ありふれない天の鎖の投影魔術師は世界最強   作:小説大工の源三

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大火山で再び魔人族襲来

「ゆ……幸利ィィィィィィィ!」

 

白い極光が晴れるとそこには衣服はボロボロで所々から血が垂れた幸利の姿が現れ、その場にドサリと糸の切れた人形のように倒れる。

その姿に優花とティオは慌てて駆け寄る。

 

「「幸利/ご主人様!」」

 

「ぐっ……っ……」

 

近くで見ると、破れたところから血が出ており、中には肉が焼けていたり、骨が露出している部分もあった。

 

「酷い傷……」

 

「香織!回復魔法を!」

 

「う、うん!」

 

香織が回復魔法を使い治療を試みるも、効果が現れる気配がない。

 

「そんな……なら『万天』!からの『回天』!」

 

状態異常回復と同時に回復魔法を唱える。

しかし、それを妨害しようと再び極光が襲いかかる。

 

熾天覆う七つの円環(ローアイアス)!」

 

士郎は幸利達を庇う為に熾天覆う七つの円環を展開して防御するのだが、『パリン』と音を立てて割れてしまう。

 

「全員散開!防げない!」

 

防ぎきれないと判断して士郎は優花が幸利を背負って移動したのを確認し、盾を解除して自身も回避する。

極光が放たれた空を見上げるとそこに白竜に乗った魔人族の男がいたのだった。

 

「……看過できない実力だ。やはり、ここで待ち伏せていて正解だった。お前達は危険過ぎる。それに報告があった通り……ヴェアベルト、貴様が生きていようとはな……」

 

「フリード……貴様っ!」

 

ヴェアベルトの顔は怒りに満ちた声で魔人族の男の名を叫んだ。その怒りに応じるかのように、肩に乗っていたメルリアンが地面に降りて、身体を巨大化させる。

 

「アルヴ様に叛き、挙げ句の果てには人間の味方をしていようとはな……やはり貴様は愚か者のようだ」

 

「愚かなのはそっちだろう……意味の無い争いを続けて……一体何人もの犠牲を出せば気が済むのだ!」

 

「アルヴ様がそうしろと命じたのだ。だから我々はそれに応えるのみ。死ね」

 

2人は氷魔法を言葉を交わしながら放つと。

白竜から再び極光が放たれるその時だった。突然、3本の苦無がフリード目掛けて飛んで来た。

その苦無はフリードの小手によって弾き落とされる。

 

「アンタね……あの光は……」

 

「いかにも……だが私の竜は白竜だけでは無い……」

 

フリードの背後から黒い鎧を纏った紅目の竜が現れた。

 

「黒竜、灰竜よ奴らを焼き尽くせ!」

 

黒竜の口から黒炎が吐き出される。さらには周囲の灰竜から光弾も降り注ぎ、士郎達の回避を困難にさせる。

ハジメはクロスビットを用いて、ティオは嵐空で、ユエが聖絶で光弾と黒炎を防ぐ。

 

「幸利、しっかりして!」

 

「優花ちゃん落ち着いて……!」

 

幸利は香織の回復魔法により、徐々に傷が癒えていくが、意識を取り戻す気配がない。

 

「これだけの攻撃でも倒せぬとは……貴様ら、どれだけの神代魔法を習得している?」

 

すると土煙から1人の人間が現れ、フリードに剣を振り下ろす。

 

「それに答えるとでも思ってるのか?」

 

振り下ろした剣は受け止められた衝撃で砕け散る。

士郎はソスタンボイを使おうと思ったのだが、気配を悟られない為に低コストの剣を投影していた。

そして士郎は空力で跳び、弓と別の剣を投影する。

 

「喰らいつけ!赤原猟犬(フルンディング)!」

 

放たれた剣は周囲の灰竜を次々に撃ち落とす。

しかし、多くは障壁により、攻撃が防がれてしまう。

 

「貴様が一番厄介だということは分かっている」

 

白竜から極光が放たれる。士郎はそれを避けて、地面に降りた。

次いでシアも靴に付与された空力で跳び、灰竜を叩き落として行く。

その間士郎は恵里のところに行き、耳打ちで指示を出す。

 

「恵里お願い……」

 

「わかった……」

 

恵里は詠唱を始める。その時間を稼ぐ為に雫とハジメはフリードへと攻撃を仕掛ける。

雫は刀をフリードの鎧の薄い所へと振り下ろし、ハジメはドンナー&シュラークで肌の露出している所へ撃ち込む。

 

「人間め……小癪な……!だが私の攻撃がこの白竜達だけとは思うな!」

 

フリードはその攻撃を受け流したり避けたりする。そして何かの詠唱を始める。

そうはさせるかと2人は攻撃を続ける。ハジメはオルカンを取り出して攻撃を再開するのだが、灰竜達の障壁がそれを防ぐ。

 

「『界穿』!」

 

「雫さん!ハジメさん!後ろです!」

 

最後の魔法名が唱えられると同時に、フリードと白竜の姿が消えた。正確には、光り輝く膜のようなものが出現し、それに飛び込んだのだ。ハジメ達は、フリードが魔法名を唱えると同時に叫んだシアの警告に従い、驚愕に目を見開く暇もなく背後へ振り返る。

そこには……2人の眼前で大口を開けた白竜とその背に乗って2人を睨むフリードがいた。白竜の口内には、既に膨大な熱量と魔力が臨界状態まで集束・圧縮されている。咄嗟に武器を盾にするのと、ゼロ距離で極光が放たれるのは同時だった。その時だった、

