ありふれない天の鎖の投影魔術師は世界最強   作:小説大工の源三

73 / 125
帝都

ヘルシャー帝国に初めて訪れたが、なんというか、雑多だった。

召喚された場所がハイリヒでよかったと思うくらいには、あまり好ましい雰囲気ではなかった。

オマケにナンパしてくる連中は何度もぶっ飛ばしても後を絶たない。

まぁここには美少女が勢揃いだから致し方ないが。

 

「うぅ、話には聞いていましたが……帝国はやっぱり嫌なところですぅ」

 

「まぁ、軍事国家じゃからなぁ。軍備が充実しているどころか、住民でさえ、その多くが戦闘者なんじゃ。この程度の粗野な雰囲気は当たり前と言えば当たり前じゃろ。妾も住みたいとは全く思わんがの」

 

どうやら、シア達も帝国がお気に召さなかったようだ。

 

「っ………」

 

「シア、あまり目に入れない方がいい」

 

「はい……そうですね……」

 

シアの目に入ってしまうそれは亜人族の奴隷達だ。使えるものは何でも使う主義の帝国は奴隷売買が非常に盛んらしく、今も、シアが視線を向けている先には値札付きの檻に入れられた亜人族の子供達がおり、シアの表情を曇らせている。

ボクも使えるものはなんでも使う主義だがこういうのを見るのは自分としてもいい気分ではない。

 

「許せないな、同じ人なのに……」

 

「それはそうだが、今動いても意味がねぇからな……」

 

天之河は見慣れない光景にギリっと歯噛みする。放って置けば、そのまま突撃でもしそうだ。

坂上くんも居心地悪そうにしているが、落ち着いていた。特に脳筋だった彼がここまで変わっているとは思っていなかった。

 

「そういえばエリリン、皇帝陛下に求婚されてたよね」

 

「ああ〜……そんなこともあったねぇ……」

 

鈴からまさかのカミングアウトだった。

恵里が求婚されていたとは思いもしなかった。たしかに恵里はかわいいし、要領いいし、かわいいし、かわいいし。そういう輩が現れるのは不思議じゃないが……

 

「明言してないとはいえ、恵里を狙うなんてねぇ……どうしよっかなぁ……」

 

「うわぁ……士郎、すごい悪い顔してるよ……」

 

「完全に悪役の面してんぞ……」

 

「失礼だなぁ……2人とも」

 

ボクは恵里に湧く虫を駆逐しようとしてるだけだよ?

 

「そんなことより天野先輩。今どこに向かってるんですか?」

 

「冒険者ギルド。情報収集と言ったらそこでしょ?」

 

まぁファンタジー的にこれが定番だ。

 

「やっぱり父様達は捕まってしまったのでしょうか……」

 

「連絡が取れないということはそういうことなのかしら……」

 

「……若しくは潜入したけど、高い警備レベルで出られなくなったかのどっちか」

 

ユエの言う通り、帝国の警備レベルは高い。

厳戒態勢とまではいかないが厳重な警備だ。ここまでだとパル達も侵入に難儀するのも納得だ。

再び暗い顔になるシアの頬をムニムニする。恵里も雫も彼女の頭を撫でたりウサミミをモフモフしている。

 

「シア、捕まっているなら取り返すだけだよ。帝国を潰してでもやるさ」

 

「勿論僕達も協力するよ」

 

「みなさん……」

 

「待って潰しちゃうの?ねぇ?まじなのそれ!?」

 

「諦めろ鈴……先輩はやると言ったらやる人だ……」

 

「諦めた!?龍太郎くん!?諦めちゃうの!?」

 

─────────────────────────

 

天之河が暴力を受けそうになっている亜人族を助けようと駆け出しそうになったが、ハジメが義手に仕込んだ針で帝国兵を気絶させた。

 

「天之河くん……自分の正義感を貫きたいなら僕達のいないところでやってくれる?」

 

「今のは南雲が……?迷惑だと?助けるのが悪いのか?」

 

「今僕達が帝国にいるのはシアの家族を助けにきただけ。目的の副産物として助けられるならいいけど、無理なら手を出すつもりはないんだ」

 

「ならあの亜人族を見て何も思わないのか!今こうしてる時も苦しんでいるんだぞ!」

 

「じゃあ今彼を助けたらどうなるのさ?今助かっても後々苛立ちをぶつけられるだけだよ」

 

「なら、そうしないようらに説得をすれば……」

 

