ありふれない天の鎖の投影魔術師は世界最強 作:小説大工の源三
恵里side
あれから3日間鈴の家で魔術の鍛錬をしに通っていた。
魔術回路を開くイメージも固めることができた。
それにセイバーも強化魔術が得意だったからか、強化魔術の練度はメキメキと成長していった。
そして私の魔術属性である『虚数』を扱う為の訓練に入ろうとしたのだが。
「ごめんね恵里……」
「す、鈴が謝る必要ないよ…!」
「私の家に虚数魔術のことがわかるのがなくて……」
「仕方ないよ。レア中のレアなんでしょ?」
「うん……」
セイバーも詳しくは知らないみたいで、『そのものはありえるが、物質界にはないもの』と簡単な説明しかできなかったのだ。
「うーん……幽霊とかそう言うものなのかな?それこそ私たちが今使ってる魔力とか物質ではないし……」
「……まとめるとエネルギー的なものとか?」
色々と考えているがあっているのかどうか全くわからない。
「とにかく色々試してみないとわからないね」
私達は広い部屋の中で虚数魔術のことを考え続けた。
だが、数時間が経っても全く成果を得ることができず、地下の大部屋で疲れ果てて大の字になって横になっていた。
「これだけ考えてもできない……」
「間違ってるのか、それとも私の実力不足なのか……」
「とりあえず汗かいたからお風呂入ろう?ウチの風呂大きくて広いから一緒に入っても大丈夫だし」
鈴はそう提案し、私が断る暇も与えずに手を引いて風呂まで連れて行かれた。
「ここがお風呂!泳げるくらい広いよ。好きにして良いからね」
そう言って次々と衣服を脱いでいく。
「ほら、恵里もボーっとしてないで早く〜」
私は手を動かすことができなかった。
お母さんからの虐待で痣だらけになった、身体を友達に見せることが嫌だから。
それと相反して彼女ならこの汚れた身体も受け入れてくれるのではないかと、期待もしてしまっている。
私は意を決して彼女に問う。
「鈴…一つ確認して良いかな…」
「?どうしたの?」
「今から私の身体を見て、どう思ったか素直に答えてくれる?」
「え?」
彼女の返事を待たずに、服を脱ぎ始める。
半袖でを脱ぎ、インナーを脱ぐ。
そして顕になる虐待で付いた赤、青の痣。特に二の腕や胸、お腹に多く殴られた後がわかるほどだ。
「え、恵里……それ……どうしたの?」
「……お母さんに叩かれてこうなったの」
そう伝えると鈴は手を震わせながら私の身体についている痣に触れる。
「……痛くないの?」
「……慣れちゃったからね。痛いと思わなくなってる」
「……もしかして赤嶺くんと戦ってた時も?」
「石とか土の礫が当たった時は痛かったけど、動けなくなるほどじゃなかったね」
淡々と答えると、鈴が腕を背中に回して私の身体を抱きしめる。
「ごめんね……ごめんなさい恵里…」
「……」
「私が無遠慮に一緒にお風呂に入ろうなんて言ったから……怖かったんでしょ…?」
「…うん」
「…私、恵里のこと絶対守るから。1人になんてしないから」
しばらく鈴に抱き締められていると、体温が下がって来たのか、彼女が離れる。
「さ、先に入ってるから!」
急ぎ足で浴室に消えていった。
そんな彼女を見て私は期待して良かったと思いながら、裸になって浴室に入る。
「隣座るね」
「う、うん…」
頭を洗っている鈴の隣に座り、私も一度全身をシャワーで流す。
「ふぅ……えっとシャンプーがこれでリンスがこれだね」
全身を洗い終えて、広めの浴槽に浸かる。
その広さは温泉にあるくらいの大きさだ。
「ねぇ…恵里」
「ん?何鈴」
「恵里のその痣……つけたお母さん……なんでそんなことしたの…」
「…私が幼稚園児の頃にね、お父さんが私を助けてくれた時にお父さんが代わりになって死んじゃったの。お母さんにとっては自分からお父さんを奪ったようなものなんだ……だからその罰としてお母さんから叩かれちゃってる」
私は今、笑顔を作っているが、上手く笑えてるかわからない。もしかしたら鈴には無表情で写っているかもしれない。
「…だからって、恵里にそこまでする必要ないでしょ!」
そう叫びながら立ち上がる。
「鈴、いいの。私にできる唯一贖罪だから……」
これに耐え続けて、いつか…いつか優しいお母さんに戻ってくれるはずだから。
それからずっと会話することもなく数分で風呂から上がるのだった。
─────────────────────────
お風呂から上がって念の為に持ってきていた服を着て、ボーっとしながら天井を眺めていた。
「……」
