ありふれた凡骨は決闘者の高みを目指す   作:生徒会長月光

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さて変態の巣窟に到着。

初日はキャサリンに出会います。

それではどうぞごゆっくり!


ブルックの町 前編

町の方からもハジメ達を視認できそうなので魔力駆動四輪を〝宝物庫〟にしまい、徒歩に切り替える城之内たち。

 

流石に、漆黒のバイクで乗り付けては大騒ぎになるだろう。

 

 

道中、シアが途中でハジメから付けられた首輪にブチブチと文句を垂れていたが、やはりスルーして遂に町の門までたどり着いた。案の定、門の脇の小屋は門番の詰所だったらしく、武装した男が出てきた。格好は、革鎧に長剣を腰に身につけているだけで、兵士というより冒険者に見える。その冒険者風の男がハジメ達を呼び止めた。

 

「止まってくれ。ステータスプレートを。あと、町に来た目的は?」

 

「食料の補給がメインだ。旅の途中でな」

 

ふ~んと気のない声で相槌を打ちながら門番の男が城之内のステータスプレートをチェックする。そして、目を瞬かせた。

 

ちょっと遠くにかざしてみたり、自分の目を揉みほぐしたりしている。その門番の様子をみて、城之内は「ヤベェ、隠蔽すんの忘れてた」と内心冷や汗を流した。

 

 

ステータスプレートには、ステータスの数値と技能欄を隠蔽する機能があるのだ。冒険者や傭兵においては、戦闘能力の情報漏洩は致命傷になりかねないからである。城之内は、咄嗟に誤魔化すため、嘘八百を並べ立てた。

 

 

「ちょっと前に、魔物に襲われてな、その時に壊れたみたいでな!」

 

「こ、壊れた? いや、しかし……」

 

「壊れてなきゃ、そんな表示おかしいだろ?まるで俺が化物みたいじゃないか。門番さん俺がそんな指先一つで町を滅ぼせるような化物に見えるか?」

 

両手を広げておどける様な仕草をする城之内の姿に、門番は苦笑いをする。ステータスプレートの表示が正しければ、文字通り魔王や勇者すら軽く凌駕する化物ということになるのだ。例え聞いたことがなくてもプレートが壊れたと考える方がまともである。

 

実は本当に化物だと知ったら、きっと、この門番は卒倒するに違いない。いけしゃあしゃあと嘘をつく城之内に、恵理は呆れた表情を向けている。

 

それから他の者も見せるようにと言われ、先程の城之内のようなことにならないように隠蔽をする。

 

そしてユエと海馬、シアは

 

「さっき言った魔物の襲撃のせいでな、二人のは失くしちまったんだ。こっちの兎人族は……わかるだろ?」

 

その言葉だけで門番は納得したのか、なるほどと頷いてステータスプレートをハジメに返す。

 

「それにしても随分な綺麗どころを手に入れたな。白髪の兎人族なんて相当レアなんじゃないか? あんたって意外に金持ち?」

 

「まぁそういうこった。後はノーコメントで。なぁ門番のおっさん。素材の換金場所って何処にある?」

 

「あん?それなら中央の道を真っ直ぐ行けば冒険者ギルドがある。店に直接持ち込むなら、ギルドで場所を聞け。簡単な町の地図をくれるから」

 

「おぉ、そいつは親切だな。ありがとよ」

 

と言い漸く町へ入れた。

 

「うぅ香織さ~んどうして首輪をしないといけないんですか~私奴隷じゃないのに~」

 

「ごめんねシアさん。でも町だとね、シアさんの身柄を証明するものが何もないの。そうなるとシアさんを奴隷にしようとする有象無象が現れるからそうならないように首輪をしてもらったの。」

 

「シアさんは僕たちの仲間だしその…ゆくゆくは家族になるから…不快な思いをさせてごめんね。」

 

「香織さ~んハジメさ~ん!私のこと思って言ってくれてたのですね!ありがとうございます!」

 

「それにシアさんは私たちにとって家宝みたいなものだもの。でもそうだね。」

 

と香織はシアの耳元で

 

(今日の夜ハジメ君と私でシアさんを気持ち良くして上げるね。)

 

と妖艶に微笑む。

 

「うさっ!?…香織しゃ~ん!嬉しいですぅ!」

 

とシアは香織に抱き付く。

 

