ありふれない天の鎖の投影魔術師は世界最強   作:小説大工の源三

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いやホント遅れてすみません……orz

パワプロにハマって書くのを疎かにしてました。
大変申し訳ございません。



愛する者を取り戻せ

仲間達の戦いが行われている頃、恵里達はフリードの背後の石柱に飛び込んで、エヒトのいる空間を進んでいった。

 

「不気味なほど静かで綺麗な一本道ね……」

 

雫は通路内の光景につい、一言溢す。

 

「基本こういう道って挟み撃ちにするのが敵の戦略だけど……今回は様式美なんだろうね」

 

「どういう事ですか?」

 

シアの問いに恵里は不快感を抱きながら答える。

 

「僕達なんかどうとでもできるって事。それだけの自信がエヒト(邪神)にはあるって訳」

 

「……妙にイラついてきました」

 

「同感ね、さっさとぶっ飛ばして士郎さんを取り返すわよ」

 

奴の自信に2人は軽くイラつき始めた。

さらにしばらく進むと階段が見つかる。

 

「これは……」

 

「RPGあるあるのラスボス前の階段だね……」

 

「つまりこの先に士郎さんがいるということですね……」

 

階段の上は強い光が差し込んでおり、目を開けていられなかった。

 

「ぐっ……」

 

「目が……」

 

そこを抜けた先は、どこまでも白かった周囲の全てが見渡す限りただひたすら白い空間で距離感がまるで掴めない。地面を踏む感触は確かに返ってくるのに、視線を向ければそこに地面があると認識することが困難で、そのままどこまでも落ちていってしまいそうだ。

光が収まり、視界がクリアになると、目の前には彼女たちの求めて止まない男の姿があった。

 

「ようこそ。我が領域に」

 

声は変わっていないが、それから漏れ出る本性は邪悪な物で、3人は顔を少し歪ませている。

 

「お兄ちゃんの声で喋らないでくれるかな?声が良いけど、お前の魂が腐り切ってて腹立つから」

 

「まぁそう言うな。お前たちに一つ選択をやろうと、フリードの奴にここまで通させたのだからな」

 

ニマニマとイヤらしく笑いながら、エヒトは手を恵里達に差し出す。

 

「我の妻となれ。お前たちにその権利を与えよう」

 

ズガンッ!!

 

「ん?何かしら?冗談言うならもっと面白い物を言って欲しいわ」

 

考える間すらなく雫は短刀をエヒトに投げつけた。

顔の横を通り、背後の空間に突き刺さる。

 

「……わたし達が愛しているのは士郎さんであって、オメーじゃねぇーですぅ!」

 

シアが真横から星砕き・V2を振り抜き、エヒトの身体が大きく吹っ飛ぶ。

 

「……クククッ我が嫌と言うことか。ならば、無理矢理にでも手篭めにするのも一興よ」

 

そう言って、エヒトは手に、白と黒の双剣を作り出す。

 

「お前がソレを使うな!」

 

士郎がよく使う『干将・莫耶』をエヒトが投影したことに苛立ちを込めつつ、急接近しデュランダルを振り下ろす。

鋭く磨かれた岩が燃え盛りながら背中を貫こうと降り注ぐ。

 

「うりやぁあああ!!」

 

その岩をシアが星砕きで全て叩き落とすのだが、砕けた破片から再び炎が発生し、二人に襲いかかる。

 

「鬱陶しい!」

 

恵里は剣先に重力球を展開し岩片を圧縮する。

 

「ほう……対応するか。ならばこれはどうだ?」

 

指をパチンと鳴らすと、背後の光から、ヒトのような形をしたナニカが大量に現れる。

そのナニカは二刀の中華刀を構え一斉に襲いかかる。

 

「即興で強化したから、どこまで落とせるかわからないけどやるしかないよね……」

 

