ありふれない天の鎖の投影魔術師は世界最強 作:小説大工の源三
夢を見た。
少し視点は高く、周りには見慣れない人が数人。場所はおそらく学校。
1人は茶髪で陽キャのような女の子。1人は目が死んでいるけど、正気がないわけではない男の子。そして2つお下げの小さな女の子。その子はこのまま成長した鈴のような子。そしてもう1人は──肩にかかる暗い黒髪で鈴みたいな子より少し身長が大きいくらいの女の子。
その女の子を見ていると、親近感が湧いていた。
その子は幸せそうに視点の主にくっついている。まるで恋人と繋がるように腕を絡ませている。
更に人が集まる。青みがかった長髪の女の子に黒髪ポニーテールの女の子。そして気怠げに座る男の子がいた。
世界が変わる。
見たこともない景色。
日本には──おそらく地球には存在しない空間であろう部屋だ。
ゾロゾロと大人数で移動する。
とても高いところから宙吊りの移動物に乗って降りていく。
また世界が変わる。
綺麗な月夜、最初に見た人達が集まっている。
過ごした時間が短いのかまたすぐに世界が変わる。
そして私が最後に見た景色。
真っ暗な洞窟。その中で淡い光を頼りに進んでいく。
その周りには小さい女の子以外の子がいた。
そして狼のような生き物を殺して、その肉を焼いて食べる。
全員が一気に苦しみ始めた。
初めて声が聞こえた。
視点の主が声に出していないからだろうか。
激痛に対する叫び声の奥底で聞こえる『…りに……たい…の女に……まで……生き…だ…』
という心の声。
声の主から死にたくないという意思を感じ取れた。
そういえば鈴に似た子の近くにいた女の子、私にそっくりだったけど、一体彼女は何者なんだろう。
そして私は窓を覆うカーテンから差し込む日の光で目を覚ます。
「……今の夢はなんだったんだろう」
私は疑問に思いながらも着替える。
私は昨日、自分の身を守ってくれたうさぎ人形を手に取り、セイバーに念話で話しかける。
『おはようセイバーさん』
『おはようエリ』
『セイバーさん……実は今日、不思議な夢を見たの』
『不思議な夢……もしかして周りに知らない人がいたり、変な世界でも見たのかい?』
『うぇ!?なんでわかったの!?』
私はセイバーに見た夢を知られたのかと思い、驚いてしまった。
『マスターはサーヴァントの過去を夢で見る。つまりそれはボクの過去と言うわけだ』
『そうなんだ…』
つまりはあの夢に出てきた人物はセイバーさんの知り合いになるわけだ。
私は見た夢の内容を彼に話した。
『セイバーさんって学生さんなの?』
『そうだね……この力を手に入れる代償として最後の学校生活をふいにさせられたけどね』
セイバーは残念そうな笑みを浮かべていた。
『だからまだ偉人になってないんだね』
セイバーが学生なら死んでもいないのがよくわかる。
若くして死んだ人が偉人になるなんて話は聞いたことがない。
『一つ聞いて良いかな?』
『どうぞ……』
『セイバーさんの近くにいた、黒髪での小さい女の子って誰なの?』
私の質問にセイバーの声が止まる。
『……それは言えないね』
『……そっか……もしかしてセイバーさんにとって大切な人なの?』
その問いに彼は言葉におもいを込めて答える。
『うん。ボクがこの一生を捧げる人さ』
その答えに私はとても羨ましさを覚えた。
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セイバーside
まさか恵里があの日の出来事を見たとは。
マスターはサーヴァントの過去を夢で見るのは知っていたが、ボクのような半端英霊も対象に入っているなんてね。
いや、青王もそうだったか。
そんなことを考えながら今日の予定を考える。
幸いにも今日は土曜日で学校もない。
昨日はアーチャー陣営との戦いもあったのである程度、魔力を消耗した。
自分には完全なる形があるから、傷はない上に、魔力も地脈から吸い取って回復しているため、全快している。
すると窓に鳥の土人形が降りてくる。
解析眼でそれを調べて出た解析結果は、中に手紙が入った鈴からの伝書鳩だった。
『恵里、ランサーのマスターからの伝書鳩だ』
その鳥ゴーレムを手渡す。
それを受け取った恵里の掌に手紙を吐き出す。
「鈴から?何これ手紙?」
そう言って手紙を広げて、中身を読む。
