主に雫が、メインになります!
それではごゆっくりどうぞ!
時は城之内たちがオルクス最深部へ辿り着いた時
城之内たちがハジメを救出しに向かい一月程経った。
光輝達勇者一行は、再びオルクス大迷宮にやって来ていた。但し、訪れているのは光輝達勇者パーティーと、小悪党組、それに永山重吾という大柄な柔道部の男子生徒が率いる男女五人のパーティーだけだった。
理由は簡単だ。話題には出さなくとも、ハジメの死が、多くの生徒達の心に深く重い影を落としてしまったのである。〝戦いの果ての死〟というものを強く実感させられてしまい、まともに戦闘などできなくなったのだ。一種のトラウマというやつである。
当然、聖教教会関係者はいい顔をしなかった。実戦を繰り返し、時が経てばまた戦えるだろうと、毎日のようにやんわり復帰を促してくる。
しかし、それに猛然と抗議した者がいた。愛子先生だ。
愛子は当時遠征には参加していなかった。
作農師という特殊かつ激レアな天職のため、実戦訓練するよりも、教会側としては農地開拓の方に力を入れて欲しかったのである。愛子がいれば、糧食問題は解決してしまう可能性が限りなく高いからだ。
そしてその愛子の抗議で彼女との関係悪化を避けたい教会は無理に戦いに参加させるようなことはなかった。
光輝は香織が城之内と共に行くことを事後承諾させたことが気に入らないようで香織の心配をするばかり。
檜山は寝ると悪夢を見ると戦いへとのめり込むしかなく仕方なく参加していた。
「…城之内君たち無事かしら…無理してないかしら…」
「シズシズ大丈夫だって!エリリンだっているしカツヤンが守ってくれるって。」
「鈴…そうね…今は信じるしかないものね。」
そうして65層へと辿り着く一行。
あの時の光景が甦る。
下を見れば果てしない闇が広がっている。
(城之内君からの連絡はここ辺りで途切れてた…この下に三人は…南雲くんは…)
「雫!君の友だち思いなところ俺は好きだ。でも、クラスメイトの死に、何時までも囚われていちゃいけない! 前へ進むんだ。きっと、南雲もそれを望んでる。この先にいる香織の目も覚まさせて連れて帰るんだ!」
「ちょっと、光輝君……」
「谷口さんは黙っていてくれ! 例え厳しくても、幼馴染である俺が言わないといけないんだ。……雫、大丈夫だ。俺が傍にいる。俺は死んだりしない。もう誰も死なせはしない。雫を悲しませたりしないし、香織だって連れ戻すと約束するよ」
「はぁ~…………そうね。」
「そうか、わかってくれたか!」
(言葉ではなんとだって言えるわ…光輝はいつもそう…口先だけで人の善性しか見ようとしない…あの時だって…そう。
私が虐められて…助けてほしかったのに…でもあの時…他のクラスで女の子に悪口を言ってた上級生たちを同学年の子が殴り飛ばしてそれで
その話題で持ちきりになって…イジメも止んだ。
…城之内君は違ったなぁ…理不尽なことを許さず弱気を助け、私の夢も笑わないで真剣に聞いてくれた…恵理、香織を守ると言って南雲君を見つけるって行動を起こした。)
「シズシズ…本当に大丈夫?」
「えぇ、大丈夫よ。いつものことだもの…それに城之内君たちだって今も探してるもの私も強くならないと…」
「気を引き締めろ! ここのマップは不完全だ。何が起こるかわからんからな!」
付き添いのメルド団長の声が響く。光輝達は表情を引き締め未知の領域に足を踏み入れた。
しばらく進んでいると、大きな広間に出た。何となく嫌な予感がする一同。
その予感は的中した。広間に侵入すると同時に、部屋の中央に魔法陣が浮かび上がったのだ。赤黒い脈動する直径十メートル程の魔法陣。それは、とても見覚えのある魔法陣だった。
「ま、まさか……アイツなのか!?」
