それではどうぞごゆっくり
そうして思い思いの時間を過ごす内に霧の奥からは、数人の新たな亜人達が現れた。
彼等の中央にいる初老の男が特に目を引く。流れる美しい金髪に深い知性を備える碧眼その身は細く、吹けば飛んで行きそうな軽さを感じさせる。
威厳に満ちた容貌は、幾分シワが刻まれているものの、逆にそれがアクセントとなって美しさを引き上げていた。
何より特徴的なのが、その尖った長耳だ。彼は、森人族いわゆるエルフなのだろう。
彼が〝長老〟と呼ばれる存在なのだろうと城之内たちは推測した。その推測は、当たりのようだ。
「ふむ、お前さんたちが問題の人間族かね? 名は何という?」
各々名乗りをあげる彼等に彼も名乗る。
「私は、アルフレリック・ハイピスト。フェアベルゲンの長老の座を一つ預からせてもらっている。
さて、お前さんの要求は聞いているのだが……その前に聞かせてもらいたい。〝解放者〟とは何処で知った?」
「?オルクス大迷宮の奈落の底、解放者の一人、オスカー・オルクスの隠れ家だ」
目的などではなく、解放者の単語に興味を示すアルフレリックに訝しみながら返答する城之内。一方、アルフレリックの方も表情には出さないものの内心は驚愕していた。なぜなら、解放者という単語と、その一人が〝オスカー・オルクス〟という名であることは、長老達と極僅かな側近しか知らない事だからだ。
「ふむ、奈落の底か……聞いたことがないがな……証明できるか?」
あるいは亜人族の上層に情報を漏らしている者がいる可能性を考えて、彼らに尋ねるアルフレリック。城之内たちは難しい表情をする。証明しろと言われても、すぐ示せるものは自身の強さくらいだ。首を捻る中でユエが提案する。
「……ハジメ、魔石とかオルクスの遺品は?」
「ああ!それなら……」
ポンと手を叩き、〝宝物庫〟から地上の魔物では有り得ないほどの質を誇る魔石をいくつか取り出し、アルフレリックに渡す。
「こ、これは……こんな純度の魔石、見たことがないぞ……」
アルフレリックも内心驚いていてたが、隣の虎の亜人が驚愕の面持ちで思わず声を上げた。
「後は、これ。一応、オルクスが付けていた指輪なんだけど……」
そう言って、見せたのはオルクスの指輪だ。アルフレリックは、その指輪に刻まれた紋章を見て目を見開いた。そして、気持ちを落ち付かせるようにゆっくり息を吐く。
「なるほど……確かに、お前さんはオスカー・オルクスの隠れ家にたどり着いたようだ。他にも色々気になるところはあるが……よかろう。取り敢えずフェアベルゲンに来るがいい。私の名で滞在を許そう。ああ、もちろんハウリアも一緒にな」
アルフレリックの言葉に、周囲の亜人族達だけでなく、カム達ハウリアも驚愕の表情を浮かべた。虎の亜人を筆頭に、猛烈に抗議の声があがる。それも当然だろう。かつて、フェアベルゲンに人間族が招かれたことなど無かったのだから。
「彼等は、客人として扱わねばならん。その資格を持っているのでな。それが、長老の座に就いた者にのみ伝えられる掟の一つなのだ」
アルフレリックが厳しい表情で周囲の亜人達を宥める。しかし滞在とはどういうことなのかと城之内は問う。
「どういうことだ?俺たちは大樹に用があるのであって、フェアベルゲンに興味はない。問題ないなら、このまま大樹に向かわせてもらうんだが?」
「いや、お前さん。それは無理だ」
「なんだと?」
あくまで邪魔する気か?と海馬は言うが、むしろアルフレリックの方が困惑したように返した。
「大樹の周囲は特に霧が濃くてな、亜人族でも方角を見失う。一定周期で、霧が弱まるから、大樹の下へ行くにはその時でなければならん。次に行けるようになるのは十日後だ。……亜人族なら誰でも知っているはずだが……」
アルフレリックは、「今すぐ行ってどうする気だ?」と城之内たちを見たあと、案内役のカムを見た。城之内たちは聞かされた事実にポカンとした後、アルフレリックと同じようにカムを見た。海馬の形相は凄いことになっていてそれを見たカムはと言えば……
「あっ」
まさに、今思い出したという表情をしていた。海馬の額に青筋が浮かぶ。
「カム?」
「あっ、いや、その何といいますか…訓練や妻のことで色々舞い上がっていたというか、つい忘れていたといいますか…………」
