ありふれない天の鎖の投影魔術師は世界最強 作:小説大工の源三
長くかかってしまった。
今月中には完結厳しそうだなあ……
紫色の気味が悪い空間で4人が戦っている。
斬り合いの最中に士郎と恵里達が分断される。
ソスタンボイは吹き飛ばされ、相手の剣も虚空に消えたので士郎がいつものように干将・莫耶を投影するのだが、普段とは違う感覚が掌に伝わる。
チラリと二刀を見るのだが、形は変わっていない。
(なんだ……なんだこの違和感は……)
『戦いの最中に考え事か!』
「そもそもお前の所為だけどね!」
エヒトは虚空から光る岩の剣を取り出して、鍔迫り合いを始める。
ゴツゴツとした岩の剣の刀身に干将・莫耶の刃が削られていく。
(チッ……耐久は向こうが上かッ!)
士郎は鍔迫り合いでは不利と悟り、エヒトの腹を蹴飛ばし、二刀を投げつけ、壊れた幻想で距離を取る。
投げつけた二刀は岩石剣を粉砕し、エヒトの周りを大きく吹き飛ばす。
『ならばこれだ……』
エヒトが虚空から黒い十字架のような棒を出現させ、短い方をバランス悪く肥大化した右腕で掴みこちらに殴りかかってくる。
「ぐっ……」
新たな剣を投影する間もなく、士郎は右腕を金剛と強化魔術で硬質化して受け止める。
しかし、あっさりと腕を両断されてしまう。
「斬撃……取り回しは剣か……」
腕を再生も出来ずに士郎に斬りまくるエヒトは、何かを焦っているようだった。
彼を達磨状態にしようと執拗に残っている四肢を狙う。
「しつこいなぁ……」
士郎は空間魔法で境界線を作り、一時的に距離を取ろうとするがエヒトはずらした境界線を一瞬で元に戻して、攻撃を続ける。
空中に刀剣を投影し、射出したり、その場で壊れた幻想をして時間を稼ぎ、再びソスタンボイを投影して黒い棒の剣を受け太刀する。
「流石にデュランダルの不壊の概念は貫けないか……」
ギリギリと剣同士が軋み合う。
互いの背後から魔弾が放たれ、それを避けつつ吹き飛ばしにかかる。
「チッ……!」
エヒトが剣先を士郎に突き付けると、虚空から、黒い岩の人形が現れ殴りかかってくる。
「邪魔ァ!」
全て切り伏せ、残骸を掴み投げつけ、振り回して人形同士をぶつけて破壊する。
複数の残像が士郎へと剣や拳、槍や斧などで襲いかかる。
本物を見極めながらその攻撃を防ぐが、徐々に分身の数は増えていき、対処しきれずに斬撃を横っ腹に喰らい、腰から下が亡き別れになる。
エヒトは上半身を執拗に攻撃し、ズタボロになったところで、心臓に左手を突き刺す。
『これで我の身体が戻る……』
肉体が得られると思ったその瞬間に士郎の上半身が融解し、エヒトに絡みつく。
「お前ならそっち狙うよな!」
下半身から上半身を再生した士郎が、銃剣による一斉射撃でエヒトの依代を蜂の巣にする。
『小癪な真似を……まぁ良い……その程度で戻っては興醒めよ……』
エヒトの依代は穴だらけの身体を直様修復する。
周囲に大量の魔力反応が士郎の感知技能に反応した。
「げっ……そういうことするんだ……」
虚空から現れたのは竜の顔面の骨を模った魔力大砲だった。
既に魔力が溜め込まれており、いつでも砲撃が可能な状態だった。
『消えよ……』
一斉砲撃を喰らう前に後ろへと跳び、防御するべき範囲を前方に絞り、その上で熾天覆う七つの円環を展開してガードする。
背後からは渦を巻きながら迫り来る、炎と純粋な魔力の塊
熾天覆う七つの円環を徐々に縮めていき、魔力の塊とぶつかるその一瞬に横へと避けて相殺する。
『ならばこれはどうだ?』
拘束を吹き飛ばしたエヒトは自身の身体から岩の触手のようなモノを生やし、鞭のように振るわせる。
四方八方からくる岩触手をソスタンボイで切り落とすのだが、切り落としたところから再生する上に、切り落とした先端がホーミング弾のように攻撃してくる。
「鬱陶しい…!」