光輝が額に冷や汗を浮かべながら叫ぶ。他のメンバーの表情にも緊張の色がはっきりと浮かんでいた。
「マジかよ、アイツは死んだんじゃなかったのかよ!」
龍太郎も驚愕をあらわにして叫ぶ。それに応えたのは、険しい表情をしながらも冷静な声音のメルド団長だ。
「迷宮の魔物の発生原因は解明されていない。一度倒した魔物と何度も遭遇することも普通にある。気を引き締めろ! 退路の確保を忘れるな!」
そう言うメルドの前に雫が先陣を切るようにベヒモスへと向かう
「全てを切り裂く至上の一閃 〝絶断〟!」
雫の抜刀術がベヒモスの角に直撃する。魔法によって切れ味を増したアーティファクトの剣が半ばまで食い込むが切断するには至らない。
「任せろ! 粉砕せよ、破砕せよ、爆砕せよ 〝豪撃〟!」
メルド団長が飛び込み、半ばまで刺さった雫の剣の上から自らの騎士剣を叩きつけた。魔法で剣速を上げると同時に腕力をも強化した鋭く重い一撃が雫の剣を押し込むように衝撃を与える。
そこから龍太郎や光輝もダメージを与えていく。
(私は…弱い…クラスメイト一人守れず親友の心を守れなかった。南雲くんのことだって死んでしまっていると思う自分がいる。でも…城之内君は信じるって言った。もう二度と友達を失わないために!力を振るう!)
(その先に絶望しかなくともか?)
(えっ?)
(力を振るい血を流し戦う。だがその血にまみれた姿に離れてく者、拒絶する者、恐怖を抱く者が多くいる。汝はそれでも力を振るうか?)
(そう…ね。私は邪魔者だって…周りに虐められたことがある…それで私は信じてたものに裏切られた…正直今だって南雲くんや城之内君に放たれた魔法がいったい誰が撃ったのかは分からない…本当に背中を預けて良いのか不安だわ…でも)
(…)
(でも親友が頑張ってるのに私がこんなところで挫けてたら笑われちゃうわ。それに…)
雫は思い出す。訓練で城之内と話しをしたときのことを
「もし…もしもね、私がイジメられてたらさっき言ったように守ってくれる?」
それは雫が昔に受けた女らしくない、男女、あんたっておんなだったの?といった酷いイジメのトラウマ
「あぁ!守ってやる!友達は守るってこの城之内克也様は決めてんだ!」
(ただ守られるだけで待ってるのは嫌よ!私は八重樫雫…白崎香織、中村恵理の親友で城之内君の友だちよ!例え拒絶されたって私は私の本当に大事なものを守る!)
(その決意…その心意気…我が力を貸すに値する…ならば我は汝の剣となろう。この力存分に使うが良い。)
(もしかして貴方は!?)
一瞬立ち止まった雫は先程の問答が夢だったかと感じたがその身に宿る大きな力から夢ではなかったと判断する。
「お願い…力を貸して大将軍…紫炎!」
その瞬間雫が光に包まれるとそこには動きやすい軽装な甲冑姿でその手に持つ剣が刀へと変化した彼女の姿が!
「シズシズが侍になっちゃった!?」
「すっげぇな!昔の戦国の侍の甲冑か!」
「雫?」
そう言い合う者たちを尻目に雫は角の折れたベヒモスが跳躍し、赤熱化した頭部を下に向けて隕石のように落下した。
それを
「防御輪!」
とマジックカード防御輪を展開し受け止め返す刀でベヒモスのもう片方の角を斬りつける。
ザシュッ!
と今度は薄いバターを切るような軽い感触で切断した。
「身体が軽い…それにやっぱり刀の方が合ってるわね。」
そして怯んだベヒモスへ
「疾風!凶殺陣…行くわよ!」
と雫は音を置き去りに凄まじい早さで動き何度も斬りつけるそして
「居合い…一刀紫炎…」
と居合いの要領で抜き放つ。居合いの摩擦で発生したのか剣に爆炎が発生し
ズバッ
とベヒモスは断末魔をあげることすら赦されず一刀両断された。
うぉぉぉぉぉぉぉぉ!
