ありふれない天の鎖の投影魔術師は世界最強   作:小説大工の源三

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ベヒモスに復讐だ……あれ?蹂躙?

士郎達がユエの封印を解き、蠍の化け物を倒した頃。地上では勇者達がベヒモスと相対していた。

あの後士郎達の生存報告を聞いた者以外は死んだと思っているため、戦場に立つことが出来なくなってしまった。武器を持つどころか見るのでさえダメになってしまったのだ。その生徒達を無理やり戦場に立たせようと教会の連中が押しかけて来たのだが、それをさせまいと畑山先生が反対したのだ。最初はそんなの知ったことではないと教会は言ったのだが、作農師としての力を奮わないと言うと、それは困ると教会は彼女の意見を渋々聞き入れ、戦いたくない生徒を率いて作農師の仕事を続けることになった。

この時彼女は士郎の頼みを聞いてよかったと思ったのだった。

戦う為に残った生徒達は訓練を受けている。その中で著しく成長したのが恵里、龍太郎、鈴、浩介だった。

恵里は降霊術と闇魔法の発動速度、効果の範囲、威力上昇。派生技能が追加された。ステータスも魔力と魔耐が大きく上昇、敏捷も前衛職程ではないものの後衛職とは思えない程上昇した。

龍太郎は筋力、体力、耐性が大きく伸びこの三つは勇者である天之河をも上回る。

鈴は結界魔法が強力になり、集中すればメルドの全力攻撃を完全に無効化し、天之河の神威の衝撃が少し入るだけで済むほどだ。その大きさは直感1メートル半だが、杖先で場所を移動できるようにもなった

浩介は隠密能力が上昇し気配感知を持つ者でも見つけることが出来なくなった。ステータスは敏捷がトップクラスにまで上昇、筋力もそれなりに上がった、彼の敏捷を超える者はハイリヒ王国にはいない。

ここまで彼等が成長したのは、士郎達を落とす原因の一つとなったベヒモスを倒す為、そして檜山達の裏切りから身を守る為だ。

オルクス大迷宮の攻略メンバーは、勇者である天之河光輝は当然として天野恵里、坂上龍太郎、谷口鈴、遠藤浩介、中野信治の6名のパーティ、永山重吾、野村健太郎、辻綾子、吉野真央、近藤礼一、斉藤良樹の6名パーティと団長を含めた数人の王国騎士団が参加している。檜山大介は独断専行などの自分勝手な行動が多く見られた為不参加となった。

 

「さて、そろそろお兄ちゃん達を落としたベヒモスがいた階に来たよ……」

 

「あの時は俺達が未熟だった所為で天野先輩を始め6人が落ちちまった」

 

「でも鈴達は先に進む為に強くなった」

 

「だから南雲達を見つけるんだ」

 

恵里達は手を重ねて気合いを入れ直す。仮にベヒモスがいたとしても彼等には作戦(・・)があった。

そこから一行は問題なく六十五階層にたどり着く。

 

「気を引き締めろ!ここはまだ不完全なマップだ。何が起こるかわからんからな!」

 

さらに道なりに進んだ彼等は大きな広間に着く。如何にもボス部屋らしい雰囲気の空間だ。

その広間に侵入すると同時に見覚えのある魔法陣が輝く。

そして現れたのは──

 

「ま、まさか……やつなのか!?」

 

ベヒモスだった。

 

「やっぱり生きていやがったか!」

 

「ドラク○の宝の地図のボスも何度でも蘇るから薄々考えてはいたけど最悪だね……」

 

恵里は歯噛みしたような顔をしてベヒモスを睨む。そして詠唱を始めたのだった。

 

「闇よ目の前の脅大な力を沈黙させよ『暗落』!」

 

暗落、相手の意識を落とす魔法だ。落ちる時間は相手によるが、それでもベヒモス相手に3秒効いた。それによりベヒモスの初動をキャンセルさせる。突進が来なかったことにより、クラスの二大巨漢が攻撃出来る隙が生まれる。

 

「「猛り地を割る力をここに!『剛力』!」

 

永山がベヒモスの腹部を二発殴る。その衝撃に怯んだところをさらに二発。すぐに永山は離脱して龍太郎がベヒモスの角の一本を手刀で殴る。

 

「切り裂け我が手は剣の如く!『剛断』!」

 

手刀の威力を上げる魔法を唱え、ベヒモスの角の一本にめり込む。さらにもう一発入れようと思ったのだが深追いは危険なので離脱する。めり込んでひしゃげた所に強烈な一撃が迫る。

 

「万翔羽ばたき天へと至れ『天翔閃』!」

 

最初は神威ですらダメージを与えることが出来なかった天之河の一撃はひしゃげた角を切断し、もう1本の角にダメージを入れる。

 

「行ける!俺達は確実に強くなった!龍太郎と永山は左側!近藤と遠藤は背後から!メルド団長達は右側から!後衛は魔法準備!上級を頼む!」

 

