ありふれない天の鎖の投影魔術師は世界最強   作:小説大工の源三

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また書きやがったよこのタコ作者


異世界転移と奈落の底
異世界召喚なんてふざけやがって!


ここ南陽高校3年1組の教室にて、一人の男子生徒が欠伸をしていた。

 

「であるからして〜おっと今日はここまでだ、ちゃんと復習するように」

 

現代文の教師が授業を終え、教室から出ると同時にチャイムが鳴る。

欠伸をしていた男子生徒は席を立ち、弁当箱を2つ持って教室から出ようとする。

 

「士郎〜また妹ちゃんのとこ行くのか?」

 

「うん」

 

「お前いい兄貴だよなぁ。アタシんとこの兄貴なんかぐうたらだしよ」

 

「それをボクに言われても……それじゃ」

 

天野士郎、南陽高校3年1組の男子生徒。容姿は中性的な顔立ちの一人の男。

そんな彼の運命は今日この日を持って大きく変わっていくこととなった。

 

─────────────────────────

 

士郎side

 

ボクは自分の教室を出て隣の2年の教室に入る。

妹は友人と談笑している姿を見つけ、弁当箱を渡しに近くに歩く。

 

「はい恵里、今日の弁当」

 

「ありがとお兄ちゃん」

 

天野恵里(旧姓中村恵里)、小学生の時に投身自殺をしかけた所を、偶然通りがかったボクが助けた。今では天野家の一員として生活している。元両親のその後なのだが母親の方は暴力を振るった父親よりは軽いものの罪はあるので刑務所にいるらしいが、父親の方は父さんからは何も聞いてはいない。

弁当箱を手渡したボクは空いている椅子に座り風呂敷を開いて弁当を食べる。

 

「オニーサンの弁当はいつも美味しそうですね〜」

 

「ひとつ何か食べる?しかし、天之河はハジメに絡んでるのか」

 

「わーい、じゃあ卵焼き貰います!」

 

「それだけじゃなくて、朝なんて檜山達が絡んで来たんだよ……」

 

「嫌われに来てるの?ハジメと香織は付き合っているというのに……」

 

やれやれとため息を吐く。

 

「士郎」

 

「幸利、ここ空いてる」

 

「ああ、邪魔する」

 

幸利はボクの隣に座り食べ始める。

彼と出会ったのはボクが中学3年生の頃で、漫画を買いに行った時に彼と意気投合し連絡を取り合うようになった。

出会った当初はかなりガリガリで、某名前を書いたら死ぬノートに出てくる○崎みたいな容姿だった。とにかく何か食べさせて標準体重まで戻して、それのせいなのか食事への関心に目覚めオタク心も相まって料理にハマった。実家が洋食屋の園部優花と最近料理について語り合っていると聞いた。一番好きなアニメは食戟の○ーマだそうだ。

 

「ごめんね天之河くんが突っかかって来て……」

 

「なんで天之河くんの許可がいるんだろうね……私はハジメ君や士郎さんと食べたいのに」

 

「そばに香織を置いておきたいんじゃない?じゃないとあそこまで執着しないでしょ……」

 

優花はため息を吐く。

 

「雫も天之河(あれ)の対応お疲れ様」

 

「慰労してくれるのは士郎さんだけですよ……」

 

そう言いながら縋りついてくる。ボクは彼女の頭を撫でる。サラサラしてるなぁ。

 

「んうう〜」

 

「雫さん気持ち良さそうだね」

 

彼女も天之河の暴走の尻拭いに疲れているのはここにいるみんなが知っている。しかし恵里は頬を膨らまし不満そうな顔をしている。撫でると気持ち良さそうに顔を綻ばせる。

 

「ハジメ、お前も毎度のように絡まれて大変だよな」

 

「うん、もう慣れたよ……」

 

「ハジそれは慣れちゃいけないよ!」

 

そうこう談笑し食事も終わって次の社会科担当の畑山先生が来たので、教室に戻ろうとした時だった。突然視界が眩しく輝き、クラスの人の足元には謎の魔法陣があった。

 

「皆!教室から出t」

 

誰かが叫ぶも言い切る間もなく、眩い光に包まれ光が収まった頃、教室内には誰一人いなくなった。

 

─────────────────────────

 

(どこかに移動しているのか?なんだ頭に何か入って……ぐああああああああ!)