しどろもどろになって必死に言い訳するカムだったが地面に手を付き頭を下げる。いわゆる土下座だ。
「しゃ、社長!申し訳ございません!私の不手際です!どうか罰はこのカムだけに!」
「長!何を言うのですか!」
「私たちも忘れていたようなもの罰なら我々にも!」
「社長!」
「社長!」
「ふぅん。そこまで言うのならば仕方ない。貴様ら全員俺の考案した訓練の三倍をやってもらうとしよう。そこのバカ娘は慣れているだろうから20倍だ。」
「ヴェッ!?しゃしゃしゃ社長!?どうして私だけそんなにあるんですか!!この間の十倍でもきつかったのに二十倍って!?せ、せめて十五倍で」
「ほう?この俺に意見をするとは…成る程余程力が有り余ってると見える。ならば三十倍にして」
「わぁうれしいなー、しゃちょうのくんれんはー」
と棒読みで、言うシア。
「シア…ドンマイ」
「…ん、頑張れ。」
「大丈夫だよシアちゃん疲れても癒してあげるからね。」
「うわ~ん!香織さ~ん!」
と香織の胸に飛び込むシア。
そんなシアの頭を撫で落ち着かせ時折耳も触りながら癒す香織。
「ふふ、シアったら私以外でも甘えられる人が出来たのね。良かったわ。」
「うむ。少し見ない内に大きくなるものだなモナ。」
「………」ジーー
とシアを、いや正確には香織に抱き付くシアを羨ましそうに見るユエ。
「ユエも何かあったら頼ってね。僕もレイカも力になるから。」
「ん!ハジメ…レイカもありがとう。」
とハジメに抱き付くユエ。
「それなら一度フェアベルゲンに行くしかないね。」
「だな。このままじゃ進めなさそうだしそれに海馬もそっちに用事があるんだろ?」
「無論だ。初めからそのつもりだ。」
と海馬はそう言い、アルフレリックたちが案内するままに歩みをフェアベルゲンへと向ける。
そうしてしばらく歩いていると、突如、霧が晴れた場所に出た。晴れたといっても全ての霧が無くなったのではなく、一本真っ直ぐな道が出来ているだけで、まるで霧のトンネルのような場所だ。よく見れば、道の端に誘導灯のように青い光を放つ拳大の結晶が地面に半分埋められている。そこを境界線に霧の侵入を防いでいるようだ。
錬成師でもあるハジメが興味深く青い結晶を見ていることに気が付いたのかアルフレリックが解説を買って出てくれた。
「あれは、フェアドレン水晶というものだ。あれの周囲には、何故か霧や魔物が寄り付かない。フェアベルゲンも近辺の集落も、この水晶で囲んでいる。まぁ、魔物の方は〝比較的〟という程度だが」
「なるほど。四六時中霧の中じゃあ気も滅入るだろうし、視界の悪い中だと作業も進まないから住んでる場所くらい霧は晴らしたいと思うね。」
どうやら樹海の中であっても街の中は霧がないようだ。十日は樹海の中にいなければならなかったので朗報である。海馬も霧が鬱陶しそうだったので、二人の会話を聞いて安心すると共にハウリアをいかに鍛えるか頭を働かせる。
そうこうしている内に、眼前に巨大な門が見えてきた。太い樹と樹が絡み合ってアーチを作っており、其処に木製の十メートルはある両開きの扉が鎮座していた。天然の樹で作られた防壁は高さが最低でも三十メートルはありそうだ。亜人の〝国〟というに相応しい威容を感じる。
ギルが門番と思しき亜人に合図を送ると、ゴゴゴと重そうな音を立てて門が僅かに開いた。周囲の樹の上から、城之内達に視線が突き刺さっているのがわかる。
人間が招かれているという事実に動揺を隠せないようだ。アルフレリックがいなければ、ギルがいても一悶着あったかもしれない。おそらく、その辺りも予測して長老自ら出てきたのだろう。
門をくぐると、そこは別世界だった。直径数十メートル級の巨大な樹が乱立しており、その樹の中に住居があるようで、ランプの明かりが樹の幹に空いた窓と思しき場所から溢れている。
人が優に数十人規模で渡れるであろう極太の樹の枝が絡み合い空中回廊を形成している。樹の蔓と重なり、滑車を利用したエレベーターのような物や樹と樹の間を縫う様に設置された木製の巨大な空中水路まであるようだ。
樹の高さはどれも二十階くらいありそうである。そんな綺麗な光景を目の当たりにした城之内たちは見入っていた。
ゴホンッと咳払いが聞こえた。どうやら、気がつかない内に立ち止まっていたらしくアルフレリックが正気に戻してくれたようだ
