ありふれない天の鎖の投影魔術師は世界最強   作:小説大工の源三

53 / 110
幕間の物語part④ 闇に光を

 

 

ちょっと時は進んでフューレンで士郎達がデートしている時、幸利達が屋台を食べ歩いている頃。

 

「そういえば幸利が士郎さんと本屋で意気投合したって聞いたけど、出会ったばかりのアンタってどんなんだったの?」

 

「藪から棒にどうした?」

 

「士郎さんがあんたの目が出会ったばかりの頃に戻ってるって言ってたから気になったのよ」

 

「それは妾も気になったのじゃ」

 

「……中2の頃だな……確かその時は香織もハジメのことを知った時期らしいし」

 

─────────────────────────

 

快晴、ジリジリと地上に住む人間の肌を照りつける日光が厳しい夏だ。これでもまだ朝方だと言う。

士郎は行きつけの古本屋『マスカレード』に足を運んでいた。

 

「ダ○の大冒険あるかな……あった」

 

士郎が家にない巻を手に取ろうとした時だった。士郎とは別の左手が同じのを取ろうとしていた。

 

「「あ」」

 

その手の正体は、髪はボサついており、腕も痩せていた。顔を見ると寝れていないのかクマが出来ていて、おまけに目がドロっと澱んでいた。頬も痩せこけていた。

 

「すいません……」

 

「ああ、大丈夫。君もこれ読むの?」

 

「えっと……はい……」

 

「そうなんだ……ねぇ、よかったらこの後近くの公園で話さない?」

 

─────────────────────────

 

清水幸利は家に引きこもり、アニメやゲームの類をやる毎日を過ごしている。家族からの批難の目も無視している。

しかしある日、兄と遭遇してしまった。口喧嘩の末、幸利は財布を持って家を飛び出した。

飛び出したはいいものの、行く当てもなくただ町中をぶらぶらと歩いていた。その時、目に入ったのが古本屋『マスカレード』だった。

行く当てもないのでそこに入る。

中は大量の本で埋められており、新品同然の物や、日焼けしてしまった物など様々だ。

ウロウロと本を見て回ると、家で読んでいる途中の本があったので手に取って読もうとしたその時、別の右手が現れる。

 

「「あ」」

 

これが、清水幸利と天野士郎の出会いだった。

 

─────────────────────────

 

公園に移動した2人は、自販機で飲み物を買いベンチに座る。

 

「えっと……自己紹介からだね……ボクは天野士郎。タメ口でいいよ

 

「……清水幸利だ」

 

「清水くんか……さっきダ○の大冒険取ろうとしてたけど君も読むの?」

 

「まぁ……家には全巻あるからな……」

 

「へぇ〜いいなぁ〜」

 

「まぁ、家族はみんなそう言った物が嫌いな人ばっかだけど……俺だけ特殊な奴なんだよ」

 

「特殊で何が悪いんだろうね。英語ならSpecialって言うのに」

 

「千葉県のシスコン高校生か……」

 

士郎と話していくうちに幸利の表情は徐々に明るくなっていた。

日も上りそろそろお昼になった頃、士郎は行きつけのラーメン屋に行く予定だった。

 

「ねぇこの後ラーメン屋行くけど清水くんも行く?」

 

幸利としては家族に顔を合わせたくないので、士郎について行くことにした。

ジュースを飲み切り、そのままゴミ箱に空のペットボトルを投げ入れて公園を出る。

そのまま通りを左に歩き、大通りに出る。そのまま道なりに進むと、『本格的ラーメン!鳴門屋!』と書かれた看板な店に入る。

 

「へいらっしゃい!おお?士郎に……隣の坊主は?」

 

「さっきマスカレードで知り合った。おっちゃんいつもの豚骨醤油ラーメンネギマシマシで。清水くんはどうする?」

 

清水は立てかけられているメニューに目を通す。どれも美味しそうの物ばかりで悩む。

 

「味噌ラーメンで」

 

「あいよ!」

 

2人はカウンター席に座り、公園での話しの続きを始める。

 

「えっと……家族が清水くんの趣味に理解を示してくれないんだっけ?特にお兄さんが」

 

「……兄貴は世間一般で認められてる物にしか良い目をしないんだ」

 

「視野が狭いねぇ……あれかな?鬼○の刃だってジ○リの○と千尋の収入抜いたことも興味ないタイプ?」

 

「……そうだな……兄貴は勉強だの将来だの大人になれだの言ってきて……それが大事なのはわかってるんだけど……」

 

「まぁそう言った物が大事なのはボクもわかるけど……具体例がないよね〜。大人になれ?そんなの大人だってゲームしたり漫画だって読んだりするのに……なんならボクの幼馴染の親、そっち方面の社長だよ?」

 

「……まじっすか」

 

「……まじっすよ」

 

「お待ち!ネギマシマシ豚骨醤油に味噌ラーメン!」

 

幸利が驚いているうちに2人のラーメンが運ばれてくる。食欲を唆る良い匂いが2人の鼻腔をくすぐる。

 

「それじゃあ、食べよっか」

 

「「いただきます!」」

 

ズルズル!

 

麺はコシがしっかりしており、コクのあるラーメンスープと見事に絡み合う。チャーシューも噛まずに舌の上で蕩ける。

 

「うめぇ……」

 

「でしょ!ここのラーメンホント美味しいんだよね〜。今度、炒飯も頼んでみると良いよ」

 

幸利は麺を勢いよく啜る。淀んでいた目に少しばかり光が灯る。

 

「こんなに美味いの久しぶりに食った……」

 

「人に良いと書いて『食』だからね。人は食が基本だと思ってる」

 

「……あんた面白い人だな」

 

幸利はクスリと笑った。

 

─────────────────────────

 

「って感じだ」

 

「そんなことがあったのじゃな……」

 

「引きこもり辞めてからは両親と弟からの当たりは収まったけど、兄貴は相変わらずだがな」

 

「じゃあウチに来たのは?」

 

「それは士郎にラーメン屋連れてってもらった時に飯を食うことに目覚めたんだよ。食べ歩きして、ウィステリアに寄った」

 

「それで調理実習で料理が上手って噂が立った時は?」

 

「ありゃ俺が自分で美味い物食いたい一心で料理の研究してただけだ」

 

「へぇ〜」

 

幸利達はこのまま屋台を食べ歩くのだった。




古本屋マスカレード
店長
出てきてないけど一応紹介
CV:丹下桜
見た目茶髪ロリ、口調高齢の店長。海外に双子の姉がいる。そちらは店長と違い高身長薄紫ロング。


本格的ラーメン屋!鳴門屋
おっちゃん
CV:大塚明夫
豪快なスマイルと顎全体を覆う髭が特徴。

本作のアフター編をどうするか

  • 幸利組でまどマギクロス
  • 士郎が平行世界の聖杯戦争に参加
  • ハジメ組で勇者のいないドラクエ
  • ミュウ&リーニャで暗殺教室
  • または別の作品とクロス

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。