ありふれない天の鎖の投影魔術師は世界最強   作:小説大工の源三

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少し時間が戻ります。


反撃準備の休憩

反撃会議の翌日、ハジメは王国の何部屋かを自身の工房へと改造し、そこで香織とユエのサポートを受けて兵器開発に勤しんでいたが、3日目は休憩として1人、王都を回っていた。

香織とユエとも回ろうと思っていたのだが、2人はやる事があるとレミア達を誘おうとしたのだが、海人族がフェアベルゲンの亜人族との交流があるので結果、1人で回ることになったのだった。

 

「買い歩きを異世界でするのは新鮮……なのかな?」

 

幸利達がフューレンで買い歩きをしてたのを思い出していた。

当の彼は竜人族の里で竜人族への協力要請に向かっている。

奈落から生還した彼等はいくら食べても太らない──特に余剰カロリーなんかは全て魔力に返還されているので脂肪がつくことはない。その事を知った香織達が大喜びしたのが懐かしい。

 

鳥の串焼きを食べていると、フードを被った人とぶつかってしまった。

 

「おっと……すいません、大丈夫ですか?」

 

「いえ、私は大丈夫ですよハジメさん」

 

いきなり自分の名前を呼ばれた事に、警戒をしたのだがフードの中の顔を見て、警戒を直ぐに解いた。

 

「リリィ?」

 

「はい、こんにちはですね」

 

「事務処理はどうしたの?」

 

最終決戦に向けての書類処理などの仕事があると聞いていたが王都がお忍びしに来るほどの余裕でもあるのだろうか。

 

「えっと……その……ランデルやお母様から少しは休めと言われてしまいまして……」

 

山のような書類を処理していたが、流石に家族に心配されたのか息抜きをするように言われたようだ。

 

「それでなんですけど……ご一緒に回ってもよろしいでしょうか?」

 

「それは構わないよ」

 

ハジメとしては1人で回るつもりだったが、リリアーナと回るのも良いと考え、2人で買い歩きをする事にした。

 

「リリィのオススメに従うよ。僕はこの街を知らないからね」

 

「ふふふっ……良いですよ。私の好きなお店に案内しますね」

 

そう言っリリアーナはハジメの手を引き、先導していく。

最初に入ったのは、軽食屋だった。

彼女が頼んだのは地球で言うサンドイッチ。挟まれていたのは肉厚な豚肉に水々しいレタスにトマトだった。

 

「オススメですよこれ。お忍びの時は決まって食べるくらいなので、ハジメさんもどうです?」

 

彼女にも勧められ、ハジメも同じ物を頼み口に運び思いきりかぶりつく。

レタスがシャキシャキと音を立てる。

 

「うまっ……」

 

パンの柔らかさ、レタスとトマトの水々しさ、肉厚な豚肉から溢れる肉汁がハジメの口内を埋め尽くす。さっぱりとした酸味は肉のしつこい油味を抑えることでくどさをなくしていく。

 

「肉の歯応えもいいし、パンがふわふわだし……これはリリィがお勧めするわけだ……」

 

「ふふふっ…気に入ってもらえてよかったです」

 

次に向かったのは洋服屋だった。

この世界に来て恋人達にプレゼントすることがなかったハジメとしては丁度良かったので、進んで入る。

 

「服屋と言えばブルックの服屋がなんかイロモノ枠だとかなんとかって聞いたね」

 

「ブルックの町ですか?」

 

「うん。香織達が服を買いに行った時にね。なんでも容姿がすごかったとか」

 

「ブルックの町は個性的な人が集まる町と聞いていますから、そう言った方もいるのでしょうね」

 

「……個性的ねぇ……」

 

遠い目をしながら、服を選ぶ。

するとリリアーナがハジメの服を引っ張るので、彼女の方に視線を向ける。

 

「どうしたのリリィ?」

 

「…あの…ハジメさん。一着でいいので、私に似合うと思う服を見繕ってくれませんか?」

 

「それは構わないけど」

 

そう言ってハジメは服を選ぶ。

手に取ったのは白を基調としたフリルの上に花のように開いた黒い縁取りの裾、胸元は黒いリボンのついたドレスだ。

 

「これなんかどうかな?」

 

「これですね……試着してきますね」

 

ドレスを受け取った彼女は試着室に入り数分して、カーテンを開ける。

 

「どう……でしょうか……?」

 