「あのな天之河、説得でやめるようなら亜人族は奴隷になんかなってないんだよ」

 

「だったら見捨てるのか!力ならあるだろう!」

 

「ハジメが言ってたが、目的を履き違えるなよ……それに帝国の法律に逆らえば犯罪にだってなる」

 

「今、問題起こせば計画がオシャカになるからやめてよ……」

 

ボクはそう釘を刺してギルドに入る。それと同時に女性陣に視線が集まるので威圧しながらカウンターに向かう。

気怠げな受付嬢にとりあえず質問する。

 

「ここ最近で帝都内で騒動を起こした亜人がいたりしなかった?」

 

「……そういうのはあっちで聞いて」

 

受付嬢の視線の先にはロマンスグレーの初老の男が、グラスを磨いていた。

 

「マスター、情報が欲しい。ここ最近で帝都内で騒動を起こした亜人がいたりしなかった?」

 

「ここは酒場だ。ガキが遠足に来る場所じゃない。酒も飲まない奴を相手にする気もない。さっさと出て行け」

 

「そうだね……ならこの店で一番キツくて質の悪い酒をボトルで頼むよ」

 

「……吐いたら叩き出すぞ」

 

マスターは特に断るでもなく背後の棚から一升瓶を取り出しカウンターにゴトリと置く。

ボクはそれの蓋を指先で撫でるように切断する。

指先一つで仕留めてやる。

ルルブレじゃないけどね。

 

「お兄ちゃん……それ飲むつもり?やめた方がいいよ……」

 

「エリリンの言う通りだよオニーサン……もう臭いだけで吐きそうだよ」

 

「飲むならもっといいお酒にしましょう?」

 

「雫さんの言う通りですよ……士郎さん、どうしてわざわざそんなものを……」

 

「味わうつもりもないからね……良い酒をガブガブ飲むのはお酒に対して冒涜さ」

 

そう言って一気に飲み干し、空になったボトルを『ガン!』とカウンターに叩きつけた。そしてドヤ顔をする。

 

「……わかった、わかった。お前さんは客だ」

 

「で、さっきの質問の情報はあるかな?勿論、それ相応の対価は支払うよ」

 

「対価はさっきの酒代で構わん。……聞きたいのは兎人族のことか?」

 

「!……そうだね。詳しく」

 

数日前に大捕物があったそうで、その時、兎人族でありながら帝国兵を蹴散らし逃亡を図ったとんでもない集団がいたのだとか、しかし、流石に十数人で百人以上の帝国兵に帝都内で完全包囲されてしまっては逃げ切ることはやはり出来ず、全員捕まり城に連行されたそうだ。

 

「なるほど……城にか……」

 

チラリとシアの顔を見たが、やはり彼女の表情は曇っていた。

連行されたということは利用価値があるということだ。

 

「マスター。言い値を払うと言ったら、帝城の情報、どこまで話せる?」

 

「!……冗談でしていい質問じゃないが……その様子を見る限り冗談というわけじゃなさそうだな……警邏隊の第四隊にネディルという男がいる。元牢番だ」

 

「ネディルか……わかった、訪ねてみるよ。世話になった、マスター」

 

しかしあっさり教えてくれたな……教えても無理だと思ったからか?

 

「士郎さんさっき元牢番の人を紹介してもらったのは、もしかして……」

 

「うん。詳しい場所を聞いて、今晩にでも侵入するつもり。今からボクとユエとヴェアベルトで情報を仕入れてくるから、みんなはご飯でも食べてて」

 

「何するつもりなのお兄ちゃん……」

 

「まぁあまり公に言えないからなぁ……」

 

─────────────────────────

 

数時間して宿屋に戻る。

 

「ただいま」

 

「ん、戻った」

 

「あっさりだったな」

 

「そりゃあんなことすれば心折れるよ」

 

「おかえりだ。で、何したんだよ」

 

エプロン姿の幸利が出迎えてくれた。

 

「幸利、まぁ男の激痛の繰り返しだよ。この香りは……オムライスかな?」

 

「ヒェッ……なんてことしてんだよって思ったが前にもやってたなユエのやつ……料理は正解だ。調理方法は某赤い弓兵だ。食うか?」

 

「いる」

 

〜少年たち食事中〜

 

「ふぅ……ご馳走様」

 

「幸利殿の料理は天下一品だな……」

 

