ありふれない天の鎖の投影魔術師は世界最強   作:小説大工の源三

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救出要請!

ホルアドに着いた士郎達は直ぐにギルドへ向かう。

 

「そういえばよ。士郎」

 

「なに?幸利」

 

 

「投影魔術って世界の修正力によって、投影した物は消されるだろ?でもお前のは消えない。衛宮士郎みたいに起源が『剣』な訳でもないし。仮に剣ならそれはそうと納得できるが……」

 

「たしかに……考えたこともないや」

 

士郎の投影魔術は幸利の言う通り何か違っていた。

投影した時の感覚を一度考えてみる。投影した時、投影した物が世界に結びついた(・・・・・・・・・・・・)ように感じた。

ひとまず用件を済ませて、次の目的地に向かいたい。

ふと、士郎はオルクス大迷宮の入り口を見る。

 

「パパ?」

 

リーニャが不思議そうな顔をして士郎の顔見る。

 

「……あれから4ヶ月しか経ってないのにもう何年も前の事に思えてね……」

 

「よく俺たちもあの地獄から這い出たもんだな……」

 

「お主らはもしやり直せるのならどうするのじゃ?」

 

「また落ちるよ。腕を失うことになったとしてもね」

 

「私も一緒だよハジメくん」

 

「それは何故じゃ?」

 

「「ユエ(ちゃん)に会いに行くため」」

 

「ハジメ……香織……」

 

「無論ボクも落ちるさ……でないとシアと会えないからね。ただ、恵里を連れて行くかは……悩んでる」

 

彼女をあの地獄に連れて行くのは気が引ける。もし、彼女が行きたいと言うのなら、士郎は連れて行くつもりだ。

そうこうしているうちにホルアドのギルドに着く。

ギルドの中に入ると、中にいた冒険者達の鋭い視線が士郎達を捉える。

 

「ひぅっ!」

 

その視線にミュウは小さな悲鳴を上げ、リーニャは声は出さなかったものの怯えてしまった。

ハジメが威圧と魔力放射を発動。睨んだ冒険者達の身体が強張る。

 

「今睨んだ人……笑って?」

 

「「「「「「「え?」」」」」」」

 

「だ〜か〜ら〜笑ってって言ったんだよ?うちの子たち怖い思いしちゃったんだよ?トラウマになったらどうしてくれるのかな?」

 

(ハジメのやつ親バカ進行してるな……)

 

(ウチの子って言ってるもの……子離れ出来なさそうね……)

 

ハジメの親バカ具合に幸利と優花は若干呆れている。

こわもてのガタイのいい男達が揃って引き攣った笑みを浮かべて小さく手を振る姿は、途轍もなくシュールだったが、やはり、そんな事はお構いなく、ハジメは満足そうに頷くと胸元に顔を埋めるミュウの耳元にそっと話しかけた。

何を言われたのか、ミュウはおずおずと顔を上げると、ハジメを潤んだ瞳で見上げる。そして、ハジメの視線に誘われてゆっくり振り向いた。そこには当然、必死に愛想を振りまくコワモテ軍団。

 

「ひっ!」

 

当然また怖がる。

そしてハジメはコワモテ冒険者を床に叩きつけるのだった。

リーニャは士郎に守られたのでコワモテスマイルを見ることはなかった。

ちなみ先程から黙っているヴェアベルトは、余りのシュールな光景に笑っている。

 

「支部長はいるかな?フューレンのギルド支部長から手紙を預かっているんだけど……本人に直接渡せって言われているんだ」

 

士郎は、そう言いながら自分のステータスプレートを受付嬢に差し出す。受付嬢は、緊張しながらもプロらしく居住まいを正してステータスプレートを受け取った。

 

「は、はい。お預かりします。え、えっと、フューレン支部のギルド支部長様からの依頼……ですか?」

 

普通、一介の冒険者がギルド支部長から依頼を受けるなどということはありえないので、少し訝しそうな表情になる受付嬢。しかし、渡されたステータスプレートに表示されている情報を見て目を見開いた。

 

「き『金』ランク!?」

 

冒険者において『金』のランクを持つ者は全体の一割に満たない。そして、『金』のランク認定を受けた者についてはギルド職員に対して伝えられるので、当然この受付嬢も全ての『金』ランク冒険者を把握しており。士郎達のことを知らなかったので思わず驚愕の声を漏らしてしまった。

 

「も、申し訳ありません!本当に、申し訳ありません!」

 

「あ~いや、別にいいよ。取り敢えず、支部長に取り次ぎしてくれるかな?」

 

「は、はい!少々お待ちください!」

 