触手を髪の毛の先から発生させた、重力球に吸収させる。
重力を調整し、超小型惑星のようなモノを作り出す。
「惑星ストラーーイク!!!」
士郎は岩石の惑星を投影した真っ黒なバットでホームランを打ちエヒトのどてっ腹にぶちかます。
そのまま同様の素材で出来たエヒトの身体を呑み込む。
惑星を爆散させてエヒトの魂を探す。
『我が依代は無限にある。その程度で我を殺すなど、不可能だ』
別の歪な人形が現れる。
「ならこれでまとめて消し飛ばしてやる……」
士郎は偽・螺旋剣を複数投影し、剣の柄頭を殴り、エヒトに向けて飛ばす。
『ククク……それではこちらはコレだ』
エヒトは業火球を掌に作り出し、そこから倍々に増やし、巨大化させていく。
その熱量は、かつて魔人族の城でアルヴが作り出したモノよりも遥かに勝るモノだ。
「ならこっちは科学のお時間だ!」
士郎は再び重力魔法で業火球を吸い込む。
焔が消失し、残った熱だけが、視界を揺らす。
重力球を解除し、再び剣を投影して何度目かの空間姫大揺れするほどの斬り合いを始めるのだった。
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一方で恵里達は、神の使徒や不完全な魔人天使兵、魔獣達を無双ゲームの如く蹴散らしていた。
「雑魚ばっかだけどキリがない!」
「おまけに喋らないから不気味ですぅ!」
神の使徒は地上を裏で操作する為に喋るノイント達と違い、無機質な顔のまま襲いかかり、未完成のまま呼び出された魔人天使兵はグズグスになった腕だったり足、顔などをボタボタと溢しながら武器を振り回している。
「ゾンビみたいになった魔人族もなりかけなのか、気持ち悪いわね……」
背後、正面、真上、真下と空間が揺らぎ、そこから数えきれぬ程の敵が現れる。
「『黒よ光なき世界よりも暗い黒よ、我が手に集まれ、。全てを呑み込む大砲となれ。暗雲重煌体』!」
重力魔法と闇魔法を濃密に固め、放出する。
煌体に触れるだけでなく、一定の範囲にいる物体も煌体の中核へと呑み込まれ、圧縮されるように消えていく。
「これだけやっても……ですよね……」
上空がガラスが割れたように穴が開き、ワラワラと湧いてくる。
「これがゲームのレベル上げ作業なら万々歳なのに……これは地球の神様がゲームキャラの気持ちを分かれって言っているのかしら」
ウンザリしたように雫が現れる木偶人形を重力魔法で引き寄せてまとめて切り捨てる。
「何を言っているかわかりませんが、とにかく飽きたってことはわかりました」
そうこう数十分木偶人形とやり合っていると、突然恵里達が戦っている空間が大きく揺れ、不安定になる。
「な、なんですか!?」
「……僕達が何かしたわけじゃない……お兄ちゃんの所からだね」
「今すぐにでも加勢に行きたいけれども……この量を倒し切れてないわ……」
3人で丁度良くインターバルを挟みながら、神の使徒達を無双ゲームしているので抑えているが、一人でも欠ければ形勢逆転されてしまう。
するとピシリと背後の空間から何者かが飛び出してくる。
「オラァァァア!」
金色に輝く左腕で目の前の木偶人形を粉砕する。
「ハジメ?」
「どうやら間に合ったみたいだね……」
壊された義手から新たな義手を装備し、魔眼のような魔石を取り付けたハジメが金色の立髪の龍に乗って参戦してきた。
「王国で待機してたんじゃないんですか!?」
「してたよ?でもさ、このまま待ってるなんて性に合わないんだよね」
『地上の皆様、ハジメ様にこの戦いの参戦を頼まれましたからね』
「そんなこったろうと思った……でもその義手はどうしたのさ」
「これ?天之河の聖剣を素材にして作った」
「光輝が?」
光輝が聖剣を渡したことに雫は驚いた。
地球にいた頃からハジメを目の敵とまではいかないが、親しくしようとすらしなかった彼が、半身とも言える剣を差し出したのだ。