そうしてメインストリートを歩いていき、一本の大剣が描かれた看板を発見する。かつてホルアドの町でも見た冒険者ギルドの看板だ。規模は、ホルアドに比べて二回りほど小さい。

 

城之内は看板を確認すると重厚そうな扉を開き中に踏み込んだ。

ギルドは荒くれ者達の場所というイメージからハジメや香織は、勝手に薄汚れた場所と考えていのだが、意外に清潔さが保たれた場所だった。

 

入口正面にカウンターがあり、左手は飲食店になっているようだ。何人かの冒険者らしい者達が食事を取ったり雑談したりしている。誰ひとり酒を注文していないことからすると、元々、酒は置いていないのかもしれない。酔っ払いたいなら酒場に行けということだろう。

 

カウンターには大変魅力的な……笑顔を浮かべたオバチャンがいた。恰幅がいい。横幅がユエ二人分はある。

 

「オバチャンわりぃ!買い取りってここで出来るのか?」

 

「克也いきなりは駄目だよ。そういう時は礼儀正しく。」

 

「なぁに男ってのはこれぐらい元気があった方がいいさ!にしても…ふむ両手に華…というところかい…」

 

「ん?花なんて俺は持ってねぇぜ?」

 

「例えさ例え。男ならそれぐらい分かりな。あんまり余所見ばっかして愛想尽かされないようにね?」

 

「サンキューオバチャン!」

 

「さて改めて冒険者ギルド、ブルック支部にようこそ。ご用件は買い取りかい?」

 

「はい!素材の買取をお願いしたいんです。」

 

「素材の買取だね。じゃあ、まずステータスプレートを出してくれるかい?」

 

「ん?買取にステータスプレートの提示が必要なんですか?」

 

ハジメと香織の疑問を代表してハジメが言う。

 

その疑問に「おや?」という表情をするオバチャン。

 

「あんたは冒険者じゃなかったのかい?確かに、買取にステータスプレートは不要だけどね、冒険者と確認できれば一割増で売れるんだよ」

 

「そうだったんですね。」

 

オバチャンの言う通り、冒険者になれば様々な特典も付いてくる。生活に必要な魔石や回復薬を始めとした薬関係の素材は冒険者が取ってくるものがほとんどだ。町の外はいつ魔物に襲われるかわからない以上、素人が自分で採取しに行くことはほとんどない。危険に見合った特典がついてくるのは当然だった。

 

「他にも、ギルドと提携している宿や店は一~二割程度は割り引いてくれるし、移動馬車を利用するときも高ランクなら無料で使えたりするね。どうする?登録しておくかい?登録には千ルタ必要だよ」

 

ルタとは、この世界トータスの北大陸共通の通貨だ。

 

ザガルタ鉱石という特殊な鉱石に他の鉱物を混ぜることで異なった色の鉱石ができ、それに特殊な方法で刻印したものが使われている。

 

青、赤、黄、紫、緑、白、黒、銀、金の種類があり、左から

一、五、十、五十、百、五百、千、五千、一万ルタとなっている。

 

驚いたことに貨幣価値は日本と同じだ。

 

ハイリヒ王国の方で登録していた城之内と恵理は問題なくそのままステータスプレートを出す。

 

「…ん?この名前…もしや王都のリリアーナ王女お抱えの冒険者かい?」

 

と少しトーンを落として話すオバチャン

 

「姫さんのこと知ってんのか?」

 

「ギルドで通達来ててね。成る程。ここにいると言うことは…迷宮を踏破したと言うことだね。」

 

「あぁ姫さんの手紙もあるぜ!」

 

と城之内はリリアーナから渡されていた手紙の封をオバチャンにだけ見えるようにする。

 

「成る程。なら問題ないよ。あんたら二人はあのリリアーナ王女が認めている実力者。ならランクも更新しとくよ。」

 

「あの!私とハジメ君も登録してもいいですか?」

 

「お嬢ちゃんたちもかい?いいよ。登録料で1000ルタだが良いものを見せてもらったから少し素材は高く買取りさせてもらうよ!」

 

「ありがとうございます!」

 

「そっちの子達はどうするんだい?」

 

「そうだな…海馬どうする?」

 

「今は必要ではない。」

 

「なら二人分頼む!」

 