「……セイバーさん。鈴からの手紙なんだけど、今後の事を話し合いたいって内容だった。場所も彼女の家みたい」
どうやら作戦会議のお誘いのようだ。
確かに今後の事を考えれば、まだ四騎士陣営が何者かわかっていない以上対策を立てることは正しい。
流石に小学生の彼女がいきなり裏切るという博打をすることはないと思う。
「なら行こうか。住所はどこ?」
「えっと……」
ボクは恵里に見せてもらった住所に座標を固定する。
「恵里。跳ぶから靴を履いて外に出て」
彼女はボクの指示通り、靴を履き、外へ出る。
「それじゃあ、行くよ」
恵里の手を取り、指を鳴らす。
あっという間に、鈴の家に到着する。
「……やっぱり同じ…か」
「セイバーさん?」
おっと、声が漏れていたようだ。
「なんでもないよ。チャイム鳴らすよ」
ボタンを押す。数分待つと、茶髪に二つおさげの少女、鈴が出迎える。
「早くないですか?」
「おっとこれは失礼。返信することを忘れてたよ」
うっかりしてたな。
「…とりあえず、上がってください。罠とか仕掛けてないから」
そう言って彼女はボク達を家へと迎え入れた。
内装もボクの知る彼女の家と変わっていないが、魔術師だからなのか、一つだけ見たことの無い場所に扉があった。
その中に案内される。
「……手紙を送ってから、1時間も経ってないのに来るの、早すぎないかい?」
「セイバーが規格外なのは今更だから諦めようランサー……」
どうやら呆れられてるようだ。
「それで作戦会議する訳だが、どこから話す?」
「とりあえず、互いのサーヴァントの得意分野の情報交換をしますランサー」
「へいへい、まぁオジサンのことは自分で話した方が早いな……」
そしてランサーはある程度自身の存在をぼかすように話す。
つまるところ防衛戦が得意と言われた。
「さて、俺のことは話したぜ……次はそっちの番だ」
「そうだね……と言ってもできることなんてたかが知れてるよ?武器の投影と狙撃に使い魔の生成くらいしかないし」
「……それでたかが知れてると言うのは自己評価が低くはないか?」
「当たり前でしょ?歴戦の英霊と違って、こっちはまともな戦闘経験値は一年ぽっちしかないんだから。そもそもボクは剣をメインに使うからセイバーとして呼ばれただけだよ?既にアーチャーのクラスが埋まってるからセイバーを宛てられたかもしれないし」
正直ボクはstay nightのエミヤよろしく弓クラスで召喚されるもんだと思っていた。
「とりあえず、共闘する際にはマスターの方を任せるよランサー」
「へいへい。オジサンの得意分野ですから、任されましたよ」
話し合いも決まった所でちょうど時計の針が12時を指していた。
「もう昼になってる……」
「お昼ご飯どうしよっか……恵里も食べてく?」
「そ、そこまでお世話にはなれないよ!?」
恵里は慣れない友人との関わり合いに戸惑っている。
ボクは良い機会だと思う。
「いいじゃないかマスター。交友を深めるのも同盟を結ぶ上で大事なことだ」
「う、うーん……」
『グゥ〜〜』
そんな彼女のお腹が鳴る。
「一緒に食べてもいい?」
顔を赤く染めて恥ずかしがる恵里、食事を共にすることにしたようだ。
「良いよ!」
「それじゃあ、食事はボクが作るよ」
「セイバー料理できるの?」
「そりゃね?」
鈴とランサーはボクの正体を知らないので、何のことなのかわかっていなかった。
「何作るの?」
「そうだなぁ…ホットケーキなんてどうかな?」
子供でも親の監修のもと作れる料理だ。
「鈴、キッチン借りるよ」
「う、うん」
そう言いボクは牛乳200とちょっとと卵2つを取り出す。
それをボウルに入れて混ぜる。
卵黄の色と牛乳の色が混ざり合った色になったくらいで、森◯のホットケーキミックスを取り出し2袋開けてクリーム色になるまで混ぜる。
「うん……良い感じに混ざった…」
ミキサーではなく自分手でゆっくり、じっくり混ぜていく。
フライパンを取り出し、電気コンロに乗せる。
「先ずは強火5で熱する……」
熱したフライパンに油を塗り、滑りを良くする。
「そしてフライパンに生地を乗せて、焼く」
そこから中火3でゆっくり焼いていく。
生地がプツプツと穴が開いたら、フライ返しでひっくり返す。
「あとは焼き色を確認して、良い感じに焼けたら皿に写して完成!」
これを繰り返してホットケーキを数枚焼き上げる。
「はーい。できたよー」
