ありふれない天の鎖の投影魔術師は世界最強   作:小説大工の源三

32 / 125
天華百剣-斬-もそろそろ終わってしまう……八丁念仏ちゃんと会えなくなるのが寂しすぎる……オフラインしてくれないかなぁ……


重力魔法会得完了!

辺りにはもうもうと砂埃が舞い、杭を叩きつけたシアは肩で息をしながらフラフラと後ろに倒れ込む。回転しながら叩きつけたので、目が回ってしまったようだ。

 

「おっと」

 

「士郎……さん……わたし……やったですぅ……惚れ直しましたか?」

 

「勿論だよシア」

 

「えへへ〜……」

 

士郎はそう言いながら倒れ込んだ彼女の頭を撫でる。気持ちよさそうに目を細め、ウサミミをパタパタと揺らす。尻尾もフリフリしていて、とても可愛らしい。

 

「雫もお疲れ様」

 

雫の頭も士郎は撫で始める、彼女もシアと同じように目を細める。

周りでもハジメと香織、ユエがイチャついていたり、幸利と優花が拳をぶつけていたり、ヴェアベルトがメルリアンの喉を撫でる。

 

『あの〜勝利の余韻に浸ってる所悪いんだけど。そろそろヤバいんで、ちょっといいかな?核に残った力で喋っているからさ』

 

士郎は2人を撫でるのをやめて、ミレディに向き直る。

 

『これから君達は迷宮を攻略して行くんでしょ?ならちゃんと1人でも全部習得すること。そしたら君達のやりたいことが叶うから』

 

「なら、迷宮の場所を教えてくれる?ほとんど失伝していて、場所がわからないから」

 

『そっか……そんなに時がたって……いたんだね……教えるよ、場所はね……』

 

ぽつりぽつりと残りの七大迷宮の所在を語っていく。

 

忍耐の試練

グリューエン大火山

狂気の試練

メルジーネ海底遺跡

意志の試練

神山

絆の試練

ハルツィナ樹海

心の試練

氷雪洞窟

 

と中々に考えられた場所に作られ、試練の内容も厳しそうだ。

 

『………以上だよ。頑張ってね』

 

「随分としおらしいな。あのウザい口調はどうした?」

 

『あはは、ごめんね~でもさ……あのクソ野郎共って……ホントに嫌なヤツらでさ……嫌らしいことばっかりしてくるんだよね……だから、少しでも……慣れておいて欲しくてね……』

 

「そうか……」

 

ミレディ・ゴーレムの身体は燐光のような青い白い光に包まれていた。その光が蛍火の如く、淡い小さな光となって天へと登っていく。死した魂が天へと召されていくようだ。とても、とても神秘的な光景である。

その時、おもむろにユエがミレディ・ゴーレムの傍へと寄って行った。既に、ほとんど光を失っている眼をジッと見つめる。

 

『なにかな?』

 

「……お疲れ様。よく頑張りました」

 

『……』

 

労いの言葉。たった1人、深い闇の底で希望を待ち続けた偉大な存在への、今を生きる者からのささやかな贈り物。本来なら、遥かに年下の者からの言葉としては不適切かもしれない。だが、やはり、これ以外の言葉を、ユエは思いつかなかった。

ミレディにとっても意外な言葉だったのだろう。言葉もなく呆然とした雰囲気を漂わせている。やがて、穏やかな声でミレディがポツリと呟く。

 

『……ありがとね』

 

「……ん」

 

『……さて、時間の……ようだね……君達のこれからが……自由な意志の下に……あらんことを……』

 

オスカーと同じ言葉を士郎達に贈り、『解放者』の1人、ミレディは淡い光となって天へと消えていった。

 

辺りを静寂が包み、余韻に浸るように女性陣が光の軌跡を追って天を見上げる。

 

「……最初は、性根が捻じ曲がった最悪の人だと思っていたんですけどね。ただ、一生懸命なだけだったんですね」

 

「……ん」

 

「長い時をここで1人で過ごしたんだよね……」

 

「アタシなら耐えられないわ……」

 

