ありふれない天の鎖の投影魔術師は世界最強   作:小説大工の源三

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今回ちょいとエリリンが病みます。
まぁ元から病んでますけど。
正直今回ゾクゾクしながら書きました。


嘘吐きの独占欲

3人称side

 

雫は刀の刃を上に向け、前に一度、二度飛ぶ、何をされるかわかった虚像の雫は刀を構える。しかし、それは先読みの技能で違うと判断し、後ろからの攻撃に備えた。

しかし、攻撃は正面から行われた。

雫は三度、縮地で飛び、心臓に向けて3連続の突きを放つ。

 

「無明三段突き……この道を歩むと決めた時から私は後悔もしていないわ。そうじゃなきゃ士郎さんや恵里達の隣を歩いて行けないもの」

 

止めを刺した雫は刀を鞘に戻す。

いま彼女が手に持っている刀は菊一文字。新撰組一番隊隊長、沖田総司が使っていた刀の一つだ。

本物の三段突きには及ばすとも、憑依継承で身体を動かし、底上げされた人外の筋力と敏捷で限りなく本物に近づけさせた。

 

『ふふふっ……満足いく答えよ()……先に進みなさい』

 

「ええ、ありがとう虚像の私」

 

虚空に溶けていく虚像の雫を見送った雫は、現れた通路へと進む。

 

「この通路の先には何が待ち受けているのかしら……」

 

薄暗い氷の通路を抜けるとそこには胸の部分に穴を開け、かなりの血を流しているであろう士郎が立っていた。

 

「士郎さん!」

 

「ん?雫、無事に乗り越えられたみたいだね」

 

「ええ。士郎さん……その血の量は大丈夫かしら……?」

 

「大丈夫だよ。ちょっと深手を負ったけど治れば無問題」

 

「……前から思ってたけど。士郎さんのその終わりよければ全て良しって考え、控えて欲しいわ」

 

「っ……善処するよ」

 

「ダメ。約束して。ここには私しかいないけれど恵里とシア、私に約束して」

 

「う……」

 

あまりの剣幕に士郎は後ずさる。

彼自身も傷をワザと負うつもりはないのだが、合理的な考えの元、肉を切らせて骨を断ったり身体に大きな負担をかけるような戦い方をする。

オルクスの奈落に落ちた時もそうだ。神水が貴重な物だと言う理由で、自身は使わないという選択をとる。

それをこの旅でずっと見てきた雫は流石に看過できなかったのだ。

 

「ほら、指切り」

 

雫は小指を差し出す。

その小指に士郎も自分の小指を絡ませる。

 

「「ゆーびきーりげんまんうーそついたらはーりせんぼんのーますゆーび切った!」」

 

指切りを終えた2人は先に進む。

その際、雫から「手を繋ぎましょう?」という視線を向けられ、それを理解した士郎が指と腕を絡ませて手を繋ぐ。

士郎の右腕は雫の柔らかい象徴に包まれ張り詰めた緊張が少し緩む。

突如『ズガシャァン!』と砕ける音が通路の先から鳴り響く。

 

「この音は……」

 

「間違いなくシアね……」

 

「相当強い力でぶっ叩いたねこれ」

 

その通路を通るとそこには星砕きを肩に担いで、胸を張って立つシアの姿だった。

 

『何を言ってもわたしは弱体化する一方です。貴女にとってこの試練はすでに乗り越えているのですね』

 

「そういうことです。士郎さん達が待っている筈なので推し通ります!」

 

『ふふっいいでしょう。最後の一撃、存分にっ!!』

 

シアと虚像のシアが互いにドリュッケンを勢いよく振るい、ぶつかり合い、虚像の方が吹き飛ぶ。

そのまま壁に激突し、空気に溶けていく。

 

「ふう……もうあの頃の弱いわたしではないのです」

 

(先に逝ってしまった皆も今のわたしを誇りに思ってくれているでしょうか…?)