ボクは4枚の皿に重ねられたホットケーキをテーブルに並べる。
「わぁ…美味しそうな匂い……!」
「うう……お腹が空いてくる……」
マスターの2人は子供らしく年相応にホットケーキを食べ始める。
溶かしたバターを塗り、その上にホイップクリームとメイプルシロップをかけた1切れを食べる。
「甘い…!」
「ふわふわぁ…」
どうやら好評のようだ。
美味しそうにパクパク食べていく幼女2人を見てほっこりする。
「ほら、ランサーも食べたらどうだ?」
ボクは壁によしかかるランサーに皿を差し出す。
「んじゃ一枚いただくよ」
そうしてランサーもホットケーキを食べ始めた。
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昼食を終えた私達は、鈴の家の地下へと案内される。
私に魔術の使い方を教えてくれるみたいだ。
「とりあえず基礎的な魔術、強化だね……」
鈴は定規を取り出し、木の板に振り下ろす。
当然それは木の板に傷一つつける事はできない。
鈴が定規に魔力を通す。定規は青く発光する。
再び定規を振り下ろすと今度は木の板を両断する。
「とまぁ…こんな感じかな?コツとしてはどういう風にソレを強くしたいかを明確にすることだね」
そう言うと今度は木の板を強化してから定規を振り下ろす。今度は定規の方が負けて、ポッキリと折れてしまった。
「ただ基礎中の基礎だけど、これを極めることが難しいんだよね。完成された絵画に筆を新しく入れるようなものだから、逆に悪くなる可能性だってある」
私はその後、鈴の見様見真似でさっきの木の板に強化を施そうとする。
「あ、あれ?」
うまく魔力が操作できない。
「まずはそこからか…」
鈴が私の両手を取る。
するとあの日の夜のように、私の身体から沢山の青い線が現れる。
「魔術回路が開けてないよ。これで一度開いたから自分でもう一度開いてみて」
私は魔術回路を鈴に手を掴んでもらった時をイメージして魔力を通す。
「うん…開けたね」
成功したようで、私の腕が光る。
そのまま板に魔力を通す。バギッ!と音を立てて割れてしまった。
「魔力を入れ過ぎ。小さいコップに勢いよく水を入れたらすぐ溢れちゃうでしょ?ホラもう一回!」
新しい板を使って挑戦する。
ゆっくり、水道の蛇口を捻って、水を溜めるイメージ……
その作業を2時間繰り返す。
日が暮れ始めた所で、今日の魔術の修行は終わりになった。
「またね鈴」
「うん、また魔術教えてあげるね」
「次も楽しみにしてる」
そう言って私は鈴の家から離れていく。
「それじゃあ、家まで飛ぶよ」
「待ってセイバーさん」
そう言って指を鳴らそうと構えるセイバーを止める。
「エリ?」
「今日は歩いて帰りたい気分」
「了解。姿は消して後ろから着いていくよ」
セイバーの姿が透明になる。
そろそろ秋になってくるからか、夏に比べて気温も下がって、とても過ごしやすい環境になってきた。
鈴虫やコオロギが鳴き始めている。
「ん?なんだろうアレ……?」
私は路地裏に入る所から何か白くて細い物が生えているのが見えた。
気になった私は駆け足でそれに近づく。
距離が短くなるにつれてその正体もわかってくる。
「人の足?」
路地裏の入り口で倒れたいたのは、白銀の長髪の子供だった。
おそらく自分と同じくらいの身長だ。
女の子だろうか。何故こんなことをしているのか尋ねようとした時、足下に大量の血が流れているのがわかった。
「セイバーさん!この子血が!」
「わかってる。今治す」
セイバーが白い少女を抱き抱えて、緑色の光を放つ。
抱えられた女の子の左腕が無くなっていたが、セイバーの力によって失われている腕が綺麗に生えて治ったのだ。
「これで傷は完璧に治したいけど……」
「けど?」
「出血しすぎて意識がないからね……いつ目を覚ますかわからない」
ひとまず公園で様子を見ることにした。
少女を膝枕で寝かせる。
血で汚れていたはずの衣服は元通りになっていた。おそらくセイバーが綺麗にしたのだろう。
夜になった所で今のお母さんが心配をしてくれることなんてないから、いつまでも待てる。
そう思っていたが、少女はすぐに目を覚ました。
「…ん…ここは?」
「あ、目が覚めたんだね」
「……貴女は?」
「私は中村恵里。貴女の名前は?」
「私は……ユリアスフィール・フォン・アインツベルン」
な、長い…!
