ありふれない天の鎖の投影魔術師は世界最強   作:小説大工の源三

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ようやく更新。
すまぬお待たせしてしまった。


帰還

 

王国の復興にも目処が立ち、士郎が強化したクリスタルキー──ワールドキーがあるのでいつでもトータスに行き来、可能なのもあって今生の別れのような雰囲気もなかった。

幸利と遠藤の決闘から2日が経ってから帰還することになったのだ。

 

「で、何でボクが帰還の音頭とるのさ……こういうのは教師である愛ちゃんじゃないの?」

 

「だって、ねぇ?」

 

「なぁ?」

 

疑問に思う士郎に対してハジメと幸利の2人はニヤニヤとして惚ける。

 

「だって士郎がここまで導いたんだし」

 

「俺達のリーダー的な訳だしな」

 

「わかったよ……」

 

渋々納得した士郎は地球組及び、その恋人達が集まっている広場に向き直る。

 

「諸君!此度の大戦。よくぞ生き残った!本当にこんなろくでなしの為に戦ってくれたこと、心より感謝している!」

 

声高らかに士郎は全員に呼びかける。それに対して帰還者達は口笛だったり野次をあげる。

 

「これより、地球へのゲートを開く!各自忘れ物はないか?!」

 

肯定の頷きを確認した士郎はワールドキーを手に魔力を込める。溜まり切ったのを感じ取り、鍵を虚空に差し込み開錠するように捻る。赤、金、白、紫、銀、青─そして黄緑の輝きが視界を埋め尽くす。

 

「開いた……それじゃあみんな入ってどうぞ、出る場所は……屋上かな?」

 

それと同時にぞろぞろと地球へのゲートを潜っていく。

残りが士郎達になった所で、3人は彼の手を取る。

 

「それじゃあ、帰ろっかお兄ちゃん。僕達の家族の待つ家に」

 

「ええ。これ以上は心配かけたくないもの」

 

「わたしは楽しみです。みなさんが過ごしていた世界が」

 

3人は微笑みながらそのまま手を引いて、ゲートに向かう。

 

虹色の輝きに目を眩ませるが、本の数秒だ。

視界がクリアになると、そこには先に地球に帰還したクラスメイト達と、少し明るめの夜の屋上だった。

 

「帰ってきたんだよね」

 

「そうだね。今何時なんだろう」

 

周囲を見渡し、時計を探す。

 

「お、あったあった」

 

「お兄ちゃんどこにあったの?」

 

「ほらあそこさ」

 

士郎の指差した方向には時計があったのだが、校舎の屋上から約15kmも離れた位置にあったのだった。

ちなみに時刻は四時だった。

 

「僕も見えるけど、視力も化け物になったねぇ」

 

「……やばい。普通に見えるから異常なことに気づかなかった。まるでナメック星の後の孫悟空みたいな気分だよ」

 

「あはは……で、この後どうするの?」

 

そう、いきなり戻ってきたとして、そのことをどこに報告するかだ。

 

「とりあえず父さんに電話しよっか」

 

そう言って校舎の中にある、固定電話で自宅に電話をしようとするが、

 

「やっべ。番号覚えてないや」

 

「士郎さん、名簿とか無いの?」

 

「多分捨てられてるんじゃないかなぁ?一年もいなかったら取っておく必要もないだろうし」

 

「そうよね……」

 

「とりあえずうろ覚えの記憶頼りに番号入れてみるよ」

 

プルルル!ガチャ『はい、こちら天野です』と電話に出たのはなんと自身の母親である、眞姫那だった。

 

「母さん。士郎だよ。えっと…神隠しから帰ってきたよ。証明としては……そうだな……」

 

士郎は少し考え、家族間でしか知らないことを次々と話していった。

更なる証拠として恵里も交えた.