聖杯戦争に巻き込まれてから色んなことが一気に押し寄せてきた。
いきなり襲われて、突然現れたセイバーに助けられて、アーチャーのマスターである赤嶺くんに襲われて、今度は鈴に助けてもらって。
その鈴に魔術を教わって、私の身体の痣のことを知られて。
「……」
どうしよう。
そんな何をどうするかもわからないまま鈴の家からセイバーを伴わずに自宅へと歩いていく。
この時、私はセイバーと一緒に帰るべきだった。
家の扉を開けた時にそう後悔した。
「……っ!?」
恐らく仕事帰りのお母さんの帰りを待ち構えていたのだろう。
扉を開けた先に母が連れ込んだ男が胡座をかいて座っていた。
その時、男と目が合った気がした。
「…なんだ…あの女じゃねぇのか……まぁガキでも身体は女なんだからな……」
「ひっ…!」
男の手が私に近づく、英霊同士の戦いを見て、胆力がついたと思っていた自分の身体は蛇に睨まれた蛙のように、生理的恐怖でびくともしなかった。
頭では逃げなきゃと考えているのに、身体が強張って、動かすことかできない。
「おら、来い!」
「っ!い、嫌っ!」
腕を掴まれ、ズルズルと引き摺られる。
リビングのソファに投げられ、私に馬乗りになる。
「恨むんならあの女を恨むんだな」
男は抵抗できない私の服を引きちぎり、下着を剥ぐ。
「は、離せぇ!」
無意識のうちに強化魔術を施した腕で男の顔を殴る。
いきなりの反撃に虚を突かれたのもあり、ソファから転げ落ちる。
男が離れた隙に私は近くにあったハーフケットで身体を覆い、玄関まで走る。
「待てやこの餓鬼ぃ!」
男の怒号が後ろから聞こえる。
振り向けば確実に追いつかれてしまう。
私はあの日の夜のように靴を履かずに家から飛び出すのだった。
─────────────────────────
鈴side
「……」
あのお風呂の後、私はベッドの上で天井を眺めていた。
「……あんなの、痛いよ絶対」
同盟相手で初めての友達の彼女の身体に付けられた、大量の痣。
それも目立たないような所ばかり付けられている。
彼女は贖罪の為だと言っていたが、絶対いつか痣だけじゃ済まなくなる。
「やっぱり追いかけよう」
私は上着を着て、外へ出る。
月も高い所へ上り、太陽の光を反射して夜道を薄く照らしている。
「
私は魔術で生成した石にᛒのルーン文字を刻み込んで恵里を探す。
すると恵里を見つけたのか、石から光の導きが現れる。
「この先に居る…」
私は彼女がいるであろう場所まで走る。
気温の低い時間帯だが、走ればそんなのは関係なく、体温も上がり、寒さも感じにくくなる。
しばらく走り続け、曲がり角に入ろうとすると、目の前に現れた何者かに正面からぶつかってしまった。
「あいたた…」
ぶつかってしまった人に謝ろうと視線を上げるとそこには私が探していた恵里が尻餅をついていた。
「恵里!」
私はすぐに彼女の手を取り怪我をしていないから確認しようと近づくと、逆に彼女方から抱きつかれる。
「す、鈴助けて!」
「え?」
まさかサーヴァントかと思ったのだが、違った。
恵里の後ろから物凄い形相で走ってくる大人の男がいた。
恐らく恵里が怯えているのはそのせいだろう。
「任せて…!」
私は彼女の前に立ち、杖を構え、ᛞの文字を刻む。
「
赤嶺から恵里を守った時と同じように結界のルーン魔術を発動する。
「ブベッ!?」
無様に結界にぶつかる。
私は足を靴に書いた早駆けのルーンを起動。強化された脚力でそんな間抜けな男の後ろに回り込み、延髄目掛けて540°蹴りをぶちかます。
「せいやぁっ!」
「ガァッ…!?」
一撃で意識を刈り取ることに成功したのか、男は膝から崩れ落ちる。
「よし……」
私は恵里の方を見ると、彼女は唖然とした様子でこちらを眺めていた。
「行こう!」
私は恵里の手を引いて再び走り出す。
公園まで走り抜け、近くのベンチに座る。
「ここなら……ってここ……」
‘私が当たりを見渡すと、その公園は初めてセイバーと恵里の2人とやりとりをした所だった。
「恵里、大丈夫?」
「うん……」
私は足元を見ると、恵里の足が赤く滲んでおり彼女の元まで血が点々と続いていたのだ。
「今、治すから」
私は杖を足に向けてᛜを描く。
「
みるみると足の怪我が治っていく。
「すごい……」
恵里はルーン魔術に関心を惹かれたような目を向ける。
「ねぇ……恵里……今の人何?」
私は恵里から男のことを聞く。
「なんで……そんな人のことを信じれるの…!?」
「……だって」
「根拠は!?」
「……」
何も言えなかった。