とクラスメイトたちの歓声が響く。
あの時倒せなかったベヒモスを倒したのだ。着実に進歩してると感じことであろう。
そして雫も元の姿へと戻る。
「シズシズ!スッゴい格好良かったよ!それに侍っていうか武将みたいな迫力が全身から溢れてたよ!」
「ありがとう鈴。私も無我夢中でね。」
「流石雫だ!俺も負けてられないな!」
「光輝…」
「それにこれで、南雲も浮かばれるな。自分を突き落とした魔物を自分が守ったクラスメイトが討伐したんだから」
「…ホント嫌になるわね…」
「シズシズ?」
「なんでもないわ。」
こうして人族の最高到達層をクリアした勇者一行。
そしてこの事を王国へ報告するために一度戻ることになった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
夜
王国では勇者一行がベヒモスを倒したこと、人族の最高到達層の更新に宴が開かれた。
光輝は勇者として様々な貴族から声をかけられ他の者たちもちやほやされていたりした。
雫は食事を取ると疲れを取るために部屋へ戻ると言いそのまま宴から抜けた。
「はぁ…宴って…確かに凄いことなんでしょうけど…クラスメイトが亡くなってるかもしれないのに騒げるなんて…浮かれてるわ。
城之内君たち大丈夫かしら…」
「雫?どうなさいましたか?」
「リリィ!抜け出して良かったの?」
「えぇ宴より雫と、いる方が楽しいですから!」
「ありがとう。」
と二人は部屋に入ると
「シズシズ!リリィ!遅いよぉ!待ちくたびれたんだからね!」
「鈴…なんで貴女ここにいるの?自分の部屋で休んだら良いのに。」
「えへへ~シズシズを励ましに来たのです!カツヤンが居なくなって寂しそうだから。」
「そうね。何だかんだ言って恵理も香織も付いていっちゃったし…」
「…三人とも無事かな…」
「きっと無事よ。三人は南雲くんを連れて帰ってきてくれるわ。」
「そうですね。私たちに出来ることは信じることですね!」
PiPiPiPiPiPi
「ん?あれ!?シズシズ!端末鳴ってるよ!」
「!!!もしかして!もしもし!」
と端末を手に取ると
や……し
やえ…し
「八重樫!おーい八重樫!」
「城之内君!無事なのね!」
「おっ!漸く繋がった!あぁ無事だ!」
「克也さん!良かった!」
「その声姫さんか!」
「鈴もいるよ!カツヤン!」
「おぉ谷口か!」
「城之内君…南雲くんは…南雲くんはどうなの?」
それはいつか聞かなければならない問題。
「あぁ!見付けたぜ!」
「!!!ほんとうに!!本当なの!」
「あぁ無事…とは言えないけど生きてるぜ。」
「雫ちゃん!」
「香織!」
「雫ちゃん。ハジメ君見付けたよ!生きてたんだよ!」
「良かった…」
クラスメイトの無事を喜ぶ
「八重樫さん…」
「南雲くん!…ごめんなさい…あの時もっと私たちが確りしてたら…」
「ううん…そんなことないよ。あの時の選択に僕は後悔はしてないよ。こちらこそありがとう。生きてることを信じてくれて。」
「南雲くん無事で良かった~~」
「その声…鈴だね。全く泣き虫なんだから」
「エリリン~良かった~心配したんだよ!」
「ありがとう鈴。鈴も、無事で良かったよ。」
そして城之内たちと話す三人。
途中遮音結界を鈴が張り近況を話す。
オルクス迷宮には更に深い階層があったこと。
ベヒモスなんて目じゃないぐらいに強力な魔物。
そしてこの世界の神エヒトと反逆者として伝わっていた解放者のこと。
「…まさか…エヒト様がそんなことを…でもそれなら辻褄が合う…亜人を阻害しこの世界で一番影響力があるエヒト様の意思ひとつで戦争が起こる…」
「リリィはこっちの人だから余計信じられないわよね。」
「じゃあ鈴たち帰れないの…」