名前を聞いたセイバーさんの表情が変だったが、とにかく事情を聞かないと。
「ゆ、ユリアスフィールさん?はなんであんな所にいたの?」
「……そうね。まずそこの貴女、サーヴァントでしょ」
彼女はセイバーを指差してそう言う。
「ああそうだ。つまり君はマスターだね?」
「…『元』マスターよ。お生憎様、令呪は奪われて、参加資格の方は取り返さない限りないけどね」
なんと、膝枕をしている少女は敵対する可能性があったのだ。
「……ねぇセイバー。貴女はどう思う?この聖杯戦争」
「異常だと思うよ。まずボク自身が偉人ではないこと。そしてこの聖杯戦争が始まってから、子供の行方不明の事件が起きてること。しかもその事件が起きるほどこの街の治安が悪くないこと。つまりは、反英雄が召喚されている可能性があること」
「……そうね。おまけに聖杯戦争のマスターは全員が子供よ」
「……それは他の陣営のもか?」
「ええそうよ。ウチの従者に他の陣営を使い魔を使ったりして探らせた結果よ」
この聖杯戦争が異常だと言うことがわかってくる。
「そういえばこの左腕……治してくれたのね、ありがとう。お礼、言っとくわ」
「礼には及ばない。君が死んだら情報を引き出せないからね」
「貴女のクラス何?キャスターは既に召喚されているから違うとして……」
「セイバーだよ」
「貴女……規格外ね…」
そう言ったユリアスフィールは空を見上げる。
「ユリアスフィール。君はどのクラスのマスターだったんだ?」
「貴女ね……まぁ良いわ…復帰する気も無いし。バーサーカーよ」
「なんか物騒なクラスの名前だね……」
私は純粋にそう思った。
狂戦士なんて、所構わず暴れ回りそうだ。
「エリ、貴女の言う通り、クラススキルに狂化というのがあって、理性なんてものは基本的に無いわ」
「よく、それを呼んだね……」
「お爺様がそれ呼べって命令だもの……出来ることなら私だってセイバーを呼びたかったわ」
「?バーサーカーは指定出来るの?」
「召喚詠唱を変えればバーサーカーだけ、指定できるわ」
私の知らないことがまた増えた。
そもそもセイバーを呼んだのは偶然なのだから、知らないのは当然だけど。
「これからどうしようかしら……そうだ。セイバー貴女にお願いするわバーサーカーの後始末。どうするかは貴女に任せるわ」
「そう言われても情報くれない?」
ユリアスフィールにそう言われて困ったように、セイバーが笑う。
「良いわ。ただ真名だけは知らないからそれはごめんなさい」
バーサーカーの真名を知らないことは不思議だが、答えていく。
「武器は双剣。髪の色は真っ白で、目は赤。真っ黒な翼の女の人。スキルなんだけど、なんでもできるみたいなんだよ……」
まるでセイバーのようだ。
「……正体が読めないな」
「あと、私から令呪を奪った男。真正面から挑んできて、私の左腕を持っていった……その男、個人でも相当な手練れだから用心しときなさい」
「大人なのか……」
「私が言えるのはこれだけよ……もしまた縁があったら仲良くしましょう」
そう言ってユリアスフィールは私の膝から起き上がり、歩いて行ってしまった。
バーサーカーの正体は不明、その男の足取りも不明と謎を残して今日の終わりを告げた。
中村恵里
今日は鈴と一緒に過ごせて楽しかった人。
久しぶりに友人という存在と触れ合えた、少しだけ前向きになれた気がする。
谷口鈴
いつも教わる側だったけど、今日は教える側になれて、少し楽しかった人。
これからも教える側になるだろうから、今は知識を蓄えてる。
ユリアスフィール・フォン・アインツベルン
聖杯戦争を始めた御三家の一つアインツベルンの娘。
マスター権を奪われた為、聖杯を諦めている。
セイバー
料理も魔術もできる、なんでもできるサーヴァント。
これが本当の
最近ザビーずが実装されて、攻撃モーションがイアソンみたいなタイプなのを知って、ありふれのミュウが召喚されたら同じようになりそうと思ったこの頃。
カード構成は
BBAAQ
で
対応するキャラが
Buster
ハジメ、ユエ
Arts
シア、ティオ
Quick
香織、雫
Extra attack
デモンレンジャーズ
なのを妄想した。
作中に出たホットケーキの作り方は実際に自分がやってる物をそのまま載せてます。
良かったら真似して見てね。
因みにオカンと妹には好評。
今更言っておきますが、今章オリ鯖出ますので。
本作のアフター編をどうするか
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士郎が平行世界の聖杯戦争に参加
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ハジメ組で勇者のいないドラクエ
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