そのまま士郎達は奥の扉に進んで行く。

浮遊ブロックが士郎達を案内する様に動き出す。

 

「わわっ、勝手に動いてますよ、これ。便利ですねぇ」

 

「……サービス?」

 

勝手に士郎達を運んでくれる浮遊ブロックにシアは驚き、ユエは首をかしげる。

香織達他女性陣も声には出さないが驚いていた。一方の男性陣は絶対何かあると、疑っていた。

 

十秒もかからず光る壁の前まで進むと、その手前五メートル程の場所でピタリと動きを止めた。すると、光る壁は、まるで見計らったようなタイミングで発光を薄れさせていき、スっと音も立てずに発光部分の壁だけが手前に抜き取られた。奥には光沢のある白い壁で出来た通路が続いている。

士郎達の乗る浮遊ブロックは、そのまま通路を滑るように移動していく。どうやら、ミレディ・ライセンの住処まで乗せて行ってくれるようだ。そうして進んだ先には、オルクス大迷宮にあったオスカーの住処へと続く扉に刻まれていた七つの文様と同じものが描かれた壁があった。士郎達が近づくと、やはりタイミングよく壁が横にスライドし奥へと誘う。浮遊ブロックは止まることなく壁の向こう側へと進んでいった。

くぐり抜けた壁の向こうには……

 

『やっほー、さっきぶり!ミレディちゃんだよ!』

 

ちっこいミレディ・ゴーレムがいた。

 

「やっぱりね……」

 

「そもそもミレディがいなくなったら、誰がここの試練を担当するんだよ」

 

言葉もない女性陣。男性陣は予想がついていたようでウンザリした表情をしている。

 

『あれぇ?あれぇ?テンション低いよぉ~?もっと驚いてもいいんだよぉ~?あっ、それとも驚きすぎても言葉が出ないとか?だったら、ドッキリ大成功ぉ~だね☆』

 

ちっこいミレディ・ゴーレムは、巨体版と異なり人間らしいデザインだ。華奢なボディに乳白色の長いローブを身に纏い、白い仮面を付けている。ニコちゃんマークなところが微妙に腹立たしさを表す。そんなミニ・ミレディは、語尾にキラッ!と星が瞬かせながら、士郎達の眼前までやってくる。

 

「さ、さっきのは?」

 

『さっきの?あ〜もしかして消えちゃったかと思った?ないない!』

 

「で、でも光が登っていったわよ!」

 

『中々の『演出』だったでしょ?ミレディたんってば演技派!』

 

ミレディが死んだかに思えたあの行動に、女性陣の怒りか爆発してしまった。

香織は銃を、雫は刀を、優花は槍をそれぞれの武器をミニ・ミレディに向ける。

 

『え、え〜と。テヘ、ペロ☆』

 

「お前を殺す」

 

「「「……死ね」」」

 

「死んでください」

 

『ま、待って!ちょっと待って!このボディは貧弱なのぉ!これ壊れたら本気でマズイからぁ!落ち着いてぇ!謝るからぁ!』

 

しばらくの間、ドタバタ、ドカンバキッ、『いやぁー』など悲鳴やら破壊音が聞こえていたが、男性陣はミレディの自業自得だと、無視していた。

そしてそのまま士郎を盾にするように後ろへと隠れる。

 

「士郎さんどいて、そいつ殺せない」

 

「士郎さん、そいつは今ここで殺りますぅ」

 

「まさか異世界に来てそのセリフを聞くことになるなんてね……」

 

「とりあえず、神代魔法貰おう。ミレディの事は後だ」

 

士郎達は魔法陣の中に立ち、神代魔法を会得する。士郎達はオスカーの迷宮で、ヴェアベルトはヴァンドルの迷宮で神代魔法を会得していたので、記憶の中を弄られるような感じはなかったが、シアは初めてだったのでビクンッと身体を震わせる。

ものの数分で刻み込みも終わる。

 

『この中で一番適性があるのは金髪ちゃんかな、次いで緑髪くん、杖の白髪くん、魔人くんで、銀髪ちゃんとピンクちゃんは同じくらいで残りの3人は適性なしだね〜』

 