「ん……米の色が私の故郷の料理を思い出すけど、すごい美味しい」

 

「お前ら大袈裟だ……」

 

そう言う幸利は頬を掻きながら赤く染めていた。

 

「ホント手際が良すぎてアタシ見てるだけだったわ」

 

「それで父様達の情報はどうだったんですか?」

 

「天野先輩、今更ですけどシアさんの家族が帝城に捕まっているんなら、普通に返してくれって頼めばいいんじゃないんですか?今ならリリィもいるはずだし……」

 

「で、対価は?」

 

「え?」

 

「対価だよ。カム達は不法入国している上、帝国兵を殺したんだ。しかも、兎人族でありながら包囲されて尚、帝国側にダメージを与えられるという異質な存在。それを、まさか頼んだからって無償で引き渡してくれると思うのか?」

 

「それは……」

 

「当然相当な対価を要求するさ。それにリリィの交渉にだって影響が出る可能性だってある」

 

天之河はそれでも何かしたそうに拳を握った。

しょうがない……少しでも成功率を上げる為に仕事を与えよう。パッと思いついたものだけどないよりはマシだ。

 

「とりあえず作戦実行のために少し編成を考えた。まず救出組はボク、恵里、雫、シア、ユエ、ハジメ、香織。残りは揺動してくれ」

 

「ざっくりしすぎじゃねぇか?」

 

「これくらいでいいんだよ。とりあえず、幸利達は帝国に襲撃する役。天之河達はそれを倒す役だ。別に倒さなくていいから。適当に派手な攻撃して爆破するくらいの火力でいいよ。用は演出さえ派手にすれば問題ないから」

 

「つまりショーをすればいいんだな先輩!」

 

「簡単に言えばそうなるね。作戦実行は深夜だ。それまで自由行動」

 

─────────────────────────

 

深夜。

 

ボク達は帝城の前にいる。

幸利達が陽動で帝国兵の大半を引きつけている間に侵入してカム達を助ける。

 

『こちら士郎。帝城前についたどうぞ』

 

『こちら幸利。準備OKだ。ティオに幻覚魔法をかけて別の化け物に見せて、メルリアンが巨大化して、爆破したら合図だ』

 

『了解。手筈通り頼むよ』

 

『まかせろ』

 

そうして大きな爆破が起きる。

それと同時に侵入。地下牢へと向かう。

中は所々トラップの魔法陣が設置され、しかも効果も悪趣味な物からただ捕らえるだけのものなど色々あったが、全部、破戒すべき全ての符で解除しているのでなんの障害にもならない。

巡回している兵士は恵里の闇魔法や魂魄魔法で意識を奪う。

牢屋の中は異臭が立ち込めていて明らかに清潔とは程遠い場所だ。

ようやくハウリア達がいる牢屋の前に着く。

そこからは余裕有りげな話し声が聞こえた。

 

「おい、今日は何本逝った?」

 

「指全部と、アバラが二本だな……お前は?」

 

「へへっ、俺の勝ちだな。指全部とアバラ三本だぜ?」

 

「はっ、その程度か?俺はアバラ七本と頬骨……それにウサミミを片方だ」

 

「マジかよっ?お前一体何言ったんだ?あいつ等俺達が使えるかもってんでウサミミには手を出さなかったのに……」

 

「な~に、いつものように、背後にいる者は誰だ?なんて、見当違いの質問を延々と繰り返しやがるからさ。……言ってやったんだよ。「お前の母親だ。俺は息子の様子を見に来ただけの新しい親父だぞ?」ってな」

 

「うわぁ~、そりゃあキレるわ……」

 

「でも、あいつら、ウサミミ落とすなって、たぶん命令受けてるだろ?それに背いたってことは……」

 

「ああ、確実に処分が下るな。ケケケざまぁ~ねぇぜ!」

 

覚悟は決まってるな……

 

「今頃は、族長も盛大に煽ってんだろうな……」

 

「そうだな。……なぁ、せっかくだし族長の怪我の具合で勝負しねぇか?」

 

「お?いいねぇ。じゃあ、俺はウサミミ全損で」

 

「いや、お前、大穴すぎるだろ?」

 

「いや、最近の族長、ますます言動が教官に似てきたからなぁ。……特に新兵の訓練している時とか……」

 

「ああ、まるで教官が乗り移ったみたいだよな。あんな罵詈雑言を浴びせられたら……有り得るな……」

 

