ありふれない天の鎖の投影魔術師は世界最強 作:小説大工の源三
オルクス迷宮から帰還した攻略部隊は丸一日の休息を終えて、地上へと戻ってきた。
「みんな……成果はどうだった?」
そう香織が問いかけると、恵理とシアの2人が2人でピースサインを向ける。
「バッチリですぅ!」
「パーペキにコンプリート!」
そのことにワッと雫が香織の後ろから飛び出して2人に抱きつく。
「良かった……信じていたけど……ヒュドラの真の力がどんな物かわからないから……いくらみんなでも無事じゃないかったらどうしようか不安で……」
「心配性に拍車がかかってない雫?僕達はちゃんと帰ってきたからさ、ちゃっちゃか個室に入って、概念魔法作っちゃおう?」
「そうですよ!士郎さんを助けて、エヒトの奴をウッサウサにしてやるです!」
恵里とシアは雫の手を引いて個室へと向かった。
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用意するのはミレディから託された神越の短剣を台座に置く。
「雫、シア……準備は良い?」
「ええ…大丈夫よ」
「問題ないです」
「それじゃあ始めるよ」
短剣の上に3人の手を重ね、魔力を中心に束ねる。紫、水色、白の魔力が混ざり溶け合う。
その魔力にはそれぞれ違う形だが強い士郎への想いと起源が込められている。
士郎に助けられた時、愛された時、横に並んで戦った時、出かけた時など色々な想い出が浮かび混ざり、共有される。
それぞれの知らない士郎の姿、行動、言葉が魂に記憶されていく。
3人の起源、恵里は執着、雫は断絶、シアは不屈。
その起源を短剣に付与される。
「「「っ……!?」」」
いきなり自身の魂に刻み込まれた知らない士郎に驚いた。
「「「ふふふっ……!」」」
3人は笑った。それと同時に魔力の奔流が激しくも優しく渦巻いていき、短剣に集約していく。
『カタカタ』と震える短剣。込められる魔力に耐えている。元からある概念魔法にもう一つ新たに概念魔法が生まれようと産声を上げている。短剣も彼女達の想いに応えようと溢れる魔力受け止める。
光が部屋を埋め尽くし、扉の隙間、窓からもその途轍もない光が溢れ、外にいた、ハジメ達がその部屋の扉に集まる。
「大丈夫かな……」
「大丈夫だと思うぜ。ハジメ達も同じだったからな」
ハジメ達がクリスタルキーを作った時も魔力の奔流が同じように吹き荒れていたので、製作を待っていた側は大丈夫だと感じていた。
「……光が収まった」
それと同時に香織、ユエ、鈴の三人が勢いよく扉を開く。
「うっ……」
「くっ……」
「あぅ……」
仰向けに倒れる3人を見て、それぞれが背負ってベッドに寝かせる。
「これは……なんだ……?」
神越の短剣だったものを手に取ったハジメはステータスプレートを見たがバグったのか文字化けした文が現れただけだった。
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「読め……読めない……?」
言語理解の技能があるハジメが読めなかった。
「香織これ読める?」
「え?……なにこれ……言語理解でも読めない?」
「うん……昇華魔法も試したけどダメだったみたいで……」
どうやっても解読ができないのだった。
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「んぅ……」
先に目を覚ましたのは恵里だった。
「なんか最近、気絶してばっかだな僕……そうだ!概念魔法!」
慌てて短剣を探す。
その間に雫とシアの2人も目を覚ます。
「恵里?」
「どうしたんですか……?」
「あ、おはよう2人とも……概念魔法がどうなったか確かめないと……」
恵里の慌てていた姿に納得した2人も短剣を探す。
外に出ようと扉に手をかけようとした途端──
『ドガシャァ!』
扉が勢いよく開く。結果、恵里の形に穴の空いた扉が出来上がった。
「痛い……」