 

物思いに耽るシアの視界が突然暗くなる。

 

「お疲れ様シア」

 

「ひゃわっ!?士郎さん!?」

 

「無事突破できたみたいだね」

 

シアの頭を撫でる。

嬉しそうにウサミミをピコピコ揺らし、ウサシッポもフリフリする。

 

「はい!」

 

「苦戦なく突破できたのはよかったわ」

 

「その様子だと雫さんもですね」

 

「ええ。それじゃあ先に進みましょう」

 

「そうだね……恵里も少し心配だから早めに合流したい」

 

恵里の身を案じる士郎。内心、とても荒れている。

この迷宮──ハルツィナ樹海以降、彼女の様子がおかしかったのだ。なんでもないように振る舞うので、聞くに聞けなかった。

 

「なにもないといいけど……」

 

─────────────────────────

 

「はあっ………ぐっ………」

 

『はあ……なんで認めないの?……いや認めているからかな?……どんどん僕の力が強くなってるよ…?』

 

息を切らし倒れそうになるボロボロの恵里とそれを悠々と眺める虚像の恵里。

 

『お兄ちゃんに知られたくないもんね。雫とシアが憎い、僕のお兄ちゃんに集る女共だって』

 

「五月蝿い……!」

 

『お兄ちゃんの愛を受け取っていいのは僕だけ。僕とお兄ちゃんだけの世界になればいいのにね』

 

虚像から告げられる闇に恵里の中に燻る黒い感情がどんどん膨れ上がる。

 

『お兄ちゃんもお兄ちゃんだよね。僕以外の女をたらし込むんだし』

 

「………っ!」

 

ズキズキと心臓の辺りが痛む感覚を覚える。その辛さに恵里はその場に蹲る。

そんなのをお構いなしに虚像は喋り続ける。

 

『お兄ちゃんは僕だけの王子様。そう伝えちゃおう?そしてさ───

 

虚像(悪魔)の誘惑の言葉が告げる。最低最悪の末路を、

 

『雫もシアが近づけないよう殺しちゃおうよ…そしたら2人っきりの理想の世界で一生暮らせるよ?だって僕とお兄ちゃんはもう歳を取らないんだから』

 

「う、あああ……あうう……」

 

恵里は遂に泣き崩れてしまった。

 

(やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくない嫌われたくないごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き)

 

泣きながら恵里は身体を震わせ、頭を抱えて懺悔するように思考のループに陥る。

 

『僕が力を貸してあげる……僕ならできるよ……だってお前は───あの女の子供なんだからね

 

遂に言われてしまった。

自分がこんな思考や考えをしてしまう原因の一つ。それと血が繋がっていると言う事実。忘れていたかった存在。

 

すると突如現れた通路から人が現れる。

 

「恵里?」

 

最悪である。この瞬間だけは見られたくない人に見られてしまった。

 

『ねえ僕?このまま蹲るなら僕がさっき言ったこと実行しちゃうよ〜?』

 

「うあぁ……や…めて……お…願…い…っ……やだぁ……っ」

 

『じゃあ僕がやるの?ならさっさと立ってやっちゃいなよ』

 

「やだ……やだ……」

 

涙で目が赤く腫れ、こちらに助けを求める表情を士郎に向ける。

 

『ああ〜もうわがままだなぁ……それともお兄ちゃんに伝えちゃう?』

 

「ダメ…」

 

只事ではないことは明らかだ。試練とか関係なしに士郎は恵里の元に縮地で移動し、そのまま抱えて元の場所に戻る。

 

「恵里……大丈夫じゃなさそうだね……虚像になにを言われたの?」

 

士郎は恵里に問いかけるも、彼女はなにも答えない──否、答えられない。自分の黒くて醜い自分の本性を知られたくなくて「嫌嫌嫌嫌嫌嫌」としか喋らない。

恵里を落ち着かせる為に士郎は強く抱き締めた。

 

「ゆっくり深呼吸して……よしよし……大丈夫、大丈夫……ボク達は恵里がどんな子だろうと嫌いになんてならないよ……だから言ってごらん……」

 

それでも恵里は答えない。

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいおにiんう!?」

 

チュ……

 

謝り続ける恵里の唇を自身の唇で塞ぐ。

 

「んむ……んっ……ん……ぷはっ……お兄……ちゃん……?」

 

「落ち着いた?」

 

「うん……」

 

「よかった……話せる?……無理ならこれ以上は聞かない」

 

恵里は一度俯くものの覚悟を決めたのか、顔を上げて虚像に言われたことを話す。

士郎は今一度恵里を抱き締める。隣に立っていた雫とシアもだ。

 

「そっか……ごめんね……ボクが不甲斐ないばかりに恵里にそんな思いをさせてたなんて……」

 