恵里は空間を切り裂いて、黒く染まった獣を呼び出した。

口から紫色の瘴気を漏らし、涎を溢している姿は凶々しい。こいつらを恵里は内心、フェンリル・リッパーと呼んでいる。

 

「……クククッ、我の神獣を変成魔法で強化したのか。良かろう。光の使徒よ相手をしてやれ」

 

「喉笛を喰いちぎれ!」

 

光の使徒は中華刀を、フェンリル・リッパーは牙をメインに攻撃する。

光で構成された刀は牙に砕かれ、魔力として吸収し、吐き出すことで、本体を粉砕する。

反対に光の使徒は刀で牙を受け止め、足を刎ねて縦に両断する。

暗黒レーザーで光の使徒を貫き、撃ち落とす。

 

「落としても落としてもキリがない……!」

 

「当たり前だ。我が光輝より生まれし使徒はいくらでも召喚する事ができる。貴様のような消耗品とは訳が違う」

 

余裕そうなエヒトを無視して雫が刀を振るい、光の使徒の首を次々刎ね飛ばす。

 

「ここは私が受け持つわ!二人は奴を!」

 

「フェンリル・リッパー!滅・変異抜刀牙!」

 

1匹のフェンリル・リッパーはドリルのように回転しながらエヒトに向かって喰らいつく。その開いた顎の軌跡が十字型に見える。

 

「ふむ、犬にしては見事な大道芸だな……」

 

そう言い、自身に喰らい付こうとするフェンリル・リッパーの上顎と下顎を掴み、食卓でパンを千切るように、上下に引き千切る。

 

「烈・幻夢抜刀牙!」

 

もう1匹のフェンリル・リッパーが渦を巻きながら、横から喰らい付く。無数に分裂し、牙を身体に突き立て、そのまま喰い千切ろうとするものの身体から棘を生やし、フェンリル・リッパー達の頭を貫く。

 

「無駄だ。我が身体は全身が武器。迂闊に触れれば死ぬ」

 

「隙だらけですぅ!」

 

上空から星砕きをシアが叩きつける。『ガゴォン!!』とかなりの衝撃がエヒトの頭に入ったと彼女の握るソレから伝わる手ごたえだった。

 

「中々やるようだが、所詮兎は兎。弱小な存在が我に傷などつけることは叶わぬよ」

 

身体強化レベルVIにより115倍に上がった筋力と敏捷による一撃は下手すると地形を跡形もなく粉砕し、地図の書き換えすら必須の威力だ。

 

(士郎さんの肉体を加味してもおっそろしい硬さしてます……)

 

「ふむ……ソレにしては想定よりはやるようだな」

 

「ガハッ!」

 

エヒトは上段回し蹴りをシアの脇腹に1発入れて、反対方向で光の使徒の相手をしている雫へ、シュートする。

とんでもない勢いで飛んでいくシア。普通であれは雫に激突し、彼女諸共壁へと沈む筈だ。

しかし、シアの身体がゆっくりと半透明に透けていくのを視界にエヒトは捉えた。

そして、雫や光の使徒をすり抜け、あわや壁に激突する寸前で勢いを殺し切った。

 

「ほう……魔力を持たぬ筈の亜人が面白いことをするではないか。やはり殺すには惜しいイレギュラーの1人よ……」

 

シアは『半転移』という、回避技を会得していた。

特訓期間が一ヶ月もあったお陰で、自在に発動できるようになっていた。

エヒトが感心している背後から回転しながら1匹の狼が首を刈り取るように突っ込んで来た。

 

「絶・天狼抜刀牙!」

 

首を一閃する。刎ね飛ばされた首は宙を漂う。

 

「意識の外からか、面白い一撃を放つ犬だな……」

 

右手で頭をキャッチしたエヒトはか2度目の感心を覚えた。

 

「しかし、愛する者の首を刎ねるとは、些か遠慮がないな?」

 

「人の身体好き勝手するお前に言われたくないね!」

 

