ありふれない天の鎖の投影魔術師は世界最強   作:小説大工の源三

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遅くなりました…


王都侵攻 中編

ヴェアベルトがフリードの部下と戦っている頃、同時期に幸利と優花は空力を使い、気配感知で認識した敵のところに向かっていた。

 

「この気配……やっぱ奴がいるのか……前回は不意打ちでやられたが、今度はやられねぇ……」

 

「あまり先走らないでよ?それでやられたら元も子もないんだから」

 

「わかってる……それとヴェアベルトに殺してもいいのか聞いたら、良いって言ってた……もう分かり合えないんだとよ」

 

「そう……ならアタシも容赦はしないわ」

 

2人が飛んでいると、魔人族の兵達と灰竜達が襲いかかる。

 

「邪魔すんな!」

 

「どいて!」

 

幸利は闇魔法を連続で放ち、優花は属性を纏わせた苦無を大量に投げて一気に殲滅していく。

撃ち漏らしもあるが、既に王国に辿り着き、別行動をとっているユエの魔法が殲滅する。

 

「やはり貴様らか」

 

そう言って現れたのは、白竜と黒竜、大量の灰竜を従えるフリードだった。

 

「よお……また会ったな」

 

「あそこでくたばってはいなかったか……」

 

「あれしきでくたばるものですか」

 

「……だが今ここで貴様らを始末する!」

 

その声と共に灰竜のブレスが2人を四方八方から焼き尽くそうと襲いかかる。

 

「『絶禍』」

 

幸利の放った黒く渦巻く四つの球体がそのブレスを呑み込んでいく。

 

「くっ……見たことのない魔法……貴様らも神に選ばれし者なのか!」

 

額に汗を流して得心がいったと頷くフリード。

 

「ほざけ、神なんかに選ばれてもなんも嬉しくねぇからな?お前みたいに神を信仰なんてしてねぇよ。少なくともこの世界の神はな!」

 

その台詞にフリードは自身の神すら侮辱された気になり、無表情となる。

 

「幸利、あんた口悪くなってない?」

 

「こいつには恨みしかないからな……」

 

「よかろう……貴様らを殺し、その遺体をアルヴ様の生贄にしてくれる!」

 

そう言ってフリードは灰竜に再びブレスを吐かせる。さらに黒竜に黒炎弾を吐かせ、白竜から極光ブレスを放った。

 

「『界穿』」

 

優花の空間魔法で転移して避ける。

二手に分かれてフリードの相手を幸利が、周囲の魔人族と灰竜を優花が相手をする。

 

「『暗黒波・集』!」

 

幸利のレーザーの闇魔法がフリードの背後から襲いかかるが、地上にいた亀の魔物、アブソドが喰らい尽くす。

そしてそのまま暗黒波・集が撃ち返される。何度か試すものの結果は同じだった。

 

「チッ……面倒だな……だったら……優花!少し時間くれ!」

 

「わかったわ!」

 

そうはさせまいと白竜の極光ブレスが放たれるが、界穿で撃ち返す。

そして魔人族を相手にしてた優花と交代する。

 

「今度は女の方か。どちらにせよ殺すだけだ」

 

そう言ってブレスや魔法を連続して放った。

優花は黒竜と白竜のブレスを幸利と同じように空間魔法の界穿で防ぐ。

そして一気に間合いを詰めて、短刀で斬りかかる。

 

「ふっ……せいっ……!」

 

「くっ……近接戦も熟すのか……!物を投げるだけではないのとは……!」

 

フリードは短刀の攻撃を帯刀していた剣で防ぐ。

ブレスを吐かせて優花との距離を取る。

 

「────揺れる揺れる世界の理、巨人の鉄槌、竜王の咆哮、万軍の足踏、いずれも世界を満たさない、鳴動を喚び、悲鳴を齎すは、ただ神の溜息!、それは神の嘆き!、汝、絶望と共に砕かれよ!『震天』!」

 

優花は嫌な予感を感じ、空力と縮地を使い距離を取る。しかし逃げ切れる気がしない。避けることをやめて頭上に空間魔法で自身に何も来ないよう、空間を固定するのと、一瞬収縮した空間が大爆発を起こしたのは同時だった。

空間そのものが破裂する。そうとしか言いようのない凄絶な衝撃が、生き残りの灰竜や地上の魔物すら一瞬で粉微塵に砕いて、大地を抉り飛ばし、天空のまだら雲すら吹き飛ばした。

 

(空気を圧縮して一気に放出した!?幸利から借りた本にあったわね……!)