そうして二人分のステータスプレートを渡し暫くすると戻ってきたステータスプレートには、新たな情報が表記されていた。天職欄の横に職業欄が出来ており、そこに〝冒険者〟と表記され、更にその横に青色の点が付いている。

 

青色の点は、冒険者ランクだ。

 

上昇するにつれ赤、黄、紫、緑、白、黒、銀、金と変化する。

 

そう、冒険者ランクは通貨の価値を示す色と同じなのである。

 

「まずは一つずつ上がって行って頑張って黒を目指しなよ?お嬢さん達は中々見所があるからね。それと克也と恵理だったね。ランクの方も上げといたよ。前は赤だったけど、オルクスを踏破したんだ。本来なら金に上がっても可笑しくないがあんまり目立ちたくないんだろ?」

 

「まぁ出来るならな。」

 

「そう思って白にしといたよ。でもそうだね。他の支部にも通達しとくよ。そしたら多分金ランクになるのも時間の問題さね。」

 

「色々とありがとうございます!」

 

「ありがとうございます!それで、買取はここで?」

 

「構わないよ。あたしは査定資格も持ってるから見せてちょうだい」

 

オバチャンは受付だけでなく買取品の査定もできるらしい。優秀なオバチャンだ。

 

そうしてハジメは、あらかじめ〝宝物庫〟から出してバックに入れ替えておいた素材を取り出す。

 

品目は、魔物の毛皮や爪、牙、そして魔石だ。カウンターの受け取り用の入れ物に入れられていく素材を見て、再びオバチャンが驚愕の表情をする。

 

「こ、これは!」

 

恐る恐る手に取り、隅から隅まで丹念に確かめる。息を詰めるような緊張感の中、ようやく顔を上げたオバチャンは、溜息を吐きハジメに視線を転じた。

 

「とんでもないものを持ってきたね。これは…………樹海の魔物だね?」

 

「えぇ仲間の協力で何とか倒せました。」

 

と本当のことと嘘を織り混ぜながら話すハジメ。

 

「そりゃあねぇ。樹海の中じゃあ、人間族は感覚を狂わされるし、一度迷えば二度と出てこれないからハイリスク。好き好んで入る人はいないねぇ。亜人の奴隷持ちが金稼ぎに入るけど、売るならもっと中央で売るさ。幾分か高く売れるし、名も上がりやすいからね」

 

オバチャンはチラリとシアを見る。おそらく、シアの協力を得て樹海を探索したのだと推測したのだろう。樹海の素材を出しても、シアのおかげで不審にまでは思われなかったようだ。

 

「オバチャンこいつもみれるか?」

 

と城之内はひっそりとオルクスの迷宮で手に入れたニ尾狼の革とバジリスクもどきの牙を数本取り出す。

 

「!こ、こいつはまさか?」

 

「あぁ。」

 

「とんでもないのを持ってきたね。電導率の高い革、雷耐性の高い防具を作れそうだ。しかもこの牙…そんじょそこらの魔物なんかより強いね。牙の形からして蛇…これなら良質な解毒ポーションを作れるさね。」

 

それからオバチャンは、全ての素材を査定し金額を提示した。買取額は七十五万七千ルタ。結構な額だ。

 

「これでいいかい?中央ならもう少し高くなるだろうけどね。」

 

「いや、オバチャン所で頼むぜ!」

 

そうして代表でハジメは75枚のルタ通貨を受け取る。この貨幣、鉱石の特性なのか異様に軽い上、薄いので70枚を超えていても然程苦にならなかった。もっとも、例え邪魔でも、ハジメには〝宝物庫〟があるので問題はない。

 

「ところで、門番の人に、この町の簡易な地図を貰えると聞いたんだが……」

 

「ああ、ちょっと待っといで……ほら、これだよ。おすすめの宿や店も書いてあるから参考にしなさいな」

 

手渡された地図は、中々に精巧で有用な情報が簡潔に記載された素晴らしい出来だった。これが無料とは、ちょっと信じられないくらいの出来である。

 

「凄い!これガイドブックだよ!」

 

「ほぇ~これが地図なのですねぇ~」

 

「何から何まですまねぇオバチャン」

 

「良いさ良いさ。今日はこっちも良いものを見させてもらったんだ。それより金はあるんだから、少しはいいところに泊りなよ。治安が悪いわけじゃあないけど、五人とも美人なんだからそんなの関係なく暴走する男連中が出そうだからね」