「ううん、お兄ちゃん達は悪くないよ……僕が僕が悪い子だから……」

 

「そんなことないわよ…っ!それも好きの形の一つじゃない!」

 

「そうですぅ!恵里さんは何にも悪くないです!好きな人に自分を見て貰いたいのは普通のことです!」

 

「……みんなありがとう……ふう……もう大丈夫」

 

恵里は立ち上がり、虚像へと向き直る。

 

「お兄ちゃん、雫、シア。見てて、もう負けないから」

 

「わかった……いってらっしゃい恵里」

 

その言葉を皮切りに恵里は駆け出し、バルムンクを振りかぶる。

虚像の恵里はデュランダルで受け止めつつ、銀翼の魔弾を放つ。

恵里は氷魔法で相殺する。先程までは魔弾に全ての遠距離攻撃が撃ち負けていたが今度はこちらが撃ち落とし、本体にまで攻撃が及ぶ。

 

『いきなりなんで…っ!』

 

「それはもう分かりきってることでしょ?僕の心が持ち直したから、僕が攻勢に変わった。もう僕は迷わない…僕が怖いのはお兄ちゃんに捨てられることだから…!」

 

虚像のデュランダルを弾き、恵里自身が持つバルムンクを心臓に突き刺しそのまま壁まで押しやり磔にする。

そしてデュランダルの持ち手を伸ばして槍にし、クルリと持ち方を変えて構える。

 

「標的確認……デュランダル・ストライク!」

 

勢いよくそれを投げる。真っ直ぐ虚像の胴体へと飛び、磔にされた虚像は回避すら出来ずに貫かれた。

 

ズゴオオン……!

 

煙が晴れると、下半身が吹き飛び、腹部辺りが抉れた虚像の姿が現れる。

 

『あ〜あ、終わりかぁ……で、僕?今後どうするの?』

 

「いつも通りお兄ちゃん達と一緒だよ」

 

『そっか……乗り越えたならいいよ。さっさと先に進めば…』

 

そう言って溶けるように消えていった。

 

「お疲れ様、恵里」

 

自身の闇に打ち勝った恵里は士郎の方を向き、小悪魔のような妖艶な笑みを浮かべ──

 

「にっひひ〜えい!」

 

チュ…

 

「なっ!」

 

「ああ!」

 

──そのまま士郎にキスをした。

 

「んむ……♡レロ……♡んちゅ……♡ぷはっ♡」

 

「え、恵里っ……あ、あんた……!」

 

「ななな、何してるんですかぁ!?」

 

「ンフフ〜♡もっと自分を曝け出しただけだよ♡」

 

艶のある笑顔でそのまま士郎に抱きつく。

 

「士郎さん!わたしもキス!キスしたいです!」

 

「わ、私も!士郎さん!」

 

「お兄ちゃん♡僕にもね♡?」

 

「順番だからね?あと恵里はお仕置きだからね。キツいのいくから」

 

少し賑やかな雰囲気を作りながら通路を進んで行くのだった。

 




最終的にエリリンは吹っ切れてちょいと独占欲が強くなります。
彼女がこうなるのは樹海迷宮にて所々見え隠れしてます。
まぁ皆さんもう気づいてると思うケド。
因みにここはルート分岐(バッドエンド)あります。
以下バッドエンドルートになるパターンを簡潔に

─────────────────────────

恵里が絶望したところに士郎が現れる。

この時、士郎が雫とシアとくっついて現れた時、恵里の黒が決壊。

雫とシアをノータイムで魂魄魔法と昇華魔法、闇魔法の応用で殺す。

その後恵里を罰する事のできない士郎を縛魂で縛りつけ、空間魔法で誰もいない空間に2人っきりで引きこもる。

─────────────────────────

というのが、バッドエンドルートです。
今回は士郎が警戒しながら先頭を歩いていたので、くっついて現れることはなかったのですが。

因みにこのあとは……ね?
このままハジメ達だけが攻略し終えてユエが原作通りエヒトに乗っ取られてそのまま原作に近いエンドですね。
但し雫とシアがいないのですが。

─────────────────────────

アフターどうしようか悩んでる。
これ書き終わったら更新止まってるSAO書きたいし。
あと今作品のキャラでバイオハザードやりたい。やるとしてもユエ達異世界組は出番0になるんだよねぇ……
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