ありふれた凡骨は決闘者の高みを目指す   作:生徒会長月光

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今回は漸く大樹への道のりになります!

その前にフェアベルゲンで不穏な動きが?

それではどうぞごゆっくり。


大樹への道のり

レギン・バントンは熊人族最大の一族であるバントン族の次期族長との噂も高い実力者だ。現長老の一人であるジン・バントンの右腕的な存在でもあり、ジンに心酔にも近い感情を抱いていた。

 

 

もっとも、それは、レギンに限ったことではなくバントン族全体に言えることで、特に若者衆の間でジンは絶大な人気を誇っていた。

 

その理由としては、ジンの豪放磊落な性格と深い愛国心、そして亜人族の中でも最高クラスの実力を持っていることが大きいだろう。

 

 

だからこそ、その知らせを聞いたとき熊人族はタチの悪い冗談だと思った。

 

ジンが兎人族に敗れ自暴自棄の末に人間族の女に男としての尊厳を奪われたといあことに。

 

現場にいた長老達に詰め寄り一切の事情を聞く。そして、全てを知ったレギンは、長老衆の忠告を無視して熊人族の全てに事実を伝え、報復へと乗り出した。

 

長老衆や他の一族の説得もあり、全ての熊人族を駆り立てることはできなかったが、バントン族の若者を中心にジンを特に慕っていた者達が集まり

 

憎き人間を討とうと息巻いた。その数は五十人以上。仇の人間の目的が大樹であることを知ったレギン達は、もっとも効果的な報復として大樹へと至る寸前で襲撃する事にした。目的を眼前に果てるがいい!と。

 

その後ろで熊人族の女性陣及び一部始終を見ていた者たちは呆れと失望を向けていたこと、何処かへと連絡をしていたことに気付かぬままに。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

深い霧の中、城之内達一行は大樹に向かって歩みを進めていた。先頭をカムに任せ、これも訓練とハウリア達は周囲に散らばって索敵をしている。油断大敵を骨身に刻まれているので、全員、その表情は真剣そのものである。

 

「それにしてもフェアベルゲンの人たちに南雲君、レイカちゃん、香織は物凄い懐かれてたね。」

 

「まぁそりゃあな。生活基盤を整えて新しい料理に栄養価たっぷりな食事を振る舞ったり色々やってたからな。」

 

「えぇ~そうかな?私なんて料理して作り方教えてたぐらいだけどな~」

 

「…ん!カオリ特に小さい子達から懐かれてた。」

 

「香織さん面倒見が良くて私たちハウリアの小さい子達もお姉さんみたいに慕ってますからね~お料理を配る姿は若奥様でしたね。

流石香織さん!

 

それにハジメさんも生活に便利な物を作ってくれて使い方もレクチャーしてくださってフェアベルゲンの女性陣から姐様なんて呼ばれてましたね!好きになった方たちを誉められて私も鼻が高いです!」

 

「…図に乗るのはいけない…シアはまだ未熟。ハジメ、レイカ、カオリの魅力はこんなものじゃない…」

 

とハジメは生活基盤も整え、今まで井戸から水を酌むのに若い衆の力を必要としていたものが滑車を利用して老若男女安心して使えるように作り替え、高圧洗浄機といった環境に優しい素材で作った魔道具、食器洗い機、IHコンロから炊飯器、電子レンジ、掃除機などをヴェールと共に作り

 

フェアベルゲンの全ての女性陣に感謝されていた。

 

作り出した魔道具は全てソーラー充電と良く霧が発生するならと空気中の水分を電気分解して水素のエネルギーで動くようにし魔力のないフェアベルゲンの者たちでも使えるように改造した。

 

城之内と恵理は身体の栄養バランス、食事に気を付けるだけでも健康で丈夫な身体になるように適度な運動や子供たちでも遊ぶのと同時に鍛えられるように遊具といった遊び場を作り特に遊び場が増えた子供たちから感謝された。

 

「城之内君たちだって子供たちから感謝されてたし社長はフェアベルゲンの子達に簡単な計算から社会での立ち振舞いとか外の人たちとの交流の仕方も教えてたから人気だったよ!」

 

「流石伴侶だぜ!子供たちも気兼ねなく遊んでたしな!」

 

「そうですね。ヒータのいう通りフェアベルゲンの生活水準を高めて友好的に接してくれるから皆様懐かれてましたね!」

 

