ありふれない天の鎖の投影魔術師は世界最強 作:小説大工の源三
士郎side
ゲートを通り、眩い輝きに目を閉じる。光が収まり、瞼を開くと周囲には誰も居らず、自分だけがポツンと立っていた。
どうやら分断されたようだ。
「解放者の皆さんは分断するのがお好きなようだね……」
そう言いながらボクは先に進む。
ここも今までと同じでミラーハウスのようにボクが上下左右に映し出される。
そして広い部屋に出る。そこにはボクが映っている円柱型の氷柱があった。
それをボクはよく観察する。
「うーん。じっくり自分の姿を見ることはなかったけど、ホント変わったなぁ……」
黒い髪は白緑色になり、セミロングから腰より少し下までのロングになり、瞳は紫色に変色した。
エルキドゥというより、キングゥだ。
突如、聞き慣れた声が響く。
『女みたいな見た目になったな』
「ま、こうなるよね」
予想通り鏡に映るボクが喋り出した。
ただ違うとすれば──
『流石に予想済みか
一人称が違うということだろう。
「流れ的にそうなると考えただけだよ。自分の心の闇ないし汚い所を見てそれに打ち勝つってコト。その闇をエヒトにつけ込まれない為でしょ?」
『ククク……その通りさ。さぁお前は
鏡のボクの姿が変化し始める。
白緑の髪と着ている黒いコートが灰色へと変わる。
「自分じゃわかんないからね……」
そう言いながら蹴りを放つが鏡のボクも蹴りを放ち、相打ちになる。
適当な剣を投影して切りかかれば同じ事をされて受け止められる。
「チッ……やり辛さ一番だよ……」
『そりゃお互い様だろ?』
余計なことは考えないで攻撃し続ける方が良いと考え、干将・莫耶を投影し、宙に待機させる。
氷の床が凹む前にボクと
鍔迫り合い、膝蹴り、切り掛かると見せかけての正拳も全て鏡に殴りかかるように受け止められる。
コートの中の
『オラァ!』
「がふっ…!」
『しっかしまぁ……弱ェなぁ……』
「……」
『この程度でよくもまぁ守るだなんて言えたよホント……いや守れてなんかいねぇかwなんせ、一度死なせたもんなぁ……」
こいつ……
否定できない。ハイリヒ襲撃の際、恵里を殺された。自分の慢心で彼女に恐ろしい思いをさせた。
結局のところ、ボクは嫌悪する、天之河となんら変わらない。
口だけだ。
さらに
『おまけに、その行動理念は親父の身内を守るという、教えを忠実に守っているだけで、そこにお前の感情はない。ただそう学んだから守っている。いや、恵里達は違うかもしれんがな』
ハジメや幸利達を仲間として守ることがなんとなくで守っていると告げられる。
そのことに苛立ち、無造作に回し蹴りを放つ。
『おーおーキレてんなぁwまぁ所詮は同じ穴の狢なわけだ。檜山を蹴りまくった時も、本当は地球にいた頃から気に食わないから、ようやくぶっ飛ばせるタイミングか来たからボコボコにしただけで。恵里達の事も一番に考えてなかったよなぁ?本当に心配なら、まず鎖で拘束してから恵里の容態を調べるもんなあ?』
畳み掛けるように告げる。
徹底的にやろうとするのは本当にボクだ。そう思うと逆に笑えてくる。
だって逆に言えば、
ハジメ達より、恵里の方が優先度が高いのだって当然だ。恋人優先、これ第一なのだから。
それにあの時の
ボクは人に闇があることは当然だと思うし、自分だってそうだとわかっている。
この間も投影武器の射出や斬り合い、地形操作による攻撃の迎撃が行われている。
周りは破壊し尽くされ、クレーターもできている。
『ん?は?』
「ようやく掴んだぞ……」
握る左手。
ようやく
《ソウル・グラビティ》
この世界風に言うなら『魂重』だろう。
魂を掴みそれを投げるように左手で重力の方向を操作して壁などに叩きつける。これだけだと魂だけが動くので掴んだ魂をボクの起源で肉体と繋ぎ、繋いだそれごと叩きつける。
煙幕からは無傷の
『……能力だけは一丁前だな。覚悟も出来ている。だが、
一息ついて続きを言う。
『自分自身の意思がない事だ』
告げられたその一言が理解できなかった。
意思がない?
