ありふれない天の鎖の投影魔術師は世界最強   作:小説大工の源三

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今更士郎の姿
中性的な顔つき、髪はドラクエ11の主人公くらいの長さ。色は白緑。
服はドラクエIIIの勇者の服に謎のヒロインXのコート。


劇的ビフォーアフター、ハウリア

「えへへぇ〜くふふふぅ〜うへへへぇ〜!」

 

「流石にやりすぎちゃったね……」

 

「士郎さん……あのまましばらく戻って来ないわね……」

 

「正直、あの状態のシアには近寄りたくないわ」

 

「私も同感だよ優花ちゃん……」

 

「……キモい」

 

それから数分後、興奮が冷めないのか上機嫌な様子で、奇怪な笑い声を発し緩みっぱなしの頬に両手を当ててくねくねと身を捩らせるシアの姿に誰もがドン引きしながら、他のハウリア族一同の帰りを待っていた。

流石にユエのストレートな罵倒は、ぼそっと呟いた小さい声であっても聞こえた様で、

 

「ちょっ!?キモイって何ですか、キモイって!嬉しいんだからしょうがないじゃないですかぁ!ニコポに頭撫で、そこから抱き締められたんですよ!3連コンボ!ユエさんもハジメさんにされたらわたし程じゃないでしょうけど、興奮しますよね!?」

 

「……そう言われると否定出来ない」

 

と未だ溢れんばかりの愛に酔っぱらってはいるものの反論、それを聞いたユエは、士郎がシアにやったことを、ハジメにされたらという想像をして、納得してしまった。

ついでに香織もしていた。雫は自身が告白した日のことを思い出して、顔を染めていた。

 

「それで士郎、カム達はどうなの?」

 

「強くなれたけど……少し問題がね……」

 

「何したの?」

 

「魔物を殺す度に三文芝居し始めるからさ……説教した後に、心構えを教えるつもりがね……」

 

「本当に何したのよ……」

 

幸利がいる所までつくと、何やらすごく落ち込んでいる様子の幸利がいた。

 

「発症しなければいいんだが……」

 

「幸利あんたアタシ達が目を離した時に何したのよ……」

 

沢山の足音が聞こえてきた。

どうやらカム達ハウリアが戻って来たようだ。

 

「教官。御指定の魔物の討伐、滞りなく完遂しました」

 

その中にはカムもいたので、色々と報告をしようとするシアだったが、その纏う気配に違和感を覚えた為か声を掛ける事が出来なかった。

そんな愛娘に気付いていたか一瞥し微笑んだカム、だが直ぐ幸利に向き直り、報告をするのだが……

 

「ご苦労と言いたいが、俺達は1匹でいいと言ったんだが?」

 

「はっ!その予定でしたが、狩猟の最中に増援を呼ばれたので、そいつらも狩猟したまでです。棟梁方のように一瞬で絶命させられなかったのは残念です」

 

「いい判断だね、素早い狩猟は今後の課題として、遅れを取らなかったのは良くやった。戦術に磨きをかけること。君達の強みは気配の扱いなんだからね」

 

「「「はっ!」」」

 

士郎の言う通り、指定したのは上位の魔物を1グループにつき1体討伐する事、だが剥ぎ取られた魔物の部位を見る限り、其々十体分はありそうだ。

士郎の質問に対してカムはそれを誇示するでもなく。寧ろ迅速且つ効率的に出来なかった反省の弁を述べながら、事の顛末を報告していた。

その口調は、優しく争いを好まない気質のハウリア族とは色んな意味で程遠かった、敢えて言うなら軍人と言えばいいだろうか?