 

『ほんとに士郎と恵里なのね……おかえりなさい』

 

「うん、ただいま」

 

『とりあえず今日、お父さんが知り合いに連絡しているから、帰れるのは多分明日以降になるわよ』

 

「りょーかい。ひとまず学校で寝泊まりするよ」

 

『ええ。本当なら家に戻ってきて欲しいけど、流石に1年もいなかったのは問題が多いわ』

 

「当然のことだよお義母さん」

 

『ふふふっ元気な姿を見せてちょうだいね』

 

「あはは…変わりすぎてて驚くよ必ず」

 

『あら、それは楽しみね』

 

「ふふっ気を失わないようにね。おやすみなさい」

 

「そうだね。おやすみ」

 

『はい、おやすみ2人とも』

 

そう言って電話を終えた。

 

「ねぇお兄ちゃん」

 

「なに?」

 

「お義父さんって何者なんだろうね」

 

「ただの会社員って言ってるけど絶対只者じゃないよ、うん」

 

2人して自身の父親の謎が深まるのだった。

 

─────────────────────────

 

その翌日。

父である悠次郎の知り合いというよりも、小学生の頃から家族包みでお世話になっている、警察官の海鳴瀬戸さんが色んな人を連れて、事情聴取を行った。

帰還しなかった檜山達4人の事を説明した時は、複雑そうな顔をしていた。

 

「……これで事情聴取は終わりだよ。長い時間を取らせてすまなかったな」

 

「いえ、1年間も神隠しに会えばそうなるのは当然ですよ」

 

「そうか。まぁ僕個人としては君ら兄妹が無事に戻ってきてくれたことが1番だよ」

 

「……そういえば瀬戸さんも出世したの?」

 

「そうだな……今じゃ警視長さ」

 

「おお〜ボクらと会った時は交番のお巡りさんだったよね」

 

「ははは、あの時は君のご両親に捜索以来出されてびっくりしたよ」

 

小学生の頃に起きた、恵里の家出事件を切っ掛けに交流が少しだけだがあった。

 

「この後はどうしたらいいんですか?」

 

「ああ、2人で最後だからな。この後は報道陣やら何やらに連絡とかで、こっちの仕事だからな」

 

よっこいしょ、と言いながらパイプ椅子から立ち上がり、背伸びをする。

ゴギゴキと音を立てていそうなほど固まっていた気分だ。

 

「ふーっ……長かったぁ〜」

 

「瀬戸さんも歳かぁ〜」

 

「喧しい。まだまだ若いもんには負けんよ」

 

ニカッと笑って部屋を出る彼を見送った2人は顔を見合わせる。

 

「瀬戸さん、クマすごかったね…」

 

「寝る間も惜しまずに探してたんだろうね……」

 

「嬉しいけど申し訳ないというか……」

 

「今度疲れの取れるベッド作ろうかな」

 

「僕の魔法も使えるかな?」

 

「闇魔法とかそう言う系列は精神に作用するし、そっち方面お願いするよ」

 

「オッケー」

 

2人も部屋から出て、玄関へと歩いて行く。

そこには既に事情聴取が終わっていた雫とシアとリーニャが待っており、

士郎の姿を認識したリーニャがトトトトッと駆け寄ってくるので、そのまま捕まえて肩車で肩に乗せる。

 

「お二人共、お話は終わったんですか?」

 

「昔からの警察の人だから、少し話し込んじゃった」

 

「そうなの?」

 

「うん。昔僕がやらかした時とか元家族の件とかでね」

 

「私と会う前会った後も色々あったみたいね……」

 

「ママ、悪い人に追われてたの?」

 

「色々あっただけだよ。まあそのおかげでパパと親密になれたわけだしー♡」

 

リーニャを肩車で乗せている士郎と繋いだ手を一層強く握り、腕を絡めて、更に密着する。

 

「そうなのね」

 

雫も一瞬で距離を詰めて、手を繋ぎ腕を絡める.

 

「あー!お二人共ズルいです!」

 

シアも2人に負けてたまるかと、士郎の正面に抱きつく。

 

「シア、せめて後ろからでお願い。歩けないからさ」

 

「そうですよね。それでは失礼して」

 

シアは背中に飛びつくように抱きつく。

そして念話で囁き始めた。

 

『あ、もし我慢できなかったら襲って良いんですからね♡』

 

「シア?」

 

『えへへ。正面に抱きついた時に気づいてますよ?固くなってるの』

 

シアにバレていたようで、士郎は呆れたような表情になる。

それも当然である。メロン×4にリンゴ×2が密着しているのである。いくらそういう行為をしていたとしても惚れた女の果実がくっつくことに盛り上がらないわけもない。

 

『父さん達にキチンと報告してからだよ』

 

周囲の視線でハリネズミになりながらも、自宅の前まで到着。

4人娘達も離れて、後ろに並ぶ。

 

ピンポーン

 

『はーい』

 

返事と共に開く扉。久しぶりに見る母親の顔が写る。

 

「ただいま母さん」

 

「ただいまお義母さん!」

 