「ハジメもレイカも錬成の精度が細かいところも上がってより効率的に錬成できるようになったしね。環境と師匠がいると違うものだね。」

 

「ホントだねぇ。ハジメは物の仕組みを理解した上でそれを形にするのが得意だから良い仕上がりになるね。

 

まぁ魔力の込め方とかはまだ此方にきて浅いからまだまだだけどゆくゆくうちの工房を任せられる位上達するね。いや~弟子を取るのは久しぶりだから腕がなるね!」

 

 

「皆さんの相手を思う気持ちがフェアベルゲンの方々に通じて良かったです。」

 

「えぇ。ただ一部はまだ凝り固まって現実を見ようとしてない者たちもおりますね。」

 

雪姫がそう言う中で伝令が入る。

 

「社長!熊人族の若奥様たちよりどうやら大樹のルートを塞ぐように熊人族がいるとのことです。数は約50名程。」

 

「ふぅん…大方南雲の見せしめが気に食わないというところか。」

 

「社長…我々に行かせてください!」

 

「良かろう。カム!貴様が指揮を取れ。奴らの安いプライドへし折ってくるが良い。」

 

「ハッ!お任せください!」

 

と海馬たちの元に十人ほど残り一斉に散会する。

 

「父様たち大丈夫でしょうか…社長のお陰で前より逞しくなったとはいえ優しい父様たちは…」

 

「大丈夫よ。シア。お父さんもただ強くなった訳じゃないわ。心も養って皆が本当に大事なものに気付いた…今のあの人たちなら無事に帰ってくるわ。怪我してたら私が作った薬もあるし心配ないわ。」

 

「母様…」

 

「いざとなったら僕も参戦するよ。元はといえば僕のせいでもあるしね。」

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

彼ら熊人族は地力もあり土地勘もある。フェアベルゲンならば人間族、兎人族に負けるはずがなく、ジンの仇を容易に取ることが出来る。その後はジンの受けた痛みをジンを再起不能に陥れた女に支払わせる。

 

そう息巻いていたが…現実は非情だ。

 

相手は所詮、人間と兎人族のみ。例えジンを倒したのだとしても、どうせ不意を打つなど卑怯な手段を使ったに違いないと勝手に解釈していた。

 

樹海の深い霧の中なら感覚の狂う人間や、まして脆弱な兎人族など恐るるに足らずと。レギンは優秀な男だ。普段であるならば、そのようなご都合解釈はしなかっただろう。深い怒りが目を曇らせていたとしか言い様がない。

 

だが、だとしても、己の目が曇っていたのだとしても……

 

「なにが起きているというのだ!?」

 

そう熊人族たちは襲撃を受けている。しかしながら敵の姿が見えない。

 

仲間内では兎の耳が見えたことから兎人族だということはわかっているが気配が掴めず一人また一人と仲間たちが悲鳴を上げて気を失う。

 

「な、なにがおきてるんだ!?」

 

「ちくしょう! 何なんだよ! 誰だよ、お前等!!」

 

「うわぁああ! 来るなっ! 来るなぁあ!」

 

最初に異変に気付いたのは周りを警戒し話をしていた者が黙ったことからだ。それから音もなくあちら此方からクナイ、足縄といった即席トラップ、トラバサミ、網が引っ掛かり身動きが取れなくなりバチバチという炸裂音と共に気を失う者たち。

 

無音で迫る彼らは熊人族を圧倒していた。

 

奇襲しようとしていた相手に逆に奇襲されたこと、亜人族の中でも格下のはずの兎人族の有り得ない強さ、認識を狂わせる巧みな気配の断ち方、高度な連携、その全てが激しい動揺を生み、スペックで上回っているはずの熊人族に窮地を与えていた。

 

何より彼らは一切の言葉を発さないのである。

 

熊人族からすれば無言のままに正体不明の攻撃を受けているのだ、不気味以外の何物でもないだろう。

 

ハウリア族は念話石を通して話さずとも意思を伝えられる。更にハジメ、ヴェールから授けられた電気の魔法を込めた所謂スタンガン、網を発射し動きを封じるものといった物

 

元から気配を断つことになれている彼らは最初の一人を香織、モナの製作した眠り薬をハンカチに染み込ませ眠らせ、気付かれないようトラップを設置。

 

そこから麻痺毒を塗りたくったクナイで動きを封じて戦力を削る。

 