 

「と、父様?何だか随分と雰囲気が変わった様な…」

 

「シア、我々は団長から大切な物を学び、変わったのだ。花や虫、果ては魔物を気遣える優しさも大事だが、それはまず自分、家族を優先しろと」

 

「嘘ぉぉぉぉん!?いや、幾ら何でも変わり過ぎですよぉぉぉぉ!?」

 

ハウリア族の本質である優しさこそ変わっていない様だが、表面的には余りにも変わり過ぎなその姿に、ただただ驚くしかないシアだった。

 

─────────────────────────

 

それからしばらくして、大樹の所まで移動する。すると士郎の『大地感知』に数人の気配を感じ取った。大きさからして熊人族ようだ。

 

「あらら、熊人族が大樹の前で待ち伏せしてるみたいだ」

 

「とりあえずぶっ飛ばすか」

 

「幸利、あんた血の気多いわねここに来てから特に」

 

「色々ストレスがな……」

 

そうこう言っていると、1人のハウリア族の少年──パルが士郎に話す。

 

「団長、教官!今回は我々にお任せ願えないでしょうか!」

 

「……カムは?パルはこう言ってるけど」

 

「お任せいただけるのなら、喜んで。団長達に教わり、身につけたこの力、存分に奮いたい所存です」

 

士郎は少し考える素振りを見せる。

 

「それじゃあ任せるよ。無様な戦いはしないように」

 

「力に溺れるなよ?」

 

「勿論です」

 

「ではゆけ!勇敢なる新生ハウリア族よ!」

 

「「「はっ!」」」

 

そう言うと、カムとパルが跳んだのを皮切りに、他のハウリア族達も、跳んでいく。

素早い身のこなしで、木の枝と枝飛び移りながら進む。

 

「あわわ……士郎さん……みんな変わってしまいました……」

 

「シア……これは彼等が望んだことなの……私達もそれに応えただけなの……」

 

士郎と幸利はこの状況はとても安心していた。

なぜなら、恐ろしい心の病を発症していないからだ。

しばらくして、1人のハウリア族から伝達役としてやってきて、熊人族を無力化したと報告され、士郎達は現場に向かった。

着いたところにはカム達に縛られている、熊人族がいた。

 

「団長!無力化成功しました!」

 

「よくやった。それじゃあボクが話を聞くから下がっていいよ」

 

士郎は縛られた熊人族の方に向き直る。

 

「さて……戦士として死ぬのと、これからのことを考えて、生きる為に恥を晒して帰るか。どっちがいい?」

 

「……どういうことだ。我々を無償で帰すというのか」

 

「まさか?待ち伏せして邪魔しようとしてたんだから。条件付きでだけど?」

 

「……条件?」

 

「そ、『貸し一つ』って長老衆に伝えろ。いいね?」

 

「……なっ!?」

 

「どうする?このまま戦士として死んで、恥を晒す?君の判断で部下の戦士としての命がうしなわれるからね?」

 

「わかった……我等は帰還しその条件を呑もう」

 

「……よし、じゃあ帰って良いよ。ハウリアに負けたこともきちんとね」

 

士郎がそういうと、熊人族達は帰って行った。

そのまま深い霧を進む。カムを先頭に奥まで歩いていくと、霧が晴れて大樹の姿が現れる。

大樹の姿を見た士郎の一言は

 

「なにこれ……?」

 

という驚き半分、疑問半分といった感じのものだった。ハジメ達も、予想が外れたのか微妙な表情だ。大樹についてフェアベルゲンで見た木々のスケールが大きいバージョンを想像していたのである。

しかし、実際の大樹は……見事に枯れていたのだ。

大きさに関しては想像通り途轍もない。直径は目算では測りづらいほど大きいが直径五十メートルはあるのではないだろうか。明らかに周囲の木々とは異なる異様だ。周りの木々が青々とした葉を盛大に広げているのにもかかわらず、大樹だけが枯れ木となっているのである。

 

「大樹は、フェアベルゲン建国前から枯れているそうです。しかし、朽ちることはない。枯れたまま変化なく、ずっとあるそうです。周囲の霧の性質と大樹の枯れながらも朽ちないという点からいつしか神聖視されるようになりました。まぁ、それだけなので、言ってみれば観光名所みたいなものですが……」

 

とカムが解説を入れる。

すると、大樹の根元に石版があったので士郎は近づいて調べる。

そこにはオルクスの紋章と同じものが刻まれていた。

 

「どうやったら入れるんだ?」

 

「ハジメくん、オスカーさんの指輪で何か出来ないかな?」

 

