ありふれない天の鎖の投影魔術師は世界最強 作:小説大工の源三
現在火山迷宮およそ五十層。何故およそかと言うと、ハジメが暑さでやらかしたからだ。マグマの流れに関係していた静因石を掘り出し、そこから大量のマグマが溢れ出したのだ。咄嗟に全員が乗れる船を出して、事なきことを得たが……
「ハードモードインディさんだね……」
「全く誰のせいでハードモードになったんですかねぇ」
「ゴメンナサイ」_| ̄|○
「ハジメくんの土下座久しぶりに見たよ……」
幸利にジト目を向けられハジメは土下座をする。よくこんな狭い所でできるな。
今はどんぶらこどんぶらことマグマを流されている。
「マグマかぁ……まぁお兄ちゃんの為なら僕はマグマだって泳いで見せるよ」
おっと?うちの義妹兼正妻様は溶岩水泳部のようだ。でもそこまで愛されるのは嫌ではない。
「それはまた……すごい気持ちだな……私にはできそうにもない……ぐっ……」
ヴェアベルトは恵里の気持ちに感心するのだが、この中でも暑さ耐性の無さが災いし、マグマロードを渡る船の熱には耐えられそうにもない。
メルリアンが頭に向けて氷ブレスは当てているお陰でなんとか熱中症にはならないで済んでいる。
「士郎さん、またトンネルですよ」
「そろそろ、標高的に麓辺りね。何かあるかもしれないわ」
トンネルに突入すると、そのまま続いていたマグマロードが滝のようになっていた。
「全員振り落とされないよう何かに捕まって!」
香織とユエはハジメに、恵里と雫、シアがボクに、優花とティオは幸利に捕まる。
「優花?」
「……あんたなら落ちないでしょ?」
「まぁ……な……てかティオ、お前はひっつきすぎだ!暑い!」
「嫌なのじゃ!ご主人様を合法的に堪能できるこの機会は逃さないのじゃ!」
幸利はティオを引き剥がそうとするも筋力ステータスを覆すパワーで中々離れない。
そうこうしているうちにマグマ滝を落ちる。流れから飛び出さぬよう重力魔法による体重移動と風魔法で制御する。その際、マグマコウモリが襲いかかる。それをハジメと香織が銃撃で瞬殺する。しかし数が増えてくる。ユエとヴェアベルトも参戦し、マグマコウモリを撃破していく。
するとマグマコウモリは密集していき、炎龍のような姿になる。
「一気に仕留めるとしますか。香織、オルカンお願い」
「任せてハジメくん」
ハジメは宝物庫からメツェライとオルカンを取り出し、オルカンを香織に渡して構える。
腰だめに構えたメツェライのトリガーを引く。
ドゥルルルルルルル!
独特の射撃音を響かせながら、恐るべき威力と連射を遺憾無く発揮した殺意の嵐は、その弾丸の一発一発を以て遥か後方まで有無を言わせず貫き通す。洞窟の壁を破砕するまでの道程で射線上にいたマグマコウモリは、一切の抵抗も許されず粉砕され地へと落ちていった。
さらに、香織が肩に担ぎ構えたオルカンが、容赦なくその暴威を解放した。火花の尾を引いて飛び出したロケット弾は、メツェライの弾幕により中央に固められた群れのど真ん中に突き刺さり、轟音と共に凄絶な衝撃を撒き散らした。
結果は明白。木っ端微塵に砕かれたマグマコウモリの群れは、その体の破片を以て一時のスコールとなった。
後ろからも迫ってくるが、
「嵐龍」
ユエが右手を真っ直ぐ伸ばし、そう呟いた瞬間、緑色の豪風が集まり球体を作った。そして瞬く間に、まるで羽化でもするかのように球形を解いて一匹の龍へと変貌する。緑色の風で編まれた『嵐龍』と呼ばれた風の龍は、マグマコウモリの群れを一睨みすると、その顎門を開いて哀れな獲物を喰らい尽くさんと飛びかかった。
当然、マグマコウモリ達は、炎弾を放ちつつも、『嵐龍』を避けるように更に二手に分かれて迂回しようとした。しかし、ユエの『龍』は、その全てが重力魔法との複合魔法だ。当然、『嵐龍』も唯の風で編まれただけの龍ではなく、風刃で構成され、自らに引き寄せる重力を纏った龍であり、一度、発動すれば逃れることは至難だ。
「流石ハジメ殿の兵器とユエ殿の魔法……凄まじいな……」
ヴェアベルトは苦笑いして賛辞を贈る。
その後も進み、最奥部辺りに到着する。
「……あそこが住処?」
ユエが、チラリとマグマドームのある中央の島に視線をやりながら呟く。
「階層の深さ的にも、そう考えるのが妥当だろうな……だが、そうなると……」
「最後のガーディアンがいるはず……じゃな? ご主人様よ」
「ショートカットして来たっぽいですし、とっくに通り過ぎたと考えてはダメですか?」
「大迷宮がそんな簡単に行くわけはないわよ」
幸利の考えをティオが確認し、僅かな異変も見逃さないとドMの変態とは思えない鋭い視線を周囲に配る。そんなボク達の様子に気を引き締めながらも、シアがとある方向を見ながら楽観論を呟いてみた。
そこには正規ルートで通るであろう階段があった。
シアの言葉を優花がバッサリ切り捨てる。
すると突然、マグマの弾幕が襲いかかる。
「散開!各自中央の島に!」
ボクの指示に全員別の場所に飛び移り、中央の島に向かう。その小島に何かあるかもしれない。
マグマ蛇が大口を開けて襲いかかってくる。ボクはその蛇を撃つ為に銃剣干将・莫耶を投影、即座に発砲する。
「っ!こいつ肉体がないっ!?……いや、とにかく進まないとっ!」
撃たれたマグマ蛇には肉体がなく、全部がマグマで構成されていた。
次々とマグマ蛇は襲いかかる。それを銃撃で迎え撃つ。何体かは弾けるだけだが、2体ほど魔石を砕いた気配を感じ取る。しかし同じ数のマグマ蛇が現れた。
「これどういう条件……?」
ボクがマグマ蛇の原理に疑問に思っていると、シアが何か見つけたのかこちらに駆け寄ってくる。
「士郎さん、彼処、岩盤が光ってます!」
「ホントだ……数は……百で……十光ってるってことは……全部倒せば一気にいなくなるわけか……!」
ボクはみんなに攻略方法を大きな声で伝える。
「なら、一番多く倒した者が誰かに一つ命令が出来ると言うのはどうじゃ?」
「あ、それいいですね!」
「というわけじゃ!ご主人様よ
唐突に競争が始まった。
それに乗っかった女性陣が勢いを増してマグマ蛇を倒していく。
「えっ、ちょ!?」
その競争に意を唱えようとした幸利だが、既に始まった物が止まることはなかった。
ユエは雷龍を七体呼び出し、次々とマグマ蛇が撃破していく。おそらく一番多く倒したのは彼女だろう。
残り二体となったその時だった。
優花が残りを倒そうと苦無を2つ投げようと構える。
「優花危ねぇ!」
幸利が突然優花の腕を引き自分との立ち位置を入れ替える。突然の出来事に反応出来なかった優花はそのまま尻餅をつく。
そして最後に残ったマグマ蛇もろとも謎の閃光が幸利を呑み込んだ。
「ゆ……幸利ィィィィィィィ!」