ありふれない天の鎖の投影魔術師は世界最強 作:小説大工の源三
あれから何層も降っていき、ついにボク達は二十層まで来た。
ここに至るまでにハジメの地形錬成が猛威を振るい、王国騎士団は錬成師の有能性を考えるようになった。おまけに新たに追加された派生技能、[+肉体錬成]で魔物の金属成分を利用して倒していたのだ。前まで散々無能無能言っていた生徒達はハジメのことを少しずつ認めていった。はっきりとそれが表立っていたのが坂上だった。
ハジメの錬成技に驚きその後「なんだよ南雲、お前やっぱりすごい奴だったんだな!」と肩をバシバシ叩きながら笑う。
それでも檜山集団などハジメを認めようとしない連中もいる。
そんな嫉妬するくらいなら努力したらどうなのだと思うし、視線だけで訴えるとかみみっちいと思う。
ボクの技能も着々と解放されていく。つい先ほど解放されたのは『完全なる形』というもので、自動発動型の再生スキルなのだろう。傷がすぐに回復していく。
そしてメルド団長が止まる。
「よし、お前達。此処から先は一種類の魔物との戦闘だけじゃない、複数種類の魔物が混在したり、連携を組んで襲い掛かったりして来る。今までが楽勝だからと言ってくれぐれも油断するなよ!今日はこの二十階層で訓練して終了だ!」
改めて気を引き締める一行なのだが、それでも先程までの余裕ムードのせいで気がすぐに緩む。その上なんの滞りなく進む。するとメルド団長が足を再び止める。
「擬態しているぞ!周囲を良く注意しろ!」
せり出していた壁が変色しながら動き出す。起き上がった身体は褐色に変化して2本の足で立ち上がりゴリラのドラミングするかのように胸を叩き出した。
「ロックマウントだ!2本の腕に注意しろ!剛腕だぞ!」
ロックマウントの剛腕が振り下ろされるが坂上がそれを弾き飛ばし隙だらけになる。天之河が背後に回ろうとするものの、地形が邪魔して中々思うように動くことが出来ない。
ごり押しが不可能と悟ったのか、ロックマウントは後ろに下がり息を大きく吸い込み、雄叫びを上げる。
『グガァァァァァァァァァァア!』
「ぐっ!」
「うぐっ!」
部屋全体が振動する咆哮に天之河達の動きが止まる。
その隙を突いて突撃するかと思いきや、横にある大岩を後衛の魔法使い組に投げる。しかも投げてきたのは別のロックマウントだったのだ。
迎撃しようと魔法を唱えようとしたのだが、
「「ヒィッ!?」」
飛び込むフォームがル○ンダイブ。おまけに目を血走らせ鼻息を荒くしているのも相まって気持ち悪さが倍増。男でも怯んでしまう。
「こらこら、戦闘中だぞ何している!」
そのロックマウントはメルド団長によって切り捨てられる。
魔法使い組は「す、すいません!」と謝る。
そこまではよかったのだが、気色悪さに顔色を青くしている女子陣を何を勘違いしたのか、死への恐怖だと思いこみ、団長の制止も無視して広範囲技でロックマウントを倒す。そして「大丈夫だよ!(キラッ)」と言うのだが、後ろからツカツカと歩いてくる団長におもいっきり拳骨を食らう。
「へぶぅ!?」
「この馬鹿者が!こんな狭いところで使う技じゃないだろうが!崩落でもして、生き埋めにでもなったらどうするつもりだ!」
ご尤もな叱りを受ける天之河。
毎度のこと思うが、彼は目の前の問題しか対応しない癖がある。その後のことを考えないで、目先の問題ばかり解決してその後の事をほっぽり出す。恵里が彼に助けられていたらと思うとゾッとする。自分の方法が最適解とは言わないが、相当やばい状態になっていたかもしれないと思うと、ボクは無意識のうちに恵里を抱きしめていた。
「お兄ちゃん?」
「ああ、ごめん」
「何かあったの?」
「なんでもないよ」
ふと、香織が崩れた壁を見る。
「……あれ、何かな?キラキラしてる……」
その言葉に、全員が香織の指先の方角を見る。
そこには青白く発光する鉱石が壁から生えていた。女性陣はその美しい光に見惚れていた。
「ほぉ〜、あれはグランツ鉱石だな。大きさも中々だ。珍しい」
団長はグランツ鉱石についての説明をする。
なんでも宝石ランキングのトップスリーに入るほどレア物らしい。
口には出さないが、投影してしまえば元も子もないのだが。
「素敵……」
そのまま香織は頬を染めながらさらにうっとりする。
さしずめハジメに結婚のプロポーズをされる未来でも想像しているのだろう。
近くにいる恵里達もうっとりしていた。
正直に言うとボクも結構見惚れていた。がめつい訳ではないけれど綺麗な物は好きだ。
「だったら俺達で回収しようぜ!」
何を思ったか、今までトラップもなかったので調子づいた檜山が壁を登る。
団長の制止も聞こえないふりをしてだ。
すると騎士の1人が顔を青褪めさせる。
「団長!トラップです!」
その警告も遅く、檜山がグランツ鉱石に触れる。その瞬間、鉱石を中心に魔法陣が広がる。グランツ鉱石の輝きに魅せられた愚か者への罰とでも言うのだろう。
檜山は俗に言う『ドラク○IIIのピラミッドで不用意に宝箱を開けて、人食い箱に食い殺される初心者』その者だった。
魔法陣からものすごい光が溢れる。当然ボク達はその光に巻き込まれる。団長の指示もあったのだが全てが遅すぎたのだった。
謎の浮遊感に包まれる。そして光が収まると同時に地面に叩きつけられる。
先の魔法陣は転移させるものだったらしい。
おのれ檜山、絶対に許さん。
転移した場所は、石造の橋の上だった。おそらく百メートルはありそうだ。天井も高い。
するとメルド団長が声を上げる。
「お前達、直ぐ階段の所まで走れ!急ぐんだ!」
その声に驚きつつもわたわたと動く生徒達。
しかし第二のトラップか発動し、階段側の魔法陣から大量の魔物が現れる。更に通路側からも先の魔法陣よりも巨大な魔法陣が出現する。そこから巨大な魔物が現れ、メルド団長のうめくような声が聞こえて来た。
──まさか……ベヒモス……なのか……
今の士郎くん
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天野士郎 17歳 男 レベル:12
天職:■の■/投影魔術師
筋力:220×α
体力:230×α
耐性:180×α
敏捷:210×α
魔力:115×α
魔耐:90×α
技能:対魔力・■■・投影/解析魔術[+複製投影]・憑依継承[+■■■■][+様物]・民の叡智・魔力操作・狙撃・■■■■・鷹の目[+■の■]・完成なる形・心眼・強化魔術[+永続強化]・気配感知・言語理解
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第一話の内容を少し変更しました