ありふれない天の鎖の投影魔術師は世界最強 作:小説大工の源三
三人称side
タールザメのいる階層からさらに50層ほど進んだ。おおよそ二ヶ月は過ぎただろうか、ここに来るまで色々な魔物を食べ、技能や戦闘能力を磨いた。毒を吐く虹色カエル、痺れ粉をばら撒くモ○ラ擬きだ。それにより毒耐性、麻痺耐性を得ることができた。ちなみにカエルよりモ○ラ擬きの方が美味しかったのは色々と複雑だ。
それからどこぞのGのように現れるデカムカデを倒した。さらに迷宮なのに密林のような場所に出るとそこにはトレント擬きが現れた時は久々の肉以外の食料、しかも果実だとわかった途端女性陣の目つきが『ギロリ』と変わり、どこぞの錬金術師の漫画のような目になっていた。男性陣は久々に恐怖を感じたのだった。結果トレント擬きは全滅し、立っていたのは果実を沢山抱え込み素晴らしい笑顔を浮かべる女性陣の姿だった。
「やばいの見たな……」
「そうだね、女性ってあんなことできるんだ……」
「僕、みんなを怒らせないようにするよ」
3人の目は死んでいた……のだが幸利と士郎は別のことも考えていた。
((いや、ハジメはブーメランだぞ!?))
と考えただけで、2人は口に出さなかった。
手に入れた果実は幸利と優花がジャムなどに加工し何か塗って食べれるものが出てくれば使うことにした。ちなみそのジャムはとても甘かった。
特訓はハジメの作った銃を使いながら魔法や剣技、格闘術を使い分けることだ。この50層でかなり鍛錬を積んだので使いこなすことが出来る様になった。何故この層で鍛錬を積んでいるのかと言うと、階段が見つからないわけではなく、散策途中に気になる扉があった。その扉には大きな一つ目巨人の彫刻が二つ掘られていた。だからこそ何があってもいいように強くなっておく必要があったのだ。その際にみんなに『
「それじゃあみんな扉を開くよ」
士郎が扉に近づく、遠目ではよくわからなかったものの、その扉には豪華な装飾が施されていた。扉には取手はないが何かを嵌め込む窪みが中央に二つ、しかも魔法陣が描かれていた。見たこともない物なのでとりあえず解析する。解析結果は全く出なかった。否、解析が出来なかったと言った方が正しい。念のため押したら引いたりしたのだがビクともしなかった。
「うーむ、ハジメ錬成で開けられる?」
「わかったやってみる」
ハジメが錬成を行使しようとした途端、だった
『バチィ!!』
「うわっ!?」
「ハジメくん!?大丈夫!?」
扉から赤い放電が迸りハジメの手を弾き飛ばす。彼の手から煙が吹き上がり火傷を負う。その傷を香織が駆け寄り無詠唱で回復させる。その直後だった。
──オォォオオオオオオ!!
突然野太い声が部屋一体に響き渡る。
全員扉から飛び退き戦闘態勢を取り周囲を気配感知で警戒する。
声の正体は扉の左右にいた一つ目巨人の彫刻だったのだ。
「なんかベタと言えばベタね……」
優花が苦笑する。
一つ目巨人は周囲の壁を砕きながら現れる。壁と同化していた灰色の肌は暗緑色に変色していく。
一つ目巨人の容貌は国民的RPGに出てくる一つ目で暗黒神の怒りから生まれた魔物のようだった。違う点は何処から出したのかわからないが、4メートルはある大剣だ。
侵入者を見るために視線を士郎達に動かしたその時だった。
「待ってる暇はないんだ、ごめんね」
「空気を読んで待っていれるほど時間はないんでな『暗黒波・球』!」
士郎は貫通力の高い細剣を弓で放ち、幸利が手を突き出す。掌には闇魔力の塊が現れ、それを放ち巨人の目を狙う。
そのまま剣は眼球を貫き、暗黒弾は頭部を破壊する。
巨人達は内心、「やっと出番が来たと思ったらすぐに殺されるとか聞いてないんですけど!?」と思っていたのだろう。死に方がそれを感じさせる。
今まで幸利の戦闘方法に疑問を覚えた雫が彼に質問する。
「今思ったんだけど幸利の闇魔法ってデバフ特化魔法よね?さっきから攻撃魔法しか使ってないけど、その辺どうなのよ?」
「一応使えるけど魔物を喰らうのに妨害魔法使うか?俺は使わないぞ」
「確かにデバフは耐性によって効いたり効かなかったりするからね……」
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士郎side
解体ナイフをボクは投影し、ハジメは錬成で作り一つ目巨人を切り裂いて魔石を取り出す。その魔石を扉の窪みに嵌め込む。その魔石はピッタリハマる。直後、魔石から赤黒い光が迸り、魔法陣に魔力が注ぎ込まれパキャンという何かが割れた音が響き、光が収まり周囲の壁が発光する。
ハジメが扉を開く。中は聖教教会の大神殿で見た大理石のような石造りで出来ており、規則正しく柱が2列に並んでいた。その奥には巨大な立方体が置かれており、差し込んだ光に反射して、光沢を放っていた。その立方体の前面の中央から何かが生えていた。ハジメはそれを凝視する。その生えている何かはゆらゆらと動き出す。
