ありふれない天の鎖の投影魔術師は世界最強   作:小説大工の源三

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皆様ゲンさんです。
Twitterて度々見かけたかもしれませんが、生きてますのでご安心を


家族との仲の差

トータスから帰還た各々は、自身の自宅へと帰って行ったのだが、中には帰りたくないと思っている者がいた。

 

「はぁ〜帰りたくねぇ……」

 

士郎達と共に行動をしていた清水幸利、その人だった。

彼が実家であんまりな扱いを受けていたこともあり、嫌な予感がしてならなかった。

ティオは里に置いてある荷物を纏めたり、一族の族長代理に引き継ぎなどやることが多かったので、同時に帰還してはいなかった。

帰還してからも1週間も帰宅していなかったが、漸く決心がついたのか足を進めていた。

 

「絶対歓迎されねぇだろうな……」

 

そう言いつつ、チャイムを鳴らした。

 

『はーい』と女性の声が聞こえて数秒後に扉が開く。

 

「どちら様で……幸利……アンタ帰ってきたんだ……」

 

「そうだよ……アンタにとっちゃ嬉しくないだろうがな。とりあえず部屋だけ見に来た。上がるぞ」

 

そう言って一年ぶりの帰宅を果たしたのだが、そこで目にしたのは──

 

「んなこったろうとは思ったけどよ……」

 

ものの見事に何もない自分の部屋だった。

本棚も机も、挙げ句の果てにはベッドまで無くなっていた。

 

「流石にここまでするか普通よ……」

 

オタクコレクションが捨てられたのは流石に覚悟していたが、料理に関する物すら捨てられていたのはショックを隠せなかった。

 

「チッ……」

 

何もすることもできないからか、仰向けになる。

 

「こんな家族だからティオに会わせたくなかったんだよ……クソがよ……」

 

そうこうしているうちに父親と兄が帰ってくる。

母が自身が帰還したことを伝えたのか、2人が扉を開けて、入ってきた。

 

「……お前、いつの間に帰って来た」

 

「ついさっきだよ」

 

「そうか」

 

「しかしまぁものの見事に全部捨ててくれましたねぇ親父殿?」

 

「ふん。お前達が神隠しに逢って帰ってこないと判断したまでだ。どうせあっても邪魔なものだろう?」

 

「だからといって本まで捨てるか普通」

 

「仕事をする上で料理人の本なぞいらんだろう」

 

「それはお前らのことであって俺には必要なんだが?」

 

「…そんな物を読んでなんになる。まさか料理人になる気じゃないだろうな?」

 

「なるつったらどうすんだよ」

 

父親は一呼吸おいて、とんでもないことを言った。

 

「理解できんな。そもそも何故、お前はアニメだの漫画だのと無駄なことにばかり手を出す」

 

「無駄だと?」

 

「そうだ。お前のような無能が出来ることなぞないんだからな」

 

見下した目で、幸利を見下ろす。

明らかに、自分よりも格下の扱いをしている。

そんな父親と兄に見切りをつけたのか、立ち上がる。

 

父親と兄はいつだって幸利を見下して自身の威厳を保っていた。

 

「そうかい、わーったよ。そこまで言うなら俺はこの家を出ていかせてもらいますよ」

 

そう言って部屋を出て行こうとする。

 

「待て。この家を出ていって当てがあるのか?」

 

「これでも科学のない化け物だらけの世界で生き抜いたんだよ。こんな腑抜けた世界で死ぬことなんてねーよ」

 

部屋を出て行こうとするのを止めようと父親が肩を掴もうとしたが、スルリとかわされてしまい、止める間もなく階段を降りて行った。

 

「幸利……!」

 

「あん?」

 

呼び止めたのは母親だった。

 

「今更だけど、ごめんなさい。こんな最低な母親で…」

 

「……で?」

 

「お父さん達は私がなんとかするわ。アンタはアンタの好きなように生きなさい。母親らしいことなんてこれが最初で最後だから」

 

「そうか」

 

興味を無くしたように返事をしてそのまま夕暮れに染まった路地を歩き始めた。

そのまま幸利は街を歩いていき、行き着いたのは街で1番高い、電波塔だった。

 

「はー……これからどうすっかね」

 

宝物庫から手作りのハンバーガーを取り出して、齧り付く。

時間の概念がない空間だからか、野菜もシャキシャキで水々しく、肉もあったかい。

すると視界が塞がれる。

 