と不安そうに言う鈴に
「でも、解放者の残した神代魔法になにか帰還の方法があるかもしれない。」
「それで俺たちは残りの迷宮を探そうと思う。
悪い姫さん。
戻るのが遅くなっちまうかもしれねぇ。」
「良いのです克也殿。帰還の方法を探す方が大事です!」
「サンキューな!」
「城之内君二人を守ってくれて…南雲くんを見付けてくれてありがとう」
「八重樫と約束したからな!絶対に連れて帰るって!」
「…雫」
「ん?」
「雫って呼んでほしい。」
「?おう!雫!」
「…あ、ありがとうぅ」
と音声だけなのだが雫は顔を真っ赤にしていた。
「暫くは解放者の、住み家で鍛えて準備をする!」
「分かったわ…克也君…」
「おう!」
「私も強くなるから…貴方に置いてかれないように…隣に立てるように…だから生きて戻ってきて。」
「勿論だぜ!漢城之内!約束は守るぜ!」
そうして通話は切れる。
「シズシズ顔赤い!もしかして~カツヤンに惚れちゃった?」
「雫も隅におけませんね!」
「惚れたじゃないわよ……ますます惚れたのよ」ボソッ
と小さい声で最後呟く。
「じゃあ女子会だね!さっきの宴で甘いの持ってきたから今日は夜まで語ろう!」
「良いですね!私こういうのは初めてです!」
「もう二人とも…まぁこういう日も偶にはいいかしら…」
あぁそっか…私…恋してたんだ。
友だち思いで何事も一生懸命で誰かの側で寄り添ってくれる…克也くんのこと…
私の夢を心から応援してくれた…克也君のこと…
会いたいなぁ。
彼には恵理がいるから隣に立つことは出来ないかもしれない。
でもこの気持ちを伝えないままにするなんて私には出来そうもない。
だから
「覚悟してね克也君…私を惚れされたんだから…私の王子様…」
再会したときはこの気持ちを伝えよう。
侍少女は離れたところにいる思い人を浮かべながら微笑む。
その日から雫は更に剣に打ち込みそれだけでなく化粧やダンスの練習、女の子らしい格好の指南を親友となったリリアーナに教わるのであった。
そんな彼女の一時な思いが技能に現れ
憧憬一途(リアリス・フレーゼ)が追加されていた。
今回はここまでになります。
クラスメイトサイドの雫の話しになりました。
今回で雫は精霊憑依が追加となり大将軍紫炎の力を振るうことが出来るようになりました。
イメージは紫炎の鎧を軽装で着込んだ形。
そしてベヒモスを撃破し、地上に戻り宴が開かれ雫は抜け出してリリアーナと合流し鈴も部屋に。
そして漸く城之内たちと繋がりハジメの無事、そしてこの世界の真実を知らされる。
トータスで生まれたリリアーナは疑問に思わずに生きていたこと、教会の神託で戦争を引き起こせてしまう現状を知り対策を立てていくことに。
そして香織がハジメと恋仲になったことを聞き親友の恋の成就に一安心する雫。
そして下の名前で呼び合うことになり恥ずかしさから顔を赤らめる雫。
各々の決意を胸に月日は経っていく。
そして雫はある意味花嫁修業もしていくことになりました!
乙女は強く麗しいものですね。
そして憧憬一途を取得した雫さん。
正直この先城之内たちに付いていくならこれぐらいの補正があっても良いのではと追加しました!
元はダンまちのベルのスキルです。
早熟する。
懸想が続く限り効果持続。
懸想の丈により効果向上
一途な雫さんと合いそうだなと思いました!
次は久し振りの城之内たちサイドから始まります。
オルクスからライセン迷宮への道のり。
それでは皆様今回も読んで頂きありがとうございました!
そしてFGOユーザーの方々、バルバトスレイドお疲れ様でした!
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