彼らは極力不殺を貫いている。

 

彼らにはまだ他人の人生を奪うという覚悟はどうしても出来なかった。しかし殺さずとも行動不能にし戦闘する意思を奪うことに注力することにより彼らは化けた。

 

海馬も無理に殺す必要などない。何故なら死とは一瞬の出来事。何人足りとも逃れることの出来ない終わり。

 

一瞬の出来事よりも生きて苦痛を舐め這いつくばらせそれでもなお這い上がろうとする意思を持つものだけが輝ける。

 

海馬の言葉を受けカムたちは今までの己の優しさはただ可愛そうだから、傷付けたくないからと争うことから逃げてきた。

 

しかし時代は移ろう。ならばそれに柔軟に対応し順応しなければハウリアという種族に未来はないだろう。

 

彼らは訓練と同時に瞑想をし、己の中での大切なものを再度確認した。

 

それは家族、恋人、母親、父親、息子、娘

 

各々の中でもそれは違うが共通しているのは仲間を守ろうとする意思であった。

 

かくして彼らは闘う。

 

奪うために?

 

自分達の力を見せるために?

 

否!

 

彼らは己の仲間を家族を守るために闘う。

 

それが例え己の手を血に染めてしまうとしてもそれでも守りたいもののために闘う。

 

そしてその選択肢を与えてくれた社長へ恩返しをしたいというのがハウリア族の、総意であった。

 

そうして、戦えるものが一人また一人と減り遂には50名いた人員は10名程までになった。

 

レギンたちバントン族のものたちは追い詰められ木を背に向け何処からでも来る攻撃に備える。

 

そうして、ハウリアたちが姿を現した。

 

地球でいう忍び装束に身を包みあらゆる機器を手に持ちじっと此方を見る。

 

無言の圧に本当にあの非力で臆病なハウリア族なのかと疑うがそれを認めなかったのが今の現状だ。

 

「……俺はどうなってもいい。煮るなり焼くなり好きにしろ。だが、部下は俺が無理やり連れてきたのだ。見逃して欲しい」

 

「なっ、レギン殿!?」

 

「レギン殿! それはっ……」

 

レギンの言葉に部下達が途端にざわつき始めた。レギンは自分の命と引き換えに部下達の存命を図ろうというのだろう。動揺する部下達にレギンが一喝した。

 

「だまれっ! ……頭に血が登り目を曇らせた私の責任だ。兎人……いや、ハウリア族の長殿。勝手は重々承知。だが、どうか、この者達の命だけは助けて欲しい! この通りだ」

 

「ふむ。そなたたちは我らが恩人に牙を剥いた。それを許せと?少々勝手すぎるのではないか?」

 

「身勝手なのは承知している!だがどうか…どうかこの者たちはまだ若い。俺のせいで未来あるものたちの可能性は潰したくない…」

 

「命を差し出す…人の命で賄うことなど口でいうのならば簡単なこと。」

 

とカムは鋭利な刃物をレギンの横へと放る。

 

ザクッと地面に突き刺さる剣を見て

 

「覚悟を見せていただけるかな?本当ならば躊躇いなどないでしょう」

 

とカムは言いレギンは己の服の一部を引き裂き、利き腕にキツく縛る。

 

そして破いた衣服を口に入れ舌を噛まないようにする。

 

「……ムンッッッ!!」

 

スパン!プシャャャャャャャ

 

と利き腕を鋭利な刃物で切断した!

 

「グッァァァァァ」

 

「レ、レギン殿!?」

 

「はぁ、ハァハァ…これで足りぬのであればもう片方も…」

 

「………社長宜しいですかな?」

 

「元よりそいつらになど興味の欠片もない。好きにしろ。」

 

「承知しました。バントン族のレギン殿。条件がございます。フェアベルゲンに帰ったら長老衆にこう言ってください」

 

「……で、伝言か?」

 

条件と言われて何を言われるのかと戦々恐々としていたのに、ただのメッセンジャーだったことに拍子抜けするレギン。しかし、言伝の内容に凍りついた。

 

「貸一つとお伝えください。」

 

「……ッ!?それはっ!」

 

「我々はどちらでも、構いません。生き恥を受け入れてでも未来を掴みたいというのであれば…引き受けるかは自由です。」

 