「まぁ、教官や団長達ならそもそも捕まらねぇし、捕まっても今度は内部から何もかも破壊して普通に出てきそうだけどな!」

 

「むしろ、帝都涙目って感じだろ?きっと、地図から消えるぜ」

 

「団長達は容赦ないからな!」

 

「むしろ鬼だからな!」

 

「いや、悪魔だろ?」

 

「なら、魔王の方が似合う」

 

「おいおい、それじゃあ魔人族の魔王と同列みたいじゃないか。団長や教官に比べたら、あちらさんの魔王なんて虫だよ。虫」

 

「なら……悪魔的で神懸かってるってことで魔神とか?」

 

「「「「「「「「「それだ!」」」」」」」」」

 

随分と余裕そうだな……なんか、心配が空振りした気分だ……

 

とりあえずはとっとと助けないといけないので、空間魔法を使って、扉を使わず侵入する。

 

「さっきから言いたい放題だね君ら」

 

「「「「「「「「「え……?だ、団長!?」」」」」」」」」

 

「……意外に元気?」

 

「見た目、かなり酷いんですが……心配して損した気分になりました……」

 

こっちはもうハウリア達に呆れ果てている。

 

「丈夫になったねぇ……」

 

「は、はは……そりゃ団長や教官に鍛えられましたからね」

 

「拷問なんて屁でもないですよ……」

 

「むしろお遊戯かと思ったぜ……」

 

ゲフッゲフゥと血を吐きながら、なお軽口を叩くハウリア達とその言葉に、両隣の恵里とシアから何とも言えない眼差しが、ボクと雫に向けられる。

 

「久しぶりの再会のところ悪いけど、さっさとここ出るよ」

 

「「「「「「「「「ありがとうございます!」」」」」」」」」

 

「うん。シアの為だからね。気にしないでいいよ。それとカムの場所は?」

 

さっきハウリア達が話していた内容から察するにカムはここにいないのは明白だ。

 

「それなら……」

 

やはり今の時間は拷問を受けているようで詳しい部屋の位置も教えてくれた。

先に彼らを逃してからカムの救出に向かう。

ボクの命令にゾクゾクしてたのは気のせいだと信じよう。

ハジメのゲートキーでパル達がいるところに繋げて移動させる。

サクッと見張りを倒して扉の前に着くと、部屋の中から怒声が聞こえてきた。

しかも聞き覚えのある声だ。

 

「生ぬるい拳だな!帝国兵も所詮こんなもんか!腰は入ってないわ、骨の一つも砕けてないぞ!だから貴様らは雑魚なんだ!」

 

「なんでテメェにそんな事言われなきゃいけねぇんだ!」

 

「この程度なら子猫の方がマシだ!何から何まで甘いわ!」

 

「ふざけんな!」

 

「おいよせ!そんなことしたらそいつが死んじまうぞ!」

 

「ハン、そっちのお前も雑魚か!そんなだから我々が屈服しないんだ!殺意の一つでも出してみろ!」

 

「なんだよぉ!こいつ、ホントに何なんだよぉ!こんなの兎人族じゃねぇだろぉ!誰か尋問代われよぉ!」

 

「もう嫌だぁ!こいつ等と話してると頭がおかしくなっちまうよぉ!」

 

……なんで帝国兵側がやられてんの?

 

「ねぇ、助ける必要ある?」

 

「……かえる?」

 

「……いえ、すみませんが一応、助けてあげて下さい。自力では出てこられないと思うので……」

 

シアが在りし日の優しい父親を思い、遠い目をしながらハジメに頼む。実際、威勢はよくてもカムが自力で脱出できる可能性はないので助ける必要はあるのだろうけど。

 

「ふん、口ほどにもないっ。この深淵蠢動の闇狩鬼、カームバンティス・エルファライト・ローデリア・ハウリアの相手をするには、まだ早かったようだな!」

 

なんかとんでもないのが聞こえてきたんだけど。

 

「だから、わけわかんねぇよ!くそっ、もう嫌だ!こんな狂人がいる場所にこれ以上いられるかっ!俺は家に帰るぞ!」

 

「待て、ヨハン!仕事だぞ!っていうか、何かそのセリフ、不吉だから止めろよ!」

 

ドタドタと扉から出てきた帝国兵を一瞬で気絶させて中に入る。

 

「まさか……団長ですか?」

 

「そうだよ……ホント逞しくなっちゃってさぁ……」

 

