ありふれない天の鎖の投影魔術師は世界最強   作:小説大工の源三

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月下の約束、ボク達は……

オルクス大迷宮。それは神代の時代において神への反逆を企て、世界を滅ぼそうとした者たちが作り上げた『七大迷宮』の一つとされる。ハイリヒ王国の南西に存在、100階層からなると言われているこの迷宮は下に進むほど魔物が強くなるという特性から実力を測りやすい事と、良質な魔石が手に入る事から冒険者や傭兵、新兵の訓練場として人気が高く、それは周辺に設けられたホルアドという宿場町の賑わいからも明白である。

王都からずっと馬車で揺られていたハジメが「乗り物が欲しくなる、バイクとか車とか」なんて言っていたが。やがて一行はメルド率いる騎士団員複数名と共にそのホルアドに到着、王国直営の宿屋に宿泊する事となった。

まだ夕方の時刻なのでボクとハジメと幸利は町の外れでハジメの製作品の完成を見ることになった。

 

「それでハジメ、遂に出来たって何がだ?」

 

「幸利、それは『銃』だよ」

 

「まじ!?」

 

「試行錯誤の繰り返しで完成したんだ」

 

ハジメの技能にある錬成の派生技能に『複製錬成』が追加されていたので数丁複製したらしい。

 

「とりあえず六発装填のリボルバー式のにしたよ」

 

そして弾を詰め、ボクが作った仮想敵を撃つ。勢いよく放たれた弾丸は中心に当たる。

 

「おお〜」

 

「とりあえず香織達の分も作ったけど、材料が足りなくなって4丁しか作れなかったよ」

 

「ハジメそれをよく見せて」

 

「うん」

 

ボクはリボルバー銃を解析魔術で調べる。解析が終わりハジメに返す。そして右手を前に突き出し、左手を肘に添えて、詠唱を一言告げる。

 

「『投影・開始(トレース・オン)』」

 

するとボクの右手にはハジメが作ったリボルバー銃そっくりの銃が現れる。

 

「よし、成功だ」

 

「それ僕が作った銃と同じ物?」

 

「ああ、まぁハジメが作らなきゃ投影出来なかったけど。あと何丁欲しい?」

 

「うーんとりあえず人数分欲しいからあと3つ」

 

「了解!『投影・開始』!」

 

それからは『投影/解析魔術』の派生技能『複製投影』で3丁投影する。

 

「とりあえず今手持ちにある2丁は幸利に渡しておくね銃弾も三十六発、優花と分けてね。士郎も恵里や雫達の分七十二発分」

 

「サンキュー優花に渡しとく」

 

「ありがとう」

 

─────────────────────────

 

そろそろ寝る時間になるのだが、ボクは中々寝付けないので眠気が訪れるまで本を読んでいる。恵里は疲れたのかすぐににベッドの上に横になる。「スゥ……スゥ……」と寝息が聞こえてくる。落ち着いて寝ている姿を見るととても愛おしく思える。

ここに来てからかなりの時間が経った。最初は訳もわからず呼び出され、戦えと言われた。ボク達にとっての日常から崩壊して困ってしまったが、どうにか上手くやっている。

そろそろ寝ようと思いベッドの方を見ると、寝ていた筈の恵里が起きていた。しかし様子がおかしかった。息を切らし額には汗が浮き出ており何か良くない夢を見たようだ。

 

「お、お兄ちゃん……?お兄ちゃん!」

 

突然ボクに抱きついてくる。抱きしめる力はすごく何かに怯えているようだった。

 

「恵里、どうしたの?何か悪い夢でもみたの?」

 

「うん……みんなを呼んで……早く!」

 

「みんなって言うのはいつものメンバーでいいんだね」

 

そう確認すると、ボクはハジメ達を部屋に呼び出す。少し眠そうなのは悪いのだが恵里が必死に訴えたので集まってくれた。

 

「それでエリリン、話って?」

 

「明日の訓練、みんな国に残って欲しいんだ!教官達も僕が頑張って説得するから!お願い!」

 

勢いよく頭を下げて頼み込む恵里。

 

「待って、恵里、なんで突然そんなこと言うの?私達にわかりやすく説明して貰えるかしら」

 

「檜山達の件だったら別に団長が対応していたでしょ?」

 

「そういうのじゃないの!こうもっと曖昧だけど無駄に現実的な夢を見たの!」

 

「一体どんな夢なんだ?話してくれ、もう夢だと否定出来る世界じゃないからな……」

 

「うん、もちろん話すよ。大事な部分だけ言うね……ここにいるみんなが僕と鈴の前にいるんだ。何度も何度も声をかけるんだけど振り返りも反応もしてくれない、そして最後には消えちゃうんだ……」

 

長い沈黙。

 

「なんか、ごめんね……でもみんな国に戻って!それで残って!お願い……!」

 

「それは出来ないだろうね……」

 

「えっなんで……」

 

「戦争参加の意思を示したからには戦わなきゃならないだろうし。団長が容認しても、聖教教会の連中はいい顔をしないだろう。それで何を命令されるかわからない」

 

「そっか……」

 

「でも……みんなでみんなを守ろう。そしたらその夢も覆せるかもしれない」

 

ボクは手を前に出す。全員ボクのしたいことがわかったのかすぐに手を重ねる。そして手をグーにしてコツンとぶつける。

 

「ボク達は生きて帰るぞ!」

 

「「「おおー!」」」

 

 

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