ありふれない天の鎖の投影魔術師は世界最強   作:小説大工の源三

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遅くなりました……


グリューエン大火山

士郎達は大火山に向けてブリーゼを走らせる。フロントガラスから見えたのは巨大な積乱雲だった。

 

「○ピュタだ……」

 

「ラピ。タ?」

 

「正確には龍の巣だね……」

 

思わず、日本を代表する名作アニメのワンシーンを思い出し呟いたハジメに、ユエ達の疑問顔が向けられる。それに肩を竦めるハジメは、ブリーゼの車内から前方の巨大な渦巻く砂嵐を見つめた。

 

「あのハーゲあーたーまー♪」

 

「かーがーやくーのーはー♪」

 

「どこかーにかつーらー♪」

 

「「「隠してーいるーかーらー♪」」」

 

「ブフォ!」

 

突然○を乗せての替え歌を歌い始める士郎、恵里、雫。それを聞いた幸利が腹を抱えて笑い出す。

近くにいたシアは何を歌っているのかわからないのか、首を傾げている。

 

「ウッククククッwヒーッw懐かしいの歌うなやw」

 

「ラピュ○と聞いたらこれを歌いたくなった」

 

「でも、雫が歌うのは意外だったね」

 

「……歌わさなきゃいけない気がしたわ」

 

再び砂嵐に視線を戻す。

当然、サンドワームや他の魔物も現れる。

視界すら確保が難しい中で容赦なく奇襲を仕掛けてくるというのだ。並みの実力では、『グリューエン大火山』を包む砂嵐すら突破できないというのも頷ける話である。

 

「つくづく、徒歩でなくて良かったですぅ」

 

「流石の妾も、生身でここは入りたくないのぉ」

 

「雪原と違い、ここは砂埃が痛そうだ……」

 

車で進める所まで進み、迷宮内部に突入する。

内部はとても暑く、まともな人間ならば耐えることすらきつい。寒冷地帯に住んでいたヴェアベルトはとてもきつそうだ。

 

「ぐっ……これはキツいな……」

 

『ヴェアベルト……ダイジョウブ?』

 

「うわぅ……あ、あついですぅ」

 

「ん~……」

 

「確かにな。……砂漠の日照りによる暑さとはまた違う暑さだ。……こりゃあ、タイムリミットに関係なく、さっさと攻略しちまうに限るな」

 

「ふむ、妾は、むしろ適温なのじゃが……熱さに身悶えることが出来んとは……もったいないのじゃ」

 

「……あとでマグマにでも落としてやるよ」

 

迷宮内部の暑さに苦悶の表情を見せる一行。1人だけ興奮している者がいるが。

すると士郎は肩掛けバックをの中をゴソゴソと探す。

 

「とりあえずこれを全員に渡すね」

 

士郎が取り出したのは様々な形をした石のついた首飾りだった。

 

「お兄ちゃんこれ何?」

 

「ボクの気温耐性を付与したアーティファクトだよ。暑さもこれで少しはマシになると思う」

 

全員がそれを手渡され、身につける。

暑さが遠のいていく。

 

「すごい……僕には気温耐性系の技能がないからどう作るか悩んでたから助かったよ」

 

「士郎さん、いつ気温耐性とったのよ」

 

「奈落に落ちた時」

 

「そんな前からとってたのか……」

 

一行はグリューエン大火山を進んで行くのだった。

 

─────────────────────────

 

迷宮内部を進みながら静因石を集める。しかしほとんどがカケラみたいな物しかなく、奥まで探さないといけないようだ。所々、マグマが吹き出してくるので、不用意に進もうならば火傷してしまう。熱源感知の技能がなければの話だが。

 

「小さい……」

 

「これじゃあ、アンカジの人達は助けられないよハジメくん……」

 

「うん……ここら辺はもう取り尽くされてるね……」

 

「マグマも突然飛び出してきて危ないですねぇ……」

 

「熱源感知がある私達はいいけど、それがないシアは気をつけて」

 

「はい!」

 