「うっさい、僕には生成魔法がある」

 

拗ねたようにハジメが呟く。

そしてミレディは士郎に何かを投げつける。投げられたそれを士郎はキャッチする。

 

「おっと……これは?」

 

『それはミレディちゃんの迷宮の攻略の証だよ〜』

 

すると士郎の後ろからゆら〜りと現れる。

 

「これだけ?」

 

『え?』

 

「攻略報酬だよ?」

 

「……オルクスはもっとくれた」

 

「これだけなのかな?かな?」

 

─────────────────────────

 

 

 

その後ハジメ達はミレディを恐k……交渉して、様々な鉱石を入手した。ハジメはどんな新しい兵器作ろうかを考えていてワクワクしていた。

 

「ミレディ、一つ聞きたいことがある」

 

『?何かな?』

 

「オスカーの迷宮は七大迷宮で何番目に行くのが正しいんだ?」

 

『え、最後だけど?ミレディたんも驚いたよ〜。オーちゃんの迷宮をまさか最初に攻略しちゃうなんてね〜』

 

「そうか……」

 

『で、やることはもう済んだ?』

 

「そうね」

 

『オッケー☆それじゃ、とっとと出ていってね♪』

 

いつの間にかミレディの横に垂れて来ていたロープを引っ張った。

すると、スルスルとミレディがロープに引っ張られて宙に浮くと、突如としてこの部屋に水が流れ込むと同時に部屋の中央に穴が開く。

 

「まさかこれは!?」

 

『嫌なものは水に流すに限るね!』

 

ロープで空中に退避していた気楽な声で言う。

 

「覚えてなさいミレディ!」

 

「次会った時は破壊してやるですぅ!」

 

士郎達はトイレに流されるが如くライセン大迷宮から排出されたのだった。水中で人面魚がいた。士郎は一瞬息を全部吐きそうになった。

水流に揉みくちゃにされ、出て来た場所はブルックの街のはずれの泉だった。

 

「酷い目に遭った……」

 

「溺れるかと思った……」

 

水流に揉みくちゃにされた士郎達は先程の戦いの疲れもあいまってか、疲労感がどっと襲いかかってきた。

士郎はこの状況なら色々文句を言いそうなシアが静かなのが不思議に思えたので、様子を伺うとぷかぷかと泉に浮かぶシアの姿が視界に映った。

 

「シア!?」

 

急いで士郎はシアを鎖を使って泉から引っ張り上げる。

地上に引っ張り上げ、仰向けに寝かせる。顔は青白く、目も白目を向いており呼吸と心臓も止まり何か嫌なものでも見たのか、表情が引き攣っていた。

すぐに士郎は急いで心肺蘇生を行う。胸骨圧迫30回と人工呼吸を繰り返し行うと、遂にシアが水を吐き出した。

 

「……ゲホ……士郎さん?」

 

「よかった……目を覚ましたんだね……死んだらどうしようかと……んむぅ!?」

 

ホッと一息吐こうとした時だった。ボーッとボクの方向を見ていたシアが突然士郎に抱きつき、そのままキスをしだした。しかも舌を絡めてだ。

 

「あむっ、んちゅ、れろ、むちゅ」

 

引き剥がそうにも身体強化を使っている上に、変容の反動で上手く力が入らない。

この状況で浮かんだ方法が……シアをキスで堕とすことだった。この時士郎もなんでこんなことしか浮かばなかったのか、当時の士郎の判断力はクソだった。

しばらくする内にシアが堕ちて、士郎が解放されるのだった。

ちなみにその光景を見ていた側はと言うと。香織とユエはハジメを襲い(アーッな展開にはならなかったが)幸利と優花は呆然としていた。

雫はと言うと、少し羨ましそうに見ていた。彼女も迷宮に入ってからしばらくしていなかったからだ。

 

「ぷはっ……それじゃあ宿に……ってみんなどうしたの?」

 

「なんでもないさ……とりあえず、早く宿に泊まろう……疲れてきた……」

 

「うむ、私も早く寝たい……」

 

「アタシも……」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。