照れくさそうに顔を背けながらリリアーナは試着した感想を聞いた。

 

「うん、似合ってるよ。やっぱり青も良かったけど、リリィならこっちの方がしっくりきたよ」

 

幼さがまだ残る彼女にぴったりだった。

 

「ありがとうございます……」

 

再び試着室に戻り、お忍びの格好に着替え、ハジメの選んだ服を手に取り、会計に向かおうとした。

 

「服一着くらい僕が払うよ」

 

「で、ですが……」

 

「こう言うのは男が払うって相場が決まってるのさ」

 

そう言ったハジメはリリアーナから服を受け取り、会計を済ませるのだった。

 

「何から何まで……」

 

「リリィは気にしなくて良いよ」

 

そう言ったものの、リリアーナは困ったような表情でハジメを見つめていた。

 

「それじゃあ次はどこに行こっか」

 

─────────────────────────

 

それからは街中で最初のように買い食いをしたり、装飾品など見て周り、時には野良猫に怒られたりしているうちに気付けば日はすっかり落ちかけ、橙に染まっていた。

 

「結構遊んだね」

 

「そうですね……」

 

「そろそろ戻らないと。流石にリリィが怒られちゃうしね」

 

ここまで遅くまで遊んでいてはルルアリア王妃に咎められてしまうだろう。

 

「ええ、私も満足しました」

 

リリアーナはハジメの手を取り、王城へと歩く。

その手を握る力はハジメからすればなんともないが、それでも彼女にとっては離したくないように力強く握っていた。

 

「ハジメさん……最後にお時間をいただけますか?」

 

彼女の表情はハジメからは見えなかったが、何か覚悟を決めた気配を感じ取っていた。

そんな彼女の覚悟を無碍にできないので、彼も了承する。

 

「いいよ」

 

リリアーナは城の屋上の一番高い所までハジメを案内する。

到着する頃には沈み掛けていた太陽は沈み、月は浮かび、輝いていた。

夜風が頬を撫でる。

手摺りに手をかけていたリリアーナはハジメの方に向き直り、頬を赤く染めて口を開いた。

 

「ハジメさん……私は貴方をお慕いしています。堅い覚悟と強い優しさに惹かれました……どうか……側室の末席でも良いので……私も側に居させて貰えませんか?」

 

「……リリィ」

 

彼女が告白してくることにハジメは薄々勘づいていた。

だからこそ、返事をずっと考えていた。

最初にユエ、次にレミアと恋人が増えていく事に自分のクズさに呆れていた。

この世界に召喚されて仲良くなった女の子だ。錬成師だと言うだけで国の大半に無能だと侮られた彼を彼女は士郎の話があれど認めてくれたことなど、ハジメは好感を感じていた。

 

「返事はいつでも構いません……」

 

リリアーナがハジメの横を通り過ぎようとした時、彼女の手を握り、引き留めた。

 

「ハジメさん……?」

 

「リリィ……返事。今応えるよ」

 

「っ……はいっ!」

 

一呼吸置き、リリアーナの両手を握り、彼女の碧眼をしっかりと魔物を喰らって変色した赤眼で見つめる。

 

「恋人を複数持つクズな男で良ければ……よろしく、リリアーナ・S・Bハイリヒ王女様」

 

ハジメはリリアーナを迎え入れるのだった。

 

─────────────────────────

 

リリアーナを彼女の寝室まで送り届けた後、自分も寝ようと寝室に向かおうとした時だった。

 

「ハ・ジ・メく〜ん」

 

いきなり香織が後ろに現れる。

 

「香織……」

 

「リリィも恋人にしちゃったんだ〜」

 

嫉妬のような声だが、それにしては嬉しさが滲み出ている笑顔だった。

 

「まぁリリィなら私もユエ達も反対しないよ。ハジメくんの生存を信じてくれてたことが好感持てるし、律儀に私達に君が好きだって報告したし」

 

「そうなんだ……」

 

「ふふっ…もう夜も遅いから寝よ?ユエとレミアさん達も待ってるし」

 

そのまま自室へと戻り次の日に備えるのだった。

 




今回はハジメとリリィのデート回になりますね。
こんな時期でしか出来ないのがな……時間はあるので、切り詰めるのは良くないとの理由でブラブラしています。
ハジメがリリィにプレゼントしたのはFateのセイバーリリィの第二と第三再臨を混ぜたようなドレスです。
描写が下手くそですまない……
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