静因石の少なさに落胆してしまう。いくら軽減されているとはいえ、マグマの近くにいけば耐性を超えて暑さを感じてしまう。士郎は自前だが、他はアーティファクトによる耐性だからだ。

 

「暑い……ぐっ……だが、あの雪原の迷宮よりはマシだな……」

 

「雪原の迷宮ってそんなにキツいのかよ……」

 

「行く先が不安になって来たわ……」

 

「ふっ……あの迷宮は心にクる……前に見たあの人間の勇者……あのままならば、攻略することは叶わない……迷宮に呑まれるだろうな……」

 

一行はそのまま進む。

前人未到の第8層に足を進める。その瞬間、火炎が襲いかかる。

 

「『絶禍』」

 

士郎は手を前に出し、重力魔法で防ぐ。

炎を放った正体を探ると、目の前にはマグマを纏った牛がいた。鼻息を荒げ、今にも突進してきそうだ。

 

「任せてください!どおりゃあぁぁぁ!」

 

後ろからシアが星砕きをマグマ牛に向けて振りかぶる。

体を空中で一回転させ遠心力をたっぷり乗せると、正面から突っ込んできたマグマ牛に絶妙なタイミングで星砕きを振り下ろす。狙い違わず、振り下ろされた星砕きは、吸い込まれるようにマグマ牛の頭部に直撃した。と、その瞬間、直撃した部分を中心にして淡青色の魔力の波紋が広がり、次いで、凄まじい衝撃が発生。マグマ牛の頭部がまるで爆破でもされたかのように弾けとんだ。

シアは、打ち付けた星砕きを支点にして空中で再び一回転すると、そのまま慣性にしたがって崩れ落ちながら地を滑るマグマ牛を飛び越えて華麗に着地を決めた。

 

「お、おうぅ……士郎さんやったわたしが引く威力ですよこれ……」

 

「衝撃変換……ボクも一度使ったけど面白い性能してるよ」

 

士郎も天之河に対してお試しとして使ったが、打撃戦なら強い力を発揮する。手加減しても大ダメージを与えられる上に、外傷を与えずに内部だけにダメージを与えることができる点が士郎にとって、魅力的だった。

リーニャやミュウにスプラッタな光景を見せずに済むからだ。

その後も次々とマグマを纏った魔物が襲いかかるが、全て、銃で撃ち抜かれたり、剣で斬られたり、魔法で凍らされたりと全く相手にならなかった。

 

「お兄ちゃんから貰った杖……使えなかったな……」

 

恵里は士郎から貰った杖を見て、それの力を使うことが出来ず、落ち込んでいた。

士郎が渡したのは、全身真っ黒で所々に蒼く発光する杖だ。先端は槍のようになっており、魔力を込めれは切れ味が増す作りになっている。

 

「はぁはぁ……暑いですぅ」

 

「……シア、暑いと思うから暑い。流れているのは唯の水……ほら、涼しい、ふふ」

 

「ハジメくん!ユエちゃんが壊れかけてる!目が虚ろになってるよ!」

 

耐性持ちの士郎と暑さに強いティオ以外、ハジメ達ですらダウン状態だ。一応、士郎が渡した耐性アーティファクトと冷房型アーティファクトで冷気を生み出しているのだが……焼け石に水状態。止めどなく滝のように汗が流れ、意識も朦朧とし始めているユエとシアを見て、ハジメもあご先に滴る汗を拭うと、少し休憩が必要だと考えた。

ハジメは、広間に出ると、マグマから比較的に離れている壁に錬成を行い横穴を空けた。そこへユエ達を招き入れると、マグマの熱気が直接届かないよう入口を最小限まで閉じた。更に、部屋の壁を『鉱物分離』と『圧縮錬成』を使って表面だけ硬い金属でコーティングし、ウツボモドキやマグマの噴射に襲われないよう安全を確保する。

 

「ふぅ……ヴェアベルト、氷塊を出してくれ。しばらく、休憩しよう。でないと、その内致命的なミスを犯しそうだ」

 

「私も同じ事思った……」

 