五分も経たないうちにギルドの奥からズダダダッ!と何者かが猛ダッシュしてくる音が聞こえだした。何事だと、ハジメ達が音の方を注目していると、カウンター横の通路から全身黒装束の少年がズザザザザザーと床を滑りながら猛烈な勢いで飛び出てきて、誰かを探すようにキョロキョロと辺りを見渡し始めた。

 

「金ランク!どこだ!」

 

士郎達は、その人物に見覚えがあり、こんなところで再会するとは思わなかったので思わず目を丸くして呟いた。

 

「……遠藤くん?」

 

「その声は天野先輩なのか?生きてるなら出てきてくれ!」

 

「遠藤くん?士郎は目の前にいるよ?」

 

「今度は南雲か!?何処だ!」

 

「お前の目の前にいるだろ……影の薄い奴に忘れられるとかおもしれー」

 

「清水もいるのか!?返事をしてくれ!って言うか、誰がコンビニの自動ドアすら反応してくれない影が薄いどころか存在自体が薄くて何時か消えそうな男だ!自動ドアくらい三回に一回はちゃんと開くわ!」

 

「二回に一回は開かんのな。後目の前だ」

 

そう言って遠藤の眉間に軽くデコピンをかます。

 

ベシ!

 

「痛!へ?お前が清水なのか?」

 

「おう。見た目がおもくそ変わったが清水幸利だ」

 

「じゃあ周りにいるのは……」

 

「士郎達だ」

 

「……生きていたのか」

 

「今、目の前にいるんだから当たり前だろ」

 

「何か、えらく変わってるんだけど……見た目とか雰囲気とか口調とか……」

 

「奈落の底から自力で這い上がってきたんだぞ?そりゃ多少変わるだろ。後口調に関してはこれが素だ」

 

「そ、そういうものかな?いや、でも、そうか……ホントに生きて……」

 

「で、遠藤くんさっき物凄い勢いで出てきたけど、どうしたの?」

 

士郎がそう聞くと、浩介はハッとした表情で、慌てて話し始める。

 

「そうだ!先輩達冒険者やってて最高ランクの『金』なんですよね!?」

 

「うん」

 

「なら頼む!一緒に迷宮に潜ってくれ!早くしないと皆死んじまう!一人でも多くの戦力が必要なんだ!健太郎も重吾も死んじまうかもしれないんだ!頼む!」

 

「ちょっと待って?状況が全くわからないんだけど?死んじまうって、天之河がいれば大抵何とかなるでしょ?アレだけどさ。メルド団長がいれば、二度とベヒモスの時みたいな失敗もしないだろうし……」

 

遠藤のあまりに切羽詰った尋常でない様子に、困惑しながら問い返す。すると、遠藤はメルド団長の名が出た瞬間、ひどく暗い表情になって膝から崩れ落ちた。そして、押し殺したような低く澱んだ声でポツリと呟く。

 

「……んだよ」

 

「聞こえない。何だって?」

 

「……死んだって言ったんだ!メルド団長もアランさんも他の皆も!迷宮に潜ってた騎士は皆死んだ!俺を逃がすために!俺のせいで!死んだんだ!死んだんだよぉ!」

 

「……そっか。それで何があったんだ?」

 

「それは……」

 

尋ねるハジメに、遠藤は膝を付きうなだれたまま事の次第を話そうとする。と、そこでしわがれた声による制止がかかった。

 

「話の続きは、奥でしてもらおうか。そっちは、俺の客らしいしな」

 

声の主は、六十歳過ぎくらいのガタイのいい左目に大きな傷が入った迫力のある男だった。その眼からは、長い年月を経て磨かれたであろう深みが見て取れ、全身から覇気が溢れている。

 

─────────────────────────

 

遠藤の話によると、魔人族が襲撃して来たらしい。最初は遠藤自身も戦闘に参加しようとしたのだが、恵里がもしもの時のために遠藤だけは参加させなかったと言う。

それが功を制したのか、遠藤の存在を悟られることなく、逃走に成功したものの運悪く魔物に見つかり、遠藤を逃す為に庇ったという。

 

「なるほどね……」

 

「頼む!俺と一緒に潜ってくれ!天之河……はどうでもいい……天野さんや重吾達を助けてくれ!」

 

士郎は悩むことなく支部長に一つ提案する。

 

「支部長、あなた名義で勇者の救出を依頼として出してくれ」

 

「行ってくれるのか!?」

 

「当たり前だよ。恵里達の命がかかってるんだ」

 

「僕も行くよ」

 

「勿論私もだよ!回復が必要になるからね」

 

迷宮に行くメンバーを決める。

 

士郎、ハジメ、ヴェアベルト、香織、ユエ、雫、シアの7人で行くことになった。

幸利、優花、ティオは幼女2人の見守りとして残した。

 

「本当に助かる!」

 

「ほら、案内よろしく」

 

士郎達は、遠藤の後について行きながら迷宮へと向かって行った。

 

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