 

「死せし獣達よ、今一度戦おうとする獣達よ、その力を持って、敵を打ち倒さんとするならば、我が声に耳を傾けたまえ、その牙を我に捧げよ……『従魂死獣』」

 

恵里の詠唱が終わると同時に死んだ灰竜の群れがフリードと2人の間に現れ、障壁を貼り、極光を防ぐ。

 

「何っ!?」

 

「間に合ってよかった……!」

 

「貴様、カトレアにやられた降霊術師か……」

 

「元々僕は前線向きの職業じゃないからね……やられたのは当然だよ……」

 

恵里はそのまま操った灰竜に攻撃指示を出す。一斉掃射をする。フリードも灰竜の一斉掃射で迎え撃つ。しかしフリードの方が灰竜の数が多いことと恵里の方は既に息絶えた灰竜なので攻撃がどんどん弱まっていくので、押され始める。

だが、恵里の背後にはドリルのような矢をつがえた弓を持つ士郎がフリードを狙っている。

 

「我が剣は崩れ、歪む───!偽・螺旋剣(カラドボルグ・II)!」

 

偽・螺旋剣を放つと、恵里の従えている灰竜諸共貫く。そのままフリードの白竜も貫くと思われたのだが、再び瞬間移動されてしまい、かわされてしまう。

 

「おのれ……!黒竜よ焼き尽く「僕達ばかり見てていいのか?」何っ!?」

 

フリードの後ろからメルリアンが鋭い氷の弾丸を吐く。それを数体の灰竜が相殺する。

しかしヴェアベルトがいないことにフリードは疑問を抱く。

 

「上かっ!」

 

「喰らえフリード!」

 

振り下ろした剣は避けられ空を切る。メルリアンはそのまま突撃して、フリードを白竜からマグマへと落とそうとするもこれもかわされる。

そのままの勢いでヴェアベルトを回収する。

するとフリードの背中に強い衝撃が走る。

 

「さっきはよくも不意打ちしてくれたなぁ……伸びろブラックロッド!」

 

衝撃の犯人はいつの間にか意識を取り戻し、すぐに戦闘へと参加したのだった。

ヴェアベルトに意識を向けていたフリードは後ろから迫る幸利の攻撃に気づくことが出来なかったのだ。

伸びたブラックロッドで幸利は白竜の頭部を叩きつける。

叩きつけられた白竜は気絶し、それに乗っていたフリードは黒竜へと乗り換える。黒竜は気絶した白竜を掴む。

そのまま闇魔法で追い討ちをかけるも、黒炎により防がれる。

 

「貴様……もう意識を取り戻したのか……いや、既に限界のようだな……」

 

「……はぁ……はぁ、だからといって寝てるわけにゃいかねーよ……ゲホッ……喰らいやがれぇ!」

 

息を切らせながら立つ幸利は、今にも倒れそうだった。しかし、幸利は杖に魔力を込めて身体強化を使い勢いよく、杖を投げつける。

 

「なっ……ゴフッ……」

 

「どうだ……この野郎」

 

杖はフリードの横っ腹を貫き虚空へと飛んでいった。

 

「ぐっ……恐るべき戦闘力だ……一人一人が脅威になる……この手は使いたくなかったが致し方ない……」

 

フリードはいつの間にか止まっていま肩の小鳥に何か話すと、グリューエン大火山が大きく揺れた。

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!

 

「士郎さん水位が!」

 

シアが下を見るとマグマの海が荒れ狂い、どんどんせり上がっていく。

 

「フリード貴様何をした!」

 

「……要石を……破壊しただけだ」

 

そのままフリードは黒竜に跨り去っていった。

追いかけられないよう灰竜達が小極光を放つ。

それをユエと幸利の重力魔法で呑み込む。

 

「待てッ!」

 

ヴェアベルトはフリードの後を追う為にメルリアンに跨ろうとする。それを士郎が止める。

 

「待ってヴェアベルト!深追いはしない方がいい!」

 

「くっ……」

 

ヴェアベルトは悔しそうに追跡を諦める。

 

「しかしどうするのだ?」

 

「このまま神代魔法を手に入れる。そしてマグマの中を進む」

 

「は?」

 

ハジメの言葉に唖然とするヴェアベルト。まさかマグマの中を進むなんて思いもしなかった。

 

「神代魔法は一体何処に……」

 

「彼処、マグマストームが無くなって石版が出てきてる。たぶんだけどそこにあるはず」

 

「急ごう、このままだと神代魔法が入手出来ない」

 

士郎は灰竜が撤退した頃合いを見て、一気に石版の所に向かう。

石版は扉などない唯の長方体に見えるが、壁の一部に毎度お馴染みの七大迷宮を示す文様が刻まれている場所があった。その前に立つと、スっと音もなく壁がスライドし、中に入ることが出来た。士郎達が中に入るのと、遂にマグマが中央の島をも呑み込もうと流れ込んできたのは同時だった。再び、スっと音もなく閉まる扉が、流れ込んできたマグマを間一髪でせき止める。

マグマが侵入してこないのを確認すると、全員がホッと息を吐く。

 

「一先ず、安心だね……」

 

香織はそう呟き、安心した様子を見せる。

 

「ん……ハジメ、アレ」

 

「魔法陣、だね……」

 

全員が魔法陣の上に立つ。

そして全員が新しい神代魔法を手に入れる。

しかし、

 

「うぐっ……ガァァァァァァァァァァアア!」

 

士郎が突如苦しみ始めたのだった。

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