ありふれない天の鎖の投影魔術師は世界最強   作:小説大工の源三

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前半は前話の細かいところの話になるので、軽く流してもらえれば。
ようやく愛ちゃんとヴェアベルトの関係が進むかも?


教師と竜騎士

 

 

1日目

 

幸利side

 

檜山達の罪状。

あいつらは王国の騎士達を殺した上に、ハイリヒ王国の国宝級アーティファクトを破壊、さらに魔人族を手引きしたという。しかもその証拠がボロボロと見つかり、処刑が決まった。

その時に天之河が必死に抗議していたが、ランデルやリリィ、国の重鎮達がそれを聞き入れることはなかった。

俺としてはランデルがこの一件の始末に関わっていることに驚いていた。

 

(そういえば俺が国の滅びた理由の一つに内側からの裏切りのこと話してたっけな……)

 

国の滅ぶ理由は様々だが、内部崩壊はよくファンタジー物の作品にはよくあることだ。偶に主人公が内部崩壊を引き起こして大勝利を収めるのもあった。

王妃様はというと王国復興の指揮に入っていた。

俺も国の建物の修繕を行なっていたからよく見かけた。

あとはヴェアベルトの正体が魔人族だということ、オルクスにいた魔人族を殺していないことを明かしていた。

天之河が何か言うと思ったが、何も言わなかったのは意外だった。

ただ、疲れた表情をしていたのでおそらく檜山達の件の抗議が理由なのだろう。

疲れたといえばランデルもだった。

まだ10歳の少年王子には大変な仕事だったのか、食事の時間帯にウトウトしていた。

 

「ランデル……眠そうね……目を擦ってるし」

 

「リリィもそうだが、まだ幼い2人が政治に関わるのは凄い反面、幼い2人もやらなければならないという国にも思えちまう」

 

「そうじゃのう……それだけエヒトに縋っていたり、教会の影響が大きいということなのじゃな……」

 

「明日、差し入れになんか料理作るか……」

 

「そうね、それが良いわ。アタシも何かスイーツを作ろうかしら」

 

「妾も竜人族伝来の菓子を作ろうかの」

 

「それじゃあ、食堂のキッチンを借りて差し入れを作らせてもらいましょう」

 

「おう、ランデルに甘い物作ってやるとするか」

 

「ならアタシはリリィに酸味のある物にしようかしら」

 

「妾は重鎮達にするかの」

 

そう言って俺は厨房の料理人達に頼みに足を運んだ。

 

 

 

 

 

優花side

 

 

 

 

 

「ところで優花よ」

 

「なに?」

 

「お主はご主人様のことをどう思っておるのじゃ?」

 

「どうって?」

 

「簡単に言うとご主人様のことを好いとるかということじゃ」

 

「なっ……///」

 

「そうでないのならば妾はご主人様を攻め続けるのじゃ。それではの」

 

そう言ってティオは幸利と同じ方に歩いて行った。

 

「あ、アタシは……あいつのこと……」

 

正直わからない……

アタシはあいつとは良く話すし、この中のメンバーでも1番話している。

あいつと話す時間は楽しいしすぐに時間がすぎる……

 

「もう!わかんない!」

 

アタシはモヤモヤしたまま厨房へと向かった。

 

─────────────────────────

 

2日目

 

ハジメside

 

檜山達の処刑が執り行われた。

僕は実際に見たりした訳ではないのでわからないし興味がなかったけど。

香織を殺そうとしたことは許すつもりもないし、この手で奴らを始末したかったが

国の建物の修繕したり、武器をちょっと作ってあげたら、王国の錬成師達が弟子にしてくれと押しかけて来たのは軽く恐怖を抱いた。

弟子入り志願の決め手の理由は神代アーティファクトの結界を直したからだ。

香織とユエがお仕置き(どんなものかは知らない)とリリィが事態の収拾をつけたので追われることはなくなったけど。

 

あれは本当に気味が悪かった……血走った目で息を荒げたり隠れてるのに見つけてくる。

迷宮の魔物より怖い……

しかも鈴達のアーティファクトのことも聞かれそうになったし……

 

その日の夜はまぁ、香織とユエの2人に甘えて眠りについた(いつもだけど)。

雫とシアが少し寂しそうにしていたのが錬成師達の次に印象に残っていた。

士郎には恵里の魔改造に集中してて会えないからだろう。

いつ終わるのか僕もわからないので、今は待つしかできない。

上手くいくといいけど……

 

「ハジメくん?」

 

「なんだい香織?」

 

「ずっと窓の外見てるから何かあるのかなって……」

 

どうやら、不安が見抜かれていたみたいだ。

 

「士郎達が気になってね……」

 

「パワーアップ、どうなるかな……」

 

「気長に待つしかないよ……それにリリィ達も心配だ」

 

「……たしかにまだ私達とは3つしか離れてないのに国の為に動いてるなんて凄く大変だよ」

 

「厨房借りて何か差し入れ作る?」

 

「優花ちゃん達に教えて貰おっか」

 