 

自分の頭の中に知らない情報が捩じ込まれていく。それによりボクに激しい頭痛が襲いかかる。締め付けるようで突き刺さるその痛みが長い間続いた。

長い頭痛も治り、目を開けて最初に目にしたものは、大きな壁画だった。縦横十mは越えていそうな大きさ、描かれていたのは長い金髪、うっすら微笑む中性的な顔立ちの人物だった。

おそらく崇拝されている者の絵画なのだろう。あまり関心を抱くのが嫌になる絵だ。

更に周りを見ると大きな広間にいるようだ。造りは簡単に言えばどこかの神殿のような造りだ。そしてこの広間の最奥の台座の上ににボクらは立っている。周りの人もおそらく昼の時間にいた人、つまりあの教室にいた人がこの場にいる。

そして少し背伸びをして台座の前を覗く。そこには祈りを捧げるように両手を胸の前で組み跪いていた。格好は金の刺繍がなされた法衣を纏っていて、いかにも異世界の神官か何かのようだった。

その内の1人がその場に置いてある錫杖を手にして顔を上げる。その顔はひび割れたようなシワがいくつも拡がり長い間生きていたことがわかる。歳は70くらいだろう。

そして落ち着いた声でボクらに話しかけた。

 

「ようこそトータスへ。勇者さま、そしてご同胞の皆様。歓迎致しますぞ。私は、聖教教会にて教皇の地位についております、イシュタル・ランゴバルドと申す者。以後よろしくお願い致しますぞ」

 

金星のあかいあくまと同じ名前を名乗る老人は好々爺とした不気味な微笑みを見せた。

そしてこの老人を信用してはいけないと、ボクの直感が告げた。

─────────────────────────

 

現在ボク達は長いテーブルがいくつも並ぶ大広間に場所を移していた。

おそらくここは晩餐会を開催する場所なのだろう。

ここに案内されている時、思ったより静かだったのは、状況の理解が追いついていないからだろう。移動中恵里がボクの腕にしがみついていて震えていた。

後は事情をランゴバルドが説明すると言ったことや、天之河が持ち前のカリスマで場を鎮めたこともあるだろうが。

教師よりも教師らしく纏めている姿に畑山先生が涙目になっていたのは、なんというかいたたまれなかった。

全員が着席すると同時にメイドがカートを押しながら入って来た。

思春期男子な2年生は憧れの本物メイドに視線ががっつり向いていた。

メイド全員が不自然なほど美女、美少女だった。

 

(なるほどね……ハニートラップか、明らかに男子を釘付けにする為に揃ってる、男子チョロ過ぎか……ハジメと幸利は警戒しているみたいだね。よかった……ってイタァ!恵里に雫!?なんでつねったの!?)

 

左右に座る2人に何故つねられたのか分からなかったがランゴバルドの説明を聞く。

内容は、この世界はトータス。トータスには人間、魔人、亜人の3種族。人間は北一帯、魔人は南一帯を支配し、亜人は東の樹海でひっそりと生きているらしい。

そして人間と魔人は長い間戦争をしている。人間は物量で、魔人は質量で拮抗していたのだが、魔人が魔物を使役し始めたらしく、拮抗が崩れて人間が追い詰められこのままだと滅びの危機を迎えているらしい。

なるほど異世界転生ものか……

 

「あなた方を召喚したのは『エヒト様』です。我々人間族が崇める守護神、聖教教会の唯一神にして、この世界を創られた至上の神。おそらく、エヒト様は悟られたのでしょう。このままでは人間族は滅ぶと。それを回避するためにあなた方を喚ばれた。あなた方の世界はこの世界より上位にあり、例外なく強力な力を持っています。召喚が実行される少し前に、エヒト様から神託があったのですよ。あなた方という『救い』を送ると。あなた方には是非その力を発揮し、『エヒト様』の御意志の下、魔人族を打倒し我ら人間族を救って頂きたい」

 