つまり、レギン達が生き残るということは、自国に不利な要素を持ち帰るということでもあるのだ。長老会議の決定を無視した挙句、負債を背負わせる、しかも最強種と豪語しておきながら最弱といっても言いハウリア族に何の負傷も与えられずに帰還……カムの言う通りまさに生き恥だ。

 

「…わ、判った…」

 

「では早く去るといい。」

 

「ちょっと待ってください!」

 

と後ろで待機していた香織がレギンの側まで寄るのを慌てて駆け寄り自らの背に隠すシア。

 

「香織さん!?どうして駆け寄るんですか!危ないですから下がってください!彼らが、貴女を人質に取るなんてことやる可能性だってあるんですよ!」

 

「ごめんなさいシアさん…でもね、目の前の怪我をしている人をむざむざ放っておくことは出来ないの。」

 

「んもう!香織さんのお人好し!……でもその優しさに私は惚れたんですから…仕方ないですね!惚れた弱みです!何かあればすぐに中止させますから!」

 

「ありがとうシアさん。」

 

と香織はレギンの切断した腕を、断面に合わせる。

 

幸いにも綺麗に切断されているためかまだ、治癒可能な範囲である。

 

「…リヴァイケーション。」

 

と香織が唱えると淡い光が包み込み腕がくっついた。

 

「…神経もくっつけましたが数日は動かさないでくださいね。」

 

「香織さんに感謝するですよ!」

 

その淡い光と慈愛に満ちた顔はまるで天から降臨された天女のようである。

 

「あ、ありがとうございます。天女様!」

 

「へ?」

 

「女神だ…」

 

「この世の者とは思えない美しさだ」

 

「天女様…」

 

「あなた方の目の前にいる方を同じ熊人族のジンは襲おうとしたのだ。こちらの香織殿の最愛の伴侶のハジメ殿が撃退したということだ。」

 

と近くまで寄っていたハジメをさしてカムは言う。

 

「ジンは何ということを…我らが全て悪かったのだな…こんなにも美しい方を害そうなど…」

 

「あなた方の中であの熊人族は大事だったのかもしれない。でも僕にとって香織は命と同等以上に大事な人だ。それでも恨むというなら僕を恨んでください。」

 

「…いや…我等は本来命を取られても文句の言えない立場。それを慈悲深きお方たちは許してくれたのだ…そんな方を恨むなど出来ようはずがない。」

 

とレギンたちはそう言い立ち上がる。

 

「熊人族を代表しお詫び申し上げる。誠に申し訳ない!」

 

「…命あるものは間違えることはある。僕らは完璧じゃない。だからこそ失敗だってするし間違えることもある。重要なのはそこから何を学ぶかです。貴方たちのこれからの行動に期待します。」

 

「かたじけない…!」

 

そうしてレギンたち熊人族はフェアベルゲンへと帰還するのであった。

 

これ以降彼らは香織、ハジメを信仰するようになるのであった。

 

「これで行く手を遮るものはない。行くぞ!全速前進だ!」

 

そうして彼らは再び歩き出す

 

大樹まであと少し。




今回はここまでになります。

フェアベルゲンの女性陣はハジメたちを慕っているので襲撃をしようとしていることをハウリア族へとリークしました。

原作では熊人族を皆殺しにと蹂躙していたハウリア族ですが今作では性格がマイルドになり瞑想することで己が秘める思いを確認し守るために闘う一族となりました。

彼らの衣装のイメージとしてはカムや大人組はNARUTOのカカシ先生たち上忍の服装、

子供たちも動きやすい格好と思っていただけると助かります。

彼らは音を発さずに気配を殺して敵を討つ暗殺者タイプな諜報部隊で海馬のために各地を転々とすることになります。

そして覚悟を見せた熊人族のレギンは香織に治療されその行いから天女のようだと言われ亜人族で信仰されてしまうことに。

香織に寄り付く者はハジメ、レイカ、ユエ、シアが撃退することでしょう。

ハジメはヴェールからの指導を受け地球の便利家電を作り出したりと生活水準を底上げしました。

やはりこれもまた亜人族から慕われる要因となりました。

ヴェール曰くまだまだとのことであるが着実に伸びているとのこと。

そして原作と同じく貸し1とフェアベルゲンに貸しを作りいよいよ大樹へと進むのでした。

それでは今回も読んで頂きありがとうございました!

次回も遅くならないよう投稿していきます!

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