 

オバチャンは最後までいい人で気配り上手だった。城之内は笑顔で分かったと言い海馬と共に入口に向かって踵を返した。五人は頭を下げて追従する。

 

「ふむ、いろんな意味で面白そうな連中だね……」

 

後には、そんなオバチャンの楽しげな呟きが残された。

 

 

そうしてオバチャンの地図を頼りに向かったのはマサカの宿。

 

料理が美味く防犯もしっかりしており、何より風呂に入れるという。

 

宿の中は一階が食堂になっているようで複数の人間が食事をとっていた。ハジメ達が入ると、お約束のように五人に視線が集まる。それらを無視して、カウンターらしき場所に行くと、十五歳くらい女の子が元気よく挨拶しながら現れた。

 

「いらっしゃいませー、ようこそ〝マサカの宿〟へ!本日はお泊りですか? それともお食事だけですか?」

 

「宿泊で頼む!このガイドブック見て来たんだが、記載されている通りでいいのか?」

 

「ああ、キャサリンさんの紹介ですね。はい、書いてある通りですよ。何泊のご予定ですか?」

 

「じゃあ一泊…」

 

「二泊だ。」

 

「じゃあ二泊で頼む。あと飯と風呂つきで!」

 

「はい。お風呂は十五分百ルタです。今のところ、この時間帯が空いてますが」

 

「じゃあ二時間で頼む。恵理たちはゆっくり入りたいだろ?」

 

「そうだね!」

 

「え、え~と、それでお部屋はどうされますか?今は一人部屋が一つと三人部屋がお二つ空いてますが……」

 

「ならば一人部屋をもらう。キサマらと同じだと気か散るのでな。」

 

と海馬は鍵をそのまま持つと先に部屋へと向かう。

 

海馬はこの後各地に散らばったハウリアからの報告を聞く必要もありなるべく一人で作業をするようだ。

 

「でしたら後は三人部屋ですね!」

 

と城之内、恵理は同じなのは決まっているがハジメ、香織、ユエ、シアはどうしようかと悩む。

 

「ユエさん!ここは譲ってください!その…香織さんとハジメさんに…」

 

「…ん、良い。」

 

「はぇ?良いんですか?」

 

「だって」

 

と城之内と恵理の両手を握ると

 

「…お父様とお母様と一緒に寝たいから…」

 

「成る程!ご夫婦でしたか!これは失礼しました!ゆっくりとお休みくださいませ!お嬢さんもご両親と仲良くね。」

 

「…ん、ありがとう。」

 

周りはどよめく。

 

城之内なら分かるが恵理の身長は150センチ程度…

 

「まさかあの身体で人妻!?」

 

だが熟練の夫婦の気配はする…

 

ざわめく冒険者たちを他所にユエは鍵を貰うとそのまま固まっていた城之内と恵理を引っ張り部屋へと行く。

 

「あはは?まぁユエちゃんに何か心境の変化があったのかな?」

 

「そうですね。取り敢えず私たちも部屋に行きましょう!!」

 

とハジメ、香織、シアも部屋へと入るのであった。




今回はここまでになります。

ブルック初日はまだ変態たちも出現せず冒険者ギルドでハジメと香織は登録をし、城之内と恵理は元々登録してあり更に王都からの伝聞でリリアーナお抱えの冒険者であると分かりキャサリンが気を利かせてランクを大体真ん中辺りまで上げてくれました。

まぁオルクス踏破してるので金ランク候補には二人とも上がってはいます。

そしてその事が分かっているので原作よりも多めに買い取ってもらい多少お金も増えました。

そしてマサカの宿でのまさかな展開。

ユエは何故城之内と恵理にお父様、お母様と言ったのかはまた次回で。

UA80000超えました!

これも皆様のお陰です。

区切りのいい時に記念番外編を作ろうと思います。

ありふれ学園みたいな感じにやりたいなと考えています。

さてFGOでは源為朝かと思いきやの曲亭馬琴が来ましたね。

さてはピック2にて来るのか。

ひとまずガチャは様子見ですかね。

そして作者にまちカドまぞくがヒットし、新しく投稿し始めましたのでそちらも是非読んでくれると嬉しいです。

それでは今回も読んで頂きありがとうございました!

遊戯王にてラスボスクラスのモンスターで相応しいものは?(シンクロ以降のものは除く)

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