『その行動理念は親父のもんだろ?家族……引いては身内を守りたいなんて理想は
「…っ違う!」
その言葉にボクは怒り混じりに斬りかかるも、軽く弾かれ、
「がふっ……」
激痛。
意識が薄れる。
死にそうなのに何故か子供の頃、父さんの話を思い出した
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「家族って言うのは強い繋がりだが儚い繋がりなんだ」
「おとうさん、どういうこと?」
「硬いけどちょっとしたことでバラバラになっちゃうってこと」
「みんなとさよなら?」
「そうだね。父さんはそんなのは嫌だからね」
「ぼくもはなればなれはやだよ?」
「うん。だから、父さんも母さんもそんなことにならないように過ごしてるんだよ」
「ならぼくもがんばる!」
「そっか……でも、本当に大切な人を見つけたら、父さん達よりもその人を大切にするんだよ」
「わかった!」
「ただし、自分の意思でないと、意味はないからね」
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「違う……」
胸に突き刺さっている偽・螺旋剣を抜く。口から大量の血を吐き出しながらも傷を修復する。
違う──
ボクはボク自身の意思で恵里達を守る。
そう幼い頃に誓った……
最初は恵里の味方でありたかった。
あの時言った
『彼女を守るって決めたんだ。だから守らなくちゃならないんだ』
この言葉をなかったことになんてしない。
だけど、幼馴染のハジメや、虐められていた雫を見て、狭い範囲だけで満足していられなかった。
世界を救うだなんて大それたことを考えなんてしない。ただ自分の周りにいて、自分を救ってくれる人を守りたい。
恵里がいたから寂しさが埋まった、雫がいたから揺れなかった、シアがいたから辛さも飲み込めた、ハジメがいたから、幸利が、香織が優花が、ユエが……ボクはこうして生きているし、救われた。
人は1人でこそ生きては行けるが、独りでは生きていられない。
だからボクは自分を救ってくれる人を救う。
こんなモノは、恵里だけの味方になれば、それ以外を切り捨てると──いや、今も守りたいと思うもの以外は切り捨てる。自分勝手で自己完結した正義感だ。
ここで変容を発動させ、一気に勝負を仕掛ける。
ソスタンボイを久しぶりに投影する。
「魔力装填……完了……」
ボクの魔力を纏ったソスタンボイは白緑の魔力を放つ。
「ハアッ!」
互いの剣がぶつかる。
ガキンッ!ギャリギャリ……
鍔迫り合いの状態になるが、ボクの方が
『ぐっ……何故だ……っ!?何故力が弱まらないのに、オレは
「いや……お前はもう弱体化してるだろ。変容でそれを誤魔化してるだけだ」
『ぐっ……』
どうやら図星のようだ。
「けどボクと違って変容の反動がないのはズルいけどさぁ……」
そう言いつつもソスタンボイに魔力を更に込める。そのまま鍔迫り合いを制する。
体制の崩れた
「ソスタンボイ……オーバーロードっ!」
視界を埋め尽くすほどの輝きが
光が収まるとそこには今にも消え去りそうな
『やっぱり折れないよな……』
「当たり前。最初はちょっとヤバかったけどね。父さんとの話を忘れてたらどうなってたことやら」
『は、はは……そうかよ……と言うかお前、ワザと聞いてただろう?』
「まぁね。念の為何を不安に思ってるか確認したかったし」
『イカれた奴だ……だが、これからも折れるんじゃねぇぞ……』
「肝に銘じておくよ」
満足そうな顔をして
「さて……他のみんなは大丈夫かな?」
少し心配だが、きっと乗り越えてくれると信じて、いつの間にか現れた通路へと進んで行く。
ソウル・グラビティ
UndertaleのSansが使う青いソウルのようなモノ。
今更思ったこと
何気に士郎くんstay nightヒロインと同じ属性のヒロインに囲まれてんな。まぁ胸のサイズは違うけど。
恵里 桜
義妹+ヤンデレ属性
雫 セイバー
騎士系属性
シア 凛
うっかり属性