「だーれだ?」

 

「優花だろ?」

 

「正解。それ一口貰うわよ」

 

「おー…ほれ」

 

「あーむ…」

 

手を離した優花は、幸利の手にあるハンバーガーに齧り付く。

 

「…うん。美味しい…で、どうしたのアンタこんな所で」

 

「あー……」

 

「正直に話しなさいよ?」

 

彼女の可憐な笑顔からのとても強い、圧力のある視線が突き刺さる。誤魔化すこともできないので、家でのことを話した。

 

「……そう」

 

「愛想が尽きてるのは元からだが、流石に今回はちょっとな……」

 

自分が今まで研究した成果をゴミのように捨てられた事実に幸利は憎悪に突き動かされ、手を出しそうになった。

 

「ねぇ、アンタが良いのならアタシの家…ウィステリアに来ない?」

 

「お前ん家にか?」

 

「ええ。幸利のことはお父さん達も知ってるからわざわざ話を通す必要もないし」

 

幸利は考え込んだ末に出た答えは、

 

「ちょっとお邪魔するわ」

 

「よしきた!じゃあ行くわよ」

 

幸利の腕を掴み、自身の腕と手を絡ませ、ピッタリとくっつく。

その上で自身の豊満になった胸を押し当てている。

 

「〜♪」

 

「ご機嫌だな」

 

「そうね。幸利と一緒だもの。貴方は?」

 

「俺もだよ」

 

短い言葉の会話だったが、それだけでも2人の想いが確実に伝わっているのがわかっている。

数十分ほど歩き、優花の実家──ウィステリアに到着した。

 

「ただいま〜」

 

「おかえりなさい優花。それと、久しぶりね幸利君」

 

2人を出迎えたのは優花の両親──園部博之と園部優里だった。

彼女の両親とは召喚される前からの付き合いがあり、自分自身の両親よりも心を許しているほど、仲が良い。

 

「心配おかけしました…」

 

「無事戻ってきて良かったわ」

 

「本当だよ……時に幸利くん。お腹は空いていないかい?」

 

「大丈夫です。既に済ませてますので」

 

「でもハンバーガ一つじゃ足りないでしょう?」

 

と、幸利が料理人になろうとしていることを周知しているからか、それとも優花と最も親しい異性からなのか、彼に対して料理をよく振る舞う。

 

「…そ、それじゃあお言葉に甘えて」

 

「よし。それじゃあ作って来るから、座って待っていてね」

 

2人がキッチンへと向かい、姿が見えなくなった所で、幸利はだらしなく机に上半身を乗せる。

 

「ハァ〜……」

 

「そんなにため息吐いてどうしたのよ」

 

「いやさ、こんな俺の為に料理を奮ってくれるお前の両親に頭が上がらないなって」

 

「そんなこと気にしてたのアンタ」

 

「そんなことってお前な…俺にとっては結構大きいんだよ……」

 

そうこう会話しているウチに、幸利の鼻腔をくすぐるいい香りが漂い始める。

 

「はい、お待たせ。たくさん食べていいからな」

 

博之が持ってきたのはステーキだった。

 

「…いただきます」

 

幸利がナイフで切り分けると、中は鮮紅色の好みである焼き加減、レアで焼かれており、肉汁がたっぷりと溢れ出ている。

最初にナイフを入れた時からわかっていたが、なんの抵抗もなかった。

 

「おお〜…」

 

一口大に切り取ったステーキを口に運び、よく噛み締める。

とても柔らかく、舌の上で蕩けるほどだ。

つけ合わせのレタスも鉄板の上で温められバターで炒められており肉への食欲が進む。

 

「超美味ぇ……生きて帰ってきて良かったぁ……」

 

あまりの美味さに感涙すらしていた。

 

「そこまで喜んで貰えるとこちらも嬉しいよ」

 

一心不乱に食べ続ける姿をニコニコと眺めていた。

 

「まだまだ作るからどんどん食べてってくれ」

 

彼等の晩餐は夜遅くまで続いくのだった。

 

─────────────────────────

 

「ご馳走様でした……」

 

「ふふ、お粗末さま。いい食べっぷりだったよ」

 

「……あはは。一年ぶりにおじさん達の料理食べれてよかったです」

 

「そう。それは良かったわ」

 

「それじゃあ、俺はこの辺でおいとまさせていただきます」

 

そう言って立ち上がろうとした時だった。

 