「いや、せっかくの再会に無様を晒しました。しかも帝国のクソ野郎共を罵るのに忙しくて、気配にも気づかないとは……いや、お恥ずかしい」

 

「……父様、既にそういう問題じゃないと思います。直ぐにでも治療院に行くべきです。もちろん、頭の治療の為に……ていうか、その怪我で何でピンピンしているんですか」

 

「気合だが?」

 

「……他の連中はもう逃したから、カムも行くよ。装備も取られてるだろうけど後でまた新しいのあげるから」

 

「新装備を頂けるので?そいつぁ、テンションが上がりますな、ククク」

 

─────────────────────────

 

幸利side

 

士郎達が帝城に侵入している間、俺達は姿を変えて陽動を起こしている。

ティオが竜化、メルリアンが巨大化して軽くブレスを吐き軽く小火を起こす。

帝国兵がドンドン集まってくる。魔法やら弓矢やらが飛来してきたり、近くに寄り、剣などを振るってくる。

 

『ご主人様よ』

 

「どうした」

 

『物足りないのじゃ』

 

「知るか」

 

このドMはあまりにも弱い攻撃に不満な声を漏らす。

 

『これが終わったらお仕置きを御所望するのじゃ』

 

「後でぶっ叩いてやるよ」

 

もうこのドM竜には諦めを最近感じている。

俺が原因だから責任は取るつもりだ……

それでも俺に好感を持ってくれているのは嬉しいが、どうしたもんか。

 

『期待して良いのじゃな?』

 

「ああ……」

 

『なら、今度の夜、叩くのではなく妾と寝て欲しいのじゃ』

 

「へ?」

 

まさかの返しに俺は間の抜けた声を漏らす。

 

『その……なんじゃ……妾もユエ達が羨ましいのじゃ……』

 

「……それは少しまってくてれ……俺の方が問題あるから」

 

『わかったのじゃ……』

 

因みにだがこの会話の間も帝国兵は攻撃してきている。

こちらが余りにも強すぎるが故にダメージが殆どないのと、優花とヴェアベルト、メルリアンが相手しているので、攻撃がこちらに来ないのもある。

そうこうしている間に、目的の天之河達が派手な演出で現れる。

 

「そこまでだ!今度は俺達が相手になる!」

 

そう言って天之河は天翔閃を放つ。

ティオに乗っているが軽く衝撃が伝わる。

 

『勇者と呼ばれるだけはあるのじゃな。ちょっと効いたのじゃ』

 

「まぁ士郎が竜特効乗せたからな聖剣に」

 

『む?士郎は勇者の事を嫌っていおらんかったか?』

 

「すぐやられて足引っ張るよりかはマシだろ」

 

『なるほど……』

 

「オラァ!」

 

坂上が拳で殴りかかってくる。

ティオはそれを前足で受け止め、吹き飛ばす。

しかし空中でクルクルと回り、壁に着地して再び飛びかかる。それを俺は暗黒弾で撃ち落とそうとするが、拳に弾かれる。

 

「へぇ……やるじゃねぇか……ティオ、火炎ブレス頼む」

 

『承知したのじゃ』

 

ティオが息を吸い込むと猛烈な熱気の火炎が吐き出されるが、余り広がらなかった。

 

「『聖絶・集』!」

 

どうやらティオの口元に鈴の結界が貼られていて、ブレスが広がらなかったようだ。

 

「はぁぁぁあ!」

 

さらに天之河の剣技がティオを襲う。

しかしティオの強固な鱗に阻まれ、まともに切ることは出来ていない。

坂上の拳も受け止められる。

結界が突然俺に向かって飛んできた。

 

「うおっ!?」

 

仰反るように避けるとそして背後から殺気を感じ即座に杖を取り出して防御する。

受け止めながら弾こうとしたのだが直ぐに離脱される。

さらに炎と氷の飛ぶ斬撃が襲いかかる。

杖で弾くのだが良い音が鳴る。

一度間合いを取ろうとティオに尻尾での回転攻撃を指示する。

 

あいつら連携は取れてるな……

 

すると念話が飛んできた。

 

『こちら士郎。救出完了した。離脱して』

 

『了解。合図の技撃つから先に宿屋戻っててくれ』

 

『了解』

 

俺は天之河達と決めていた合図の魔法を放つ。

そうして天之河が神威を放ち爆風で姿が見えなくなった所で一気に離脱。宿屋で士郎達と合流した。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。