して効いていないようだった。

 

「まだまだァ!『極竜爪』!」

 

人より少し伸びた爪が更に長く鋭く固く変化し、獄炎拳の焔を纏う。今度は拳での打撃ではなく、手刀による斬撃へと変更する。

 

「『神刀裂破』!」

 

黒い焔の内側から黄色く魔力が輝く。

 

「ぜぇあっ!」

 

手刀を振ると斬撃破が使徒の後ろにある高い建物を切り裂く。続けて腕を振るものの、大剣に全て捌かれてしまう。

 

「チッ……光輝!」

 

「ああ!」

 

入れ替わるように、光輝が白い光を纏った聖剣で斬りかかる。

不意打ち気味に決まったものの、使徒の服に薄い切り傷が付くだけで、攻撃が通じていない。

そのことに焦りが出るものの、自身の役目を熟すために、意識を戻す。

 

「『豪雷神剣』!」

 

白い稲光を纏う聖剣を片手で振り下ろす。

大剣に防がれるが剣を持たぬ拳を鳩尾に叩き込む。

 

「『神聖拳』!」

 

光を纏う拳は確かに当たる。

 

「……我が主が依代として召喚した勇者の力を試してみましたが……今、選ばれている依代の方が相応しいようですね。思わぬ収穫でした」

 

「……俺が選ばれていれば余裕だったわけだ……」

 

「その通りです。我が主の邪魔はさせるつもりはないので、貴方達はここで死んでもらいます」

 

「死んでたまるかッ!俺達は先輩を助けて、故郷に帰る!」

 

声を上げる光輝の握る聖剣が輝きを増していく。

 

「吼えろ……我等が勇者の聖剣……『神威龍・咆哮』!」

 

聖剣から白い龍が放たれる。

至近距離だったためか、マトモにぶち当たる。

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!」

 

龍が吼えるように光輝も雄叫びを上げる。

使徒を呑み込んだ龍が建物の壁にぶつかり爆散する。

煙が晴れ、現れた使徒の口には一筋の血の痕があった。

 

「はぁ…!はぁ…!邪神の作り物でも流れる血もあるし、色も朱いんだな……」

 

「少し効きました……流石は勇者の資格を認められただけはありますね」

 

「それはどうも……そろそろ終わりだろ?」

 

そう言う光輝は首を傾ける。その後ろから紅く輝く閃光が飛んでくるのが、使徒の視界に入る。

 

「『聖絶・重縛』!」

 

魔力を高め、気配を完全にシャットアウトしていた鈴が使徒の動きを封じる。

 

「あっさりやられてよね!」

 

軍配を構える彼女はすぐにでも親友の応援へ向かいたいようだ。

回避を封じられた使徒の胸を貫いた。

 

「貫いたけどどう……」

 

胸に大きく穴の開いた使徒を見て優花は警戒を続ける。

 

「…………」

 

じっと見つめる。すると使徒の身体がピクリと動き出す。

 

「っ!まだ生きてるわ!」

 

全員が距離を一瞬で取る。

鈴は結界による拘束を弱めずにいる。

 

「そろそろ終わりにするとしましょう」

 

バチバチと白銀の稲光が発生し、それを放出すると、拘束している結界を破壊し、凄まじい威圧感が放たれる。

 

「……本気で潰しに行きます」

 

限界突破のような圧が光輝達に向けられる。

 

「……前回のようには行かないのね」

 

完全に消し炭にしないと殺せないと判断し、その方法を模索することになったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

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