「2人なら何かしらいい料理知ってるはずだね。何作るか考えよう」

 

「そうだね。ねぇハジメくん」

 

「どうしたの?」

 

「ううん、やっぱりなんでもない」

 

「そっかぁ……何かあったらすぐに言ってよ?」

 

「ふふ……そうするよおやすみハジメくん」

 

「うん、おやすみ香織」

 

 

─────────────────────────

 

3日目

 

ヴェアベルトside

 

士郎殿達の同郷の男達の処刑が昨日に行われた。

彼らのは遺体は罪人の埋蔵する所に埋蔵しようとしていたのだが、畑山殿がお願いして一般人などが属する場所に墓を作ってもらい、祈りを捧げていた。

 

「畑山殿……」

 

「……ヴェアベルトさん。その花束は?」

 

「この国の騎士達にだ」

 

「騎士の皆さんにですか……」

 

「顔は知らぬが、話を聞くに、魔物の侵攻などから民を庇い、最前線で戦った者達なのだからな。同じような立場の私も敬意を表して、花束を贈りに来させてもらった。最初は止められたがな……」

 

肩をすくめながら花束を騎士達の石碑の前に置く。

 

「そうなんですね……」

 

目の前の彼女は暗い表情だ。

自身の教え子が国にを裏切り、その結果、国に殺されてしまったのだから当然だが、それだけではないだろう。

私は魔人族の祈りを心の中で捧げた。

 

(ブレンイン・ウォリアトズ・ピスフレイル・スリーン)

 

この祈りの意味は『勇敢なる戦士達よ安らかに眠れ』と簡単な祈りだ。

 

「私は何一つ護れていないんです……この世界に召喚された唯一の大人なのに、生徒たちを安心させるどころか、不安にさせてしまって、護るべき生徒に護られて自分は安全な仕事しかさせてもらえない。終いには生徒に助けられて足を引っ張る始末……教師は生徒に道を示して、護らなければならないのに……それに護ると言いたいのに私は……先日のあの出来事を思い出して、身体の震えと、悪夢を見てしまって……駄目ですね私……自分やったことなのに、被害者みたいな言葉を喋って……」

 

小さい身体を自分で抱きしめている。

士郎殿から聞いた『セルフハグ』なるものなのだろう。

それだけ追い詰められていることが一目でわかってしまう。

 

こんな時はどうしたら良いのだ……

私は軍人、民の為に戦えど、人の心を癒す方法なぞ知らない。そんな私でもできることはあるのだろうか。

 

そんな時、幼い頃、既に亡き祖母が泣きじゃくる自分を抱きしめてくれたことを思い出し、それを実行することにした。

 

「ふぇっ!?……ヴェアベルトさん?何を!?」

 

「畑山殿……今ここには私達しかいない……溜め込んでいる物を存分に吐き出すといい」

 

「でも私は……」

 

「大人だからと言って泣くことが駄目なわけではないだろう?私が受け止める。だから気にするな……」

 

彼女は声こそ大きくはないが、声を上げて泣いた。

総本山で教会の連中の爆殺の手助けをしたのにも関わらず、誰も責めなかったこと、無意識の内にそのことの罰を求めていること。

私は彼女に罰を与えることはできない。

だから私は……

 

「私は…!私は…!」

 

「貴女は良くやった……もう自分自身を追い詰める必要はない……それでもダメならば士郎殿達……これからも彼等の教師であってほしい……。彼等は奈落の底で生きるために不必要な物を切り捨ててきた……それこそ、人の生命を奪うことすら、躊躇わなくなった……そんな貴女だからこそ、彼等の失ってしまった物を持ち続けてくれ……私にはできないことだから……耐えきれない時は呼んでほしい。いくらでも話を聞こう

 

「……ヴェアベルトさん。なんで貴方はそこまで私によくしてくれるんですか?士郎君達の教師であるのは理由としては薄いですし……それに私を初めて助けていただいた時に寂しそうな顔で私を見ていたのも気になって……」

 

「っ……」

 

まさかあの時、そんな顔していたのか……

 

「そうだな……貴女に似て責任を背負いがちな後輩がいてな……責任を背負いすぎて過労死してしまった……そんな彼女に貴女が似ていて放っておけなかったのさ……」

 

あのことは私の責任だ。彼女が責任を背負いすぎていて私も期待しすぎていた。

そのせいで彼女が死んでしまった……

そんな後輩に似た彼女が潰れて欲しくなかっただけだ。

 

「……わかりました。……ヴェアベルトさん、今日はありがとうございました」

 

「少しでも心が楽になったのならばよかった」

 

「その……私のこと……できればでいいので名前で呼んでくれませんか?」

 

「……わかった。愛子殿」

 

「……少し照れちゃいますね」

 

「そうか……それでは私はこのまま士郎殿の所に戻る」

 

「わかりました。貴方も気をつけてくださいね」

 

「ああ…」

 

そう言って私は士郎殿の手伝いに戻った。

 

 

 




ヴェアベルトさんの祈りに関しては適当感が……
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