後半は少し暗い話しになるかもです。
それではどうぞごゆっくり
城之内たちはあれからまた階層を降りていた。
辿り着いた階層でまず見えたのは樹海だった。
十メートルを超える木々が鬱蒼うっそうと茂っており、空気はどこか湿っぽい。しかし、以前通った熱帯林の階層と違ってそれほど暑くはないのが救いだろう。
5人が階下への階段を探して探索していると、突然、ズズンッという地響きが響き渡った。何事かと身構える二人の前に現れたのは、巨大な爬虫類を思わせる魔物だ。見た目は完全にティラノサウルスである。
但し、なぜか頭に一輪の可憐な花を生やしていたが……。
鋭い牙と迸ほとばしる殺気が議論の余地なくこの魔物の強力さを示していたが、ついっと視線を上に向けると向日葵に似た花がふりふりと動く。かつてないシュールさだった。
「とりあえず倒すか。」
と構えるのだがそれより早く
「〝緋槍〟」
とユエの手元に現れた炎は渦を巻いて円錐状の槍の形をとり、一直線にティラノの口内目掛けて飛翔し、あっさり突き刺さって、そのまま貫通。周囲の肉を容赦なく溶かして一瞬で絶命させた。地響きを立てながら横倒しになるティラノ。
そして、頭の花がポトリと地面に落ちた。
最近、ユエ無双が激しい。最初は城之内やハジメの援護に徹していたはずだが、何故か途中からは我先にと先制攻撃を仕掛け魔物を瞬殺するのだ。
「あ~ユエ。そんなに無理しなくて良いんだぞ?」
「…そんなことない。皆の役に立ちたいから。」
「それで無理するのは良くないよ。それにユエが凄いのは四人とも知ってる。」
「ユエちゃん私たちだってユエちゃんを守りたいの。」
「そうだよ。僕たちにもユエを守らせてほしい。」
「…皆…ありがとう」
「しかしこの魔物は何だったんだ?」
「そうだね。何かしら意図があるのかそれともこの花が関係あるのか…」
と話しをしているとまたぞろぞろとティラノが沸いてくる。
こんどは四方を囲むかのようにだ。
「さっきので警戒したのかな?克也ここだと木々が生い茂ってるからサラマンドラで焼きながら逃げた方がいいかも!」
「そうだな!よし!」
城之内はサラマンドラを装備するとその雄々しい炎が周りを焼き尽くしていく。
「今のうちに広いところに!」
「ユエちゃん私の背中に乗ってハジメ君は右を私が左を警戒するよ!」
「ありがとう香織!」
「…ん、援護する!」
そうして撃退をしていくのであったが数は減るどころか更に増えていく。
そしてどの個体にも共通しているのが
「あの魔物…頭に生えてる訳じゃなくて…」
「寄生されてるのかな?」
「さっきハジメがあの花を撃ち落としたときは正気ぽかったな」
「と言うことは本体は別にいるね。」
「本体の見つけ方は定番だけど守りの厚い所だと思う。気配感知で多い方に行くでいいかな?」
「決まりだな!」
とハジメの作戦通りで階層を走る。
四方から迫るラプトルをそれぞれドンナーやサラマンドラで撃退し麻痺毒を風霊術で拡散してラプトル自体の動きを牽制して突き進む。
四方に囲まれたときはユエが氷の最上級魔法〝凍獄〟で凍らせてそれをサラマンドラで外から焼き尽くして道を切り開く。
ユエは最上級魔法を使った反動もあったが香織の背中に乗って吸血することにより回復をしていたのだが
「んぅ♥️ユエちゃん!?ちょっと吸いすぎじゃ…」
「…ん 香織の血…癖になる…カプッ」
「ユエは胆が据わってるんだね …何だか香織…色っぽいなぁ(* ´ ▽ ` *)」
「…あとでハジメの血も吸いたい…」
「ほら、三人とも気を抜かないの!」
そうして進む内にラプトルが厳重に行かせまいとする方向に縦割れの洞窟のような場所があり、そこへ何かあっても良いように城之内が先頭に恵理、香織、ユエが入り最後にハジメが錬成で洞窟を塞いだ。
「ふぅ。漸く一息つけるぜ。」
「重点的に行かせないようにしてたから多分だけど親玉がいるよね。」
「ここからは更に気を引き締めないとな。」
しばらく道なりに進んでいると、やがて大きな広間に出た。広間の奥には更に縦割れの道が続いている。もしかすると階下への階段かもしれない。
ハジメは辺りを探る。〝気配感知〟には何も反応はないがなんとなく嫌な予感がするので警戒は怠らない。気配感知を誤魔化す魔物など、この迷宮にはわんさかいるのだ。
ハジメ達が部屋の中央までやってきたとき、それは起きた。