 

なんとか防御しきり、再生魔法で傷を治す。

 

「やはり耐えると思ったぞ!」

 

優花の背後に開いたゲートを通り。極光を放ちながら白竜に騎乗したフリードが出現する。

咄嗟に重力魔法で避ける。

すると幸利からの念話を受け取る。

 

『優花!準備完了だ!横に避けてくれ!』

 

『わかったわ!』

 

幸利の指示通り左に避ける。

すると優花の後ろから超高速で何かが飛んできた。

それはフリードの動体視力では認識することが出来なかったが、優花と同じように左に避けることでその何かに当たることはなかった。

 

「くっ……今のは、一体!?」

 

しかし息つく間もなく第二撃が飛んでくる。

今度は避けることが出来ずに飛んできた何かが腹を突き破る。

 

「ぐあぁぁぁぁぁぁあ!」

 

さらに追い詰めるように何度も何度も飛んでいくる。フリードに避ける力はなく何度も何度も突き抜かれる。

ボロボロになったフリードは後ろで魔力を高める幸利に目を向ける。

 

「はぁ……はぁ……今のは、一体……」

 

「前にお前を貫いた杖だよ。どうやったかは教える気はないがなぁ……!」

 

そしていつのまにか接近していた優花がフリードに触れる。

 

「貴様、いつの間n「壊刻!」なっ、ガハァ!」

 

「幸利が前に着けた傷よ……もう一回味わいなさい!」

 

吐血し癒えた傷が再び開き、大量の出血で一気に意識が朦朧としていくフリード。白竜は自身の主が倒れそうになったことで逃げの選択をする。

すると生き残りの魔人族達が灰竜と共に現れる。

 

「フリード様!ここは我々が足止めをします!貴方様は撤退を!」

 

「お前たち!……くっ、すまん!」

 

フリードは命辛々、幸利と優花から逃げるのだった。

2人は向かってくる魔人族を殲滅し、フリードの後を追おうとしたのだが、既に、空間魔法で転移していなくなっていた。

 

「ちっ……逃したか」

 

「また会った時は絶対倒す……それよりも幸利。一つ聞きたいことがあるんだけど」

 

「おう。多分さっきフリードにやった攻撃だろ?」

 

「ええ。早すぎてアタシの目でも追えなかったし」

 

優花の動体視力は士郎達の中でも一二を争うほどいい。そんな彼女でさえ追えないスピードの攻撃が気になっていた。

 

「あれな、士郎と考えて編み出したやつだ。杖に重力魔法かけて、空間魔法で永遠に落下させ続ける。したら落ちるスピードがバカ早くなったとこで相手に向けて空間魔法で飛ばした」

 

「落下速度であそこまで出るものなの?」

 

「出るみたいだぞ。実戦で使うのは初めてだが」

 

そう言って2人はユエとシアが戦っているところに向かった。

 

─────────────────────────

 

幸利と優花が火山で出会った魔人族の方へ向かい、ユエとシア、ティオに王都に現れた魔物の殲滅を任せ、恵里と雫、香織にリリィと共に王国に戻り護衛を、ボク、ハジメ、ヴェアベルトで先生の救出に向かった。

ヴェアベルトが先生の拘束を解いている間に銀色の翼を持つワルキューレのようなヒトが2体こちらを見ていた。そして急接近し、大剣を振り下ろしてくる。

 

「神の木偶の御出ましのようだね……」

 

「あいつがメルジーネの映像で見た銀髪の……」

 

「私の名前はノイント」

 

「私の名前はフィーアン」

 

「「お前たちイレギュラーはここで主の盤上から不要な駒として排除します」」

 

そう言い、銀羽が魔弾となり襲いかかってくる。

避ければ後ろにいるヴェアベルトと先生に被害を受けてしまうので、熾天覆う七つの円環を展開して防ぐ。

 

「ハジメ分断するぞ!」

 

「ああ!」

 

形だけの巨大な大剣を投影して、ノイントとフィーアンの間に投げる。そのまま干将・莫耶で切りつけに行く。力任せに後ろへとふき飛ばす。

手に持つ剣を見ると少し刃こぼれしていた。干将・莫耶はそう簡単に刃こぼれするような鈍ではない。しかし現に刃こぼれしている理由がわからない。しかし刃こぼれと言うには違和感があった。

 

「分解されたのか…?」

 

「ご名答ですイレギュラー。しかし一人で私と戦うつもりですか」

 

「見てわからないの?」

 

「いえ、後ろにいるイレギュラーもかと。ですがあなた一人であるならば即刻に排除し、残りのイレギュラーも排除します」

 

再び大剣を振り下ろす。

それを背中に吊るしたボクが投影制作できる最強の剣で受け止める。分解されぬよう魔力で保護する。

さらに空間魔法を使い剣を射出するがそれは銀翼によって阻まれる。

 

「ウッソでしょ……」

 

射出した剣はオルクスの魔物を軽く貫き、切り裂くほどの威力を持ってるはずだぞ!?