「でも…優しいお母さんに戻ったらまたあの時みたいに過ごせるから…!」
私は確信した。
恵里は愛に飢えて、目の前に手に入りそうな愛を追いかけている。
まるでにんじんを目の前に吊るされた馬だ。
「……行こう。恵里の家に」
「え?」
私は恵里を背負って恵里の家に向かう。
「
再び探索のルーン魔術で彼女の家を探す。
「ねぇ鈴それ何?」
「ルーン魔術って言うやつ。基盤は昔に無くなっちゃったらしいんだけど、私の家になんでか伝わってたのを私なりにアレンジしたりして使ってる」
そう話しながら、あっという間に家に辿り着く。
「入るよ」
「うん……」
中に入るが、人の気配はない。
まだ仕事から戻ってきていないようだ。
「服、大丈夫?」
おそらく男に破られたのだろう。
前の部分が丸見えだ。
「大丈夫…」
「…そう」
しばらく待つ。
カチカチと時計の秒針の音が鳴り続ける。
その間、蹲る恵里を抱きしめて、背中を撫でる。
そしてガチャリと玄関から音が鳴る。
恵里が『ビクッ』と身体を震わせる。
「……恵里貴女まだ起きて…誰よ」
「娘さんの友達の谷口鈴です」
「それでなんの用よ」
自分がやっていることがバレていないとでも思ってるのか、この女は…
「恵里に暴力を振るうのをやめてください」
私がそう言うと、恵里の母親は恵里を睨みつける。
「なんで…貴女は別の男に心を傾けるんですか!」
私は言葉を続ける。
「その男が恵里を襲ったんですよ!」
「は?」
冷たい声で反応すると、恵里に詰め寄る。
「またお前は私から奪ったのね!」
恵里に掴みかかり激しく揺さぶる。
「答えなさいよ!」
恵里は何も言わない。
私の家で自分が罰を受ければ良いと言ったように何もせず、されるがままだ。
「……っ」
私は我慢出来ずに母親の手を叩いて恵里から引き剥がす。
「もう…我慢できないっ!」
そのまま頬引っ叩いた。
「なんで母親なら恵里のことを見てあげないの!そんな簡単に別の男見繕って…!アンタが旦那さんに抱いた愛はその程度のものなの!?」
私は初めて自分以外のことで怒りを溢れさせたのだろう。
次々と感情が溢れる。
「新しい男に尻尾振って!その程度の愛しか持たないのに恵里に八つ当たりみたいに乱暴して!いつかまた優しいお母さんに戻るって信じてたのに、それすら裏切って!」
いつの間にか涙すら出てくる。
視界が揺らぐ。
「そんなお前に、恵里の母親も恵里の父親の旦那を名乗る資格なんてない!」
そう言って私は恵里の手を引いて部屋を出て、家も出る。
「す、鈴!?」
呼びかけた彼女に私は振り向いて本日3度目のハグをする。
「恵里……これから私の家で一緒に過ごそう……」
「え?」
「あのままあの家にいても何も良いことないよ……」
「す、鈴?」
「お願い……このままだと貴女が壊れちゃいそうで…怖いの……」
「私は大丈夫だよ?」
この娘はわかってない。
自分がどれだけ傷を負っても壊れないと思い込んでいる。
だから、私が守らなくちゃいけない。
身近にいて歳の近い私が。
より一層力を込めて私は彼女を抱きしめる。
どこかに行かないように。
「さ、早く帰ろう?そしたらまたお風呂入ろう?」
彼女の手を離さないように握り、腕を絡ませる。
見失わないように、隣を歩く。
不思議そうに私を見つめる恵里の瞳と私の瞳が交差する。
「……っ」
吸い込まれそうなほど綺麗な瞳。
出会った時よりも更に瞳の輝きが増している。
それはまるで、空に浮かぶ満月のように。
あれ?恵里の目って金色だっけ?まぁいいか。
恵里のことで今、気になったことがある。
セイバーの存在だ。
あんな風に恵里が危機に陥ったら、真っ先に現れそうなものだが、気配を微塵も感じない。
突然、恵里を裏切るような薄情な英霊ではないと思っているが為に、不安を覚える。
そして銃声が夜の街に鳴り響くのだった。
暇になったなーと思ったらいきなり休み消滅……
谷口鈴
小学生の語彙じゃない。
ルーン魔術が使えることが判明。
いきなり槍ニキのように空間に書く辺り異才である。
そのうち城か何か呼び出しそう。
おまけに恵里に向ける感情も小学生のそれじゃない。
病んでますねぇくぉれは……
こわぁ
中村恵里
もう既に壊れかけ。
虚数魔術ってなーにーだったり、身体の痣を鈴に見られた。
男に襲われたけど鈴に助けられた。
セイバー
恵里の危機だというのに何をしているのだろうか……
どうしてこうなったのか、作者の自分でもねわかりません。
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