ありふれない天の鎖の投影魔術師は世界最強 作:小説大工の源三
竜の体長は七メートル程。漆黒の鱗に全身を覆われ、長い前足には五本の鋭い爪がある。背中からは大きな翼が生えており、薄らと輝いて見えることから魔力で纏われているようだ。
空中で翼をはためかせる度に、翼の大きさからは考えられない程の風が渦巻く。だが、何より印象的なのは、夜闇に浮かぶ月の如き黄金の瞳だろう。爬虫類らしく縦に割れた瞳孔は、剣呑に細められていながら、なお美しさを感じさせる光を放っている、
その黄金の瞳が、空中より士郎達を見下ろしていた。
黒竜が口を大きく開け、エネルギーを溜める。
「不味い!ブレスか!」
士郎が真っ先に動き、右手を突き出す。
「
薄桃色の7枚の盾が突き出した右手の前に現れ、ブレスを防ぐ。しかしかなりの威力で2枚ほど割れる。
「んな!?アイアスが割れた!?ならこれでどうだ!」
士郎は熾天覆う七つの円環に金剛を込め、防御力を上げる。それでも膨大な熱量が襲いかかる。オルクスの最下層にいた赤いヒュドラの炎もびっくりの威力だ。
「「『禍天』」」
「グゥルァアアア!?」
ユエと幸利の重力魔法が黒竜を地面に押さえつける。
「でぇやぁぁぁあ!」
シアが叫びながら星砕きを振り下ろす。誰もが命中したと思ったその攻撃は黒竜の頭を外し、地面を叩きつける。
「士郎さんが付与してくれた重力魔法ハンマーすごいですぅ!」
「外したら意味ない!」
シアがあまりの威力に感心するが、当ててないことにハジメがツッコミを入れる。
「あの状態から避けたのかよ……」
「……ん、並の力じゃ出来ない」
「グルァアア!!」
黒竜が再び吠え、火炎弾を魔法使い組に放つ、ユエが自身と幸利を右に落とし、幸利が火炎弾を左にそらす。代わりに黒竜にかかる重力魔法が解けてしまう。
「あっぐぅ!」
そのまま横に回り、その長い尾でシアを叩きつける。星砕きを盾にしつつ後ろに飛んでダメージは抑えたものの、勢いよく森の方に飛ばされてしまう。
「シア!」
士郎が地面から鎖を生成して、シアの足を捕まえ、勢いを殺すためにそのままグルグル回る。
「大丈夫?」
「あひぇ〜……」
どうやら酔ってしまったようだ。それだけ威力がやばいことがわかる。
「せやぁぁあ!」
「食らいなさい!」
雫が刀で斬りかかり、優花が纏雷を使いレールガンを黒竜に向けて放つも、硬い鱗に阻まれ大したダメージを入れることが出来なかった。
ハジメと香織も射撃するも弾かれてしまう。
「そらぁ!」
士郎がソスタンボイで斬りかかる。
「グルアアア!?」
効いたのか、黒竜は悲鳴じみた声を上げる。
振り返りながら尾で士郎を吹き飛ばす。とても速く、反応が遅れ士郎は無防備な状態で飛んでいく。
ウィル目掛けて火炎ブレスは吐き出す。
その近くには愛子達もいた。生徒達はそれぞれ詠唱して迎撃しようとする。
「メル!氷結ブレスだ!」
メルリアンがヴェアベルトの指示通り氷結ブレスを吐き出す。
「『氷塊』!」
さらにヴェアベルトの氷塊が氷結ブレスを後押しするも、火炎ブレスの威力に押し負け、炎が襲いかかる。
メルリアンが咄嗟に巨大化して彼らを庇う。擬竜の鱗には属性ダメージを軽減する効果があり、なんとかやり過ごす。
「済まないメル、助かった」
『ヴェアコソダイショウブ?』
「問題ない、隙ができ次第アレをやるぞ」
『ワカッタ』
雫とシアが黒竜に攻撃して気を引こうとするものの、黒竜はウィルばかり狙う。
「こんなに無視されるとか初めてだよ……」
「これ明らかにウィルくん狙って……ううんウィルくんしか眼中にないみたい」
「どうにかして弱点を見つけないと……士郎の剣には竜特効があるけど……」
すると幸利は何かをふと思い出したのか、全員に念話で伝える。
『みんな、弱点なら心当たりがある』
『本当なの幸利?』
『ああ、俺が奴の後ろに回れるように立ち回ってくれ。だが一度、俺に意識を向けさせてからだ』
そう言った幸利はブラックロッドで黒竜を乱打する。
「オラオラオラオラァ!!」
黒竜がその爪で引き裂こうとするが、それを幸利は棒高跳びの要領で避けて、杖の先端で乱れ突きを放つ。
『グオオオオッ!!』
黒竜の口に魔力が溜まり、黒い炎が放たれる。
「『絶禍』!」
重力魔法に炎は飲み込まれていく。
ブレスを吐き切ったその顔面にロッドを叩き込む。
あまりの痛撃に黒竜は飛翔して距離を取ろうとするが、
「逃さねぇよ!」
重力魔法を乗せた杖で顔面をもう一度ぶん殴る。そして翼を闇魔法で貫く。
『そろそろ交代頼めるか!』
『OK!任せて!』
そう言って幸利は気配遮断を発動する。
ハジメ達が、黒竜の気を引く為に交代で打撃戦で応戦し、幸利が杖に魔力を籠める時間を稼ぐ。
「色々状況は把握した!」
士郎がそう言いながら飛び出し、鎖を地面から生成し、黒竜を拘束する。
鎖に重力魔法を付与し、拘束力を高めている。さらにユエの重力魔法も乗せられる。身動きの取れなくなった黒竜の背後には膨大な魔力を籠めた杖を持つ幸利が槍投げのように投げる。
この時幸利は尻を狙った、黒竜は必死に避けようと身じろぎしていた。結果、投げた
『アッーーーーーなのじゃああああーーーーー!!!』
黒竜は悲鳴をあげたのだった。