ヴェアベルトは、虚ろな目をしながらも、しっかり氷系の魔法を発動させ部屋の中央に巨大な氷塊を出現させた。気をきかせたティオが、氷塊を中心にして放射するように風を吹かせる。氷塊が発する冷気がティオの風に乗って部屋の空気を一気に冷やしていった。

 

「はぅあ~~涼しいですぅ~生き返りますぅ~」

 

「……ふみゅ~」

 

「ここから移動したくなくなるわ……」

 

「私ここに永住するよハジメくん」

 

「ボクも〜」

 

女の子座りで崩れ落ちたユエとシアが、目を細めてふにゃりとする。タレユエとタレシアの誕生だ。恵里と雫、香織も空調の効いた部屋に居る気分になり、ダレている。士郎とハジメはそんな恋人の姿に萌える。

ハジメは宝物庫からタオルを取り出して全員に配る。

 

「みんなダレるのはいいけど、ちゃんと汗は拭いてよ?」

 

「……ん〜」

 

「わかってるよ〜」

 

「了解ですぅ〜」

 

「う〜ん」

 

「はーい」

 

間延びした声でタオルを広げるダレ陣。

 

「ご主人様と優花はまだ余裕そうじゃの?」

 

「お前ほどじゃないがな……キツい物はキツい」

 

「揚げ物作ってる時の方がマシよ……」

 

「ふむ、ご主人様達でも参る程ということは……おそらく、それがこの大迷宮のコンセプトなのじゃろうな」

 

 参るほどではないとは言え、暑いものは暑いので同じく汗をかいているティオがタオルで汗を拭いながら言った言葉に、ハジメが首をかしげる。

 

「コンセプト?」

「うむ。ご主人様から色々話を聞いて思ったのじゃが、大迷宮は試練なんじゃろ? 神に挑むための……なら、それぞれに何らかのコンセプトでもあるのかと思ったのじゃよ。例えば、ご主人様が話してくれた【オルクス大迷宮】は、数多の魔物とのバリエーション豊かな戦闘を経て経験を積むこと。【ライセン大迷宮】は、魔法という強力な力を抜きに、あらゆる攻撃への対応力を磨くこと。この【グリューエン大火山】は、暑さによる集中力の阻害と、その状況下での奇襲への対応といったところではないかのぉ?」

「……なるほどな……攻略することに変わりはないから特に考えたことなかったが……試練そのものが解放者達の〝教え〟になっているってことか」

 

ティオの考察に、なるほどと頷く幸利。ドMの変態の癖に知識深く、思慮深くもあるティオに、普段からそうしていれば肉感的で匂い立つような色気がある上に理知的でもある黒髪美女なのに……と物凄く残念なものを見る眼差しを向ける。

しかし、ティオの首筋から流れた汗がツツーと滴り落ちて、その豊満な胸の谷間に消えていくのを目にすると、幸利は何となく顔を逸らした。幸利も男だった。邪険に扱っているとはいえ、流石にあの豊満な胸が揺れたり強調でもされると自然と視線がそっちに行ってしまう。それを持つ本人が自分を『ご主人様』と呼ぶので余計に変な気分になりそうだった。そんな気分になった時に後ろから何故か冷たい視線を感じるので手を出すことはないが。

 

「むぅ……」

 

「優花?」

 

「なんでもない……」

 

幸利は優花の視線を疑問に思いながらも、この大迷宮をどうするか考えることにした。

 




あり天投、小咄

迷宮で士郎と再会した時の鈴恵里

鈴「よくオニーサンだってわかったねエリリン」

恵里「そりゃそうだよ〜僕がお兄ちゃんの臭いや虹彩を見間違えるわけがないじゃん」

鈴「そっかぁ……」


シアと恵里の初顔合わせ

シア「シア・ハウリアです!えっと……士郎さんの3人目の恋人です!」

恵里「天野恵里だよ。よろしくね」

シア「よろしくですぅ」

恵里「ちょっと失礼するね」

モフモフ

シア「ひゃあ!?」

恵里「わぁ……モフモフだぁ……」
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