ありふれない天の鎖の投影魔術師は世界最強 作:小説大工の源三
いつのまにかギル様とドゥにスキル強化が……
ひとまず年内に投稿できてよかった…
何やってんだよ俺……
士郎side
「うーん、見渡す限り、雲海。このまま飛び込んでモフモフしたくなる気分」
「触ろうとしても触れないのがもどかしいよホント」
「ヴェアベルトからも聞いたが、常に曇天だと空からだと全くわかんねぇなこれ…」
「雲がなくても一面雪景色で余計わからなかったわね……」
「羅針盤がなかったら、見つからなくて彷徨うところでしたねぇ……」
ヴェアベルトから聞いた情報通り一面真っ白で鈴が一度、風林火山で吹き飛ばしたのだが地上も雪で覆われており、全くわからなかった。
渓谷にあるのでそれを探しているが、中々見つからない。
羅針盤を頼りに一行は空を進んでいく。
それの効力は全員が信用している。なんせ説明をすることはできないが、地球の場所を感じ取ることができたのだから。
「ヴェアベルトが持っていた紙もこれに似たような物なのかもね……」
「確か……仲間の居場所に戻ろうとするから場所がわかるんだっけ」
ヴェアベルトがオルクス迷宮でカトレアに渡した魂の紙の効果を思い出す。
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魂の紙
大元の紙に戻ろうとする性質を持つ。
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たったこれだけの能力で仲間を引き合わせることができる。
ヴェアベルトの部下に降霊術の得意な者がいたのでできたらしい。
そうこうしている内に目的地着いたのか、ハジメがフェルニルを止め、高度を下げていく。
数分で地面にたどり着く。
「ここからは徒歩だね」
外を見れば吹雪が猛烈に荒れ狂い、フェルニルの表面を凍らし、視界を塞いでいく。
「それじゃあ防寒アーティファクト配るよ」
そう言ってボクは首から下げるお守りのような物を配る。全員に行き渡ったのを確認すると外に出る。
フェルニルは宝物庫にしまう。
防寒アーティファクトを使っても寒さを感じることに恐ろしさを覚える。
全員が寒さに凍える中──
「わぁ、これが雪ですかぁ……シャクシャクしてるですぅ!ふわっふわですぅ!」
そんな中、一人テンションだだ上がりのシア。フードを被ることもなく、それどころか前もきちんと閉めずに全身で吹雪を受け止めると、足を踏み鳴らしたり、手で掬ったりしながら存分に人生初の雪を楽しんでいる。
「シア、あまりはしゃいだら……「これはもう、ダイブするしかないですよぉ!」ちょっと!?」
そう言って雪がこんもり積もった所にダイブするシア。
ボク達は雪から現れるシアを見ることはなかった。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜〜」
そのままクレバスに呑み込まれていったのだ。
「あいつ……」
幸利は呆れ果てた声を漏らす。
「ひぃいいい、シアシア〜〜〜〜!」
「まったく落ち着きがないんだから……」
そう言いながら雫が飛び降りる。
「なんて言うか、末っ子感がすごいよねぇシアって……」
恵里がそれに続いて翼を広げてゆっくり降りる。
「なんでそんなに落ち着いているんだよ……」
「龍太郎……俺達がおかしいのか?」
この状況についていけない2名。
「シアの耐久力はティオや士郎の次に高いんだから慌てる必要ないよ。僕達もさっさと行かないと」
そう言ってハジメは香織とユエを抱えて飛び降りる。
「んじゃ……いてきまーす」
「ファラオかな…?」
そう言われながらボクも飛び降りる。
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「う、う〜〜〜っ!エリリ〜ン!」
「もう、鈴ってば……よしよし」
半泣き状態の鈴とそれを慰める恵里。
ボクが飛び降りた後、ティオに投げ入れられたらしく。落ちている途中で、恵里に助けられたらしい。
「鈴ちゃん。プルプル震えてかわいい……」
「香織……」
ハジメが呆れたような声を漏らしてる……
その時、谷底の壁の向こうから『ドゴォ!ドゴォ!』と壁が砕ける音と「うりゃああああ!!」という雄叫びが聞こえてくる。
そして目の前の壁が砕け散るとそこから、「ふぅ〜」と息を漏らしながら星砕きを担いだシアが現れた。
「いやぁ〜参りました。狡猾な罠でしたね。飛び込んだ矢先に谷底へ真っ逆さまに落ちるなん「シア〜〜〜〜?」いたたたたた!」
呑気に現れたシアの頬をお仕置きの為に引っ張る。
「まだ迷宮に来たばかりなのにこんなことしてる場合じゃないでしょ」
「はい……しゅみません……」
「お仕置きとしてこのままムニュムニュします」
「それじゃあ行こうか。ユエ、結界お願い」
ボクがユエに頼もうとすると、後ろから、鈴が声を上げた。
「それは鈴にやらせて。ユエさんはこの先の為にも温存してて。『聖絶・界』!」
鈴を中心に結界が張られ、全員を中に余裕で覆える大きさまで広がる。
聖絶・散と消費魔力は変わらないが、受け止める散と違い、こちらは受け流すようなものである。
「……ん、悪くない」
ユエのお墨付きを貰えたようだ。
昇華魔法で進化した、結界魔法はそれほどまでにすごいようだ。
ボクはそう言ったものを(熾天覆う七つの円環は盾なので違う)使わないので、そこら辺は少しわからない。
そうして進んでいくと、二等辺三角形の縦割れが見えた。
羅針盤からもここが氷雪洞窟だとわかる。
「さて、最終確認。装備品及び、荷物に不備はない?」
全員首を縦に振る。
「よし、それじゃあ迷宮攻略開始だ!」
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洞窟内に入り、周囲を警戒し、大地感知の技能も使い、不意打ちも警戒してると、段々と何か大きなものが近づいてくるのがわかった。隣にいるシアのウサミミもピコピコ動かしている。
「士郎さん……!」
「うん、なんか来てる」
奥から現れたのは──
「「「「「ギギギギギィ!!」」」」」
全身が白い体毛で覆われ、灰色の顔の人型の魔物が現れた。
「ビックフットか?」
「イエティ……とは違うわね」
「雪の中定番のUMAが出てくるなんて流石異世界……」
ボクが武器を投影しようとすると、天之河達が前に出る。
「ここは俺達にやらせてくれ」
「おんぶに抱っこじゃ失敗しちまうかもしれねぇからな……」
「……どうぞ」
ボクは敢えて天之河達に任せることにした。
「『聖絶・捕』!からの『聖絶・刺』!
片方の風林火山で脚を掴む結界を出し、もう片方で複数体を結界で串刺しにして動きを止める。
「『獄炎拳』!オラオラァ!」
坂上くんは小手から黒みがかった炎を出し、
「『天翔閃・雷陣』!」
雷を纏った剣光を放つ。
ビックフットは身動き一つ取ることすら出来ずに、首を刎ねられ、頭を潰され絶命した。
「訓練の成果は出てる……か」
「む?ご主人様よ…何をしたのじゃ?」
「魔力操作の練習に付き合ってただけだ」
どうやらボクの知らないところで幸利が手ほどきをしていたようだ。
樹海の時よりもレベルアップしているのがよくわかる。
「お疲れ様。さ、進むよ」
軽く労いの言葉をかけて歩みを進めるのだった。