 

するとノイントの銀羽が集まり一つの魔法陣になる。

 

「『劫火狼』」

 

炎の波が現れこちらに襲いかかってくる。

それをボクは握る剣に魔力を込めて目の前の空間を切り裂き、気圧差の隙間を作る。炎はそこに吸い込まれていき、一つの球体に押し固める。

 

「さぁ爆ぜるのである!って感じかなっ!」

 

ボクはその球体を握りフィーアンに投げつけ、ちょっと離れたところで短剣を投影・射出する。

球体に短剣が刺さった瞬間大爆発が起こる。

 

ドガァァァン!

 

さらに奴は銀羽の魔弾を放つ。それを銃剣干将・莫耶で撃ち落とす。

弓を宝物庫から取り出し、剣を投影し奴に向けて撃つ。しかしそれは大剣で防がれるか弾き落とされる。

 

「『天青凍波』」

 

空気が震え、風が巻き起こる。すると一気に空気が凍りつく。『パキパキ』と音を立ててこちらに向かってくる。

 

「やばっ!」

 

空力と縮地でその場を一瞬で離れる。

自分がいた場所が瞬きする間も無く凍っていた。

 

「あんなの食らったら内部凍結まっしぐらじゃん……ってうぉ!?」

 

大剣が再び振り下ろされる。

 

「ぐぐっ……重っ……」

 

上から振り下ろされた剣に対して抗うことが出来ず、受け止めてゆっくりと下に落ちていく。

くるりと前に一回転し、大剣を流し、そのまま踵落としを繰り出す。

それは当然の如く避けられ、大剣が横に振るわれる。それを弾くように横に回りながら回避する。

大剣を振り切ったフィーアンに向けて干将を振り、切りつけようとするがかわされる。

遠距離戦に持ち込まれるとボクの勝ち目が薄い。

 

「ふっ、はっ、せい!」

 

「諦めが悪いですね」

 

「生憎と、帰りたいんでね」

 

「それは不可能なことです。イレギュラー全てを我々が排除します」

 

「排除、排除うるさいなぁ……」

 

すると突然、神山に響く歌が聞こえてきた。

歌声のする方を見るとランゴバルド率いる聖教教会が祈りながら歌を歌っている光景だった。

 

「ん?……少し倦怠感が……」

 

自分の身体から力が抜けていい感覚に陥る。

 

「まさか、弱体魔法か…?」

 

「イシュタル……自分の役割をよく理解している。良い駒です。しかしイレギュラー、何故あなたは『覇堕の聖歌』の効果が薄いのですか」

 

「さてね……」

 

フィーアンの質問よりもハジメ達の方が心配だ。

ボクには対魔力があるから弱体軽減できているが、ハジメにはそれがない。一応防具に生成魔法で付与しているが、それがどのくらい防げるかはわからない。

 

再び切り合いに入る。

干将・莫耶で何度も受太刀しているが、その間に何度か砕かれている。

このままだと魔力をジリジリと消耗して、負ける。

ひとまず干将・莫耶を投げる。

ん?投げる……一つ勝ち筋が見えてきたかもしれない……

まずはあの剣の内一つを破壊しないと……自分の知るアレ(・・)は一刀の時のしか知らない。

偽・螺旋剣を複数投影する。そしてそれを何度も双大剣に打ちつける。

 

「何をしているのです?」

 

フィーアンはボクの行動が理解できないようだ。

それならば何度も斬り合うだけだ。

何度も斬り合う内に双大剣の片方にヒビが入るのが見えた。

しかしこちらも相手の剣戟に何度も切り付けられ身体中に傷がつく。完全なる形で自動修復し、戦い続ける。だが傷は癒えて体力も回復しても痛みだけが残る。

そしてボクは双剣が交差させた瞬間に勢いよく偽・螺旋剣を突き立てる。

『ギリギャリ』と音を立てて剣を削っていく。10数秒後『バキン!』と音を上げて大剣が砕ける。

 

「なっ!?」

 

更に動揺した隙に空間魔法で開いた空間から鎖を放ち翼を無力化させる。

翼は鎖の拘束を解き放たとうと『ギリギリ』と軋む。

 

「これで準備が整った……」

 

「剣一つ折った程度で何になるというのです!」

 

干将・莫耶を投影する時に、それの記憶、それが使われた後の記憶を読み取る。

脳にノイズが走る。オルクスの最下層の時よりはマシだが、腕が焼け、白い煙が噴き上がる。

 

覚悟を決めろ……天野士郎!投影焼けがなんぼのもんだ!今は目の前の敵を殺すことに集中しろ!