「あ……ごめんね恵里……目が覚めたんだね……」
開けたのは鈴だった。
「うん……それで短剣はどこにあるの?」
「今、ハジが保管してる」
そう言うので、ハジメのいるところにある短剣を取りに行く。
「3人共起きたんだね。短剣はそこにあるよ……ただステータスプレートには文字化けしててわかんなかったんだよね……」
そう聞いた恵里は短剣を自身のステータスプレートで見る。柄は鎖の形を刃は刀の美しい刃紋、ウサミミの鍔へと匕首の短剣はいつのまにか姿形が変わっていた。
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神断の刃
神を断ち、人から切り離す刃
抵抗すら無意味。
望まない神であり、その人から引き離したいのならより強くなる。
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「表示されたよ?」
「え?嘘…!?」
その内容を説明する。
「なるほど……」
「元の性能に私たちの想いを乗せたわ……絶対エヒトから士郎さんを切り離すわ……」
「切り離したところをぶっ潰してやるです……」
「そのまま分解して存在を消す」
全員が3人の殺意の波動に圧倒されていた。
「お兄ちゃんを助ける為の概念魔法は作れたけど、攻め込むのはいつになるの?」
「明後日だね……今度はこっちから仕掛けるよ。不意打ちには不意打ちで返してやるさ」
「おっけ。で、ハジメ達の方はどうなの?」
「そうだね……代表的なのはミュウとリーニャの為に作った護衛LBXのサイズアップ&強化と武器の強化くらいだね。後は参加人数分の武器防具」
すると後ろから『ガシャンガシャン』と音を立てながら近づいてくる。
振り向くとそこには青い盾と銀の槍を持ち、緋いマントを纏う古代ギリシャの英雄の名を持つアキレス、青と白の槍と盾を持ち、紺色のマントを纏うギリシャの楽園の名を持つエルシオン。戦闘機が人型に変形したようなボディに双頭槍にエネルギーで構築された盾をもうオーディーン。明るい青と白のボディで鎌状の二刀流の怪物殺しの名を持つペルセウス。黄色の刃の槍と盾、緑色のビームサーベルの二刀流の空を飛んだ勇気の英雄の名を持つイカロス兄弟だった。
「もう隠しもしないんだね」
「ここまできたらね……しかもいつのまにか意思があるみたいでさ……」
そう言うとアキレス達が声?を出した。
『オレはアキレス!ミュウ嬢とリーニャ嬢達を守る盾であり矛だ!』
『私はエルシオン。この槍にかけてお嬢様達を守ると誓おう』
『我はオーディーン。大神の名において彼女達を守ろう』
『僕はペルセウス。騎士の誇りに誓おう、神の使徒の首を刎ね尽くす!」
『『我らイカロス兄弟、この身が砕けようとも彼女達の刃となろう』』
「城の守りは彼らと王国兵士や亜人族、魔人族に任せることになる。指揮はリリィとヴェアベルト、メルド団長と面白皇帝に任せることに」
「面白……ああガハルドね」
そう納得する恵里。
「それとユエと同じ腕輪が3つだね。なんとか3人分作れた」
ハジメの手から受け取り、腕につける。
「そして劣化版なら僕達の分もあるから、問題はない」
「それにトッシーにウサギさん……イナバを強くしてもらったしオルクスでお供にして保管してた虫もいるから相当な戦力になるよ」
「物量も申し分ないけど……やっぱり不安なのは否めない……本当に勝てるのか……暗い気分がどうしても晴れない」
「だがやるしかねえさ光輝。負けたら何もかもが終わっちまう……」
装備や人員などが充実しているのにも関わらず、不安な空気が立ち込める。
「あの時のお兄ちゃんも同じだったんだろうな……」
氷雪洞窟での士郎のことを思い出す。
「だがこの戦いが邪神との最後の戦い……最終戦争になるだろう。気を引き締めてかからねばなるまい」
この2日は全員が英気を養う為に、休息を取るのだった。
そして最終戦争……後に『ディオスオビチュアリー』と呼ばれる戦争が幕を開けるのだった。