「迷いのない良い指示だ。お前たち聞いたな?総員光輝の指示で行くぞ!」

 

光輝の指示通りベヒモスを包囲する。

 

「迷い迷えここは惑いの地『幻影闇』!」

 

ベヒモスの顔に紫色の煙玉が当たる。そしてベヒモスの視界には先程までいた敵の姿が忽然といなくっていた。

恵里の幻を見せる魔法だ。やり方によっては敵より強い化け物の姿を見せることも可能なのだ。

後衛の魔法が飛来し命中する。ベヒモスは魔法が当たった方向を向き、爪をがむしゃらに振る。しかし誰もいないので全く手応えが無い。誰もいないとわかり振り向き様に爪を振ろうとする。

 

「ここは聖域なりて、神敵を通さず『聖絶・集』!」

 

直感1メートル半のバリアがベヒモスの腕に現れ、初動が潰される。

 

「龍太郎に力の入る瞬間を教えてもらって正解だったよ!」

 

さらに誰もいないところから突然何かがベヒモスを切る。さらにまた斬撃が何度も何度も襲いかかる。

暗殺者の浩介だ。メルド団長達にも姿は見えてはいないがやっていることはわかっているので全員攻撃を再開する。

するとベヒモスは浩介の身体に爪を当てる。彼の身体から血が出る。紙耐久の彼には少なくないダメージだ。

 

「ぐあっ!」

 

激痛が彼の身体を走るも、それは一瞬のことだ。

 

「天恵よ彼の者に今一度力を『焦天』」

 

辻が浩介の傷を回復させる。

隣で地に手をつけている男、野村がいた。

 

「『造形』!」

 

ベヒモスの足元がへこみ、周囲から地面がおぶさりベヒモスの動きを阻害する。

 

「あの時の南雲がやってたんだ!俺だって!」

 

野村が叫ぶとベヒモスを押さえつける魔法に力が入る。

 

「下がって!」

 

恵里の叫び声が響く。その声通り前衛は後ろに下がりベヒモスから離れる。それを確認し、後衛がそれぞれの適性魔法の上級を放ちベヒモスを焼き尽くし、切り裂く。ベヒモスの叫び声が洞窟内に響き渡り、聞こえなくなる。炎がなくなると、そこにはベヒモスの姿はなかった。

 

「か、勝ったのか……?」

 

「勝ったんだよな……?」

 

「勝っちまったよ……」

 

生徒達が一斉に声を上げる。

呆然としていた光輝が、我を取り戻し背筋を伸ばして聖剣を頭上に掲げる。

 

「俺達がやったんだ!」

 

光輝が勝利宣言をする中、恵里はベヒモスのいた場所を眺めていた。

 

「エリリン?」

 

「鈴。……ううん、なんでも無いよ。ただやっとここまで来たって思ってただけだから」

 

「ホントここまで長かったね〜!」

 

「ああ、まだまだ先があるとはいえ今は自分達を褒めたいぜ」

 

「今だけは誇らしく思えるよ……」

 

そう感傷に浸る4人の元に光輝が歩いてくる。それに気づいた恵里は一瞬、嫌な顔を作るもすぐに戻す。

 

「皆無事か?恵里、素晴らしい作戦だったよ!ベヒモス相手に大きな被害がなかったからね。それに鈴も結界良かったよ!龍太郎もいつの間にあんなことが出来るようになったのか。遠藤も見えないくらい早かった」

 

作戦を考えたのは恵里だった。

内容はベヒモスに何もさせないで討伐することだ。負担がかかるのは恵里と鈴の2人だ。ベヒモスの動きを見極めて、タイミングよく魔法を使い、動きを阻害せねばならないのだから。最初は鈴にも負担がかかるので躊躇ったのだが、鈴が頑張ると言いそれを信じて実行した。

 

「うん、皆生きててよかったよ」

 

「死んだら元も子もないからね」

 

「俺はそれしか脳がねぇからな」

 

「怪我したからあまり褒められたわけじゃないけどな……」

 

苦笑しながら返す4人。しかし次ぐ光輝の言葉は恵里の心を苛立たせた。

 

「これで南雲達や天野先輩も浮かばれるな。自分達を突き落とした魔物を自分達が守ったクラスメイトや後輩たちが討伐したんだからな」

 

龍太郎達は言葉が出なかった。恵里に関しては冷たい視線を向けている。

どうやら彼の中ではベヒモスが落としたことになっているようだ。あながち間違いではないのだが、そもそもの話、檜山が勝手な行動を取ったり、魔法さえ撃たなければこんなことは起きなかったのだから。

 

「話はそれだけ?私は行くよ」

 

そう言って恵里は一足先に帰路に着く。

龍太郎達もその後に続くのであった。

 




あれ?4人強くしすぎたかな?
こうでもしないとベヒモスとやり合えなさそう……雫に香織がいない中どう足掻いても攻撃力と回復が足りないかなと思って、龍太郎達を強化したけど……
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