「……だれ?」
掠れた弱々しい女の子の声だ。
「人……なのか?」
下半身と両手を立方体の中に埋められたまま、顔だけが出ており、長い金髪は貞○のように垂れ下がり少し不気味だ。その髪の隙間から、月食の月を思わせる紅い瞳が覗いている。歳の頃は12、3歳だろうか。随分とやつれてはいるが、それでも10人中10人が美しいと答えるほどの容姿だということがわかる。
「女の子?君は一体何者なんだ?」
「私、先祖返りの吸血鬼、凄い力を持ってる、だから国のために頑張った……けど突然家臣の皆が『お前はもういらない』って『これからは私が王だ』って言った。それでも私は良かった……でも私は凄い力のせいで殺せないから封印された……」
「国の為ってことは、君はどこかの王族なのかい?それに殺せないってどういう事なんだ?」
「勝手に治る。怪我も直ぐに、首を落とされてもその内治る」
(なるほど……ボクと同じ力か?それは後にしようか)
「不死身ってことは歳も?」
「うん、魔力も直接操作できる。陣も何もいらない」
ここで一つ疑問に思ったことがある。
何故彼女が、このような豪華で衛生面もしっかりしてそうな部屋に封印されていたことだ。害意を持って封印するならもっと粗悪な部屋にするだろうし……今考えても無駄だな……
「たすけて……」
「ハジメ任せる。ボクは部屋の中を警戒するから」
「わかった」
ハジメは女の子を封印している立方体に手をかける。魔力を直接操作する。
「『錬成』!ぐっ!抵抗が強い!?」
錬成でこじ開けるのをやめ、懐から歪な形をした短剣を取り出す。その短剣を立方体に突き刺す。すると立方体から赤黒い光りが溢れる。その光が収まると立方体がどろりと融解した。
何かイケナイ気がしてボクは顔を背けた。
「ハジメくん!大丈夫!?凄い光が出てたみたいだけど」
「『破戒すべき全ての符』で解除したから問題ないよ。それと香織の服を一着彼女に渡しといて。流石に素っ裸だと顔も見れないし……」
「……エッチ」
「ハジメくん……?」
「なんでやねん、今のは不可抗力やろが……」
ハジメ達の様子を伺うと香織と女の子がバチバチ視線を交わしていた。
なんだなんだ、何があったんだ?
ボクはしばらくこの部屋を散策する。それなりに広い部屋だ。魔力感知で部屋中を調べる。二つ反応があった。一つはハジメ達の足元。もう一つはハジメ達の真上の方から何かが来る気配も感知した。おそらくハジメが女の子の封印を解いたからだろう。
「ハジメ!2人を連れてそこから離れて!」
ボクはハジメ達に向かって叫ぶ。ハジメ達も何かの気配を感じとったのか、ボクが叫ぶよりも早く飛び退く。
『ドスン!』と落ちて来たのは腕が4つ、足が8本に、尾が2本の蠍のような姿をした魔物だった。
気配を感知したのが女の子の封印を解いてからだった。つまり彼女を逃がさないための魔物か何かなのだろう。
蠍は尻尾から紫色の液体を勢いよく噴射する。かなりの速度でやってくるそれをかわす。液体がかけられたところからは『ジュワー』と音を立てながら床を一瞬で溶かしていった。
ハジメと香織がドンナーとスヴェートで蠍を撃つも硬い外殻に守られた腕に阻まれ弾丸が弾かれる。2人とも顔を狙っていたので腕は視界を塞いでいる。ボクは足元から鎖を出現させた蠍の身体を縛る。動けなくなったところを優花の纏雷を付与した投げ槍が奴の身体を貫いた。
「ふう……これだけ人数がいれば楽だね……」
「士郎の鎖が便利すぎる……」
「今は時間をかけないようにしてるから使うけど、その内緊急時以外は使わないようにしよう」
じゃないと鎖が使えない時どうしたらいいのかわからなくなるよ。
「……助けてくれてありがとう」
「どういたしまして。ユエ、紹介するよ僕の仲間で友達だ」
どうやら女の子の名前はユエというらしい。
「ボクは天野士郎。よろしく」
「俺は清水幸利。よろしくな」
「私は八重樫雫よ。よろしくね」
「アタシは園部優花。よろしくね」
「……士郎、幸利、雫、優花、よろしく。私はユエ、ハジメの『女』」
その一言にボク達4人は吹き出してしまった。
「違うでしょ!?」
「……まだ、だけどいつかは」
「させないよ!?」
迷宮脱出にユエという吸血鬼のお姫様が仲間に加わった。
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天野士郎 17歳 男 レベル:49
天職:■の■/投影魔術師
筋力:1500×α
体力:1480×α
耐性:900×α
敏捷:950×α
魔力:860×α
魔耐:1080×α
技能:対魔力・変容[+気温耐性]・投影/解析魔術[+複製投影][+
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流石に行動を阻害できるキャラがいると戦闘が簡略化されちゃうな……鎖拘束便利すぎる……