そのまま剣を振り下ろし、追撃する。

刎ねられた首を上に転移させ指先で受け止める。

 

「さて、そろそろこちらも遊ばせてもらおうか」

 

首を元に戻したエヒトは不気味に笑いながら、三体に分身した。

 

「んなッ!?」

 

「まずはこれだ『地に捕らえられし怨念の怒り』」

 

恵里の下から紫色の熱エネルギーが噴火するように溢れる。

身を守るように、翼で全身を包み込み防御する。

 

「こ、これはっ!?」

 

熱エネルギーから怨嗟の声が耳を通る。

 

『ツライクルシイイヤダコワイシニタクナイツライクルシイイヤダコワイシニタクナイツライクルシイイヤダコワイシニタクナイツライクルシイイヤダコワイシニタクナイツライクルシイイヤダコワイシニタクナイツライクルシイイヤダコワイシニタクナイツライクルシイイヤダコワイシニタクナイツライクルシイイヤダコワイシニタクナイツライクルシイイヤダコワイシニタクナイツライクルシイイヤダコワイシニタクナイツライクルシイイヤダコワイシニタクナイツライクルシイイヤダコワイシニタクナイツライクルシイイヤダコワイシニタクナイアアアアアアアアアアアア!』

 

「ぐっ……!!」

 

「くふふっ……『白き終末の大渦』!」

 

水平に伸ばしたエヒトの両手の先で、まるで白金の光が渦巻いた。煌きながら渦巻くそれは、まるで銀河が生まれたかのようで、そのまま怨嗟に意識を割いている恵里を巻き込んでいく。

 

「うがァァァア!」

 

翼による魔力の分解防御をしていても、ソレを突き抜ける魔法攻撃が恵里を痛めつける。

 

「『猛き創世の巨人』……」

 

空間が揺らぐと、歪な体型の巨人が現れ、虚空から黄金に輝く槌を呼び出す。

ソレを横に振り回し恵里の身体を殴り飛ばす。

 

「グァァァッ!」

 

「『黒鉄の雲よ』」

 

吹き飛んだ先には、漆よりも黒い雲が恵里を包み込む。エヒトが開いた掌を握ると、白金色に輝く雷が彼女の肉体を貫き、焼き尽くす。

 

「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!」

 

「良い悲鳴だ……む?」

 

恵里を詰ることに愉しんでいたエヒトは背後からの2人の気配を攻撃される瞬間まで無視していた。

 

「これでもダメですか!?」

 

シアが星砕き・V2の柄を突き立て、その間に雫が恵里を捕らえている黒雲を一閃し、未だ痺れている彼女を連れ戻す。

 

「恵里大丈夫?」

 

「……問題ないよ。それにしても厄介すぎる」

 

エヒトの魔法をある程度吸収して、回復に回していたようで、ダメージはある程度抑えられているようだ。

それでも大ダメージを負ったのは間違いない。

 

「そう言えばイレギュラーよ。アルヴヘイトをどのようにして仕留めたのだ?あれも一応は、神性を持つ我が眷属だ。いくらお前達と言えど、そう簡単に討たれるとは思えないのだがな」

 

「ああ、あのみっともなく命乞いをしたエセ野郎?そいつなら今、人類の為に身を……ううん、魂を粉にして頑張ってるよ。初めて人の為に活躍してるし、今頃は大号泣でもしてるんじゃないかな?」

 

「ほう、みっともなく命乞いとな……」

 

「お前に見せても喜ぶだけだから良いけどさ……」

 

「隠すことはない。分かっているぞ。概念魔法を発動したのだろう?お前達にとってあの時は極限と言える状況だった。まさか、アルヴヘイトを打倒し得るほどに強力な概念を生み出すなど、我にとっても予想外ではあったが……大方、『神殺し』の概念でも作り出したのだろう?そして、その切り札を懐に忍ばせて、これならばと希望を抱きながらここまで来た。ふふふ、可愛いものだ」