アルフレリックの表情が嬉しげに緩んでいる。周囲の亜人達やハウリア族の者達も、どこか得意げな表情だ。城之内たちは、そんな彼等の様子を見つつ、素直に称賛した。
「すげぇな。こんな綺麗な街を見たのは始めてだぜ。空気も美味い。自然と共に生きてきたってのが分かるぜ。」
「僕たちの町はビルとか自然とは程遠いものばかりだからこういうのは新鮮だね。」
「あの空中水路とても計算し尽くされた構造だね。それに風景と共に自然を豊かに使った町の構造は素晴らしいね。」
「私たちの町とは違う凄く綺麗な所だね。」
「ん……綺麗」
「ふん。これぐらい国として成立するのならば当然なこと。人がいかに自然を淘汰してきたことが目につくものだ。」
「海馬、お前ってやつは素直に誉めるぐらいして良いだろ。」
掛け値なしのストレートな称賛に、流石に、そこまで褒められるとは思っていなかったのか少し驚いた様子の亜人達。だが、やはり故郷を褒められたのが嬉しいのか、皆、ふんっとそっぽを向きながらもケモミミや尻尾を勢いよくふりふりしている。
「なんつうかあたしらの里に似てるな!」
「そうですね。私達も懐かしい気持ちになりますね。」
「土の状態も良い…作物もしっかり育ちそうだね。」
「……生まれ故郷ととても似てます…今頃どうしてるでしょうか。里を抜けた私が言えたことではないでしょうけども…」
「ウィン…大丈夫です。あまり思い詰めてはいけませんよ。」
と言う中でシアはハジメと香織へ
「ハジメさん!香織さん!凄いでしょう私たちの故郷は!」
「うん。凄いよ。僕たちの世界とは大違いだね。シアみたいに素直に育つ娘が多いのが分かるね。」
「そうだね。シアさんの故郷を見れて満足だね!」
とハジメと香織はシアの耳を両サイドから撫でる。
「お二人とも~くすぐったいですぅ~」
ムッ ガシッッ!
「ひょわぁぁぁぁ!?」
「この胸か…ハジメとカオリを誑かすのはこの胸か…ハレンチウサギめ。」
「ユ、ユエさん!?だ、ダメェそんなに強く揉まないでください~」
とユエは二人に構われているシアに嫉妬し両手でその豊満な胸を鷲掴みにするのであった。
こうして城之内たちは、フェアベルゲンの住人に好奇と忌避、あるいは困惑と憎悪といった様々な視線を向けられながら、アルフレリックが用意した場所に向かった。
その間もヴェールはハジメの背中に背負われ寝ていた。
こうして少しトラブルが、あったもののフェアベルゲンへと迎え入れられた城之内たち。果たして話し合いはどうなることやら
書いてて区切りが良かったので今回はここまでになります。
漸くのフェアベルゲン到着です。
次回は長老会議へと移っていく予定です。
自然豊かなフェアベルゲンを見たそれぞれの感想。
ビルの建ち並ぶ風景を見慣れている現代人にとって見れば自然豊かな場所はとても珍しいものだと思います。
そして霊術を使う霊使いの四人も自然を間近で体感できる所に住居があるので懐かしく感じ、ウィンはガスタの里を思い出していました。
そしてマイペースなヴェールは片手間で作った魔道具で危機を未然に防ぎハジメの背中に張り付きリラックスしていました。
そしてユエはシアに嫉妬しその胸捥いでやる!の意気込みでシアを触り、シアはシアでユエなりのコミュニケーションで人との触れ合いと大好きな三人から触られとても幸福であります。
次回は漸くの長老会議…
原作と違ってカムたちは堂々としているのでどうなることか。
そしてマスターデュエルはNRフェスが今日で終わりますね。作者はバージェストトラップと邪神たちでデュエルをしてました。ドレッドノートがいてアバターを出せたときは自分でヤバいなと思いましたね、
場のモンスターの半減化とニターン魔法トラップが使えないって絶望感がヤバい(汗)
FGOでは次に漫わかとのコラボなのでどんな性能の鯖が来るか楽しみですね。
そしてスカディピックはクイック鯖で周回するなら必須ですし次いつ復刻するかも未定なので引ける方は引いた方が良いかも?
宝具レベルは周回なら1で充分ですね。
作者も大変お世話になってます。
今回も読んでくださりありがとうございました!次回も遅くならない内に投稿出来るようにします。
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