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「士郎達大丈夫かな……」
「負けることはねぇだろうけど……苦戦だけは免れないだろ」
「誰が応援に行った方がいいだろうな…」
誰が参戦するか、この場の全員がハジメを視線で選んでいた。
「南雲……コイツで義手を作れないか?」
光輝は淡く光る聖剣をハジメに差し出す。
そんな彼をハジメはギョッとしたような顔で見る。
「……俺はもうこれ以上は戦えない……仮に戦えたとしても、確実に足手纏いだ。だから、お前にコイツを託す……」
「…わかった。借りるよ」
ハジメは聖剣を受け取り、アワークリスタル内で錬成を始める。
(イメージしろ……この聖剣を使って最適な扱いができる義手を……)
ハジメの脳内にとある人物が浮かび上がる。
隻腕の騎士、国王の側で戦い続けた一人の男。
聖剣が変形し、自身が改造した無骨な義手と違い、美しい意匠の義手が自身の左腕になっていた。
「できた……これ……名前もアレだね……『
完成した白銀の義手は聖剣からの決戦への意志を感じる。
「ハジメ……その目じゃキツいだろ……コイツを付けてけ」
幸利がハジメの右目穴に何かを埋め込む。
「ちょっ幸利!?……右目の視界が……」
「オレもくたびれちまったからな……後は頼めるか?」
「任せて……確実に勝ってくるから」
するとレミアに連れ添って幼女2人がハジメの元に駆け寄る。
「パパ、頑張ってね」
「うん…!」
「ハジメお兄ちゃん……パパ達をおねがい!」
「任せて」
「あなた……生きて戻って来てくださいね?」
「勿論だよ」
「……ハジメ!アレーティア呼んだ!」
「こっちも空間繋いだわ」
「よし……行ってきます!」
そう言って、ハジメはユエの召喚したアレーティアに乗って優花の開いたゲートに飛び込んで行った。
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「これで誰か一人は士郎の所に参加できるでしょ?」
「そうね……恵里、後はお願いできるかしら」
「そうですね。ここは恵里さんが行くべきです。わたしや雫さんは近接がメインなので。全距離こなせて、この場の誰よりもあの人のことを知っている貴女に」
二人は恵里に士郎の事を託すことにしたのだった。
「わかった……ここは任せるよ3人共」
士郎の元へ、恵里は飛んで行った。
「んじゃ……第二ラウンド開始と行こうか!」
銀色の腕に魔力を流し込み、義手から魔力の剣が現れる。
「どっせぇぇぇぇえい!」
義手を横一文字に振り、神の使徒達を消滅させる。
さらにはアレーティアの高熱ブレスで追い討ちがかかる。
「おおう……えっぐ……」
あまりの出力にドン引きしていた。
「自分でやっておいて引かないで……」
「いやだって……ここまで行くとは……」
「ちゃんと聖剣だったんですね、勇者の聖剣は。それにそれユエさんの魔法ですか?」
『そうよ。ユエが私を呼んだのよ』
「うえ!?喋った!?」
「魂魄魔法かしら…?」
『その通りよ。ほら、前を向いて。来るわよ』
アレーティアが再びブレスを吐きながら伝え、戦闘を再開する。
恵里はクリスタルキーを使い、士郎の元へととぶ。
「お兄ちゃん!」
エヒトであろう複数の岩人形と斬り合っている彼の背後の一体を粉砕する。
「恵里!?なんでここに!」
「ハジメが来たから、誰か一人こっちに来れるようになっただけ」
「また、みんなして無茶するんだから……」
「ブーメラン複数刺してあげようか?」
「ゴメンナサイ……」
二人して話していると、岩人形からピシリと何かが割れる音がした。
『我を無視するでないわ!』
「無視はしてないよっ…!と」
攻撃をかわしつつ岩人形を破壊する。
「お兄ちゃん、コイツら全部エヒトなの?」