ランゴバルドは恍惚の表情をしながらそう訴えた。

老人の恍惚の表情なんて誰得だよ……気色悪い。

正直言ってボクはこの戦争に参加はしたくない。

そもそもの話、なんでボク達を呼ぶ力があるのに何故魔人を滅ぼさないのかが不思議でならない。その力があるなら簡単に滅ぼすことができるのにだ。

裏があるとしか思えない。

すると畑山先生が立ち上がってランゴバルドに対して声を上げる。

 

「ふざけないで下さい!結局、この子達に戦争させようってことでしょ!そんなの許しません!ええ、先生は絶対に許しませんよ!私達を早く帰して下さい!きっと、ご家族も心配しているはずです!あなた達のしていることはただの誘拐ですよ!」

 

しかし返って来た言葉は残酷なものだった。

 

「お気持ちは察します。しかし……あなた方の帰還は現状では不可能です」

 

生徒までもが凍りつく。

恵里も信じられない物を見る目をしている。

 

(まぁそうだよね……帰れるなら異世界転生で帰ってるもんね……)

 

「ふ、不可能って喚ぶことが出来たなら帰せるでしょう!?」

 

「先程も言ったようにあなた方を召喚したのはエヒト様です。我々人間には何も出来ません。あなた方が帰還出来るかどうかもエヒト様のご意志次第ということですな」

 

「そ、そんな……」

 

畑山先生は脱力して椅子に腰を落とす。

なるほど帰せるけど帰すか帰さないかはエヒト次第ということか。

 

「嘘だろ?帰れないってなんだよ!」

 

「いやよ!何でもいいから帰してよ!」

 

「戦争なんて冗談じゃねぇ!ふざけんなよ!」

 

「なんで、なんで……」

 

そこからは阿鼻叫喚というのだろうか周囲の生徒も騒ぎ始める。騒ぎ出した生徒を見るランゴバルドの顔は明らかにボク達の事を見下すように見ていた。恐らくエヒトに召喚されたのになぜ喜ばないのかがわからないといったものなのだろう。

ふざけたやつだな。勝手に喚んだのに有無を言わさずなんて酷いやつだ。

そう思った時だった。『バン!』とテーブルを叩く音が響く。その音の元に視線が集まる。叩いたのは天之河光輝だった。彼は視線が集まるのを確認するとおもむろに話し始めた。

 

「皆、ここでイシュタルさんに文句を言っても意味がない。彼にだってどうしようもないんだ。……俺は、俺は戦おうと思う。この世界の人達が滅亡の危機にあるのは事実なんだ。それを知って、放っておくなんて俺にはできない。それに、人間を救うために召喚されたのなら、救済さえ終われば帰してくれるかもしれない。……イシュタルさん?どうですか?」

 

「そうですな。エヒト様も救世主の願いは無下にはしますまい」

 

「俺達には大きな力があるんですよね?ここに来てから妙に力が張っている感じがするんです」

 

「ええ、そうです。この世界の者と比べ物にならないほどの力を持っていると考えていいでしょうな」

 

「うん、なら大丈夫。俺は戦う。人々を救い、皆が家に帰れるように、俺は世界も皆も救って見せる!!」

 

握り拳を天高く掲げて戦争参加を宣言する天之河。

言ってることは立派なんだけども、そんな簡単に戦争に参加していいのかな?ここに喚ばれた皆は人を殺した事さえないのに、そんなことが出来るのだろうか?

 

「ねぇお兄ちゃん。お兄ちゃんは参加するの?」

 

震える声でボクに問いかける。

 

「ボクは参加しないよ。あまりにも突飛すぎて困惑してるし、でもここで参加しなかったら何されるかわかったもんじゃないから参加表明だけはしておいたほうがいい」

 

「それじゃあ僕達の参加はしない、でも付いて行きはする、でいいんだね?」

 

「そうなるね……雫とハジメ達にも伝えてくれる?」

 

「わかったわ」

 




天野士郎
南陽高校3年、ハジメの幼馴染。身内は甘く、敵対者はとことん敵視するし容赦がない。一度ハジメが檜山達に虐められた際、証拠をカメラで撮り、その上で檜山達をぶっ飛ばした。証拠は校長に提出し檜山達の立場は悪くなった。(ハジメが社長の一人息子であることも利用した)
料理など家事は色々出来る。
両親に一度女装させられ写真まで撮られた。
結果とんでもない美人が誕生した。
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