2人に眞姫那が飛び抱きつく。

 

「お帰りなさい!2人とも!無事……戻って来てくれて本当によかった……!」

 

涙声で再会したことの喜びを伝え、力いっぱい抱き締める。

 

「それじゃあ……後ろの2人……雫さんとシアさん、リーニャちゃん。貴女達もどうぞ上がってちょうだい。旦那にも話さなきゃいけないだろうし」

 

5人はそのまま天野家に入り、リビングのソファーに座る。

前には父親である悠次郎が座っていた。

 

「まず、よく帰ってきたな……いなくなった時は本当に生きた心地がしなかったぞ」

 

「ただいま父さん。こっちもいきなりだったから困ったよ」

 

「そうか。とにかく前置きはここまでだ」

 

悠次郎は深呼吸をした後、険しい目つきで士郎達を睨む。

 

「雰囲気からしてお前、ハーレム築いたなおまけに子供まで連れてきて…」

 

「そうだね」

 

「どうする気だ」

 

「リーニャは養子になるね……年齢とかまだ卒業とかもしてないから手続きとかに手間かかかるだろうけど。ハーレムに関しては無理矢理にでも納得させるよ」

 

「ふむ……八重樫さん。君の両親は?」

 

「お父さん達は話してます。時間が出来次第士郎さんを連れてくるように言われました」

 

「そうか……士郎。日本じゃ、それが許されていないのは理解してるんだろ?」

 

「当然でしょ。異世界だから良いなんて甘っちょろい考えなんてないよ」

 

「それでどうするんだ?」

 

「……どうするも何も、このままだよ。このまま3人を愛して、リーニャを育てて、ボクと恵里が終わるまで過ごし続ける」

 

「それはどういう意味だ」

 

悠次郎は雫とシアが終わるまでに入っていないことに疑問に思ったのだろう。

 

「ボクと恵里は殺されるまで死ねないから」

 

士郎は自身と恵里の身についている、技能の完全なる形と神性のことを説明する。

 

「そう……か。そうなのか……」

 

悠次郎は深く長い息を吐き出して、何かを堪える。

 

「だからまぁ、これからも変わらずってこと」

 

「お前はそれを無くそうとは思わなかったのか?聞けば変成魔法というやつがあればそれを無くせるんじゃないのか?」

 

「それは最初に試したよ。でもね、深く根付いてるみたいで、取り除けなかったよ。恵里に至っては、神性を得た方法が問題で、そういう存在になっちゃったんだ」

 

宴の夜に本能で感じ取ったことをキチンと調べたのだ。

 

「とにかく。どれだけ世界に批難されようともこの関係を崩すつもりはないよ」

 

「わかった……お前の覚悟はよくわかった。だったら俺は何も言わんさ」

 

「私もよ。本当はこういうのは良くないけど、貴方達がそこまでの覚悟があるのなら、反対しても拗れるだけなのだし」

 

「ありがとう。これから迷惑かかるかもしれないけど、よろしくお願いします」

 

「「「「よろしくお願いします」」」」

 

士郎達は頭を下げる。

両親は士郎達の関係を認めて、これからのことを考え始める。

 

「式とかはどうするんだ?」

 

「それは未定かな…」

 

悠次郎は椅子から立ち上がり、肩をコキコキと鳴らし始める。

 

「義娘と孫娘の部屋開けなきゃな。確か屋根裏が空いているが……どうする?」

 

「2人はどうしたい?」

 

2人の部屋決めに入ったのだが、

 

「パパとママと一緒に寝る」

 

と、言うものなので士郎の部屋のベッドに恵里と一緒に寝ることとなった。

 

「わたしは屋根裏で大丈夫ですよ。士郎さんにいつでも会えるのですから」

 

「なんか羨ましくなってきたわ……お父さんに相談してみようかしら……」

 

3人が士郎の側にいることに嫉妬し、自身も側にいられないかと考え始めた。

それからは雫の祖父と勝負したり、士郎とのデート権を取り合ったりと色々と騒がしい毎日が続くこととなる。

 

「ねぇお兄ちゃん」

 

「何?」

 

「僕、幸せだよ!」

 




とまぁこれで原作の本ストーリーは完結になります。
終わりはあっさりと、続きあるので。
次回からはアンケートで1番多かった聖杯戦争に移ります。
設定練るのでしばらくは更新止まるかな。
その間はSAOを進めるので良ければそちらで暇つぶしにでも読んで頂ければ。
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