「幸利、アンタ家出したんでしょ?どこに泊まるつもりよ」

 

自宅での出来事を知る優花からストップがかかる。

 

「野宿用の道具はあるからな、どっかの山にでもこもるさ」

 

それに対して優花は一つ提案をするのだった。

 

「それなら家に泊まりなさいよ。その方が問題にもなりにくいし、アタシとしても嬉しいわよ」

 

「いやいや、ここまでしてもらって寝泊まりするとかいくらなんでもそれは……」

 

「それが良いわね。ね、貴方もそう思うでしょ?」

 

「そうだね……幸利くん。君が良ければどうだろうか」

 

園部家全員が乗り気なのに幸利は疑問ばかり頭に浮かぶ。

自分の家族とは大違い過ぎる空気感に戸惑いばかりだ。

 

「どうして俺なんかにそこまで入れ込むんですか?」

 

疑問だらけの頭の中から搾り出して出たのはそんな簡単な質問だった。

 

「そんなの簡単よ」

 

「ああ、難しいことなんてないさ」

 

園部夫妻は声を揃えて言った。

 

「「君がしっかりとした人だって知っているからだよ」」

 

「っ!」

 

「それに優花から聞いてるよ。家族の事」

 

幸利はそのことに目を見開いたまま表情が固まる。

 

「だからと言って君を否定することはしないよ。君は君なのは……まあ当たり前の事だね」

 

そう言って博之は幸利の頭をくしゃくしゃになるまで撫でる。

 

「よし暗い話はこの辺にして……幸利くん……優花以外にもたぶらかしたようじゃないか……」

 

「うっ…」

 

地球に帰る際に1番気にしていた懸念点を遂に言われてしまった。

ハジメや士郎がハーレムを形成していた為に問題からの目を逸らしていたが、気まずいことになる相手から言われてしまうと、萎縮してしまう。

やはり何処の世も女の子の父親は強いようだ。

 

「今この場にいないですが、1人、優花の他に付き合っている方がいます…」

 

「そうかそうか……」

 

「勿論、娘さんのことも愛しています。けど、それと同じくらい彼女のことも愛してるんです…」

 

幸利が博之の目を見て告白した。

 

「娘の父親としては、ふざけるなと言いたい所だけど……優花から聞いているからね」

 

穏やかな笑みを浮かべていた。

 

「……2人から迫られたこともですか」

 

「うん。むしろ君には甲斐性を身につけてもらわなきゃいけないからね。ウチ継ぐのか、自分の店を持つのか将来の事はわからないけど、もし経営者になるのならしっかりできるように僕もサポートしていくつもりだから」

 

「……俺は…自分の店を持ちたいです。だからこれからよろしくお願いします」

 

椅子から立ち上がり、頭を下げる。

 

「…勿論。ビシバシ教えていくからね」

 

その後も穏やかに夜を過ごしていき、時間も遅いからと園部家に泊まることとなった。

 

「……優花の家族はいい人だな」

 

用意された布団の上でポツリと呟く。

自分の家族とは大違いの2人に色々と戸惑ってもいた。

 

「幸利、入るわよ」

 

「おう」

 

寝巻き姿の優花が扉を開けて入ってきた。

風呂上がりの上気して赤くなった頬、再生魔法戻り、綺麗に手入れされた茶髪に見惚れてしまっていた。

 

「幸利?」

 

「あ、ああ……お前に見惚れてた…」

 

「ふーん……」

 

意味深な笑みを浮かべた優花は、座り込んでいる幸利の肩を掴み押し倒す。

 

「ゆ、優花…?」

 

「今日は2人きりよ……」

 

そう言う彼女の目は完全に獲物を捕獲した獣のような目をしていた。

 

「待て!お前の親いるんだぞ!」

 

「大丈夫よ…今この部屋は空間魔法で独立してるからいくら音を出してもお父さん達にはわからないわ」

 

「いつの間にそんなことしたんだよ!?」

 

「入った時によ」

 

「嘘だろオイ。気づかなかったんだが……」

 

「さぁ…そろそろヤりましょう?」

 

 




皆様ご無沙汰しております…
ゲンさんです…
いやはや、次の章に向けてキャラクター考えているんですが、それぞれのクラスの鯖のマスターが全然決まらんのです。
決まっているのがランサーとそのマスター、士郎君を召喚したマスターしか決まってないという現状です。
どないしよ
とりあえずは幸利組のR18でも書こうかしらね…
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