「いや……一体一体はそこまでかな。大体はワンパンできるからね。ただ数が多いのは事実」
「僕達のところにもいたようなのと同じだね……」
「なるほど……撃ち漏らしがあったわけではないと……」
「ところでお兄ちゃん……試したいことがありそうだけど……」
「あ、わかっちゃう?」
「何年妹兼恋人やってると思ってるのさ」
そう言う恵里にはにかんだように笑い、念話で伝えた。
「おっけ。任せて」
恵里は銀翼を大きく広げて、岩人形の群れに突撃しつつ、空から隕石を落とす。
「『望むはボクらの自由……思がままに世界を歩こう。広く青く澄み渡れ、美しき空は何処までも!』」
詠唱を始めた士郎の周りで白緑色の魔力が取り巻く。
『何をするつもりか知らぬが……させぬぞ!』
エヒトが士郎目掛けて、レーザーを放つが、それを熾天覆う七つの円環で防ぐ。
七枚の花弁の盾はミシミシと音を立てて割れていく。
「邪魔させるかぁ!」
恵里が岩人形を蹴散らしながら銀翼を掲げ、魔力を込めて螺旋回転しながら突撃する。
「こんのぉ!『ブレイクスルー』!」
別のレーザーを恵里に向けて撃つが、それを貫いてエヒトにぶち当たる。
『グオァ!おのれ小娘如きが!』
士郎に向けられていたレーザーは明後日の方向に向かって行った。
『人形如きでは足止めにもならぬか!』
その間にも士郎の詠唱は続く。
「『ボクらを害する者よ……その身を戦火の名残へ堕ちろ……燃えろ、灰も残さず、抵抗の余地すら与えられぬまま滅びゆけ!』」
3人の視界が純白に染まり、世界が塗り替えられる。
ドロドロとした空間が一瞬にして切り替わる。
「わぁ……広い……それに風も気持ちいい……」
「そうだね……これがボクの心象風景……なのかな?」
恵里の視界には士郎が夢で見たであろう景色が広がっていた。
『き、貴様等の目は狂っているのか!?なんだこの地獄のような世界は!』
エヒトは狼狽えたように叫ぶ。
「お兄ちゃん……アイツどうしたの?」
「さてね……(多分……アレが見てるのは……火の海に囲まれた世界なんだろうな)」
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エヒトは視界に広がる火の海を見て一つのトラウマを刺激したのか、焦るように魔法を展開──した筈だった。
『何っ!』
魔力が集まらない。
それどころか身体を巡る魔力すらおかしい。
武装しようにも剣すら出すことができない。
『天雷!天灼!何故だ!何故、魔法が使えぬ!』
ボロっ……
身体の表面の石が落ちる。
一つならまだ自然に落ちたと思っただろう。
一つまた一つと崩れ落ちていく。
『ひっ!』
身体の末端から崩れていく。
指が、掌が無くなっていく。
『やめろ……やめろ……やめてくれ……』
再構築しようにも魔力操作ができない為に崩れていくのを感じることしかできなかった。
頭部もなくなり遂には胴体も崩れた。
顕になる光球。エヒトの魂本体。
『ぎざまら!よぐもわががらだを!』
駄々をこねた子供のように叫ぶ。
「漸くお出ましだね……これでお前も終わりだエヒト!」
士郎は両手を前に突き出し、剣を握る動作を見せる。
握る手には青いグリップが、柄頭には紫色の宝玉、金色の鍔、白銀の刀身。刀身には白緑のオーラを纏っている。
「『
握る剣から放たれる威圧感にエヒトは本能的な恐怖を覚えた。
アレで斬られてしまえは終わる。死ぬと。
『嫌だ……死にたくない……嫌だァ!』
エヒトは自身のメンツも捨てたようになりふり構わず魂のまま逃げ出した。
『我は生きたかった!私は唯一生き残った者としてぼくの世界が編み出した魔法が如何に素晴らしいか!』
「逃がさないよ……」
鎖を呼び出し、手の形に変形させ、エヒトの魂を捉える。
『離せっ!離せ!離してくれぇ!』
「もう十分わかったよ、お前達の理法術は……」
ザンッ!