「指輪を窪みに入れてみるよ」

 

ハジメが指輪を同じ紋章の所に嵌め込む。

すると……石板が淡く輝きだした。

何事かと、周囲を見張っていたハウリア族も集まってきた、しばらく、輝く石板を見ていると、次第に光が収まり、代わりに何やら文字が浮き出始める。そこにはこう書かれていた。

 

『四つの証』

『再生の力』

『紡がれた絆の道標』

『全てを有する者に新たな試練の道は開かれるだろう』

 

「……どういう意味?」

 

「……四つの証は……たぶん、他の迷宮の証じゃないかしら?」

 

「……再生の力と紡がれた絆の道標は?」

 

頭を捻るハジメにシアが答える。

 

「う~ん、紡がれた絆の道標は、あれじゃないですか?亜人の案内人を得られるかどうか。亜人は基本的に樹海から出ませんし、士郎さん達みたいに、亜人に樹海を案内して貰える事なんて例外中の例外ですし」

 

「……なるほど、それっぽいね。あとこの迷宮のコンセプトなのかもしれない」

 

「……あとは再生……私?」

 

「いや、再生魔法って感じの名前の神代魔法がいるんだろう」

 

「とりあえず、迷宮を四つクリアかつ必要な神代魔法を習得しないといけないのね……」

 

士郎達はこれからの方針を決める。

まず再生魔法を探しつつ、大迷宮を最低四つクリアする。

今すぐにでも士郎は恵里達に会いたかったが、その時間も取れない可能性もあるので、先に進むことを優先した。

樹海の入り口までカム達に案内してもらう。

シアカム達に向き直り、ビシッと敬礼する。

 

「それでは父様、皆さん、わたし士郎さん達に着いていきます!」

 

「うむ、団長、シアのことよろしく頼みます!」

 

「士郎お兄ちゃん!シアお姉ちゃん!行ってらっしゃい!」

 

こうして士郎達はシアを仲間に加えて、カム達に見送られながら樹海を後にする。

 

「それじゃあさっき知った通り、ボク達は大迷宮を攻略し、再生魔法を手に入れる。次の目的地は峡谷にあるライセン大迷宮を目指す。クリアしたらそのまま大火山に行く」

 

「序でに行くみたいな感覚ですね……」

 

樹海を後にした士郎達、次なる目的地を何処にするかハジメが自らの考えを発表したのだが、その内容にシアの顔が引きつった。

現在公式に確認されている七大迷宮は、既にシア以外の全員が攻略したオルクス大迷宮と、入れず仕舞いとなったハルツィナ樹海を除けば、グリューエン大砂漠の大火山とシュネー雪原の氷雪洞窟の2つ、後あやふやではあるがライセン大峡谷にもあると言われている。

確実に行くなら火山と雪原に行くべきなのだが、あやふやな情報で、この世の地獄とも処刑場とも言われている場所を、一族が全滅するかもしれない危機に見舞われた場所を探し回りながら横断するという考えにシアは動揺しそれが不安へと変化していった。

 

「まぁ峡谷じゃあ魔法が使えないから、シアが適任だ。それにユエに一度ダメージを与えたんだ、自信を持って良いよ」

 

そう言いながら士郎はシアの頭を撫でる。過去に恵里の頭からを撫で続けた実力は伊達ではない。シアはフニャリと顔を緩ませ、自身の不安が解ける。

 

「士郎さんありがとうございますぅ!シア・ハウリア、頑張ります!」

 

「それでこの後すぐ向かうの?」

 

「いや、近くにブルックの町があるから、そっちに向かう」

 

「たしかに調味料とか揃えたいな」

 

「食糧も尽きそうだしアタシも賛成よ」

 

士郎と雫とシアの3人はシュタイフに、魔力駆動4輪には残りのメンバーが乗り、ブルックの町に向けて出発するのだった。




ハウリア達の士郎達の呼び方
団長=士郎
教官=幸利
師範=雫
料理長=優花
ハジメ達は……未定です

イラスト募集中です
↓作者のTwitterです。
https://twitter.com/67tuuxk4ckjbwlb
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