 

「そうだね、お前を倒す剣なら作ったよ!ソレにお兄ちゃんを助ける力もね!」

 

そう言い切りながら、バルムンクの斬撃と多種多様な最上位魔法でエヒトを攻撃する。

更に、雫とシアが宝物庫から複数の魔法を込めたカプセル状の弾を雨霰のように降り注がせ、起爆する。

 

「ククク……面白い……もっと我を愉しませよ!」

 

彼女達の弾幕はエヒトが開いた光の亀裂から降り注ぐ流星に撃ち落とされている。

エヒトの分身体が雫達に大剣と拳で襲う。

 

「甘いわ!」

 

「返り討ちにしてやるですぅ!」

 

拳は姫鶴一文字によって切り落とし、大剣を戦鎚で砕く。

切り落とした拳は再生され、大剣の破片は、短刀へと姿を変えてシアへドラクエ襲いかかる。

 

「物量ばっかでうざいですぅ!!」

 

短刀は半転移で回避し、分身体を直接、弾幕で消し飛ばす。

雫もヒットアンドアウェイを繰り返すことで、分身体の隙を突いて殺すことに成功する。

どうやら分身体は不死身ではないようだ。

光の使徒達は恵里のフェンリル・リッパーに抑えられているので妨害はないと考えて良いだろう。

 

「ククク……ここまでされていても諦めないとは……しかし、この身体の持ち主はまだお前達を待っていると、そう思っているのか。ならば絶望を教えてやろう」

 

エヒトは指を順番に立てる。

 

「まず一つ、お前達の持つ、概念魔法は我に通用などしない。二つ、この身体の持ち主の魂は既に声も出せない。三つ、お前達はここから出ることすら叶わないと言うことだ」

 

エヒトが宣言する。恵里達は

 

「バーーーーカ!誰がお前の話なんか信じるんもかよ!」

 

「士郎さんは生きていますし、わたし達は帰ります」

 

「アンタ如きに私達の想いが通じない訳がないでしょう!」

 

そう言って恵里は闘志を燃やし、魔力を本格的に放出し始めた。

 

「そろそろわたしもこれを飲む時が来たようですね……」

 

シアは宝物庫から、錠剤を取り出し飲み込む。

『ズクン、ズクン』と彼女の心臓の鼓動が大きく激しくなっていく。

 

「はあああああああっ!!!!!」

 

シアの身体から途轍もない程の力が溢れ出た。

服用した錠剤は、士郎の作成した『現人神薬』と言う増強剤だ。

士郎の強化魔術を薬に詰め込み、飲んだ者の基礎ステータスをザッと10倍に引き上げる。反動として肉体へのダメージが入る。キチンと鍛錬をしていなければ、五体が吹き飛ぶ。

 

「士郎さんに訓練メニューを熟すよう言われていなければこの薬も使えなかったですね……身体から力が溢れ出るです……」

 

(それと同時に身体中がギチギチと激痛も上げてます……長期戦は不可能と考えましょう……)

 

その上でで身体強化レベル・Xを発動して一気に全開状態へと達する。

恵里と雫も、限界突破の魔強化版を発動する。

 

「『限界突破・天神』!」

 

「『限界突破・獄神』!」

 

白と黒の濃密な魔力がお互いから吹き上げ、周囲の死体の残骸が消し飛ぶ。

 

「さて第二ラウンド開始だよ!」

 

 





フェンリル・リッパー
その場スカウト(洗脳)で魔改造した神獣。
奈落最下層のヒュドラ(初期)ならば十数匹集まれば余裕を持って狩ることができる。
ヒュドラ(本気)も数十匹ならば狩ることもできる。

抜刀牙シリーズ。
某熊狩犬漫画の必殺技。

三体に分身
ドラクエよりドルマゲス第1形態の分身。
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