全方位から緑色のピンポン玉のようなものが無数に飛んできたのだ。城之内と恵理、ハジメとユエ、香織は一瞬で背中合わせになり、飛来する緑の球を迎撃する。
しかし、その数は優に百を超え、尚、激しく撃ち込まれるのでまず香織が毒と光の障壁の二段構えで防ぎそこにハジメは錬成で石壁を作り出し防ぐことに決めた。
石壁に阻まれ貫くこともできずに潰れていく緑の球。大した威力もなさそうである。ユエの方も問題なく、速度と手数に優れる風系の魔法で迎撃している。
城之内と恵理はまずサラマンドラの炎を火霊術の炎と合わせて恵理が二人の周り火柱で囲い焼き尽くす。
緑の球も落ち着くが唐突に
「……にげて……ハジメ!」
いつの間にかユエの手がハジメに向いていた。ユエの手に風が集束する。本能が激しく警鐘を鳴らすハジメを香織が横抱きに抱え、その場を全力で飛び退いた。刹那、ハジメのいた場所を強力な風の刃が通り過ぎ、背後の石壁を綺麗に両断する。
「ユエ!?」
まさかの攻撃にハジメは驚愕の声を上げ香織も行きなりの事態に戸惑うが、ユエの頭の上にあるものを見て事態を理解する。
そう、ユエの頭の上にも花が咲いていたのだ。それも、ユエに合わせたのか? と疑いたくなるぐらいよく似合う真っ赤な薔薇が。
「くそっ、さっきの緑玉か!?」
ハジメたちは自身の迂闊さに自分を殴りたくなる衝動をこらえ、ユエの風の刃を回避し続ける。
「ハジメ…香織…うぅ……」
ユエが無表情を崩し悲痛な表情をする。ラプトルの花を撃ったとき、ラプトルは花を憎々しげに踏みつけていた。あれはつまり、花をつけられ操られている時も意識はあるということだろう。体の自由だけを奪われるようだ。
だが、それなら解放の仕方も既に知っている。
途中香織がハジメを下ろすとユエの花に照準を合わせてドンナーの引き金を引こうとした。
しかし、ユエを操り、花を庇うような動きをし出したのだ。上下の運動を多用しており、外せばユエの顔面を吹き飛ばしてしまうだろう。ならばと、接近し切り落とそうとすると、突然ユエが片方の手を自分の頭に当てるという行動に出た。
「不味いな。あれじゃ迂闊に攻撃できねぇ。」
「でもこのままじゃユエちゃんが!」
「ユエを助けて親玉も潰さないと!」
そうしていると物陰からアルラウネやドリアード等という人間の女と植物が融合したような魔物がハジメ達の前に現れた。
もっとも、神話では美しい女性の姿で敵対しなかったり大切にすれば幸運をもたらすなどという伝承もあるが、目の前のエセアルラウネにはそんな印象皆無である。
確かに、見た目は人間の女なのだが、内面の醜さが溢れているかのように醜悪な顔をしており、無数のツルが触手のようにウネウネとうねっていて実に気味が悪い。その口元は何が楽しいのかニタニタと笑っている。
それはまるであの日にみた醜悪な顔そのもので信じていたものが一瞬で崩れ去ったあの日に見た……
プツン
「くそっ憎々しい顔しやがって!」
「でも本体が出てきたなら何とか注意をそらせば!」
ユエを盾にしながらエセアルラウネは緑の球をまずらハジメに打ち込む。
ハジメは、それをドンナーで打ち払った。球が潰れ、目に見えないがおそらく花を咲かせる胞子が飛び散っているのだろう。
しかし、ユエのようにハジメの頭に花が咲く気配はない。ニタニタ笑いを止め怪訝そうな表情になるエセアルラウネ。ハジメには胞子が効かないようだ。
ハジメの技能には毒耐性があり更には香織の毒の抗体もあるためかハジメたちには毒物が効きづらいのだろう。
すかさずエセアルラウネはユエを操り攻撃を仕掛ける。
ジリ貧になるかと思われたがそれは唐突に終わる。
「…死のマジックボックス発動」
それはマジックなどで使われるようなボックスでエセアルラウネとユエを一つのボックスが覆う。
そして空中に無数の剣が浮かび上がりそして
グサッグサグサッ
と突き刺さる。
「ユエちゃぁぁぁぁぁぁん!」
「中村さんどうして!?」
という二人だがもう片方の剣の突き刺さってない方がキィィと開く
「…ハジメ…カオリ?」
と無傷のユエの姿がありすぐさまユエの頭を確認して異常がないか確かめる。
ナデナデ
「…んぅ…二人とももっと…」
と、いうユエ。
そしてもう片方のボックスが開くと剣が突き刺さり今にも絶命しそうなエセアルラウネが!