エヒトの魂を疑似聖剣で縦に一刀両断した。
真っ二つに割れた光球はサラサラと砂になるように崩れていく。
『あ、ああ……我は死ぬのか……』
「ああ、終わりだ邪神」
『ククク……死ぬなら神らしくプライドを保って死ねばよかったな……生に縋ろうと必死になった我はさぞかし滑稽だっただろう』
「どうだろうね……死にたくないのは人間誰しも思うでしょ。ボク達だってそうだし」
『人間……人間か……我は神になった言うのに…』
「格としては神にはなっただろうね。本質は強欲な人間のままだったけど」
『強欲な人間か……フフフ……』
「結局は何がしたかったんだお前は」
『わからぬ……最初は滅びゆく我が故郷から逃げ延びるだけの筈だったのだがなぁ……』
「記憶で見たよ」
『乗っ取った時に見たのか』
「そうだね」
士郎は身体を乗っ取られている時にエヒトの記憶の一部を見ていた。
『……まぁ我はやりすぎたのだろうな……今更こんな事を言ったところでだが』
「そうだな……地獄でたっぷり反省したらいいさ」
『そうさせてもらおう……そうだ人間』
「なに?」
『貴様の名は何と言う』
いきなり名前を聞かれたことに驚いた。
「天野士郎……ただの人間だった化け物さ」
あっさりと教えた。
『天野士郎……一つお前に教えておく……この空間……我が支えているのだが……』
「?」
『我が消えれば我もわからぬところに飲み込まれるぞ』
「「は?」」
『ククク……間抜けなその面を拝めただけでも満…足…だ…』
エヒトはその言葉を最後に、完全に消えていった。
それと同時に士郎の固有結界も解除され、崩れゆく空間へと戻る。
「どうする、お兄ちゃん」
「さーてね……」
一周回って冷静になった兄妹はどうするか脳を回転させる。
その時、正面から何かが割って入ろうとしていた。
『ちょあーーー!絶妙なタイミングで現れるぅ、美少女戦士、ミレディ・ライセンたん☆ここに参上!私を呼んだのは君達かなっ?かなっ?』
何か出てきた。
「うわ……」
『ちょっと?うわはないんじゃないかな☆しーくん』
「ミ、ミレディ?」
『久しぶりだね、えーちゃん』
「ど、どうも……」
いきなり現れた珍物に動揺を隠すことができていない。
『ま、いっか。ここから早く出ないといけないわけだし。ウサギちゃん達も外に放り投げてきたばっかだし☆』
「シア達は無事なんだね」
既にこの空間から脱出していることに安心した。
『それとコレあげるよ。劣化してるとはいえこんな不安定な空間でないと碌に使えない不良品だけど脱出には十分なはずだから。後、サービスで回復薬だ!矢の能力を発動させるくらいには回復するはずだよん!それ飲んだら二人共さっさとゴー!ゴー!あとはお姉さんにまっかせなさ~い☆』
そう言って界越の矢を渡す。
「ミレディはどうするの?ここに残ってこれを止めるの?」
『その通り!超奥義☆な魔法で消しちゃうつもりだからさ。こんなのほっといたら地上諸共アボン☆だし』
「そっか……なら任せるよ。行こう恵里」
「お兄ちゃん……わかった」
士郎はミレディがここで死ぬつもりなのを理解していた。
恵里も何も言わなかった。
「ミレディ・ライセン…貴女の魔法はボク達の旅に大きく貢献してくれました」
「うん……短い間だったけど、1番汎用性があったね」
『当然だよーなんたってこの私の魔法だもん。ありがとうねみんな私の魔法を正しいことの為に使ってくれて』
照れたようにクネクネと身体を動かす。
「……ミレディ・ライセン。あなたに敬意を。幾星霜の時を経て、尚、傷一つないその意志の強さ、紛れもなく天下一品だ。オスカー・オルクス。ナイズ・グリューエン。メイル・メルジーネ。ラウス・バーン。リューティリス・ハルツィナ。ヴァンドゥル・シュネー。あなたの大切な人達共々、ボクは決して忘れない」
「……うん。なに一つ、あなた達が足掻いた軌跡は無駄じゃなかった。必ず、後世に伝える」
『二人共……な、なんだよぉ~。なんか、もうっ、なにも言えないでしょ!そんなこと言われたら!ほら、本当に限界だから!さっさと帰れ、帰れ!』
更に気持ち悪くクネクネと身体を回す。
士郎達は界越の矢に魔力を込める。
「さようなら世界の守護者様」
「来世があったら会おうね?僕たち長生きだから」
そう言って二人は空間を飛び出していった。
『世界の守護者、ね。むず痒いなぁ。最後の最後に、あれは反則……報われた、なんて思っちゃったじゃんか。それに来世かぁ……フフフ、いっそみんな一緒だったらいいなぁ……』
ミレディは振り返った視線の先に写る
『みんな……ただいま〜!』
全てを呑み込むブラックホールが世界を吸い込んでいた。
最近ずっときゅうくらりんを聴きまくってる。
この曲、エリリンにと割と合ってるし……
エヒトとの最後の問答
死ぬ前に狼狽えたのはハガレンのお父様みたいに人智を超えたはずの存在が自身が終わるのが嫌がったような状態。
死に際は冒険王ビィトのグリニデが死ぬ前に落ち着いた状態になったのをイメージしてもらえればいいです。
こんな落ち着いた雰囲気なのは士郎の身体を乗っ取った時に変質したと思っててください。
そして投稿が遅れて大変申し訳ございません!!!
戦闘シーンやら何やらがもう書くのに時間かかりまして……