 

奴は何かを感じ取ったのか片手に握る剣を両手で握り直した。

 

「―――鶴翼 欠落ヲ不ラズ(しんぎ むけつにしてばんじゃく)

 

投影した干将・莫耶に力と魔力を込めてフィーアンに投げつける。

 

「そんな同じ攻撃で私が倒せるとでも?」

 

ガキン!

 

奴は当然の如くその投擲を弾く。

 

「───凍結、解除(フリーズ アウト)……」

 

「しつこいです……っ!?」

 

そしてこちらを襲う殺意の塊。それがこちらを殺す直前───

 

「───心技 泰山ニ至リ(ちから やまをぬき)

 

反則のような直感で背後からせまる干将をかわす。その隙に莫耶を叩きつける。

それを再び防ぎ破壊する。

正直言って、後ろからの奇襲と前の全力攻撃、これを防ぐ奴は化け物だ。おまけに莫耶を破壊したことは特に。

だが──

 

「───心技 黄河ヲ渡ル(つるぎ みずをわかつ)

 

こいつ化け物相手だから布石を打った意味はないッ!

 

「またかっ……!?」

 

2度背後から飛来する莫耶。

最初に投擲し、弾かれたやつだ。

ご存知の通り干将・莫耶は夫婦剣。互いを磁石のように引き寄せる性質を持つ。

つまり、今ボクの手に干将がある限り、莫耶は勝手にボク(オレ)の手元に戻ってくる!

 

「くっ………!」

 

神業めいた反応速度で、背後からの奇襲をよけ、無防備になった懐に干将を叩きつけ───

 

バキン!

 

───この一撃をも、奴は打ち砕いた。

だが、それくらいこいつが防げる化け物だと想定していた。

これで倒せればいいという楽観的思考もあった。だが最悪を想定しなければこいつを倒す事なんてできないとも考えていた。

異世界召喚なんて大掛かりなことができる奴の人形、これくらいできる筈だと。

 

時が凍る。1秒もない刹那、互いの状態は無防備。

ボク(オレ)は攻撃の限界、奴は防御の限界。普通ならこの攻防は互い手詰まり。───だが、この手には先がある。

 

「───────────」

 

敵の顔が凍りつく。

 

──唯名 別天ニ納メ(せいめい りきゅうにとどき)

 

「─────、あ」

 

限界を超えろッ!その先へ、勝つ為に!

 

自身の技能(スキル)、変容で筋力、敏捷を上げる。何も持たない手に双剣を、魔力を込めてより凶悪な武器へと。

 

「くた、ばれぇー─────…………!!!!!!」

 

──両雄 共ニ命ヲ別ツ(われら ともにてんをいだかず)……!

 

その無防備になった体に、左右から双剣を振り抜いた。

 

「っ、ぁ─────…………!」

 

奴は背中から落ちる。このまま落ちても奴の強靭肉体にはダメージはないだろう。今の一撃は致命傷ものだ。

だがそれは普通の人間ならだ。

奴は神を名乗る者の人形。致命傷だけでは直ぐに再生してしまう。

ならば今すぐに追いかけて心臓か頭を潰して奴を殺さなければならない。

 

投影、開始(トレース・オン)───これで……終わりだァ!」

 

投影したのはなんの変哲もない槍。だがそれを顔に突き刺す。

 

ズブッ!

 

右眼を貫き、脳天を貫通する。そのまま地上に落ちる。

 

「イレ、ギュラー……」

 

絶命する。

これで奴は完全に死んだ。

 

「はぁ……はぁ……ようやくか……ハジメは……」

 

ボクはハジメの方に向かおうとした時だった。

 

ズドォオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!

 

神山全体を激震させるような爆発音が轟いた。今度は何事かと振り返ったハジメの目に映った光景は……巨大なキノコ雲と轟音を立てながら崩壊していく大聖堂を含む聖教教会そのものだった。

 

「なぁにあれぇ」

 

 

 

 

 




フリードの震天ってとあるで一方通行の「圧縮圧縮、空気を圧縮ゥ!」
ですよね()
まぁあれはプラズマが発生してますが()
幸利がフリードに放った攻撃はプリヤの雪下の誓いでアンジェリカが美遊兄とクロエに向けて放ったやつだと思ってください。
士郎の鶴翼三連はまぁ殆どコピペみたいな物になってしまいました……
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