「中村さんが使ったのは死のマジックボックスだったんだね。」
「死のマジックボックスって確か恵理ちゃんが持ってたビデオで武藤選手がデュエルで使ってた?」
「そう。対象のモンスターを破壊する効果が確かあったはず。」
「……………ないと」
「えっ?」
「絶対に絶対に守らないと守らないと守らないと守らないと守らないと守らないと守らないと守らないと守らないと守らないと守らないと守らないと守らないと守らないと守らないと守らないと守らないと守らないと守らないと…僕の居場所を…もう奪わないで…いやいやいやいやいやいやぁぁぁぁぁぁ」
恵理の嘆きのような慟哭に三人は固まるが
「恵理!」ギュゥゥゥゥ
「あっ克…也?」
錯乱する恵理を城之内は抱きしめる。
それは優しい抱擁で腕の中の大切なものを不器用ながらも守るように。
「お前の居場所はもう誰にも奪わせやしないしいなくならねぇ。誰かの居場所を取り上げるなんざ許されちゃいけねぇ。俺は馬鹿でどうしようもねぇぐらい不器用だ。こんな俺だが好きなだけ俺を頼ってくれ!恵理が安心するまで俺は側にいる!」
「かつやぁぁぁぁぁ ヒッグ うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん 僕…僕…」
「良い…何も言わなくて良いんだ。分かってる。」ポンポン
恵理は城之内の胸の中で感情を爆発させたように泣く。
そうして暫くして精神的に参っていたのか城之内の胸元で静かな寝息が聞こえてきた。
「城之内君中村さんは大丈夫?」
「あぁ。色々とあの魔物を見て思い出しちまったんだろうな。今は寝かせてやってくれ。」
「う、うん。あの…城之内君さっきの恵理ちゃんの言葉って…」
「…取り敢えず休める場所へ行くぞ。」
と恵理をお姫様抱っこで抱えて安全なところへ向かう城之内とそれに付いていく三人。
エセアルラウネはハジメがドンナーでトドメを差しました。
暫くして魔物もいなさそうな場所で休む5人
「ここなら大丈夫そうだな。」
「…カツヤ、エリ大丈夫?」
「今はな。」
「城之内君、さっきの恵理ちゃんの言葉って」
「中村さん凄く怯えてたような…」
「…当事者でもねぇ俺があんまり言うことじゃねぇがそうだな。さっきのことは恵理の過去にあるんだ。」
「…エリの過去?」
「あぁ。ハジメや白崎は恵理とは高校からか?」
「うん。私は高校の最初の頃で偶々探し物をしてたときに恵理ちゃんが、協力してくれてそれから」
「僕は休んだときとかノートを貸してもらっててその関係かな。」
城之内は三人に自分と恵理の出会いと過去を話し始めた。その内容は世の中で身近で遠く、誰にでも起こりえてしまう悲しい出来事であった。
「あれは俺が最初に恵理に出会ったときか…恵理はよ」
「父親を事故で目の前で亡くして母親から虐待を受けてたんだ。」
今回はここまでになります。
次回はちょっとしたシリアス回になるかもです。
原作の恵理の過去は今の世の中で誰にでも起こりうることであり、それが悪い方向へとどんどん進んでしまった悲劇と言えるでしょう。
今回のエセアルラウネを見た恵理にはまるで在りし日の…大好きだった父親を裏切って他の男に依存していき、お前が悪いと醜悪な母の自分を愛さない、昔の穏やかな姿ではなく眼前の醜さに溢れた姿と重なり
エセアルラウネを死のマジックボックスで八つ裂きにしました。
恵理の慟哭に城之内は言葉ではなく抱擁で落ち着かせ恵理も城之内の確かな温もりに安心し精神的に参っていたのかその腕の中で寝息をたてました。
そしてそんな悲しみの感情から何かあったのかとハジメ、香織、ユエは思い城之内は恵理との出会いと過去を話し始めたところで今回は終わりです。
あと一つ、ハジメにオリジナルの技能を追加しようかと思ってます。折角なので男人格時が纏雷で女人格時にはオリジナルの技能を使うような形にと思います。
その場合ドンナー系が使用できなくなるので女人格時は戦い方がちょっと変わるかもと思ってるので構想を練っていきたいですね。因みに技能の名前は氷血を予定してます。
能力はオルクス迷宮内で披露しようかと思います。
次回は恵理の過去と城之内との間にあった話しの予定です。
さて気を取り直してFGOではクリスマス開催のBOX開けが始まりました。
サンタマルタや久しぶりのスカディや紅閻魔の復刻。
持ってない方はこの機会に…
作者は二人とも法具1ですが持ってるので重ねるか迷いますね。
それでは皆さん次回も
ねぇ作者?
あれ?恵理さんどうし………!?
どうして死のマジックボックスを構えてるのですか!?
だって乙女の秘密を晒すんだよ?
人の秘密を話すなんて馬に蹴られても仕方ないじゃん。
いやぁ話さないとハジメたちとの仲を更に深められないかと
良いわけ無用だよ。
克也と僕の思い出を話すんだから一回痛い目見た方が良いよ?
恵理さんちょっと待っ
うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
ふぅ取り敢えずこれで良しっと
どうした恵理?
ううん何でもないよ克也♪
そうか?何かあったら俺に言ってくれよ。
うん…克也!
恵理?
大好きだよ❤️
…………なおこの後作者は香織さんの治癒魔法にて治療されたので一命を取り留めましたとさ。
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