ありふれない天の鎖の投影魔術師は世界最強 作:小説大工の源三
雫「本当よ。私が士郎さんに告白するシーンなのに」
ホントすんません……
雫「次からはそんなことがないようにね」
ウッス
残念ウサギと遭遇
眩しい光が収まり、目を開くとそこは──
「洞窟……」
ハジメが期待していた光景と違い落ち込んだ声を漏らした。
「秘密の通路……隠すのが普通……」
「まぁ、転移で洞窟から脱出するのは私達の世界だとお決まりだったから、ハジメくんが期待しちゃうのもわからなくないよ」
いくつかのトラップがあったものの、オスカーの指輪に反応してトラップは解除されていったので、さほど時間もかからず外に出ることができた。
数ヶ月ぶり、ユエにとっては300年ぶりの太陽の光を見る。
「やっと外に…………出たぞぉーーーーーー!!」
「まっぶしぃーーーーー!!」
「シャバの空気はうめぇゼェーーーー!!」
「久しぶり太陽!!」
「二度とこんな目に遭いたくなーーーーい!!」
「地底の底からおさらばだぁーーーー!!
「んーーーーー!」
ボク達はそれぞれ思い思いの言葉を叫ぶ。幸利に関しては刑務所から出所した人だ。
それからボク達は騒ぎ散らす。転んだりもしたがそれも笑いに変わり、なんだか小学生の気分だ。
いつのまにか魔物に囲まれていたのだった。
「全く……無粋な奴らだなぁ〜」
ハジメがドンナーを抜く。
「そういえばここって魔法が使えないんだっけ?」
「みたいだな……理力の杖で殴るか……」
するとユエが炎の魔法を使う。
「……分解される。でも問題ない」
「ちなみにどれくらい魔力を使うの?」
魔法を使える優花が魔法を強引に使うユエに聞いた。
「……ざっと10倍」
「もしかしなくてもユエって脳筋よね……」
刀を抜刀してため息を吐く雫。幼馴染にも脳筋がいるので対応が手慣れている。
ボクも試しに投影魔術を使って偽・螺旋剣を投影する。構築するのに魔力が分解される。
「ホントだ……こりゃ物理で殴る方がいいや」
「……しょうがないから杖を使う」
そう言って背中に吊るしたマジカルステッキを取り出す。能力は理力の杖と同じだが、理力の杖は斬撃に対しマジカルステッキは打撃だ。
原作と違い威力上昇限界はないのだ。
そして10分もしないうちに魔物は全滅したのだった。
「弱い……」
「逆だ。ボク達が強すぎるんだ……」
「奈落の魔物が強すぎるから、相対的に私達も強くなったのよね……」
奈落の魔物に比べてしまうとここの魔物はあまりにも弱かったのだった。
ハジメが宝物庫から車を取り出してボク達はそれに乗り込む。今回運転するのはハジメだ。
「とりあえず樹海側に向かおう」
「……なんで樹海側?」
「渓谷抜けるのに砂漠は面倒でしょ?」
「なるほど……」
道を錬成機能で整地しながら走る。
ボクはせっかくなのでバイクを出してもらい走り出す。その後ろに雫も乗る。
地球にある物と違って魔力で動くので、環境に良いし音もしない。ただライセン大渓谷だと魔力効率が悪いので長時間使うことは出来ないのだが。
ライセン大峡谷は基本的に東西に真っ直ぐ伸びた断崖だ。そのため脇道などはほとんどなく道なりに進めば迷うことなく樹海に到着する。ハジメもユエも、迷う心配が無いので、迷宮への入口らしき場所がないか注意しつつ、軽快に魔力駆動二輪を走らせていく。車体底部の錬成機構が谷底の悪路を整地しながら進むので実に快適だ。
しばらく走っていると『ズシンズシン』と何か大きな生物が走っている音がする。それもどんどん近づいてきているようだ。その音の正体か現れる。
頭が二つあるティラノサウルスのようだ。足元ではぴょんぴょん跳ねながら逃げるウサミミの少女が見えた。
兎人族のようだが、髪が白だったことに不思議に思った。
兎人族の少女は顔が涙でぐちゃぐちゃになっていた。
「やっと見つけたぁ!だずげでぇぇぇ!死んじゃうよぉぉ!」
兎人族の少女が何か気になる言葉を発した。
やっと見つけた?どういう事だ?彼女と出会った事はないのだが……もしかすると未來視系統の能力を持っているのか?
「雫、シュタイフの操作任せるよ」
「わかったわ」
操作を交代してボクは先程投影した、偽・螺旋剣を魔力を込めながら弓につがえて双頭ティラノを狙う。その際に形を細く貫きやすいように変化させる。
「そこの兎人族!伏せて!」
「!は、はいいい!」
「
偽・螺旋剣は双頭ティラノの真ん中を貫き、偽・螺旋剣の特性で貫かれた所が抉られていき、身体が二つに分かれた双頭ティラノは絶命した。
「す、すごい……ダイへドアが、い、一撃で……」
兎人族の少女は先程の双頭ティラノの死骸を見て驚いていた。
ボクは怪我がないか確認を取るために、シュタイフから降りる。
「そこの君、怪我とかない?」
「へ?あ、はい!大丈夫です!助けていただきありがとうございます!」
「どういたしまして。怪我とかなくてよかった……」
「士郎さん。彼女、怪我とかは?」
「ないみたい」
それを知ると雫はホッと息を吐く。
「ボクは士郎、天野士郎」
「私は八重樫雫よ」
「わたしは兎人族ハウリアの1人、シア・ハウリアと言います!それとわたしの家族も助けてください!」
この兎人族の少女シア・ハウリアは図々しくそして、図太い精神を持っていたのだった。